2023年2月19日日曜日

年金14万円・84歳の高齢者、悠々自適な生活が一変!老後破産すら覚悟する唖然の「老人ホーム請求額」

 セカンドライフの有力な選択肢のひとつである、老人ホーム。しかし、最近は破産する施設も増加しているとか。さらにそこでトラブルも増えているといいます。みていきましょう。

〇昔は「老人ホーム=姥捨て山」だったが

長寿化がすすみ、昔よりも「元気な高齢者」は増えているものの、年を重ねるごとに健康不安は大きくなっていくもの。厚生労働省や総務省の調査によると、要支援・要介護認定者の割合は、70代前半で5.8%ですが、70代後半になると12.7%と8人に1人。80代前半では26.4%と4人に1人。80代後半になると2人に1人という水準になります。実際に支援や介護が必要となったとき、誰がサポートしているのか、というと、54.4%が同居人で、配偶者が全体の23.8%、子どものが20.7%、子の配偶者が7.5%。また別居の家族等がサポートしているケースは全体の13.6%です。身の回りに頼れる人がいればいいのですが、なかなか頼れる距離にいなかったり、身内だからこそ頼みづらかったり、事情はさまざま。そもそも「家族の手を借りること自体イヤ!」という人もいるでしょう。支援や介護が必要になってから「さて、どうしようか」と考えると、自身も家族も負担でしょうから、そうなる前に万が一の時の対応を家族と話し合っておきたいものです。そんななか、老後の暮らし方の選択肢としてあがるのが老人介護施設。かなり昔は“老人ホーム=姥捨て山”のようにいわれ、「親を老人ホームにまかせるなんて、人でなし!」といわれるような時代もありました。しかし最近の老人ホームは設備もサービスも充実し、なかにはホテルライクな生活がかなう施設も。

また介護が必要になってから入るところ、というイメージが強い老人ホームですが、健康な高齢者向けの施設である、健康型有料老人ホームも。いまどきの老人ホームは、昔のイメージからはずいぶんと変わってきています。

〇老人ホームの費用…ランニングコストは月平均11万円ほど

そこで気になるのが、費用の部分。

――そんなに素敵な生活ができるなんて、ずいぶんとお高いんでしょ

確かに老人ホームといってもピンキリ。「入居金なし」のところから「入居金だけで億単位」のものまであります。逆にいえば、自身のライフスタイルや資産背景によって、最適なところを選べる、ということです。またサ高住の入居者の平均年齢は84.2歳で、85歳以上が6割を占めます。国土交通省の資料*1によれば、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の入居費用*2は全国平均10.8万円。大都市圏での施設では平均12.6万円、地方圏だと9.0万円です。

*1:国土交通省『第6回サービス付き高齢者向け住宅に関する懇談会』(2022年2月22日開催)資料

*2:家賃、共益費、必須サービスの費用合計。ただし必須サービス費用は、介護保険適用分(1割負担を除く)

一方、公的年金の平均年金額は、厚生年金受給者で月14万円ほど。元会社員や公務員であれば、月々の年金だけで平均的なサ高住に入居可能です。もちろん、このほかに入居金が必要だったり、サービスには含まれない費用があったりするので、「11万円あればサ高住で暮らしていけます」とはいきませんが、「想像よりは安いな」と感じた人が多いのではないでしょうか。

老人ホーム倒産で増えている、意外なトラブルとは?

〇ただ、老人ホームではちょっとしたトラブルが増えているとか。

――えっ、老人ホームの請求額、高くない?

昨今の値上げに次ぐ値上げで、老人ホームからの請求額までも……確かに、そういうこともあるかもしれませんが、ほかに増えているというのが、「老人ホームの破綻」。東京商工リサーチによると、2022年、「老人福祉・介護事業」の倒産件数は、前年比76.5%増の143件。介護保険制度が始まった2000年以降、最多を更新しました。もし老人ホームが倒産したら、どうなるのでしょうか。入居者は追い出され、路頭に迷うことに……そんなことがあっては大変です。別の運営会社に引き継がれることが多く、引き継いだ先のサービスが原則適用されます。その際、無料だったサービスが有料になったり、単価の見直しがあったりして、毎月の請求額がこれまでと変わってしまうのです。たいてい事前説明会などが開催され、家族含めて説明がされるものの、実際の請求額をみて目玉が飛び出そうになる、ということも珍しくないといいます。なかには価格が大きく変わり「とても払えない!」と入居者自身が破産を意識するような極端な例も。また破産ではありませんが、M&Aなどで、経営母体が変わることも珍しくなく、この場合も運営母体が変わることで、請求額も変わってきます。毎月の請求額が高くなることも痛手ですが、破産して、引き取り手がなかったときも悲惨です。通常はほか施設が受け入れてくれるものですが、100%というわけではありません。「なんか、設備が古い」「入居者がやけに少ないけど」「スタッフが少なすぎない?」など、ちょっとした違和感は倒産のサインかもしれません。老人ホームを選ぶ際は、費用や住み心地だけでなく、「倒産リスク」もきちんと見極めることが重要です。


2023/2/19(日) 11:16配信幻冬舎