2023年8月11日金曜日

年金20万円で生きても…「老人ホーム月額」の残酷すぎる現実

 「下流老人」「老後破産」…なんとも辛い言葉が多くなった昨今。老後に必要なお金、貯められていますか? 厚生労働省『厚生年金保険・国民年金事業の概況』(令和3年)より、老後のリアルを見ていきましょう。

〇少子高齢化進む日本「65歳以上人口のみ」増加

少子高齢化が深刻化する日本社会。令和5年7月1日現在、総人口は1億2456万人となっています。15歳未満人口は「1,429万人」、15~64歳人口は「7,405万人」、65歳以上人口は「3,622万人」。高齢人口の増加に伴い、老人ホームも増加傾向にあります。厚生労働省『令和3年度 福祉行政報告例の概況』によると、令和3年度末現在、老人ホーム(有料老人ホームは除く)の施設数は13,744施設。前年度に比べ140施設増加しています。定員は809,435人で、前年度に比べ11,260人増加しました。施設の種類別に定員数を見ると、前年度に比べもっとも増えたのは、「特別養護老人ホーム」の11,476人。軽費老人ホームや都市型軽費老人ホームも微増するなか、養護老人ホームが前年比376施設、軽費老人ホームA型が70施設減少しました。「ゆくゆくは老人ホームに入って…」と考えていたとしても、やはり気になるのは費用感。介護のプロは下記のように言及しています。“利用者の所得が低ければ補助給付があり、数万から十数万円程度に抑えられますが、一般的な企業で定年まで勤め上げたホワイトカラーの人であれば、特別養護老人ホーム(特養)の個室ユニットに入所し、プライバシーも保ちたいとなると、月額20万円程度の費用がかかる計算になります。両親ふたりとも施設に入所するのであれば、2倍の40万円ほどが必要です。つまり、配偶者や親を施設に預けるのであれば、本人の年金だけで介護費用をまかなうのはかぎりなく難しいのです。”杢野暉尚『人生を破滅に導く「介護破産」』月額20万円。これは「老人ホーム代」だけの金額であり、実際の生活には雑費はもちろん発生します。厚生労働省『厚生年金保険・国民年金事業の概況』(令和3年)によると、厚生年金保険(第1号)受給者の平均年金月額は、令和元年度末現在で、老齢年金は「14万6,000円」。 国民年金受給者の老齢年金の平均年金月額は、令和3年度末現在で5万6,000円(新規裁定者は5万4,000円)です。ざっと20万円ほど受給できればよいほう、というわけですが、年金だけ生活していくにはあまりにも厳しい数字です。ちなみに本件、都道府県別に見てみると、厚生年金受給額がもっとも多かったのは1位・神奈川県「16万5,321円」。2位・千葉県「16万17円」、3位・東京都「15万8,661円」と続きます。厚生年金の受給額がもっとも少なかったのは、青森県「12万2,111円」。そのほか秋田県「12万2,914円」、宮崎県「12万3,220円」、沖縄県「12万3,755円」となりました。一方の国民年金。受給額がもっとも多かったのは1位・富山県「6万34円」。2位・福井県「5万9,339円」、3位・島根県「5万9,276円」と続きます。国民年金の受給額がもっとも少なかったのは、沖縄県「5万2,112円」。そのほか青森県「5万3,933円」、大阪府「5万4,335円」、和歌山県「5万4,794円」となりました。

〇100歳以上の高齢者が「50万人」を超える見通し

経済産業省『2050年までの経済社会の構造変化と政策課題について』(平成30年)には、少子高齢化が進んだ日本の未来が記されています。同資料によると、2050年頃には、100歳以上の高齢者が「50万人」を超える見通しです。

1920年ごろの日本人の平均寿命は60歳前後でした。それから100年近くのときが過ぎ、平均寿命は20年以上も伸長しています。前述の調査時、男性の平均寿命は81.09歳、女性の平均寿命は87.26歳でしたが、死亡数のピークは男性87歳、女性93歳です。比喩ではない、「人生100年時代」がまさに到来しているといえます。

定年60歳がもはや過去の話となった現在、「生きている限りは働き続ける」ほかないのでしょうか。老後に備えた資産形成が重要であることは、間違いないようです。


幻冬舎ゴールドオンライン / 2023年7月25日 21時45分