2018年6月19日火曜日

実家を相続したときに取るべき2つの選択肢 2022年以降、空き家は売るに売れなくなる!?

もし実家の土地建物を相続し、仮にそれが今住んでいるところから遠く離れている場合、どうすべきか? 都会にいる子どもが相続した場合、田舎にある実家に住むことは難しい。人に貸すか、空き家のままにするか、売るしか方法はなさそうだ。だが貸すといっても、地方、特に人口の減少が著しいところで借り手を見つけるのはそう簡単ではない。また親から引き継いだ実家に思い入れがあったり、よほど立地がよくないかぎり、安く売りに出しても買い手が見つからなかったりするため、空き家のまま放置している人も多い。こうしたケースは団塊の世代が70代になると、増える一方だといわれる。
■売り主がおカネを払っても「売れない空き家」とは?
相続問題を専門に扱っている「相続ハウス」の税理士、吉野貴士さんは、空き家を活用できずに放置しているなら、「売る」ことを考えたほうがいいと話す。「人口の減少、少子化・高齢化で、これから空き家はますます増えていくので、電車が走っていなかったり、バスがなかなか来ないようなエリアでは、売り主がおカネを払っても買い手が見つからないというケースも出てきます。所有しているだけで維持管理費、固定資産税などの費用がかかるので、安くてもまだ売れるうちに処分することをお勧めしています。今なら、場合によっては想定価格よりも高く売れるケースもあるからです」高く売れたケースはのちほど紹介するとして、ここで日本の空き家の状況を簡単に見てみよう。経済産業省統計局の調査によれば、空き家の総数は20年前に比べて1.8倍(448万戸?820万戸、2013年)に増加し、今後も増加の一途をたどりそうだ。総務省統計局の「住宅・土地統計調査」でも、日本の住宅の7軒に1軒は空き家で、過去最高水準の数字になっている。
■空き家への優遇措置も、終わってしまった
空き家の多くは、管理や手入れがされていない「放置空き家」で、それが最近になって問題視されているのは、地域環境を悪化させる原因となっているためだ。国土交通省によれば、管理不全な空き家によって、次のようなデメリットが生じると考えられている。
・防災性の低下
倒壊、崩壊、屋根・外壁の落下、火災発生のおそれ
・防犯性の低下
犯罪の誘発
・ゴミの不法投棄
・衛生の悪化、悪臭の発生 
蚊、ハエ、ネズミ、野良猫の発生・集中
・風景、景観の悪化
・物件の市場性の低下をもたらし、不動産としての有効活用の機会損失につながる懸念
ほかにも、空き家を保有しているリスクとして、マンションなら維持管理費がかかること、火災などによって周辺住宅に被害を与えてしまった場合の賠償責任、犯罪グループといった反社会勢力による占拠、利用などが挙げられる。空き家密集エリアなら、税収の激減によって電気、ガス、水道といったインフラが止められる可能性もあり、ますますゴーストタウン化していくおそれもある。「空き家増加の大きな原因は、税制面にありました。これまでは土地に建物さえ建っていれば、固定資産税が大幅に減額されていたからです。しかし、2015年に空き家対策の推進に関する特別措置法が施行され、この措置がなくなったため、処分に困っている所有者が増えています」(前出の吉野税理士)。確かに、吉野氏の言うとおり、3年前までなら、土地に上物さえ建っていれば固定資産税は少なくて済んだ。以下のとおりだ。
■土地の固定資産税(家屋あり・なしの場合)
固定資産税(および都市計画税)は通常、土地・建物の固定資産税評価額に基づく課税標準に対し、1.4%の固定資産税と、0.3%の都市計画税が課せられる。ただし、住宅の敷地となっている土地については、固定資産税・都市計画税についてそれぞれ減免措置がとられている。
更地の場合
課税標準額=土地の固定資産税評価額
??減免措置なし
住宅の敷地の場合
(固定資産税)
200㎡以下の部分
課税標準額=土地の固定資産税評価額 × 1/6
200㎡超の部分
課税標準額=土地の固定資産税評価額 × 1/3
(都市計画税)
200㎡以下の部分
課税標準額=土地の固定資産税評価額 × 1/3
200㎡超の部分
課税標準額=土地の固定資産税評価額 × 2/3
ところが、法改正によって土地に上物があっても、「特定空き家等」と見なされると、それまで受けられた上記のような減免が受けられなくなった。相続の中で該当者の多い200㎡以下の土地家屋でも、減免がなくなるため、従来の6倍もの固定資産税を払うことになるのだ。ここで指摘される「特定空き家等」とは、次の状態にある空き家のことを指す。
