2018年1月7日日曜日

ローン地獄にハマる人が続出。不動産投資業界を揺るがす某地方銀行のスキームとは

不動産投資、中でも投資マンションの利回りが近年、横ばいを続けている。そんななか、高所得者をターゲットに、地方の中古RCマンションの購入の際、特定の某地方銀行の高金利アパートローンを組ませる手口が問題となっている。
◆利益が出ずにローン地獄にハマる人々が……
2016年夏頃、購入者から記者にこんな相談が寄せられた。「某地方銀行と組んでいる不動産会社が無茶苦茶で。周囲で裁判沙汰になっているケースもある後を絶ちません。レントロール(貸借条件一覧表)の偽造に関しては、金融機関にも責任があると思います」例のような、不動産業界で現在、問題視されている取り引きとは一体何なのか?その中身は、属性の高い投資者の与信をベースに、年利4%以上という高利・長期スパンで結ぶアパートローンである。このローンを中心に動く不動産屋もおり、不動産業者の悪質な偽装、強引な手法が問題視されている。不動産投資コンサルタントの長嶋修氏はいう。「業界内でも、このスキームに関しては自己責任論と、そのような条件で貸すのはいかがなものかという両方の意見があります。銀行側が、そんな不動産業者と結託している点に問題があるといえるでしょう」’12年頃に生まれたと言われるこうしたスキームだが、実は金融機関のアパート投資に関する評価査定は軒並み“緩い”。本来収益だけで判断されるべきだが、高度成長期から路線価を重視する方法、RCは価値があり、木造は価値が低いという査定方法は今も変わっていない。通常の市場であれば長期的な経営が難しい、言い換えれば実質的には価値が落ちている中古マンションを、査定額の誤差をうまく利用して売り込むシステムともいえるのだ。長嶋氏は、多くの購入者が陥りやすい誤解があると指摘する。「金融機関が貸してくれるのであれば、その不動産に担保評価があると思いがち。しかし、金融機関の担保評価と中長期的な不動産市場の評価は、全く異なる。金融機関は5年後、10年後の評価を見ているわけではないので。ここで購入できる不動産の価値は元々が高くなく、下火になっていくものが圧倒的多数を占めるのが現実です」長嶋氏によれば、今後の不動産投資で価値上昇、維持できるのは全体の15%ほど。残り70%は下落の一途を辿る。最後の15%は無価値で経費分だけマイナスになるという。冒頭のような銀行の融資物件は、この最後の15%に相当するものだ。◆絶望的な利回りで、数年後には破綻確実スキームが浸透した当初は、うまく軌道に乗せたケースもあった。しかし、物件の質が徐々に落ち、レントロールが前提条件と違うなどの問題が多発し金融庁からの注意も受けている。現状で利益を出すことは論理的に難しく、今後も好転する可能性は低いという。「よほどの場合でないと、どう考えてもこの仕組みで利益を出すのは難しい。例えば中古のRCを表面8%くらいで買うと、実質の利回りは5%台。そこから金利分4%台を引くと、手元に残るのは1%程。加えて家賃下落と空室問題もある。まして、地方の場合はより厳しく、一般的に年に最低でも価値が1%は下がるといわれている。そうなると一年しかもたない計算になり、利回りが13%以上ないと難しく、そんな投資市場はもはや存在しない。つまり、数年後も今と同じような母数を保ちながら、このスキームが続いている可能性は極めて低いのです」東京商工リサーチの調べによれば、このスキームを乱用していると悪名高い、某地方銀行Bの平均給与額は国内平均の中では圧倒的上位につけている。不動産投資は、自己責任の世界だ。だが、その裏では、高額なアパートローンで泣きを見る投資者の存在がいることも現実だ。
【長嶋修氏】
不動産コンサルタント。業界・政策提言や社会問題全般にも言及するなど、精力的に活動中。著書に『不動産格差』(日本経済新聞出版社)など
<取材・文/栗田シメイ>
HARBOR BUSINESS Online / 2018年1月7日 8時52分

不動産投資をすることが悪いとは思いません。現実にマンションやアパート経営で高い利回りを出している人もいます。ただ、全ての人が高い利回りを出しているわけではありません。簡単にできる副業という感覚で大した知識もなく手を出すのは危険ですよ。不動産投資をするのならば不動産や税金の知識などいろいろな知識がないとできません。全く知識ゼロで手を出すとろくなことはありません。