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2026年5月24日日曜日

新NISA・つみたて投資枠で〈債券ファンド〉解禁も…「正直、いまはオススメできない」納得の理由【FPが「債券投資の注意点」を解説】

 2026年4月の税制改正により、新NISAのつみたて投資枠で「債券ファンド」の運用が可能となりました。株価暴落時のクッション役として期待される債券ですが、特有のリスクを抱えていることはご存じでしょうか。YouTubeチャンネル登録者数40万人超の人気FP鳥海翔氏が、債券投資の基本と、新NISAの非課税枠で債券を買うことの合理性を検証します。

〇NISA制度改正で「債券ファンド」解禁

2026年4月1日、NISA制度が大きく改正されました。つみたて投資枠でこれまで対象外だった「債券ファンド」が、ついに投資対象に加わったのです。資産形成の段階では「株式100%」で運用する方法が主流ですが、60代以降、資産を取り崩す段階に入ると「株式だけの値動きは不安だ」と感じる人も多いでしょう。そのため、選択肢が増えることは喜ばしいことです。しかし……はたして、NISAという「貴重な非課税枠」を使ってまで債券を運用すべきなのでしょうか。今回は、特に「安定運用」や「資産の取り崩し」を意識している人に向けて、債券投資のメリットと、見落とされがちなデメリットを整理していきます。

〇「ローリスク・ローリターン」な債券投資の意外な罠

まず、債券という商品の性質をおさらいしましょう。株式が企業の業績によって価格が大きく変動する「ハイリスク・ハイリターン」な商品であるのに対し、債券は「ローリスク・ローリターン」の代表格です。債券は、国や企業にお金を貸し、その見返りに利息を受け取る仕組みです。基本的には発行体(企業など)が倒産しない限り、満期まで保有すれば投資した元本と利息が約束されており、極めて予測可能性が高い商品といえます。

〇債券は「物価上昇」に勝てない

一般的に「株と債券は逆の動きをする」といわれます。株が下がったときに債券が値上がりし、株が上がったときに債券が値下がりするため、両方持っていることで資産全体の値動きを安定させる効果があります。そのため、「ポートフォリオには債券も分散して組み入れるべきだ」という意見も少なくありません。しかし、債券には「物価上昇(インフレ)に極めて弱い」という、明確なデメリットがあるのです。物価が上がると、政府は景気を冷やすために金利を上げます。金利が上がれば、新しく発行される債券の利回りは高くなります。しかし、過去に「低い金利で発行された債券」を持ち続けている人はどうなるでしょうか。たとえば、物価上昇率2%のときに利回り2%の債券を購入し、その後物価上昇率が3%に上がったとします。この場合、保有している債券の利回りは2%のままですから、実質的な価値の下落です。さらに、その低い利回りの債券を売ろうとしても、より高い利回りの新発債が出回っている状況では、価格を大きく下げ、利回りを高めなければ買い手は現れません。つまり、物価が上がり金利も上がる局面では、債券を持ち続けても損、売っても元本割れという「打つ手なし」の状態に陥るリスクがあるのです。

〇では「債券ファンド」はどうか?

今回、新NISAで買えるようになるのは「債券」ではなく「債券ファンド」です。ファンドはさまざまな時期に発行された債券の詰め合わせであるため、生の債券よりは利回りが平均化されますが、金利上昇による価格下落の影響は避けられません。インフレが長引くなか世界的な金利上昇が警戒されている現在の相場環境を鑑みると、「いまはオススメできない」というのが正直なところです。またここで、NISA制度の本来の目的を考えてみましょう。NISAは「利益にかかる税金をゼロにする」制度です。そもそも利回りが低く、大きな利益が期待しにくい債券を、生涯1,800万円という限られた非課税枠に放り込むことは、本当に効率的でしょうか。債券ファンドは特定口座(課税口座)でも購入可能です。せっかくの非課税メリットを最大限に活かすのであれば、より高いリターンが期待できる株式に枠を使い、債券は枠外で持つという考え方もあります。

〇NISAで債券ファンドを「検討すべき人・避けるべき人」の特徴

もちろん、すべての人にとってオススメできないわけではありません。次のような人には検討の余地があります。

・すでに取り崩し可能な十分な資産(生活費10~20年分など)がある

・資産を増やす必要性よりも、精神的な安定(評価損に耐えられない)を優先したい

一方、これから資産を大きく育てたい段階にある人や、なんとなく「分散投資=債券」というイメージだけで選ぼうとしている人は、避けたほうが無難でしょう。投資スタイルに「正解」はありません。したがって、債券に潜むインフレリスクを正しく理解したうえで、自身のライフプランにとって本当に必要なのかを「あなた自身の基準」で判断することが大切です。


鳥海翔

株式会社Challenger代表取締役

FP(ファイナンシャル・プランナー)/投資家


THE GOLD ONLINE


2026年5月19日火曜日

サムライ債、ショーグン債ってなに?

 サムライ債やショーグン債という言葉を聞いたことがありませんか。今回はその説明をします。

〇サムライ債とは

サムライ債(サムライさい、Samurai bond)は外国債券(外債)の一種であり、日本に居住していない海外の発行体(国際機関、外国政府・政府関係機関、外国民間企業)が、日本国内市場で募集(公募)・発行する円建て債券。日本を連想する言葉として「サムライ」の名があてられており、正式には円建外債という(※ただしより厳密には、広義の円建外債には、サムライ債には含まれない、例えば中国企業が米国内で募集するような債券も含むため、1対1の関係ではない)。発行時に日本円で払い込み、利払い・償還金も日本円で支払われるのが一般的だが、利払いを外貨にするエイバース・デュアル債、償還金を外貨にする順デュアル債などもある。日本法を準拠法とし、金融商品取引法に則って開示書類を作成し、原則として債券管理会社を設置する。

・概要

サムライ債の発行者側から見た利点としては、日本市場の規模の大きさからして巨額の資金を比較的低利で調達できる点、資金調達手段を多様化できる点があるが、欠点として日本市場特有の流動性の低さなどがある。日本国内の投資家側から見た利点としては、円建てであることから為替リスクが無い点、日本国債や日本企業の社債に比べて金利が高い点があるが、欠点として発行主体が海外にあるため信用リスクを評価しづらい点がある。最初のサムライ債は、1970年12月にアジア開発銀行が発行した60億円の債券であり、その背景には国際収支の黒字拡大と外貨準備の急増があった。当初は国際機関や政府機関などの公的機関によるストレートボンドのみだったが、1979年からは民間企業による起債が始まり、1996年には発行体の格付規制が撤廃されて途上国からの起債が活発化するなど、発行体や商品性の多様化が進んでいる。2001年にはアルゼンチン政府が起債したサムライ債が事実上デフォルトとなり、リスクの高さが改めて浮き彫りになった。

〇ショーグン債とは

海外の発行体(政府、企業、国際機関など)が日本国内で募集・発行する外貨建て債券のこと。正式には「東京外貨建て債」と呼ばれており、元本の払込み、利払い、償還などは全て外貨建てで行われます。当然為替差損益が発生するというリスクがあります。



2026年4月24日金曜日

不動産投資って怖いよ。

不動産投資の知識がないままに悪い業者に引っかかると、ローン組んで買ったのにいきなり3000万円一括請求の末路。自分でサインをしたら「知らなかった」では済まされないから、情弱のまま手を出した瞬間に人生が崩壊する世界。僕自身は不動産投資をやっていませんがブログでも不動産投資について書いていこうと思います。
@kazubonka

不動産投資って怖いよ。 不動産投資の知識がないままに悪い業者に引っかかると、ローン組んで買ったのにいきなり3000万円一括請求の末路。自分でサインをしたら「知らなかった」では済まされないから、情弱のまま手を出した瞬間に人生が崩壊する世界。

♬ オリジナル楽曲 - kazubonka

2026年3月17日火曜日

整理銘柄、監理銘柄って何?