「特定空き家等」の特徴
① 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
② 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
③ 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
④ その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
これらは市区町村によって適宜、必要な調査が行われ認定される。さらに市区町村は、「特定空き家等」に対して除却、修繕、立木、竹の伐採等の措置の助言、または指導、勧告、命令ができる権限がある。そのため、もし所有者が除却、修繕などの指導、勧告、命令に従わなかった場合、行政代執行といって、市区町村が除却、修繕を強制執行することができ、その代金は所有者に請求されることになるのだ。
所有者の中には、月に1度は空き家の手入れをしているという人もいるだろう。この場合、「特定空き家等」には当たらない。だがこうした空き家が悪用されるケースも最近増えているという。愛媛県今治市の松山刑務所から脱走した受刑者の話は記憶に新しいはずだ。広島県尾道市の人口2万人あまりの向島の空き家に潜伏し、1万人の捜査員による捜索にもかかわらず、22日間も捕まえられなかった。なかなか探し出せなかった背景には、受刑者が潜伏した空き家が、きちんと手入れがされていて、生活感があったからではないかといわれている。空き家問題は、いまのところ主に地方の問題と見られている。だが、東京などの都市部も無縁ではない。東京都心を中心に人口の流入は続くものの、その流れは徐々におさまっている。しかも、東京オリンピックの2年後の2022年に、土地の供給が一気に進むと観測されているからだ。「1992年に生産緑地法が改正され、都市の環境保全のために、市街化区域にある500㎡以上の農地などを『生産緑地』と指定し、固定資産税などの税金を優遇していました。この生産緑地制度はちょうど30年後の2022年に、所有者が死亡したり、農業をやめたりする場合、自治体が買い取ることになっているのです」(前出・吉野氏)2022年以降も引き続き農業を営む場合、この制度は継続適用される。しかし、実際は跡を継ぐ後継者がいないところが多いため、これらの農地の多くが宅地に転用される可能性が高まっている。また、自治体がこれらの農地を買い取ることになっているが、財政難の自治体が多いなか、すべてを買い取ることは難しそうだ。そこで、最後に残る選択肢が「売却」というわけだ。生産緑地は、世田谷、杉並、練馬などの東京23区の中でも広がっているため、アベノミクスによる地価の高騰が続く東京の不動産市場を揺るがすのではないかといわれる。
■築40年の「ボロ物件」でも高く売るコツとは?
では、こうした事態が起こる前に、売却するためのコツなどはあるのか。
「相続する物件は古いものが多いので基本的に上物には価値がなく、土地の価値で価格が算出されます。マンションの場合、多少おカネをかけてリフォームをすることで、リフォームにかけた金額以上で売却されたケースも少なくありません」(同)
吉野さんが成功例として挙げるのが以下の例だ。東京・城北エリアにある中古マンションで、場所はJR山手線の駅から徒歩5分という好立地にあったが、築40年以上のため、そのままの状態なら1800万円と査定された。だが仲介業者からは、1800万円でも買い手がつかないのではといわれたので、500万円かけてリフォームした結果、2600万円で売却できたのです。「売却することで空き家保有のデメリットを解消できますし、こうして含み益まで出れば万々歳でしょう」(同)。もちろん、売却益が生じた場合、譲渡所得として所得税・住民税の課税対象になる。購入したのが何十年も前のため、取得額がわからない場合は売却価格の5%で算出する。この場合、売却益および譲渡所得に対する税金が多額になる可能性があるので、注意すべきだ。ただし相続発生から3年目の年末までに売却すれば、3000万円の控除が受けられる可能性がある。もし実家を相続する場合、「とりあえず放置」ではなく、「活用する」か「売る」かを選択し、いち早く行動に出ることで、相続した実家が将来の足かせにならずにすむはずだ。
伊藤 洋二:ジャーナリスト、編集者

