2022年2月12日土曜日

大阪カジノ、維新「セコセコ行政」でも土壌対策費790億円の経緯は不明

 「公費負担はない」と説明されてきた大阪維新の会の看板政策である、カジノを含むIR計画。だが、土壌汚染や液状化対策に大阪市が790億円を投じることが昨年末に公表された。金額決定の経緯が明らかになると期待された議事概要の黒塗り部分がこのほど開示されたが、依然として不明なままだ。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)

●松井市長の指示で黒塗りを開示 市幹部が苦しい胸の内を吐露

土壌汚染や液状化への対策に巨額の負担が生じることとなった大阪湾の埋め立て地「夢洲」でのカジノを含むIR(統合型リゾート)計画。大阪市議会議員からの要求により、松井一郎市長や幹部による2021年2月12日の会議の議事概要が提出されたが、肝心の内容がすべて黒塗りだった(『大阪カジノで市負担の土壌対策費790億円が、WTCの二の舞になりそうな理由』参照)。その後、松井市長の指示で2月3日に市ホームページで黒塗り部分が公開された。議事概要には、新型コロナウイルスの感染拡大で計画の大幅変更を余儀なくされた市幹部の苦しい胸の内が率直に吐露されていた。IRを運営する民間事業者の募集は19年12月に始まり、米国のカジノ大手MGMリゾーツ・インターナショナルの日本法人とオリックスの2社による企業連合が唯一応募した。その後に夢洲の土壌汚染への対策が必要だと判明し、市は応募要項を修正して21年3月に再度実施。同9月にMGMオリックス連合に決まった。21年末には、土壌汚染対策などの費用として約790億円を市が負担すると新たに判明し、計画の収益性が懸念されている。議事概要によると、大阪市の坂本篤則IR推進局長はこの会議で、コロナ禍の影響をとつとつと語っている。「新型コロナウイルス感染症の影響でMICEについては非常に大きな影響を受けている。ビジネスモデルについて今後どうなっていくのか、そのあたりが現在の時点では明確になっていない」「特に昨年夏以降、徐々にMICEが再開されているが、第2波、第3波が続く中で多くが中止となったり、延期を余儀なくされている状況がある」MICEとは、Meeting、Incentive Travel、Convention、Exhibition/Eventの頭文字を使った造語で、国際会議を開催できる巨大な会議場や展示施設を指す。高橋徹副市長はこの会議で「IRの中核施設はMICEである。世界最高水準のオールインワンMICE拠点を形成することで世界から人を呼び寄せて、日本経済の成長につなげていく、そこで大事になるのが、MICEである」と強調した。ところがIR推進局から会議で示されたのは、MICEのうち展示施設の整備面積を開業時に10万平方メートル以上とするのではなく、開業時は2万平方メートル、開業後15年以内に6万平方メートル、そして35年の事業期間内に10万平方メートル以上の計画を立てるという「段階整備」に変更することであり、その方針自体は会議後すぐに公表された。

●「部分開業」報道を嫌がるも 「世界から人呼ぶ」展示場は開業時に不発

ただ、公表前の2月11日に日本経済新聞電子版がこれを「20年代後半に部分開業」と報じたのがよほど気に障ったのか、坂本局長は2万平方メートルの展示場という国の基準を満たして開業することを理由に「いわゆる大阪IRを目指す最終形に向けて、第2期、第3期というような形で成長させていくものと思っている」と強調。高橋副市長からの「部分開業には当たらないということでよいか」との念押しに「その通りである」と答えている。言い方はどうあれ、国の基準を大幅に上回る10万平方メートル以上の展示施設を設けることで、高橋副市長の言う「世界から人を呼び寄せて、日本経済の成長につなげていく」という構想が、20年代後半の開業時には実現しないことが、この会議ではっきりした。では、開業後に段階整備を進めていくことにどれだけの合理性があるのだろうか。そもそも日本にはMICEに相当する大規模展示施設が少なく、11万平方メートルを超える東京ビッグサイトをしのぐ展示場は海外に多い。そのためコロナ前は、インバウンド需要のさらなる取り込みのため、カジノと一体となった巨大なMICE施設の誘致に横浜市や大阪府市などが名乗りを上げた。たが坂本IR推進局長も認めているように、コロナ禍で展示場ビジネスは大幅な制限を受けた。さらに、フェイスブックを運営する米国のIT大手メタは、仮想空間でのアバター同士による交流を可能にする「メタバース」に注力していくとしている。仮想空間でも人間の五感が限りなくリアルに近い形で再現されれば、展示や交流といった概念が今後、根本的に覆されることになる。坂本局長もこの会議で「オンラインと現実のリアルをミックスしたようなハイブリッド型といわれているMICEが増加傾向にあると聞いている」と語っており、その兆候は明らかだ。見方を変えれば、展示施設の面積を10万平方メートルから2万平方メートルに縮小し、修正後の募集要項には「段階整備」の時期の見直しも書き込んだため、無用の巨大なハコモノ建設を回避できたともいえる。ただし上物がどうあれ、「土壌」には当初公表していなかった莫大な費用が投じられることに変わりはない。この会議では、昨年末に公表されて批判を浴びた、市による夢洲の土壌対策費790億円の負担についてもやりとりがあるが、当時はその金額の規模は不明だったようだ。