 よく株式投資欄を見ていて整理銘柄、監理銘柄という言葉が出てきますが解説します。

〇整理銘柄

証券取引所が定めている上場廃止基準に該当し、上場廃止が決定された銘柄のことです。 東京証券取引所では、2008年1月15日より「整理ポスト」という表現の使用をやめ、「整理銘柄への指定」としています。上場有価証券の上場廃止が決定された場合、原則として、1ヵ月間「整理銘柄」に指定し、その事実を投資家に周知させ、投資者が整理銘柄の売買を行うことができるようにしています。


〇監理銘柄

上場銘柄が上場廃止基準に該当するおそれがある場合に、投資家にその事実を周知するため、証券取引所により指定された銘柄のことです。


〇特設注意市場銘柄

有価証券報告書等の虚偽記載、不適正意見や、上場契約違反等の上場廃止基準に抵触するおそれがあったものの、金融商品取引所による審査の結果、影響が重大とは言えないとして、上場廃止には至らなかった銘柄のうち、内部の管理体制等の改善が必要で、継続的に投資家に注意喚起するために取引所が指定している銘柄のことを特設注意市場銘柄と言います。これに指定された銘柄は、「特設注意市場」に置いて、通常銘柄とは区別されて売買取引が行われます。



NISAのメリットデメリット

 〇NISAってどんな制度なの?

NISA(ニーサ)とは、少額からの投資を行う人のため2014年からスタートした「少額投資非課税制度」のことで、購入した金融商品(株式・投資信託など)から得られる利益がまるまる非課税になる制度です。


〇NISAのメリット

メリット①投資で得られた運用利益が一生涯非課税

本来、株式や投資信託などの金融商品に投資した場合、これらを売却して出た利益に対して約20%は税金でもっていかれてしまうのですが、NISA口座で投資した場合、税金がかからないため利益をまるまる受け取ることができます。

メリット②金融庁の基準を満たした商品に投資できる

NISAのつみたて投資枠で購入できる商品は、金融庁の定める基準を満たした商品のみです。いずれも「長期・積立・分散投資」に適した、低コストの商品が揃っています。

世の中で購入できる投資信託は6,000本以上もありますが、品数が絞り込まれているので、投資初心者でも選びやすいのがメリットです。

メリット③少額から気軽に資産運用ができる

少額から投資を始められるのもNISAの魅力の一つです。金融機関によっても変わりますが毎月100円から投資できる商品も沢山あります。

1,000円、1万円など、生活に負担をかけない範囲で長期的に資産形成を目指すことができます。


〇NISAのデメリット

デメリット①選べる金融商品が限定されている

NISA口座では株式や投資信託など、一定の条件を満たす商品しか購入できず、一般の証券口座と比べて選択肢が狭くなるため、自由に商品を選びたい人には制約と感じられることがあります。

デメリット②NISA口座は一人一口座、一つの金融機関でしか開設できない

お得なNISA口座ですが、開設できるのは一人につき一つの口座までである点には注意が必要です。

また、一つの金融機関でしか開設ができないため、複数の金融機関でNISA制度を使用するということはできない点に気を付けましょう。

デメリット③元本割れの可能性もある

前提の話となりますが、NISAで購入できる商品は投資信託、ETF、株式などになります。iDeCoのように定期預金などを選択することはできないため、NISAを利用する際には元本割れの可能性があることを認識しておく必要があるでしょう。

デメリット④NISA口座は損益通算や繰越控除ができない

一般的に、複数の口座で投資信託等の商品を購入して運用を行っている場合、利益から損失を差し引くことで、税金がかかる所得を減らすことが可能です。これを損益通算と言います。しかし、NISA口座で運用している分は他の特定口座や一般口座での運用分と損益通算することができません。従って、他の口座と損益通算をしようとして、NISA口座での運用資産を慌てて売却してしまわないように注意が必要です。また、損益通算を行ってもなお、損失がでてしまうという結果になった場合には、その損失を翌年以降最長3年間にわたって繰り越して利益と相殺することができる、繰越控除というものがあります。

デメリット⑤年間の投資上限がある

NISAの投資上限の総額は1,800万円であり、年間に投資できる金額の上限も決まっています。最大で、つみたて投資枠と成長投資枠を両枠合わせて年間360万円までが一年間で投資できる金額の上限となります。従って、手元に例えば500万円があるとして、それを今すぐNISAで運用したいと思っても、500万円を一括で投資することはできません。360万円と140万円に分けて2年間かけて投資を行うなど、年間上限額を超える場合には、何年かに分割をして投資を行う必要があります。

デメリット⑥債権を購入できない

購入した金融商品(株式・投資信託など)から得られる利益がまるまる非課税なので債権から得られる利益(利息)は非課税にはできません。

デメリット⑦配当金の受取方法を「株式数比例配分方式」とする必要がある

配当金の受け取り方法には「株式数比例配分方式」「一括振込方式(登録配当金受領口座方式)」「配当金領収証方式」「個別銘柄指定方式」があります。

株式数比例配分方式:各証券会社にお預けの株式などの数量に応じて、配当金をお客様の証券口座で受け取る方法です。

一括振込方式(登録配当金受領口座方式):保有する全ての株式などの配当金を一つの銀行口座で受け取る方法です。

配当金領収証方式:発行会社から郵送される配当金受領証を、ゆうちょ銀行などの窓口まで持参し、配当金を受け取る方法です。

個別銘柄指定方式:ご指定の銀行口座などで配当金を受け取る方法です(銘柄ごとのお手続きが必要です)。

株式の配当金を非課税にするためには「株式数比例配分方式」にしないとだめなんです。これに指定するとNISA口座を持っていない証券会社の株式も全て「株式数比例配分方式」で受け取ることになります。配当金を銀行で受け取りたい場合は一括振込方式(登録配当金受領口座方式)にしておき、NISAでは投資信託を購入するようにすればよいと思います。





2026年1月24日土曜日

経営不振でも不祥事でもない…あえて「上場廃止」を選ぶ日本企業が続出している裏事情

 2025年、東証で上場廃止する企業は100社を超え、過去最多を記録した。中央大学の近廣昌志准教授は「上場企業としての優位性が薄れ始めている。アクティビスト(物言う株主)の拡大や配当性向のプレッシャーから、上場廃止を目論む企業は今後も増えるだろう」という――。