東洋経済オンライン / 2018年6月17日 8時0分

「なるたる」など手掛けたアニメスタジオ「九魔」関連会社が破産 2017年末の九魔代表急逝に伴い

東京商工リサーチによると、アニメ制作会社「アジアアニメーションパートナーズ」が6月8日、東京地裁から破産開始決定を受けました。同社はアニメスタジオ「九魔」の関連会社。主にアニメの撮影などを担当していました。九魔は1977年創業のアニメ制作会社。当初は仕上げ専門のスタジオでしたが、後に作画、演出部門を設け、さまざまな作品に制作協力として参加しました。2000年には18禁OVA「回春」で初の元請け作品を手掛け、2003年には「なるたる」の全話制作協力や、「銀河鉄道物語」のアニメーション制作を担当。近年でも「がっこうぐらし!」「ORANGE」など話題作に制作協力として参加していました。アジアアニメーションパートナーズは2005年に設立され、九魔が手掛ける作品の撮影やエフェクト作業などを担当していたとのこと。2017年12月に九魔の代表を務めてた隈部昌二さんが死去。東京商工リサーチによると、九魔は一部事業を他社に譲渡して事業を停止。アジアアニメーションパートナーズに関しては先行きが見込めないことから、今回の措置になったとのことです。
ねとらぼ / 2018年6月13日 12時13分

2018年6月18日月曜日

2018年6月13日水曜日

【ニュースの深層】病院悲鳴!訪日外国人の医療費未払い続出で「経営圧迫」一人数百万円も…

訪日客の増加を受け、けがや病気で病院を受診した外国人患者が医療費を支払わないケースが続出している。一人の未払い額が数百万円にのぼる例もあり、病院経営への影響を危惧する声も出始めた。2020年東京五輪・パラリンピックを控え、訪日客数が増えれば混乱はさらに深まる恐れもある。(社会部 三宅陽子)
・タイ人に治療費1500万円
東京医科歯科大学病院(東京都文京区)は昨年1月、国内旅行中に倒れた20代のタイ人女性の救急搬送を受けた。病名は「虚血性心不全」。手術を含めた懸命な処置を行い、命を救った。だが、治療にかかった約1500万円の扱いに患者も病院側も苦慮することになった。女性は旅行保険に入っておらず、費用は自己負担となることに。タイ大使館から約800万円の立て替え払いがあり、募金なども受けて一部の返済が行われたが、帰国した今も完済には至っていない。「女性はタイから支払いを続けてくれているが、医療費の未回収分は病院が負担するしかない。同様の事例が続けば経営は確実に圧迫される」。大川淳病院長はこう危機感を募らせる。
・3割が未払い経験
外国人患者をめぐる医療費のトラブルは各地で相次いでいる。厚生労働省の調査によると、平成27年度に外国人患者を受け入れた1378病院のうち35%で医療費未払いがあった。近畿運輸局が行った調査(28年5~7月)でも、回答した大阪府内の147病院のうち20病院で27人分の未払いの発生があり、未払い総額は1547万円にのぼった。1人の未払いが約800万円という例もあった。一方、本人や家族の所持金から医療費の一部を回収できても「帰国後に送金する」とされた残金の支払いが果たされていないケースもある。未払いの一因は旅行保険に未加入であることや、医療情報の説明不足などがあるとみられるが、現場からは「出国されてしまえば打つ手がない」「適切な対応方法が定まらない」との戸惑いの声も漏れる。
・保険加入をチェック
こうした中、国立国際医療研究センター(東京都新宿区)は約3年前から外国人患者の対応支援に当たる専門部署を立ち上げ、成果をあげている。力を入れてきたのは未払いの“芽”を摘むことだ。例えば、これまでややおざなりにされてきたパスポートによる本人確認や、旅行保険加入の有無などの情報収集を徹底。医療費の高額化が予想される場合、早期の支払いを促すなど担当者が取るべき手順も明確化させていった。現場の調整に当たるコーディネーターも置き、通訳や大使館への相談といった関係機関との連携にも力を入れている。ただ、こうした取り組みは医療機関ごとに温度差がある。政府は平成32年に訪日客数を4000万人とすることを打ち出しており、「セーフティーネットの構築を含め、国や自治体、関係機関が連携して対応策を講じていかなければ、対処しきれなくなる病院も出てくる」と同センターの大曲貴夫副院長は懸念する。自民党のプロジェクトチームは4月、医療費の未払いを繰り返す恐れのある外国人に対し、入国を拒否することなどを盛り込んだ提言を公表した。保険加入の推進や外国人患者受け入れのマニュアル整備、クレジットカード決済の普及なども打ち出しており、政府がこうした案を外国人患者の対応策にどう反映させ、体制づくりが動き始めるか注目される。