●「鉛筆1本無駄にしない」維新の政策で 埋め立て地に790億円、リターンは根拠不明

高橋副市長が土壌汚染対策を挙げて「負担の程度は何か想定しているのか」と尋ねたのに対し、坂本IR推進局長は「具体的な内容については事業者の提案になる」とした上で、「提案の内容を見て、残土の量であるとか、時期であるとか、処理の方法をどのようにしていくのかなどを踏まえた上でということになるので、現在のところ想定している負担については、未確定であるが、可能性はあると考えている」と回答した。要するに、IR推進局はこの時点で、費用は事業者の提案次第と説明していたということだ。高橋副市長はその場で「市の負担が軽微になるようしっかりと調整してもらいたい」と求めた。そして昨年末になって、土壌汚染対策費が790億円と突然公表された上、今年1月には地下鉄中央線の延伸費用に追加で96億円、さらに2月に入ってからは、IR予定地と隣り合う25年の万博会場跡地の土壌対策費に788億円が必要だと判明した。大阪府市を率いる大阪維新の会のキャッチフレーズは「身を切る改革」だ。松井市長が16年の街頭演説で「みなさんの税金をお預かりして役所の中で使うときは、セコく、セコく、細かく。鉛筆1本、紙1枚、無駄にしない」「大阪府、大阪市では、両面コピー、鉛筆も短く短くなるまで絶対使う」と「大阪流セコセコ行政運営術」の意義を語ったように、これまで職員給与や事業の削減を成果に誇り、選挙戦で訴えてきた。その半面、夢洲には、上物の計画を縮小して当初の「成長戦略」の変更を強いられたにもかかわらず、土壌対策には大盤振る舞いで、「軽微」とは到底いえない金額を投じようとしている。松井市長はIRによる財政的なリターンを強調するが、大阪府市が事業者から年間に得るとはじいた1030億円は、コロナ収束を見込んだ楽観的な数字である。そもそも松井市長や大阪府の吉村洋文知事はこれまで、一連の計画に「公費負担はない」と説明してきたが、土壌対策の負担が明らかになってから「IRの『施設』に公費は使わない」といった主張にすり替えており、朝日新聞は2月5日付社説で「およそ通用しない言い訳だ」と突き放した。そして重要なのは、夢洲の土壌対策費の規模について、坂本IR推進局長が21年2月の段階で、事業者からの提案によると語ってから、年末に790億円という金額が公表されるまでの間に、市と事業者側との間でどのようなやりとりがあったのか、黒塗りが解除されても、何一つ明らかになっていないことである。松井市長は1月27日の記者会見で「大勢のお客さんが集まるので、安全で安心して楽しめる土地にしてくださいというのが事業者からの要望。それを受けて判断した」と語った。だが、一般的に湾岸の埋め立て地の地盤に問題が起きやすいことは土木工事の世界では常識であり、巨額の対策コストが「想定外だった」との市側の説明は通らないだろう。市IR推進局は取材に対し、2月10日開会の市議会定例会に合わせて黒塗りだった文書を開示したとしているが、議論の材料としてはあまりに不十分だ。

ダイヤモンド編集部/岡田 悟

ダイヤモンド・オンライン2022/2/8(火) 6:01配信


2022年2月6日日曜日

吉村・松井“維新コンビ”で大阪パンデミックが加速! コロナ新規感染者数データもデタラメ

 大阪府が悲惨だ。新型コロナウイルス第6波による感染爆発で保健所業務は逼迫し、新規感染者数の計上漏れが判明。4日の府内の新規感染者数は積み残されていた2921人を含め1万3561人に上った。全国ワーストの惨状を再び招いた“維新コンビ”こそつける薬ナシだ。