〇投資家が「上場廃止」に注目する理由

上場廃止は、多くの場合、市場価格より高く買い取られるなど「上場廃止利得」が得られるため、次はどの企業が上場を廃止するのか、これを見極め予測することは株式投機のひとつの戦略だ。2025年の上場廃止企業の割合は、東証プライム上場会社数1599社のうち45社で約2.8%、東証スタンダード1568社のうち59社で約3.8%、東証グロース613社のうち21社で約3.4%と、実数も割合も増加している。上場廃止の理由を見ると、TOB(株式公開買付け)が圧倒的に多く、買収・合併とMBO(経営陣による自社買収)が続く。この増加傾向は2026年以降も続くとみられる。上場企業であることは、良い人材を採用するうえで最も重要な要件のひとつで、これまで上場コストや上場維持コストをかけてでもそのステータスを維持しようとする企業が多かった。しかし、ここへきて流れが変わろうとしている。

〇上場時点で「乗っ取り」リスクが生まれる

「証券市場は企業の資金調達のためにある」という教科書的な解釈を信じている人は少なくないだろう。しかしIPO(新規株式公開)で新たに上場企業になる場合であっても、必ずしも資金調達を目的としているとは言えない。IPOは、創業者やベンチャーキャピタル等のEXIT戦略としての意味合いが大きく、創業者が保有する株式の一部を一般に売却するだけなら資本金を増やすことにはならない。それを「ダイレクトリスティング」と呼ぶ。上場企業になるためには、証券取引所の定める基準を満たし、IRに関わる費用がかさんでしまい、そもそも会社のことを色々と公開しなければならなくなる。それよりも何よりTOB等で買収される可能性に怯えることになる。2025年末には、小林製薬の筆頭株主が香港系の投資ファンド「オアシス・マネジメント」になり大きな話題になった。このファンドは市場でじわじわと小林製薬の株式を買い増していたのだ。これを批判する意見も見られるが、上場している以上、文句を言うのはお門違いだ。

〇「狙われやすい企業」の4つの共通点

経営陣が株式を買い占めて非上場化を目指すMBOのためには、上がりすぎた自社の株価下落はチャンスになる。一方で、時価総額が大きいと、買収する側も障壁が高くなり買収される蓋然性は低くなる。そもそも、どのような上場企業がTOBのターゲットになりやすいのかという観点から、4点ほど紹介したい。第1に、1株当たりの利益に対して株価が比較的低い、時価総額が小さい企業だ。業績自体は悪くないのに同業種よりも株価が低迷していると、当然のこととしてTOBでも狙われやすい。だからこそ、経営陣はMBOを真剣に検討するのだ。第2に、ファミリー色の強い企業だ。特にオーナーによる企業統治が鮮明な企業も、上場を維持して同意なき買収に巻き込まれるより、MBOを選択するインセンティブは大きい。さらに高配当の企業は、利益を創業家に還元しており、配当に回すより新事業に振り向けたほうが長期的に企業価値は高まると考えられる。むしろ事業拡大ができていない企業は狙われやすいともいえる。

〇投資ファンドにとって魅力的に映るもの

第3に内部留保の多い企業にも注目が必要だ。内部留保とは経営上の概念で、財務諸表で言えば利益剰余金を指す。内部留保が大きいからと言って、流動性資産(現金・預金)が大きいとは限らないが、本業に直接関係のない資産を売却して配当に回せる余地が大きいとも言えることから、TOBを仕掛けられる余地も大きい。第4に本業以外に関わる資産が大きい企業だ。これはアクティビストにとって、とても魅力的に映る。典型的な事例は、本業の事業とは別に、保有不動産からの収益が大きい企業だ。株価にとってROA(総資産利益率)を上げることは最も重要な観点で、同じ利益ならバランスシートが小さいスリムな企業のほうが株式市場の評価は高くなる。保有する不動産をことごとく売却して得られる流動資産を配当に回すことは、株価を上昇させる手っ取り早い方法だ。

〇非上場でも立派な企業はたくさんある

上場企業であるかどうかは、今でも就職活動中に学生にとって大きな基準であることに違いはない。親が安心するから、生涯年収が良いから、企業年金があるから等、学生たちは関心のある業種や企業風土よりも「上場企業であるか」を重視してきた。これこそが上場企業が上場を維持する最大の理由といっても過言ではない。一方で、新卒や転職の際の就職希望先に対する判断も多様化してきており、むしろ非上場企業の「穴場」や、すぐに成長機会を与えてくれる企業、年功序列ではなく実力が年収に直結する企業を選ぶ学生が増えてきていることも確かだ。筆者は大学のゼミ生に『四季報・未上場会社版』(東洋経済新報社)を見せて、世の中には非上場でも産業の基幹をなす立派な企業の存在を伝えている。未上場企業が持っている上場企業にない魅力を知ってほしいからだ。

〇上場のメリットよりデメリットが目立つように

上場企業を英語で“Listed Company”や“Public Company”という。Listedは言葉通り証券取引所のリストに挙げられるという意味で理解しやすいが、Publicについては「公共」と訳すものではない。Publicとは、対価さえ支払えば誰でもアクセスできる、つまり株式を購入すれば誰でも株主になれる会社という意味だ。だからこそ、四半期ごとの決算を公開する必要に迫られる。長年にわたり新規株式発行による増資を行っていない上場企業が、より多くの自社の情報を公開しなければならず、手間も費用もかかるのに、上場を維持し続けているのは、優秀な人材を確保するためだ。しかし、就活生や転職希望者の基準が変わりつつある今、企業にとって上場し続けるインセンティブもじわじわ低下している。未上場・非上場で社員の年収が高い企業が増えると、上場企業というブランド価値が薄れる一方、買収される可能性という「恐怖」が目立ち始める。だからこそ、MBOで上場廃止を狙う企業が今後も増えていくと予想される。これはTOBやアクティビストの介入を避けるためでもある。

〇「物言う株主」は企業にとって悪者なのか

アクティビストから口出しされる企業側からすると、短期的な株価上昇が求められ、創業者の理念や歴史などを軽視されると良い気はしないはずだ。だがアクティビストをはじめとする投資ファンドは、株価を上昇させたうえで彼らもEXITすることが目的なのだ。支配ではなく株価上昇が目的であれば、既存株主である創業家にとっても悪いことばかりだけではない。アクティビストが関わり、投資ファンドによる株式保有が増えると、その企業の株価が上昇しやすいことは,証券市場や企業統治の研究分野ではよく知られている。株価が上昇することと、企業業績が改善することとは必ずしも同義ではないものの、低迷するよりは、ROA上昇など根拠を伴う好調な株価のほうが歓迎すべきだろう。もちろんアクティビストが「物言う株主」だからといっても、株価が上がり続ける保証はない。ひとつ注意が必要なことは、アクティビストが有する株式を、時の市場価格を下回る価格で次のファンドに売り渡すこともあるという落とし穴だ。先述したアクティビストとしての投資ファンド「オアシス・マネジメント」は、昇降機メーカー、フジテックの株式を取得し、2020年1月の株価約1740円から2025年1月には6100円へと、3.5倍に大きく株価を上昇させた。その後、市場で6200円だったフジテックの株式を、2025年7月になんと1株5700円で売却すると発表した。オアシスとしては確実に次のファンドに売却するために「値引き」したことになる。