産経ニュース / 2018年6月12日 7時1分

外国人が日本の国民保険制度を悪用、やりたい放題は防げるのか

外国人による日本の国民保険制度の抜け穴を利用した不正が横行し、厚生労働省が事態の把握もできていない状態という現実が2名の議員の報告で明らかになりました。AJCN Inc.代表で公益財団法人モラロジー研究所研究員の山岡鉄秀さんは無料メルマガ『日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信』の中で、原因は国によって道徳観念が異なるためで、日本の性善説に基づいた従来の制度は時代遅れであり、早急に多民族国家用に制度を設計し直すべきとしています。
国民健康保険悪用問題―制度設計は性悪説でするのが大原則
全世界のアメ通読者の皆様こんにちは。山岡鉄秀です。外国人に日本の国民保険制度が悪用されている多くの事例が発覚して問題になっていますね。高度のがん治療に国保を使って踏み倒したり、海外で出産して日本で支援金をもらったり、海外にいる家族まで扶養に入っていたり、やりたい放題やられているようですね。真面目に税金を払っている日本国民からしたらたまったものじゃありません。しかも、厚生労働省は被害の実態の把握すらできていないらしい。あきれたものです。結論から言えば、悪用されるようなシステムを放置している方が悪いのです。穴があれば付け込む人がいるのは常識です。では、悪用する人はみんな悪人でしょうか? そうとも言い切れません。騙される方が悪い社会なんて世界にいくらでもあるのです。私が利用していた、あるシドニーの床屋さんでは、様々な人種がヘアドレッサーとして働いていました。たまたま中国出身の女の子が何度か担当になりました。彼女は日本が大好き。中国語なまりの英語でフレンドリーに話しかけてきました。
「来月は、中国に一時帰国するのでいませんから」
「へー、ご両親に会いに行くの?」
「いや、妹が入学試験受けるの」
「妹さんの入学試験に付き添うの?優しいね」
「そうじゃなくて、私が英語の試験を受けてあげるの」
「は?なんであなたが受けるの?」
「オーストラリアで働いている私の方が英語ができるからに決まっているじゃないの」
「それ、不正じゃん」
「ばれないからいいのよ」

