〇転換社債とは
Convertible Bondの頭文字をとって呼ばれるCBは、かつて転換社債と呼ばれていたが「転換社債型新株予約権付社債」が商法上正しい名称である。株式に転換する権利(転換権)を持つ社債のことであり、あらかじめ決められた価格で一定期間内に株式に転換する権利を持った債券ということになる。例えば、転換価格が1,000円と定められたCBを発行した株式会社のその社債権者は株価が上昇して転換価格を上回る1,200円になったとすると、1,000円で転換できる権利があるため、その時点で債券を株式に転換し市場にて1,200円で売却すれば、その差額200円が収益となり、株式を割安に購入したことと同じ結果が得られることになる。逆に、転換価格(1,000円)を下回っていれば転換せずに債券として保有することにより、クーポン収入と額面金額は保証されることになる。このように、債券としての安全性(利息と償還金の確実性)と、株式としての収益性の両面を選択しながら投資できるという特徴がある。
〇発行側のメリット
・株式転換したら自己資本比率が高くなる
社債(負債)が資本になるので自己資本比率が高くなります。
・株式転換すると金利負担が減る
社債の金利負担は減るが配当金の負担は増える。
〇発行側のデメリット
・株式に転換した時に急に大口株主が現れることがある
転換社債を投資ファンド(特に物をいう株主)が取得していた時にその投資ファンドが大口株主になるため、株主総会で対応の仕方が大変になる。株式ではないためいわゆる「5%ルール」に抵触せずに買い集めることができることから、会社や他の投資家に知られることなく転換社債を買い集めて一気に転換し、突然大株主として経営の主導権を握ることも可能である。村上ファンドが阪神電気鉄道に対しこの方法で一気に大株主となり、最終的に阪神は長年のライバルであった阪急電鉄に経営統合させられることとなった。
・株式転換した時に1株当たり純利益や1株当たり純資産額が少なくなる
株式転換すると発行済み株式数の数が増えるのでそうなる
・株式転換すると配当金負担が増える
社債の金利負担は減るが配当金の負担は増える。
・自社株買いにおいて株主総会の決議が必要になる
社債の期日前償還の場合取締役会決議で償還できるが株式転換後の自社株買いを行う場合株主総会の決議が必要になる。
・株価が上昇しなかったら現金で負債を支払わなければならなくなる
株価が期待以上に上昇しなかった場合株式に転換する事が出来ず負債を現金で支払わなければならなくなるため、それが原因で破綻するケースもある。結果として資金繰りが悪化する。ヤオハンのように破綻・倒産した企業もある。
〇投資家側のメリット
・社債であれば定期的に利息収入が受けとることが出来る。
・株式転換した場合配当金が受け取れたり株価が上昇した場合売却益が受け取ることが出来る。
〇投資家側のデメリット
・株式転換した場合、株価が下落したり期待したほど配当金が受け取ることが出来なかったりする場合がある。
株式転換後株式売却前に会社が破綻した場合配当金や売却益を受けたることが出来なくなる。