〇「外圧」に耐え続ける上場企業は偉い

上場を維持する企業は、それでも社会的に偉い。証券市場が十分に機能するためには、優良企業が上場した状態にいなければならない。企業が利益を出せるのはもちろん優秀な財やサービスを提供できる能力がある証左であるが、もう一つ、「配当」という利益を社会にパブリックに分配する仕組みは忘れてはならない側面だ。年金の運用も、だいぶ社会に浸透した投資信託も、株式市場のおかげで成り立っている。カラフルで妙なピンバッチを胸につけて連帯感を得るより、社会の中で利益を出し、そしてその利益が広く株主の配当となる、それこそが根本的な上場企業、そして証券市場の社会的責任というわけだ。

「物言う株主」を排除するために非上場を選ぶのか、「外圧」によって現状の課題を克服するのか――。資本主義がもっと効率的になることは社会的に歓迎されることではないか。

---------- 近廣 昌志(ちかひろ・まさし) 中央大学准教授 1978年広島県生まれ。中央大学商学部金融学科卒業。中央大学大学院商学研究科博士後期課程修了、博士(金融学)。愛媛大学准教授を経て2022年より現職。専門分野は貨幣金融論・貨幣供給理論。主な出版物に『60分でわかる金利 超入門』(監修)技術評論社 2025年、「通貨と銀行」(『入門銀行論』2023年、有斐閣、第2章の一部所収)、「管理通貨制と中央銀行」(『新版 現代金融論』2016年、有斐閣、第5章所収)他。ピアノという楽器が好きで、自身のYouTubeチャネル「ちかひろピアノ」を開設している。 

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2025年12月8日月曜日

米国債について

 ネット証券等を利用しているのですが最近米国債に興味があり、色々調べてみました。あくまでも個人的意見ですので最終的判断は自己責任でお願いします。

〇米国債の種類

①償還期間が1年以下の短期債の「トレジャリービル」

②償還期間が1年超10年以下の中期債の「トレジャリーノート」

③償還期間が10年超の長期債(一般的に30年物)の「トレジャリーボンド」

の3種類あります。これ以外に

①トレジャリーノート

②ストリップス債券

の2種類があります。


〇米国債を購入するメリットデメリット

・メリット

日本国債より利息が高い場合がある。

為替差益が生じる場合がある

・デメリット

「為替差損が生じる場合がある」

為替の変動による利益または損失のことです。

「価格変動リスクがある」

債券も株式と同じように毎日価格が変動します。そして債券価格と金利は逆相関の関係にあり、金利が上昇する局面で債券価格は低下、金利が低下する局面では債券価格が上昇する傾向にあります。したがって米国債の購入後に金利が上昇し、債券価格が低下した局面で中途売却しなければならないときには、売却損が出る可能性があります。ただし債券は償還時には額面金額で償還されるため、金利上昇局面でも償還日が近づけば価格は額面金額に近づくという特色があります。

「政治的リスクがある」

米国は信用格付けも高く、また米ドルは基軸通貨として信用度も高いため、債務不履行になる危険性は少ないです。ただし最近では政治的な問題から一時的な債務不履行に陥る危険性が起きています。


〇米国債の種類と特徴

・トレジャリーノート

利付債券(利息が付く債権)のこと。

・ストリップス債券

ゼロクーポン債(利息は付かない)が割引価格(価格が安い)販売されており満期時に額面価格で償還される債券です。この額面価格と割引価格の差(償還差益)が利息になります


〇ストリップス債券のメリットデメリット

・ストリップス債のメリット

利付債は毎年(毎回)の利払いごとに税金が差し引かれますが、ストリップス債は償還時に一括で課税となるため、毎年(毎回)発生する利息を税控除なしで再投資するのと同様の効果があります。債券は支払われた利息を同じ債券に再投資することは難しいため、償還までの期間が長ければ長いほど、納税が後になるメリットは大きいでしょう。少額の利息を少しずつ受け取っても意味がないという方には向いているともいえますし、逆に、毎回の利払いを楽しみにしている方には向いていないのかもしれません。

・ストリップス債のデメリット

注意点としては、ストリップス債にはクーポンがついていないため、金利による価格変動の影響が利付債より大きい傾向にあります。昨日と今日では買付価格が異なることもありますし、既発債(外国債券は、一般の人が購入するほとんどが既発債で、すでに発行されているものを証券会社から購入する方法を取ります)のため、常に同じものがあるとは限りません。自分の条件に合う債券が見つかったら、その場で決断しないと翌日には買えない可能性もあります。また、途中売却するときには価格が変動しているため、利益が出ることもあれば、損が出る可能性もあるため、購入の際には、満期償還まで持つ前提で選択していただくことをおすすめします。


〇ストリップス債券の償還差益に対する税金

購入時の割引価格と額面との差額が「償還差益」として同じく20.315%で課税されます。 


2025年11月30日日曜日

MMFとは?MRFや一般的なファンドとの違いをわかりやすく解説

 投資家から集めた資金をひとまとめにして、専門家が運用をする投資信託。投資信託は運用対象や分配方法などによってさまざまな種類に分けられます。その中の一つに「MMF」という商品があることはご存知でしょうか。本記事ではMMFの特徴や投資するメリット・デメリット、一般的な投資信託との違いなどを詳しく解説します。どの金融商品に投資すべきか迷っている方は参考にしてみてください。

〇MMFとは?

MMFは外国投資信託の一種で、一般的な投資信託と比べると安全性の高い商品とされています。外貨預金やMRFとの違いなども含めて、まずは特徴を把握しておきましょう。

・MMFとは?

MMF(マネー・マーケット・ファンド)とは、高い格付けの短期金融商品によって運用される投資信託のことです。米ドル・ユーロ・オーストラリアドル・カナダドルなどの外貨で運用されるため「外貨建てMMF」と呼ばれることも多くなっています。日本円で運用されるMMFは「マネー・マネジメント・ファンド」と呼ばれており、投資対象は似ているものの、外貨建てMMFとは別の商品です。日銀のマイナス金利が導入され、元本割れのリスクが出てきたため、運用難に陥ったMMFの繰り上げ償還が相次いだことから、現在円建てのMMFを買付することはできません。そのため、本記事では「外貨建てMMF」について解説します。MMFの主な投資対象は公社債やCP(コマーシャルペーパー)、CD(譲渡性預金証書)などです。なお、CPとは、企業が1年未満の短期で資金調達するための無担保の約束手形のことを指し、CDは、第三者に譲渡可能な自由金利の大口定期預金のことを指します。MMFは基本的に株式を投資対象に含んでいない点が特徴であり、一般的な投資信託よりも安全性を重視した商品といえるでしょう。ただし、ほかの投資信託同様に、元本保証があるわけではなく運用実績によって利回りが変化する点には注意が必要です。また、売買手数料はかからないケースが多くなっています(為替手数料はかかります)。

〇MMFと外貨預金の違い

MMFと外貨預金は「外貨で投資する」という点は共通しているものの、MMFは外国投資信託の一種であるため、特徴には以下のように違いがあります。

・MMF

利回り:運用成果によって変動する。外貨預金よりも高い傾向あり

元本保証の有無:元本保証なし

換金性:いつでも解約可能

倒産時の資産管理:証券会社の資産と分別管理されるため、倒産時でも資産は保護される

為替手数料:外貨預金よりも低めに設定されていることが多い


・外貨預金

利回り:日々変動する

元本保証の有無:外貨ベースで元本保証あり(為替差損益はある)