「でも、それって妹さんがあとで苦労することにならないの?」
「そんなこと言い出したら、オーストラリアの大学生なんてどうするのよ?」
「え? どういう意味?」
「オーストラリアの大学だって、お金を払えば、卒業証書を作ってくれるサービスがあるのよ」
「なんじゃそりゃ。そういうサービスをしている会社があるの?」
「大学の中にもあるわね」
「まさか~」
「本当よ、シドニー大学でも問題ないわよ」
「それで中国に帰って就職するわけ? ばれないの?」
「ばれないわね。ひとつだけ問題があるけどね」
「それは何?」
「そうやって学位を取った人は、知識がゼロってことかしらね」
彼女、終始ご機嫌で、周囲にはばかることなく楽しそうに話していました。明らかに罪の意識ゼロ。繰り返しますが、彼女は日本が大好きで、とても親切でした。むしろ善人です。ただ、道徳基準が全然違うのです。日本の国保を使い込んでも、きっと明るい笑顔で「日本ってやっぱり親切な国よね! ますます好きになるわ!」なんて言うことでしょう。容易に想像できてしまいます。日本人だって、海外で交通違反で止められたら急に英語が話せないフリをする人がいますよね。この問題を取り上げている長尾たかし議員や杉田水脈議員にはアドバイスしましたが、外国人の国民健康保険への加入条件を厳しくするとか、書類審査を厳しくするなんて議論は無駄です。国民健康保険はその名の通り国民のもの。外国人には別のシステムを用意するのが常識です。これは差別でもなんでもありません。あの開かれた移民国家のオーストラリアでさえ、永住権を取得するまで国民健康保険には入れません。日本も単純に真似すればいいのです。すなわち留学生の場合、指定の医療機関で健康診断を受けて、学生用の民間保険に加入することを学生ビザ発給の条件とする。就労の場合も同様に、指定の医療機関で健康診断を受けて、専用の民間保険に加入することをビザ発給の条件とする。短期滞在の場合は保険料は一括納入。長期滞在の場合は給料からの天引きとする。雇用契約が喪失したら労働ビザも自動的にキャンセル。医療機関は信頼できるところをこちらから指定しなければいけません。前述のヘアドレッサーの話じゃないけど、いくらでも偽造されちゃいますから。これ、常識です。私もそうやって学生ビザを取って留学しました。長尾議員が、厚労省も損害の実態を把握できていない、と嘆いておられましたが、欠陥システムを放置していたんだから、把握してるわけがないですよね。この件は、科研費の問題などと比べて、単純明快ですから、被害の実態の把握に時間をかけるのではなく、さっさと外国(オーストラリアなど)の例を模倣して、システムを改訂してしまうことが肝要です。杉田議員によると、厚労省は「人道的立場から外国人の人権も守らなければいけないので」という答弁を繰り返してばかりいるようです。誰が外国人の人権をないがしろにしろなどと言っているのでしょう? 移民大国オーストラリアは外国人の人権をないがしろにしてるんですか?人に罪を犯させないように制度を設計するのが本当の人道的立場ではないのでしょうか? こんな基本的なことにも迅速に対応できないで、単純労働者を何十万人も入れようというのですから、日本という国は案外あっさりと消失してしまうかもしれませんね。

まぐまぐニュース! / 2018年6月13日 4時30分

2018年6月7日木曜日

法科大学院、神奈川ゼロに横浜国立大19年度に募集停止

横浜国立大(横浜市保土ケ谷区常盤台)は5日、法科大学院の2019年度以降の学生募集を停止する、と発表した。法科大学院への志願者、入学者とも減少して定員割れが続いており、同大は「改善を見込むのは困難」と判断。これにより、法科大学院を設置した県内4大学が、多様な経歴を持った法曹の養成を目指して始まった制度からすべて撤退することになる。同大は04年度に法科大学院を設置。もともと法学部を設けていなかったが、「地域連携型」の法科大学院を掲げ、神奈川県弁護士会の全面支援を受けながら、法学未修者に対する教育に重点を置いてきた。だが、志願者数は年々減少。初年度こそ定員50人に対して志願者は970人を数えたが、09年度(377人)に500人を切り、11年度(189人)に100人台、14年度(73人)から二桁台が続いていた。同大は定員を10年度に40人、15年度に25人と見直したが、13年度以降は入学者数が定員に届かない「定員割れ」が常態化。18年度の志願者数は33人、入学者数は9人で、いずれも過去最低を更新した。同大によると、これまでに169人が司法試験に合格した。現在は38人が在籍しており、教育課程を修了するまで法科大学院を存続させ、修了者に対しても支援を続けるという。5日に会見した法科大学院を統括する泉宏之教授は「期待に添うことができなくなったことは、誠に遺憾。深くおわびする」と謝罪。同大の長谷部勇一学長は「本当に残念」とし、志願者数減に歯止めが掛からなかった要因に、法科大学院を経ずとも司法試験の受験資格が得られる「予備試験」を挙げた。
最終更新:6/5(火) 23:27カナロコ by 神奈川新聞

