2018年6月4日月曜日

土地放棄制度を検討=相続登記義務化も―法務省研究会

所有者が分からない土地が増えて開発事業が遅れるなど社会問題化していることを踏まえ、法務省の研究会は1日、土地の所有権を放棄する制度創設や、相続登記の義務化の検討を柱とする中間報告を公表した。今年度内に最終報告をまとめ、2020年までに関連法案の国会提出を目指す。政府は1日午前、不明土地問題に関する関係閣僚会議を首相官邸で開催。菅義偉官房長官は「登記制度の在り方など土地所有に関する基本制度に踏み込む」と表明。制度や法律の見直し、地籍調査の迅速化について、今年度中に具体的な方向性を打ち出す方針を示した。現行法の下では、土地の所有権を放棄できるかどうかは専門家の間でも見解が分かれる。放棄によって、所有者が税など管理費を負担する義務から一方的に逃れることも可能になるためだ。研究会は今後、土地所有者の責任を免除できるケースを絞り込み、放棄の要件や手続きについて検討する。放棄された所有権の帰属先を国と地方自治体のどちらにするのが適切かも議論する。また、長期にわたって放置されている土地を、所有者が放棄したとみなすことができる制度の是非も研究する。登記制度の見直しについて中間報告は、登記手続きを簡略化することを明記。相続人に登記の義務を課すことの是非や、法務局の登記官が所有者名や住所が適切に記載されていない登記を調べたり、最新の戸籍情報を把握できたりする仕組みも検討する。 

最終更新:2018/6/1(金) 10:11 時事通信