換金性:いつでも払出し可能

倒産時の資産管理:預金保険制度の対象外のため、資産は保護されない

為替手数料:MMFよりも高めに設定されていることが多い


〇MMFとMRFの違い

MMFと同じような公社債投資信託として、「MRF」と呼ばれる商品があります。MRFは「マネー・リザーブ・ファンド」の頭文字を取ったものでMMFと基本的に投資対象は同じです。しかし、MMFは総合口座を開設した後に都度購入する必要があるのに対して、MRFは総合口座への入金を済ませると自動的に運用されるといった違いがあります。また、MRFのほうがMMFより短期(残存期間の短い)かつ信用リスクを抑えた債券やCP、CDなどで運用されているといった点も違いです。証券会社の中には、株式や投資信託などを購入するときにMRFを自動的に売却して買付代金に充当し、逆に売却したときは売却代金で自動的にMRFを購入するといった、いわば「投資資金の置き場所」として活用できるところもあります。

・MMF

名称:Money Market Fund

投資先:国外

買い付けの有無:自己の判断による買い付け

手数料の負担:あり(会社により解約手数料や為替手数料が発生)


・MRF

名称:Money Reserve Fund

投資先:国内・国外

買い付けの有無:自動で運用される

手数料の負担:なし


〇MMFと一般的な投資信託との違い

MMFは流動性を確保しつつ安定した収益を追求する金融商品です。そのため、短期の国債や地方債、社債などを投資対象とし、最低1,000?1万円程度から1円単位で購入・売却できるようになっています。ただし、外貨で運用されるため、為替の動きが損益に影響する可能性があります。一方、一般的な投資信託は株・債券・不動産など、銘柄によって投資対象が異なるため、リスク・リターンは銘柄によって大きな違いがあります。また、最低購入額はファンドごとに基準価額は違いますが一般的に1口1万円前後からで、投資対象によって日本円で運用するものと外貨で運用するものに分かれているのも特徴です。


〇MMFのメリットとデメリット

MMFにはほかの金融商品と同様に、メリットとデメリットがあります。投資すべきか判断する際の材料にしてください。

・MMFのメリット

MMFは株式と比べて価格変動のリスクが低い公社債などで運用されているため、大きなリターンを得ることは難しいものの、安定したリターンを期待できます。また、投資信託の分配金は元本に再投資されるため、利息が利息を生み出す「複利効果」を得やすくなる点もメリットです。外貨預金は元本に対してのみ利息が発生する「単利」で運用される商品が少なくないため、外貨預金よりもMMFの方が利回りは高くなる傾向があります。さらにMMFを円高のときに購入し、円安になってから売却すれば為替差益を狙うことも可能です。例えば1ドル=140円のときに140万円分(1万ドル分)MMFを購入したとしましょう。これを、1ドル=150円のときに売却すれば、1万ドル×150円=150万円になり、差額の10万円が利益となります。そのほかに、いつでも解約できる点もMMFのメリットといえるでしょう。

・MMFのデメリット

MMFは投資信託の一種であるため、元本が保証されている商品ではありません。例えば市場金利が上昇すると、ファンドに組み込まれている債券の価格が下落して、MMFの価格が下落する可能性があります。また、円安時にMMFを購入し、その後円高が進んでから売却した場合には、為替差損を被るリスクもあるでしょう。あるいは、ファンドに組み込まれている公社債の発行体が財政難に直面し、債務不履行に陥るリスクも考えられます。比較的リスクの低い商品とはいわれているものの、損失を出す可能性が全くないわけではありません。



2025年10月23日木曜日

楽天銀行エクステ預金について

 預入期間が延長される可能性があるかわりに、好金利の円定期預金(仕組預金)です。 当初の預入期間は1年ですが、1年ごとに預入期間を1年延長するかどうかを当行が判断します。「15年もの」の場合、最長15年まで延長される可能性があります。原則として中途解約ができません。

分かりやすく書くと「預入期間1年~15年(預けた時点では何年になるか不明)」「1年ごとに銀行が預金を続けるか返金するか決める」「最長で15年まで出金できない可能性がある」「途中解約はできない」なんです。

〇リスク

・資金が拘束されるリスク

楽天エクステ預金にお金を預けると15年間にわたりお金を引き出せない可能性があります。ちなみに普通の定期預金と違い解約はできません。商品の詳細説明に『この預金の中途解約はできません』と記載されています。

・楽天エクステ預金の利回りは高いの?

「15年間使う予定がないなら、高利回りで預けられてお得でしょ?」と思われた方がいるかもしれません。「いや、15年後に金利が下がっていれば儲かるじゃないか」と思いましたか?しかし、そう思った方は楽天エクステ預金の仕組みを理解できていません。「私たちが得する金利になると返金される」という顧客に有利な金利は銀行にとって不利な金利です。延長なんかせず途中でお金を顧客に返してしまうでしょう。楽天エクステ預金の『1年ごとに返還か判断…』は「銀行に不利な金利になったら契約を終わりにしますよ」というだけなのです。

〇「楽天エクステ預金の預入期間は金利で決まる」

なお、私は金融機関の中の人ではありませんので、様々な書籍やネット情報を元にした推測であることはご了承ください。まず、大前提として預入期間は他の金融商品の利回りによって決まります。

・定期預金の金利が上がっても低金利がつづく

たとえば以下のケースで考えてみましょう。

定期預金:0.02%

楽天エクステ預金:0.6%

現在の市場金利だと楽天エクステ預金の0.6%は魅力的に感じます。しかし、これから金利が上昇し普通の定期預金が2.0%で預けられるようになったらどうなるでしょう。お金を0.6%の楽天エクステ預金より2%の定期預金の方がいいですよね。しかし、期間延長を決めるのは銀行です。途中解約もできません。私たち顧客は0.6%の低利回りで我慢するしかありません。

・私たちが有利になったら延長されない

では逆に市場の金利が下がったらどうなるでしょう。わかりますよね。銀行は高い金利を払い続けたくないのですから、預入期間を延長せず、さっさと返金してしまいます。私たち顧客は15年間0.6%の利回りで固定されるという特大のリスクを取って、楽天エクステ預金に投資しました。しかし、延長期間を決められる銀行だけが途中で「やっぱやめた」ができるのです。物凄い不公平な金融商品が楽天エクステ預金なんです。

・「短い期間でも高利回りを得たい」なんて思わないで!