2018年6月4日月曜日

土地放棄制度を検討=相続登記義務化も―法務省研究会

所有者が分からない土地が増えて開発事業が遅れるなど社会問題化していることを踏まえ、法務省の研究会は1日、土地の所有権を放棄する制度創設や、相続登記の義務化の検討を柱とする中間報告を公表した。今年度内に最終報告をまとめ、2020年までに関連法案の国会提出を目指す。政府は1日午前、不明土地問題に関する関係閣僚会議を首相官邸で開催。菅義偉官房長官は「登記制度の在り方など土地所有に関する基本制度に踏み込む」と表明。制度や法律の見直し、地籍調査の迅速化について、今年度中に具体的な方向性を打ち出す方針を示した。現行法の下では、土地の所有権を放棄できるかどうかは専門家の間でも見解が分かれる。放棄によって、所有者が税など管理費を負担する義務から一方的に逃れることも可能になるためだ。研究会は今後、土地所有者の責任を免除できるケースを絞り込み、放棄の要件や手続きについて検討する。放棄された所有権の帰属先を国と地方自治体のどちらにするのが適切かも議論する。また、長期にわたって放置されている土地を、所有者が放棄したとみなすことができる制度の是非も研究する。登記制度の見直しについて中間報告は、登記手続きを簡略化することを明記。相続人に登記の義務を課すことの是非や、法務局の登記官が所有者名や住所が適切に記載されていない登記を調べたり、最新の戸籍情報を把握できたりする仕組みも検討する。 

最終更新:2018/6/1(金) 10:11 時事通信

AVの「適正マーク」って何?強要問題で対策…早くも疑問の声「絶対ばれない」と勧誘、悪質な手口

アダルトビデオ(AV)業界で「適正AV」と称する取り組みが続いています。出演強要問題に対応する仕組み作りですが、業界内部では当初から「いかがわしいのがAV」と突っ込まれる始末。現場の仕事でも「適正プロダクション」のはずなのに逮捕者を出したり、外部から申し入れを受けたりです。被害者支援団体は「適正AV」の取り組みを不安視しています。(朝日新聞記者・高野真吾)
○本格稼働した「適正AV」の取り組み
 「適正AV」とは、AV業界が大学教授や弁護士を理事に迎えてつくった第三者委員会が提唱しているものです。2017年4月の記者会見で考え方の説明がありました。同委員会のHPによると、知的財産振興協会(IPPA)に加盟しているAVメーカーが制作し、正規の審査団体の審査を経て製品化された映像のことです。無修正や無審査の映像は対象外です。AVメーカーの中には、IPPAに加盟せず、自主審査でマニア向けのAVなどをつくってきたところもありました。委員会の考えに基づくと、これらは「不適正AV」になります。女優が所属するプロダクションも初めて業界団体をつくり、守るべきルールを制定しました。女優の自己決定権を尊重し、ウソをついての契約をしないことや、契約は解除できることなどを掲げました。違反すると、この枠組みからはじかれ「適正AV」に関わる仕事ができなくなります。第三者委員会は今年4月からはプロダクション、メーカーが「適正AVに向けた施策」について「実施を開始」したとHPで報告。取り組みが本格的に稼働しました。
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○消費者団体が改善要望の文書
しかし、現場での取り組みには課題が残っているようです。 
「『絶対ばれない』『顔ばれしない』『身ばれしない』など」の「不実告知による勧誘を直ちにやめること」
「写真撮影も全裸・半裸などの写真をとるべきでなく、着衣のままの撮影を行うべき」
「契約時には、確実に契約書を出演者に渡すこと」
これらは、NPO法人資格を持つ消費者団体「消費者機構日本」(東京)がAVプロダクションのアルシェ(同)に送った文書に書かれています。アルシェは「適正AV」の枠内にいるプロダクションです。機構が作った文書はA4で6枚。具体的な申し入れや改善要請の項目が並んでいます。この文書は「貴社とのアダルトビデオ出演のためにする契約に関する情報提供」を踏まえ、作成したと説明しています。