◇  ◇  ◇

大阪市内の新規感染者数のデタラメが判明したのは3日。先月26日~今月2日の8日間に計約1万2700人分の報告が漏れていた。漏れ分を加算した3日の感染者数は1万9615人と過去最多を更新。保健所は完全にキャパオーバーだ。「大阪府は保健所をバックアップするため、自宅療養者向けに24時間対応のコールセンターを設置しましたが、業務逼迫の解消に役立っていません。コールセンターで対応しても、スタッフは保健業務のプロではないので、結局マニュアルに従って『保健所からの連絡を待って』と答えてしまう。その苦情が保健所に来ることもあり、本来の業務をさらに圧迫しているのです」(府内の保健所関係者)

■また全国最悪

医療提供体制もギリギリだ。4日時点の病床使用率は軽症・中等症用で85%、重症用で17.3%。全体では74%に上り、第4波の時と同じく、全国でも最悪の感染状況に陥っている。「札幌医大フロンティア研ゲノム医科学」のデータ(4日時点)によると、人口100万人当たりの「新規感染者数」(直近7日間の増加)、「重症者数」(7日間平均)、「入院・療養者数」(7日間平均)は全国ワースト。「死者数」(直近7日間の増加)はワースト2位となっている。

○もはや投げやり

この惨状を加速させているのが、吉村府知事と松井市長の“維新コンビ”だ。吉村知事は関西ローカルの正月特番で「大阪の希望」「大阪ではスーパースター」ともてはやされていたが、その手腕はいまだに発揮されていない。4日の会見では死者数増加を問われ、「(入院している)高齢者は元気な高齢者というよりは、もともと疾患をお持ちの方が多い」とウダウダ釈明。府内の死者17人(3~4日)のうち、基礎疾患があったケースは14人に上るものの、だからといって「しゃあない」ことにはならない。松井市長に至っては「(市民の)一人一人が専門家の意見をしっかりと受け止めて感染対策を講じるしかないんじゃないですか?」(3日の会見)と、投げやりモード全開だ。保健所の逼迫についても、「100%対応せえと言われても、人材も含め持ってる資源の中では非常に厳しいと思います」と開き直る始末だった。松井市長は感染拡大への準備不足を棚に上げた揚げ句、保健所が陽性者の体調を聞き取る「ファーストタッチ」について「40代以下の重症化リスクの低い人」を対象外とすることを決定。あまりに無責任ではないか。昭和大医学部客員教授の二木芳人氏(臨床感染症学)はこう言う。「正直、打つ手なしなのでしょう。大阪に限らず、大都市圏の感染状況はすでに緊急事態です。医療体制が逼迫している以上、重症化リスクの高い人にリソースを回さざるを得ないとはいえ、医療放棄のそしりは免れない。子どもの感染が増え、感染源となっているのだから、休校措置などの感染拡大防止策はまだまだ打てるはずです」白旗状態の松井市長はオミクロン株を「インフルと比べて命に関わるような症状ではない」と公言してはばからない。一方、吉村知事は「インフルと同じとは思っていない」。この府市の真逆の認識こそ“維新コンビ”が嫌う「二重行政」じゃないか。なるほど、全国最悪なワケだ。


日刊ゲンダイDIGITAL2022/2/5(土) 14:32配信


こういう状態でも維新の会がいい政党だと思っている人がいるということがすごいと思う。



2022年2月2日水曜日

大阪万博跡地整備に788億円府市が土壌対策費を試算

 大阪湾の人工島・夢洲で開催される2025年大阪・関西万博の跡地整備のため、大阪府と大阪市が土壌汚染や液状化対策費として計788億円かかると試算していたことが2日、分かった。大阪市議会の特別委員会で自民党の北野妙子市議が指摘し、市側が認めた。夢洲整備を巡っては昨年末、府市が誘致を進めるカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の土壌整備費に約790億円かかることが判明している。府市は万博跡地の一部も「国際観光拠点」として新たな観光施設を整備する方針で、面積を基に整備費を推計した。


共同通信 2022/2/2(水) 19:26


「大阪市議会の特別委員会で自民党の北野妙子市議が指摘し、市側が認めた。」ということは指摘されなければ認めなかったのかという疑問が起こるな。