2020年9月1日火曜日

【就職内定率から学ぶ】就活生が気になる調査方法や数字の推移

○毎年発表される就職内定率について理解しておこう

近年の景気感の回復、また人手不足の影響などを受け、就職内定率が過去最高に達したというニュースが眼に飛び込んできます。就職を目指す学生にとっては、これはとてもよいことのように感じられますが、この就職内定率とは、そもそもどのようなものなのでしょうか。よく耳にするこの「就職内定率」という言葉ですが、実のところその実態について知っていると言い切れる人はあまりいないでしょう。そこでこの記事では、就活生が知っているようで知らないこの「就職内定率」について、その調査方法から近年の推移などを徹底的に解説します。「就職内定率」について正しく理解し、ぜひ自身の就職活動に役立ててください。

○就職内定率とは 就職内定率とは、「就職希望者がいったいどのくらい就職することができたのか、または内定を受けることができたのか」を調査し、その割合を算出したものです。一般にこの就職内定率は、景気や経済状況の目安としたり、就職環境の指標として利用されています。また、大学などの教育機関が自学の就職状況として独自の数字を発表し、学校のPRとしてアピールする場合もあるでしょう。さまざまな大学や高校などが、それぞれの学校の学生の就職内定率を発表しています。これは学校教育法施行規則によって公表されるもので、それらの学校の就職状況を知るための指針となります。それゆえ、各学校ではPRのための材料として用いているのです。 ○厚生労働省・文部科学省で調査されたもの 就職内定率とは、該当する年度に卒業する学生が、就職および就職内定を受けた割合をいいます。これは厚生労働省と文部科学省とが共同で「就職内定状況に関する調査」という調査を実施し、これを基に算出した数値です。厚生労働省はこの調査の目的を、「大学や短期大学、高等専門学校及び専修学校の卒業および卒業を予定する学生・生徒の就職内定状況を把握し、就職問題に適切に対処するための参考資料を得ること」としています。さらに文部科学省と共に、大学の就職相談員とハローワークのジョブサポーターとの連携での取り組みを通して就職支援を図るため、年に4回、定期的な公表をおこなっています。それにより、その期間における就職内定の状況を周知させているのです。

○厚生労働省と文部科学省が連携しておこなうこの「就職内定状況に関する調査」は、国内の大学などの就職相談員、ハローワークのジョブサポーターなどの連携を促進するためにおこなわれるものです。調査の依頼先は、国立大学、公立大学、私立大学、短期大学、高等専門学校、専修大学(専門課程)の112校です。これは地域などを考慮して厚労省と文科省が抽出したもので、調査の対象人員は6,250人となります。調査方法は、対象となる各大学などで、調査の対象学生を抽出し、電話及び面接によって性別や就職希望の有無、就職状況などを調査します。調査の時期は、毎年10月1日、12月1日、翌年の2月1日、4月1日です。発表についてはそれぞれに対応して11月16日、1月18日、3月18日、5月17日となっています。 ○就職内定率の数字が全て正しいとはいえない 就活生にとっては、就職に関するさまざまな場面で指標として活用される就職内定率ですが、実は注意すべき点もあります。示されている数値が実際の就職状況を正確に反映しているのかどうかというと、実はこの数値がすべて正しい、というわけではない点です。ここからは、就職内定状況調査の調査依頼におけるサンプル数について、また調査方法にみられるその問題点を探ることで、就職内定率が示す数値についての信頼性について考えていきます。 ○就職希望者のみを調査対象としている また注意したいのは、これらの大学の調査で調査対象となっているのは、就職希望者のみです。発表されるデータに「注)なお、就職率とは就職希望者に占める就職者の割合。」という記載があることに注意してください。ここでは就職浪人や就職を諦めて大学院へ進学する学生、また留学をする学生は含まれていません。 ○分母、分子というカラクリ 文部科学省単独の就職率は、正確には「卒業者に占める就職者の割合」と言います。 という正式名称が出た時点で、合点の行く読者も多いのではないでしょうか。 こちらは、卒業者総数が分母、就職者数が分子です。毎年8月にその年の卒業者について速報値を公表しています。大学、短大、高校などは全て回答する必要がありますので、実態としてはこちらの方が正確です。 では、厚生労働省と文部科学省の合同調査である「就職内定状況等調査」はどうでしょうか。 こちらは就職希望者が分母、就職者が分子です。 さらに付け加えると、この調査は全大学に対して調査するものではありません。 厚生労働省サイトに、調査の概要がありました。対象は、以下の通りです。 全国の大学、短期大学、高等専門学校、専修学校の中から、設置者・地域の別等を考慮して抽出した112校についての調査。調査校の内訳は、国立大学21校、公立大学3校、私立大学38校、短期大学20校、高等専門学校10校、専修学校20校。 調査対象人員は6,250人(大学、短期大学、高等専門学校合わせて5,690人、専修学校560人)。 調査対象は短大などを含めても6250人。一方、学校基本調査は卒業者総数が分母であり、この卒業者は大学卒だけで約56万人。 大学数は782校(2018年時点)に対して、就職内定状況等調査は112校。 学校基本調査と就職内定状況等調査、どちらがより正確か、どう考えても前者の方でしょう。

まあこういうことを理解しましょうね。統計の取り方にもよるのですが親が自営業(法人成しているかどうかは別として)の場合就職実態としてどう扱っているのかは不明です。