2019年6月24日月曜日

中年で無一文に陥る人の特徴。独身・無職・家族不仲は要注意

人生も中間折り返し地点となり、あとは老後に向けてもうひと踏ん張り……というところで、これまで築き上げてきた資産が強制消去。若い頃のように無理も利かないなか、突然に訪れた悪夢にどう対処すればいいのか。
◆独身で孤独、家族仲が悪い。中年無一文に陥る人の特徴
日常に転がる些細なキッカケを機に転落に陥るが、なかでも独身者に顕著だとファイナンシャルプランナーの藤川太氏は次のように分析する。
「独身で孤独感の強い人は危険ですね。ブレーキがないので無茶な行動に出てしまって破綻しやすい。身近に意見を言い合える人がいないと主観のみで動いて、投資や詐欺で失敗しがち。また、たとえ既婚者でも、サポートしてもらいにくいという点で、家族仲が悪い人は無一文になりやすいと言えます」
また、家族間のストレスのはけ口が消費に向かってしまうことも。 一方、無一文者の見通しの甘さを指摘するのは弁護士の川口洸太朗氏だ。
「最近はコンプライアンスが厳しいのにもかかわらず、危ういSNS投稿を続けている人は危機管理が甘いと言わざるをえない。裏垢を持っているなんて論外です。ネットは何年たってもデータが残り、名前も顔も職場も家族構成や友人関係まで、素人でも簡単にわかってしまう。顧問先企業にもSNSの文言や画像には細心の注意を払うよう指導しています」
ユーチューバーの娘が発売前のiPhone試用動画を社内で投稿したことで解雇されたアップル社員のように、炎上一つで大きく人生が変わってしまう昨今。特にSNSの使い方には注意したい。
◆今の時代、「情弱」は中年無一文に直結する!
しかし転落してしまった以上はどうしようもない。中年無一文者が再起するためには一体どうすればいいのか。レンタルCFO鈴木吾朗氏は起業するのも一つの手だと話す。
「雇われる、だけが働き方じゃない。今は資本金10万円でも起業できる時代。アイデアが確かであれば融資だって受けられます。
ただそれにはコツがあって、いわゆる『情弱』では難しい。たとえば退職した際に失業保険が入るのは知っていても、突如解雇されるなど、いわゆる『会社都合退職』の場合は泣き寝入りかというと、そんなことはない。 例えば会社都合退職であれば、一定の要件を満たせば翌月から失業保険が受給できますし、もし会社が倒産寸前の状態で支払い能力がない場合は『独立行政法人労働者健康安全機構』に依頼すれば給与債権の8割は国が補完してくれるんです。こういう当たり前の制度を知らないと、そもそも起業を視野に入れるべきではありません」 情報を積極的に掴みにいくことでチャンスも巡ってくる。転落も再起も「情報」がモノをいうのだ。また、「潔く腹をくくれるかどうか」が再起できるか否かの分かれ道だと、藤川氏は語る。
「転落した自分を受け入れることですね。『現状を変えたい!』ともがくほど、人は極端な行動に出て泥沼化する。特に中年以上の世代が求める『普通』のハードルは若い人に比べて高いのでなおさらです。若い人なら高級車なんていらないからとっとと売るけど中年はできない。またいつか手に入れればいいと諦めることです」
誰もが、突如無一文になりうる時代。本特集の識者らの話からまとめて「無一文の兆候チェックリスト」「再起可・不可の境界線」を掲載したので、チェックしてみてほしい。
◆<突然無一文の兆候チェックリスト>
□ 家族仲が悪い……苦しいときに頼りになるのは家族だけ。日頃の不仲は自分の首を絞め、再起の際も協力を得られない
□ 保険に加入していない……巷では保険不要論も存在するが、大金が必要になったときに保険に加入していればと後悔する人は多い
□ 裏垢を持っている……裏垢が発端で人気が急落した著名人やアイドルは数知れず。SNSでの不用意な発言は命取りとなる
□ 健康診断を行っていない……大きな病が発覚し人生が一変する可能性は誰にでもある。健康に無頓着な人は無一文予備軍だ
□ 反社会的行動をしている……薬物、横領などの犯罪行為は仕事やカネだけでなく、周囲の人からの信頼という大きな富を失うことに
◆<再起可・不可の境界線>
●再起可能度<高>※上ほど再起可能、下ほど再起不可能
□リスク回避の保険に加入している……交通事故に備えて損害賠償保険や疾病に備えた保険に加入していれば再起も容易に
□固定費や有価物を削減し生活水準を下げられる……クルマや家のローンを精算し、質素な生き方に柔軟にチェンジできる人はほぼ再起可能
□有用な資格を複数持っている……いつAIに職を奪われるかもわからない時代。希少性のある有資格者の需要は高い
□家族仲がよく、お金のことを相談できる……破産しても、家族仲が良い人は、なんだかんだ再起率が高いという。関係の見直しを
●再起可能度<低>
□スマホゲームでつい課金してしまう……藤川氏によると、ソーシャルゲーム破綻も地味に増加しているという。ハマると危険
□自分のことが好きではない。自信が持てない……自己肯定感の低さから行動できないことは、現状を継続させ再起を阻む可能性が高い
□異性にモテることを諦められない……無一文にもかかわらずモテたいというのは、分不相応な姿勢の表れで再破綻の可能性大
□流行に疎い情弱。SNSをやらない……何がバズっているかわからない人は、有益な情報も掴めないまま人生も損をする
□親が高齢、かつ独身で親類縁者が少ない……親の介護が降って湧いても1馬力だと困難。独身で孤独な場合はなお八方塞がりに
□破産しているのにリボ払いをやめない……多重債務者の特徴であるリボ。なぜ自分が無一文になったのか、思考能力が欠如している
□買い物、ギャンブル、SNSなど○○依存……「中年破産者は、何らかの依存症であることも多い」と藤川氏。まずは治療を
□大口の投資などで一発逆転しようとする……学習能力がないことは、最も再起力が低いと言える。いっそ自己破産したほうが最良
【藤川太氏】
ファイナンシャルプランナー。自動車メーカー勤務を経て、FPに。「家計の見直し相談センター」にて2万世帯を超える家計の見直しを行う。近著に『退職家計やりくりノート』(きんざい)
 【鈴木吾朗氏】
レンタルCFO。複数企業で総額50億円以上の資金を調達した経験がある、資金調達および財務管理のプロ。ベンチャーのスタートアップを支援するリンクスを運営
【川口洸太朗氏】
 弁護士。美容クリニック、飲食店、風俗店などまで幅広い案件を手掛ける。再開発に伴う建物や土地の明け渡し交渉など、トラブルの現場にも数多く携わる
― ある日突然[中年で無一文]の地獄 ―

日刊SPA! / 2019年6月21日 15時52分