2018年4月28日土曜日

私立大学の運営法人、約4割が赤字

文部科学省によると、私立大学で入学定員充足率が100%以上の大学数の割合は、1996年度には96.2%を占めたが、少子化を背景に2017年度には60.6%へと大きく落ち込んでいる。私立大学では、収入の77%*を学生納付金が占め、国立大学の12%*を大きく上回っており、学生数の減少が「収入高」や「損益」へ大きな影響を及ぼす。少子化により厳しい経営環境に置かれている私立大学について経営状況の動向を注視する必要性が高まっている。帝国データバンクは、私立大学を運営する全国の大学法人544法人**(短期大学法人を除く)のうち、企業概要データベース「COSMOS2」(147万社収録)に収録されている大学法人498法人(短期大学法人を除く)を対象に、2014年度~2016年度決算の年収入高、損益、地域別の動向などについて分析した。
* 文部科学省『高等教育の将来構想に関する基礎データ』(平成29年4月11日)
** 日本私立学校振興・共済事業団 私学振興事業本部(助成業務)「学校法人情報検索システム」
3期連続減収は17.5%占める
今回の調査対象となった498法人の2016年度の年収入高を規模別に見ると「10億~50億円未満」(241法人、構成比48.4%)が最も多く、以下、「50億~100億円未満」(109法人、同21.9%)、「100億~500億円未満」(86法人、同17.3%)と続き、100億円未満が76.5%(381法人)を占めた。また、2016年度の年収入高の増減が判明した469法人のなかで、2015年度比で増収となったのは260法人(構成比55.4%)、減収となったのは209法人(同44.6%)となった。さらに、2014年度~2016年度の年収入高の増減が判明した457法人のうち、2015年度、2016年度と「2期連続増収」となったのは34法人(構成比7.4%)、2014年度~2016年度と「3期連続増収」となったのは59法人(同12.9%)。一方「3期連続減収」となったのは80法人(同17.5%)、「2期連続減収」となったのは52法人(同11.4%)となった。

3期連続赤字は約2割
498法人のうち、2016年度の損益が判明した438法人の内訳は、「黒字」が275法人(構成比62.8%)、「赤字」が163法人(同37.2%)となり、黒字法人数が赤字法人数を大きく上回った。また、2014年度~2016年度(3期分)の損益が判明している422法人の内訳は、「2期連続黒字」が27法人(構成比6.4%)、「3期連続黒字」が205法人(同48.6%)、「2期連続赤字」が27法人(同6.4%)、「3期連続赤字」が84法人(同19.9%)などとなった。
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まとめ
文部科学省によると、18歳人口は1992年の205万人をピークにその後は減少基調で推移。大学法人にとって厳しい状況が続いてきたが、2009年以降は120万人前後で横ばいに推移してきた。しかし、2018年からは18歳人口が再び減りはじめ、2031年には100万人を割り込むと予想されている。既に定員割れの私立大学は約39.4%にのぼるが、今後さらに増えていくことが懸念される。学生数の減少に伴い、規模縮小のみならず、統合や再編、破綻により淘汰される私立大学も出てくるものと思われる。
2018/4/26(木) 13:39配信