ひょっとして「払い戻されても、高利回の期間は儲かるじゃないか?」と思われましたか。しかし、それは結果論です。楽天エクステ預金に投資する時点で15年間お金引き出せない『資金拘束リスク』があることを忘れてはいけません。また「金利の下落を予想するなら投資していいだろ」と思われたのなら、さらに危険な考えです。

・楽天エクステ預金は金融のプロが考えた金融商品

未来の金利予想は非常に難しいものです。そんな中で金融のプロの方々は全力で未来の金利を予想し、その結果を元に作られた金融商品が楽天エクステ預金です。そして金融商品は基本的に売る側(銀行)に有利に作られます。つまり、金利の下落を予想し楽天エクステ預金の早期払い戻しで利益を得ようとする行為は、「私は金融のプロより金利に詳しいです!」と言っているのと同じなんですよ。


〇楽天エクステ預金(ステップアップ)とは

楽天エクステ預金(ステップアップ)は、円定期預金に『JRE BANKの銀行サービス提供元である楽天銀行(以下、当行とする)が任意に預入期間を延長することができる権利』(以下「延長特約」といいます。)を組み合わせることにより、通常の円定期預金よりも預金利率を高く設定した商品です。預入期間は1年間です。ただし、当行が満期の延長を決定した場合には、預入期間は延長後満期日まで1年延長します。延長有無の判断は毎年行い、預入期間は最長で10年になります。預入期間が延長されるごとに金利が上がる。

※「楽天エクステ預金(ステップアップ)」は原則として中途解約できません。相続や差し押さえなど当行がやむを得ないと認めるもの以外は中途解約をお断りいたします。

※当行がやむを得ないと判断し中途解約を認める場合、元本割れする可能性が高くなります。

〇楽天エクステ預金(フラット)とは

楽天エクステ預金(フラット)および楽天エクステ預金(ステップアップ)は通常の円定期預金に「当行が任意に預入期間を延長することができる権利」(以下「延長特約」といいます。) を組み合わせた商品です。 延長特約を行使する権利は当行にのみ帰属し、お客さまに延長特約を行使する権利はありません(お客さまは満期日を選べません。)。全期間の金利が一定となる。

預入期間が短い場合は、フラット型の金利が有利となり、長くなるとステップアップ型が有利になります。

個人的にはエクステ預金はお勧めしません。僕自身楽天銀行に口座を持っていますがエクステ預金はやっていません。


2025年9月11日木曜日

新株予約権付社債とは?転換社債との違いやメリット・デメリットを解説

 〇転換社債とは

Convertible Bondの頭文字をとって呼ばれるCBは、かつて転換社債と呼ばれていたが「転換社債型新株予約権付社債」が商法上正しい名称である。株式に転換する権利(転換権)を持つ社債のことであり、あらかじめ決められた価格で一定期間内に株式に転換する権利を持った債券ということになる。例えば、転換価格が1,000円と定められたCBを発行した株式会社のその社債権者は株価が上昇して転換価格を上回る1,200円になったとすると、1,000円で転換できる権利があるため、その時点で債券を株式に転換し市場にて1,200円で売却すれば、その差額200円が収益となり、株式を割安に購入したことと同じ結果が得られることになる。逆に、転換価格(1,000円)を下回っていれば転換せずに債券として保有することにより、クーポン収入と額面金額は保証されることになる。このように、債券としての安全性(利息と償還金の確実性)と、株式としての収益性の両面を選択しながら投資できるという特徴がある。


〇発行側のメリット

・株式転換したら自己資本比率が高くなる

社債(負債)が資本になるので自己資本比率が高くなります。

・株式転換すると金利負担が減る

社債の金利負担は減るが配当金の負担は増える。


〇発行側のデメリット

・株式に転換した時に急に大口株主が現れることがある

転換社債を投資ファンド(特に物をいう株主)が取得していた時にその投資ファンドが大口株主になるため、株主総会で対応の仕方が大変になる。株式ではないためいわゆる「5%ルール」に抵触せずに買い集めることができることから、会社や他の投資家に知られることなく転換社債を買い集めて一気に転換し、突然大株主として経営の主導権を握ることも可能である。村上ファンドが阪神電気鉄道に対しこの方法で一気に大株主となり、最終的に阪神は長年のライバルであった阪急電鉄に経営統合させられることとなった。

・株式転換した時に1株当たり純利益や1株当たり純資産額が少なくなる

株式転換すると発行済み株式数の数が増えるのでそうなる

・株式転換すると配当金負担が増える

社債の金利負担は減るが配当金の負担は増える。

・自社株買いにおいて株主総会の決議が必要になる

社債の期日前償還の場合取締役会決議で償還できるが株式転換後の自社株買いを行う場合株主総会の決議が必要になる。

・株価が上昇しなかったら現金で負債を支払わなければならなくなる

株価が期待以上に上昇しなかった場合株式に転換する事が出来ず負債を現金で支払わなければならなくなるため、それが原因で破綻するケースもある。結果として資金繰りが悪化する。ヤオハンのように破綻・倒産した企業もある。


〇投資家側のメリット

・社債であれば定期的に利息収入が受けとることが出来る。

・株式転換した場合配当金が受け取れたり株価が上昇した場合売却益が受け取ることが出来る。


〇投資家側のデメリット

・株式転換した場合、株価が下落したり期待したほど配当金が受け取ることが出来なかったりする場合がある。

株式転換後株式売却前に会社が破綻した場合配当金や売却益を受けたることが出来なくなる。


MRFとは

 〇MRFとは何?

マネーリザーブファンド(追加型公社債投資信託・自動けいぞく投資専用・マル優適格)の略称です。毎日決算を行い、実績に応じて収益(運用の結果出た利益)が分配されます。このときに分配されるお金を分配金と呼びます。分配金は1か月分まとめて自動的に再投資(MRFを買い付け)されます。MRFには以下のような特徴があります。これは銀行の貯金とは異なります。

特徴①「MRFは元本割れのリスクが低い」

MRFは安定運用を行うため、国内外の公社債およびコマーシャル・ペーパー等に投資対象を限定しています。具体的にいうと、「債券を組み入れるのなら格付けが高いもの」、「組み入れた金融商品の平均残存期間は90日を超えないこと」などのルールがあります。株式は投資対象外です。

特徴②「決算、実績に応じて収益が分配される」

運用の成果を毎日計算し、決算、実績に応じて投資対象や、収益分配金が変動します。MRFは高格付け債券、CP(コマーシャルペーパー)、CD(譲渡性預金)などの短期金融商品で運用されており、且つ購入単位は1円以上1円単位で、購入後いつでも手数料なしで引き出しが可能です。投資対象の収益は月末にまとめて自動的にお客様のMRFに再投資されます(もちろんMRFの入金額により、月末に再投資される分配金も変わります)。

特徴③「MRFは手数料なしで入出金できる」

原則として、いつでも手数料なしで、1円単位から入出金することができます。

ATMを利用する場合、入出金は1,000円単位からとなります。

特徴④「ATMまたはオンライントレードを利用して入出金が可能」

ネット証券ではネット銀行から入金もできますね。


〇注意事項

銀行預金は元本が保証されておりさらにペイオフ制度によって1,000万円までの預金とその利息が保護されます。 一方、MRFは投資信託であり元本保証はありません。 しかし投資信託には分別管理が義務付けられており証券会社や信託銀行が破綻しても資産が保護される仕組みになっています。



2024年12月31日火曜日

自社株買をするメリットデメリット

 新聞をよく読んでいると「○○株式会社が自社株買をする」「今年自社株買をした金額が○○円だった」と言う話を聞きますね。自社株買をするメリットデメリットについて書きたいと思います。

〇自社株買いとは

自社株買いとは、企業が自社の株式を市場から買い戻す行為を指します。自社株買いを行うと、市場に出回る株式の数が減少するため、結果的に株価の安定・上昇の可能性が高まります。

○メリット

1、1株当りの純資産額や当期純利益額が増える

「1株当りの純資産額や当期純利益額」は発行済株式数から自己株式の株式数を引いた株式数で計算するため、自社株買をすればするほど1株当りの純資産額や当期純利益額は経営状態が同じであれば増えることになる。

