2013年8月12日月曜日

消費増税実施の前に思い出してほしいこと

安倍首相の周辺から、来年4月に予定されている消費税の引き上げ(5%から8%)に対して慎重論が出始めています。予定ではさらに2015年10月から10%に引き上げられます。 安倍首相本人は7月27日に訪問先のマニラで、昨年8月に成立した消費増税法案には景気の動向を見て実施を判断する「景気条項」があり、「秋に判断」「私が決める」と述べました。ここで、昨年に消費増税関連法案が成立した経緯を、ぜひもう一度思い出していただきたいのです。 当時は民主党の野田政権でした。元財務大臣の野田首相は、首相にしてもらった財務省の剛腕・勝栄二郎事務次官(当時)にすっかり取り込まれていたのですが、そこで出てきた消費増税関連法案には何と当時野党の自民党と公明党が賛成に回り「圧倒的多数」で可決されました。しかも成立した消費増税関連法案とは、本来はセットであったはずの社会保障改革が突然出てきた国民会議に1年もの期間を持って棚上げされ(1年たちますが何も決まっていません)、議員定数是正(これも知らん顔のままです)や、公務員改革(完全に忘れられています)、特別会計を含む行政の無駄の見直し(これも然り)がすべて切り離された「全くの増税だけの法案」にすり替えられていたのです。その結果とまではいいませんが、昨年12月の衆議院選挙と今月の参議院選挙で、自民・公明連立政権が大勝利しています。少なくとも公約には無かった消費増税を主導したのが民主党の野田政権だったことの影響が、全くなかったとはいえません。安倍首相の慎重論は、自らの生命線であるアベノミクスの腰を折らないためのもので、単に「いいわけ」のために織り込まれていただけの「景気条項」を持ち出してきたものです。単なるジェスチャーかもしれませんが、昨年の消費増税法案可決の経緯をよく思い出してみると、安倍首相の思惑はどうであれ、ここは「大いに慎重になっていただきたい」ものです。