○昨年度は申し入れ15件
2004年に設立された「消費者機構日本」は、被害を受けた消費者に代わり、裁判を起こす「特定適格消費者団体」として国から認められている団体です。さらに事業者が「不当な勧誘」をすることや契約書に「不当な契約条項」を設けることなどを、やめるように求める資格も持っています。2017年度はメガバンク2行や建築請負業者など15件の申し入れをし、14件で何らかの是正が行われました。これまで申し入れで改善しなかった5件は、訴訟にまで発展しています。
○キャンペーンは「好きな男優選んで……」
一方のアルシェは、どういった会社でしょうか。HPをみると、都内の渋谷区に拠点を構えています。「未経験者限定キャンペーン!」を実施中で、内容は「好きな男優を選んでデビュー」というもの。「ARCHEであなたの夢を叶(かな)えます」とうたっています。「モデル一覧」には5人の女優が名前、顔出しで写っています。ツイッターもやっていて、女優の活動ぶりを紹介しています。

○スカウト「好意を利用し女性に近づく」と指摘
消費者機構日本が出した文書が指摘する、アルシェの問題点はどこにあるのでしょう?アルシェは女性に「『絶対ばれない』『顔ばれしない』『身ばれしない』などと虚偽の事実を告げて契約の意思表示をさせている」。
「契約の勧誘をする際、消費者が契約を断っているにもかかわらず、複数人で囲んで説得をして、物理的にも精神的にも退去を妨害する」
消費者機構日本はこうした行為を「直ちにやめること」を申し入れています。同社が使っているスカウトが、自らに対する「好意を利用して、AV出演」させる目的を隠し、女性に近づいていることも問題視。こうした「スカウトを用いてアポイントメント商法を行わないこと」を要請しています。プロダクションはAVメーカーへの宣伝材料として、女性の全裸や半裸の写真を撮っています。これも「着衣のままの撮影を行うべきです」としています。AV出演の契約を結ぶ場合は、8日間以上の無条件解約(クーリングオフ)期間を設けること、契約書を確実に女性に渡すことも求めました。
○プロダクションは回答せず
消費者機構日本がAVプロダクションに、こうした申し入れの文書を送るのは初めてだといいます。機構はアルシェに対し、5月31日までを期限に文書での回答を求める、問い合わせ項目も記載しました。過去5年間での「総契約者が何名で、(契約書を)交付していない契約者が何名」か、「スカウトに対して支払う費用は、1人あたりいくらか、単体女優か否かで金額が異なるのか」を聞きました。5月31日午後5時時点で、機構はアルシェからの回答文書を確認できていません。また、朝日新聞はアルシェ側に複数回、取材を申し込みましたが、回答はありませんでした。AV出演強要問題が社会問題化したことを受け、消費者機構日本はAV業界での契約実態を調べてきました。昨年11月には、「適正AV」の枠組みづくりを提唱している第三者委員会に対し、AV出演契約に関する意見書を提出しています。アルシェは、第三者委員会の指導を受ける「第二プロダクション協会」(SPA)のメンバーです。同協会の関係者は「今後の展開を見守りたい」と話しています。
○支援団体「大きな不安残る」
AV出演強要被害者の相談に乗る団体は、「適正AV」の仕組みをどうみているのでしょうか。NPO法人「人身取引被害者サポートセンター ライトハウス」の坂本新事務局長に聞きました。「適正AV」関係では、第三者委員会の指導を受ける「日本プロダクション協会」(JPG)のメンバーであるプロダクション社長が逮捕される事件が4月に明らかになったばかりです。坂本さんは逮捕事案や消費者機構による申し入れ、日々、接している相談者からの情報を総合的に考え、コメントを寄せました。その結論は「女優の自己決定権の尊重をうたい『適正AV』を目指すとする第三者委員会の理念は分かるが、現場でどこまで浸透しているのか大きな不安が残る」というものです。

○「以前とやり方変えず」
 第三者委員会が窓口となり、すでに出回っている作品の販売停止を受け付けていること。ライトハウスへの相談者からの通報を受け、撮影中止のために連携した事案が過去にあったことには、一定の評価をしています。それでも、全面的な支持にはならないと言います。「JPGやSPAというプロダクションの業界団体に入っているだけで免罪符になっている雰囲気です。以前とやり方を変えていない、プロダクションもあると考えています。今の『適正AV』という業界の動きだけで、強要も含めた、色々なAV被害をなくしていけるのかは疑問が残ります」

最終更新:2018/6/1(金) 7:00