2、株価が高くなる可能性がある

株価とは会社の業績だけでなく流通している株式数等によっても左右される部分があるため、業績が良くて自社株買をすれば株価が上昇する可能性がある(あくまでも可能性)。

3、株主への利益還元

自社株買を行うと前述の通り株式数が減り、株主にとっては1株当たりの利益配分が増えるため、間接的に 株主への利益還元 につながります。

4、財務体質の改善

株式数が減少することで、これまで株主に支払っていた配当金の支払い額も減少します。その結果、企業の財務体質改善という効果が期待できます。

5、敵対的買収リスクの低減

市場から買い戻すことで自社株の持ち株比率を高め、敵対的買収など外部から買い占められるリスク低減への対応策として自社株買いが行われる場合もあります。

6、ストックオプションへの活用

ストックオプションとは、自社株をあらかじめ定めた価格において購入できる権利を指します。このストックオプションで付与するための株式の調達方法として、自社株買いを用いるケースがあります。従業員は自社株を取得することで株主になり、業務をとおして企業価値を高められれば、個人資産を増やすことが可能です。企業への貢献や自身の働くモチベーションの向上にもつながることが考えられます。

7、非上場株式の現金化

非上場企業の場合、株式を保有する個人株主が相続などにおいて株式を現金化したい場合、企業に対して株式の買い戻し請求を行い、現金化するケースがあります。

企業側にとっては株主数が減少するため株主の管理がしやすく、株式の分散化を抑制できるという効果もあります。


○デメリット

1、自社株買をするために株主総会の決議が必要である

自社株買を行うにあたって株主総会が必要になるので会社側にとって手続きが増えることになる。

2、処分可能額以下の金額でなければ自社株買いが出来ない(業績が悪く配当可能額が少なければ自社株買いで切る金額も限られてくる)

3、株価が高いと当初予定していた株式数を自社株買出来ない場合がある

処分可能額(配当限度額)内でなければ自社株買が出来ないため、自社株買をする時に株価が高いと当初期待していた金額の自社株買が出来ても株式数を取得出来ない場合がある。

4、自社株買をするための資金が必要である。

自社株を市場から購入するための資金が必要になってくる。そのための現金預金があればよいのだがなかった場合、銀行等から資金を調達する必要が出てくる。企業の業績がよく投資格付け等がよければ資金調達できるが、調達できなければ自社株買自体出来ないことになる。

5、自己資本比率の低下

自社株買いは、手元のキャッシュ(自己資本)を使って行われるため、自己資本比率(自己資本÷総資本)が低下します。自己資本比率が低下することで財務リスクがあると見なされ、株主や投資家から懸念を持たれる可能性があります。

6、企業の成長を阻害

自社株買いは計画と実行に多くの時間や経営リソースを要します。企業はこれらのリソースを自社株買いに充てることで、他の重要な業務や戦略的な活動に割くことができなくなり、成長を阻害する可能性も考えられます。

7、取得した株式の処分で株価下落の可能性

自社株買いによって取得した自己株式の取扱い方法は、「資産として自社で保有」「売却して処分する」「消却」の3つがあります。

処分した場合、売却資金を獲得できる一方、売却した株式は市場に戻り、発行済株式総数が増える(元に戻る)ため1株当たりの利益は減少します。そのため株価下落の可能性も考えられます。

8、処分・消却には手間とコストがかかる

自社株買いで取得した株式の処分や消却には、手間とコストがかかるというデメリットがあります。企業が自社の株を買い戻したあとは、保有、消却、売却、などが考えられますが、処分する場合には手続きや費用が伴います。消却する場合は株主総会の承認や登記が必要となり、ある程度の時間と手間がかかります。

またストックオプションとして使用する場合(自己株式の処分)には、従業員に対するインセンティブとしての評価や、行使価格設定における慎重な検討が必要になるでしょう。


○その他

自社株買をするのは良いのだが、自社株買した株式をその会社がどのように活用しようとしているのかと言うことも見ておく必要性がある。買取った株式を「消却する予定なのか」「M&Aに活用するのか」「ストックオプション等に利用するのか」と言った方向についても見ておく必要性がある。


信託口って何?

 よく株式の主要株主の欄を見ていると「日本トラスティサービス信託口」「日本マスタートラスト信託口」と言う言葉を見たことがありませんか。ここで言う信託口とは「投資信託」「年金(厚生年金や国民年金)を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人のこと)」「企業年金」が信託銀行を通じて資金の運用をしていることを示すことを示す表示なんですよ。こういう「投資信託」「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)」「企業年金」の場合極端に問題があり、信用力の低い会社に投資していることはありません。但し、誤解しないでほしいのは「信託口」が株主になっている会社が絶対に倒産しないとか、問題の会社だと言っているわけではありません。あくまでも当市は自己責任という前提で行う必要性はあります。


FIREになるメリットデメリット

 ○FIREとは

経済的に自立して早期退職を目指します。FIREは資産運用や節約によって資産を築き、働かなくても自由に暮らせる生活を実現することを目指しています。

・従来の早期リタイアとの違い

FIREも従来の早期リタイアも、定年よりも前に退職することには変わりありません。しかし、大きく異なるのが、リタイア後の暮らし方についてです。従来の早期リタイアでは、退職金やそれまでの貯蓄を切り崩しながら生活を送ることが一般的です。リタイア後の生活が長くなるほど資産が目減りしていくため、早期リタイアの実現には多額の資産を用意しなければなりません。一方、FIREでは資産運用で得た不労所得をもとに生活を送ります。リタイア後の生活費は資産運用による利益や配当金でまかなうため、一定の資産を減らさずに生活ができることが魅力のひとつです。もちろん生活費をまかなえるだけの投資元本を築く必要はあるものの、早期リタイアほどまとまった資産を準備する必要がないといえます。


○FIREになるメリット

・自分のペースで生活が出来る

・自分の自由な時間が出来る

・自分のやりたい事で生計を立てることが出来る

・嫌な人と顔を合わせなくても良いことがある

・生活する場所を好きに選べる


○FIREになるデメリット

・社会的信用性がない

銀行から融資を受けたりクレジットカードを作る時に職業が何か聞かれる事があるが無職扱い(又はそれと同等の扱いになる)ため、断られる場合がある。賃貸物件を借りたり結婚したりする時にも社会的信用がないため借りる事が出来ないことが多い

・職歴にならない

就職・転職する時に無職扱いになる(酷い場合にはニートや引きこもりと同等の扱いになる可能性もある)

・年金が国民年金のみになる

会社に勤務していれば厚生年金にも加入することになるが会社を辞めてFIREになれば自営業又は無職と同じなので国民年金だけに加入していることになる。そのため、老後に受け取る年金額も少なくなることになる。国民年金基金に加入したり確定拠出年金に加入したりすれば年金は増えるが、確定拠出年金の場合自分の運用成果によっては余増えない場合もある。

・ある程度の財産があってある程度以上の運用実績を上げることが出来なければ生活費に困ることがある

もともとある程度以上の財産がなければ運用等が出来ないしあっても運用益が少なければ生活が出来ないことは当然です。それに景気動向等によって運用実績も変わりますからね。

・資産運用等の基礎知識がなければ無理がある

・お金が必要な時に必要な金額のお金が手元になくて困る時が出てくることがある


○まとめ

たまに「本や雑誌(名前は出しません)を読んでFIREになって見たいと思った」と言う人がいるのかもしれませんがそういう事は考えない方がいい。勤務先の信用力を利用しながら副業をするとか株式投資をしてお金を稼ぐのが一番良いですよ。たまに「会社を辞めてぼろ儲けをしました」と言う人がいますがその逆もありますから。


2024年11月14日木曜日

あなたはどのタイプ? NISAを始めたいけれど「始められない理由」5つ

 「NISA」が話題だけれど、なかなか始められない…という方はいませんか? 筆者は、日々そのような方にたくさんお会いしていて、決して始められないのは少数派ではないと感じます。そんな、NISAを始めたいけれど始められない人は、大まかに「5つのタイプ」に分かれると感じます。今回はそれらのタイプと、始めるためのアドバイスについてお伝えしたいと思います。

タイプ1.「お金が減ることが怖い」

「NISAって投資ですよね? 投資って、お金が減りますよね?」と、投資をしてお金が減ることが怖いタイプです。投資が初めてであれば、誰でもそう思うのは当然でしょう。これまでお金をすべて元本保証の預貯金に預けていれば、最初から金利がわかっていますし、お金が減ることはありませんよね。一方で、NISAでは、株式や投資信託を買うことになり、いずれも元本保証はありません。増えたり減ったりする可能性があるのは確かです。しかし、お金をしっかり増やそうと思ったら、増える可能性だけでなく、減るリスクも同時に受け入れなければなりません。今の超低金利時代で、元本保証で、大きく増える金融商品は存在しないからです。「でも、お金が減るのは怖いから、投資はやめておこうかな」と思うのは、ちょっと待ってください。最近の物価上昇も、実は大きなリスクの一つなのです。自分の資産を、すべて低金利の預貯金だけに預けておくと、10年、20年たって物価がさらに上昇した場合、資産が実質的に目減りしてしまいかねません。そのため、投資をして減るリスクを受け入れながら、増やすことを目指すことも、物価上昇中の今の時代では大切なことなのです。まずは少額から、毎月の積み立てで投資を始めてみてはいかがでしょうか。増えたり減ったりしてお金を育てることを経験してみることで、投資をすることの大切さも実感できるかもしれません。

タイプ2.「投資するほどお金がない」

「投資をする人って、お金持ちですよね。投資をしたいけれど、お金が全然なくて…」という声もよく聞きます。

実際にお金持ちで投資をしている人は多いですが、一般的な人でも、投資がしやすい仕組みができて、実はお金持ちかどうかは、あまり関係ない時代となりました。というのも、幅広く投資先を分散できる「投資信託」なら、月100円や1000円などの小さな金額でも、気軽に投資ができるようになったからです。月100円くらいであれば、どんな方でも捻出できるのではないでしょうか。これを機に、自分の支出を見直してみて、無駄があればカットしましょう。意外と、貯蓄や投資にまわすお金が捻出できるかもしれません。

タイプ3.「忙しくて申し込みに行けない」

「投資を始めるのは、手間がかかって大変。金融機関の窓口があいている平日の昼間に、申し込みになんていけません」という声も聞きます。実はNISAの口座開設は、ネット証券やネット銀行なら、PCやスマホで申し込みが完了しす。わざわざ店舗に行かなくても、NISAが始められるのです。以前は、金融機関の口座開設には長い時間がかかりましたが、最近は、ネット証券を中心に、かなりスピーディーになっています。昔の経験者からは「時間がかかるよ~」と言われるかもしれませんが、意外とそうでもないのです。ネット証券などの口座開設ページを確認してみてください。

タイプ4.「金融機関が決められない」

「NISA口座を作る金融機関は、どこがいいのだろう…」と、何か月も何年も迷っていて、決められない方もいます。NISAは、ネット証券、店舗型の証券会社、店舗型の銀行、ネット銀行で始められます。それゆえ、迷ってしまうかもしれません。一つ注意したいのが、株式を買いたい場合は、基本的には証券会社(ネット証券、店舗型証券会社)のみということ。銀行でNISA口座を開設した場合は、株式は買えず、投資信託の購入のみとなります。ちなみに、NISAは一人1口座で、一度口座開設をして商品を買うと、その年は違う金融機関に変更ができません。年1回変更は可能とはいえ、毎年変更するのはなかなか面倒。ある程度の期間はお付き合いすることを考えて、口座を開けるとよいですね。そのため、いつか株式を買いたいと思っていたら、ネット証券か店舗型証券会社でNISA口座を開くのがよいでしょう。身近な人と同じ会社の口座で開くのも一つの選択肢だと思います。

タイプ5.「そもそも、NISAが複雑すぎてよくわからない」

上記のタイプに加えて、よく聞かれるのが「NISAという言葉は散々聞いてきたけれど、結局NISAって何なのかがよくわからない」という声です。「NISA」とは、「少額投資非課税制度」の略。投資をして、利益が出たら通常は約20%の税金がかかりますが、それがかからない(=非課税)制度です。10万円の利益が出た場合、一般的には2万円ほどの税金がさしひかれて利益は8万円になりますが、NISA口座で買えば、この税金が差し引かれず、10万円の利益をそのまま受け取れるのが大きなメリットです。NISAでは一人あたり、年360万円まで投資ができる枠があります。「少額投資非課税制度といっても、360万円なんて“少額”ではない…」と感じてしまいそうですが、何億もの資産を投資している人も世の中にはたくさんいて、その金額に比べたら“少額”というわけですね。ちなみに、NISAには「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の2枠が自動的についてきます。「成長投資枠」は株式や投資信託などいろいろな商品を買える枠で、年240万円が上限、「つみたて投資枠」は金融庁が事前にOKを出した投資信託だけが買える枠で、年120万円が上限です(“枠”という投資上限額が決められているだけで、お金は自分で出します)。その枠を使い切る必要はなく、例えば月100円×12か月=年間1200円の投資でもOKです。NISAのどちらの枠を使って何を買ったらよいかと迷う方も多いので、まずは「つみたて投資枠」にある投資信託を積み立てていくのが、選びやすくてスムーズかと思います。以上、NISAを始めたいけれど始めたい人によくある理由について5つ紹介しました。さまざまな投資を経験すると、利益が出たときに約20%の税金がかからないNISAの魅力を感じるでしょう。ただ、あくまでも投資ですので、減る場合もあることを念頭において、余裕資金で少額から始めるようにしましょう。


(西山美紀)


MONEYPLUS / 2024年11月5日 7時30分


2024年7月16日火曜日

NISA制度"改悪"で譲渡益に課税の悪夢…エコノミストが「老後はNISAを使ってはいけない」と断言するワケ

 老後にストレスフリーでお金を運用するにはどうすればいいか。エコノミストの崔真淑さんは「高齢者は一般口座や特定口座での投資に加えて、資産を『分散投資』することが大切。そのための具体的な対策がある」という――。

■運用資金は5年は使うあてのない金額にする

2025年の年金改正を控えて、「65歳まで保険料を支払う」、あるいは「支給開始年齢が70歳や75歳に引き上がる」といった案が出ていますが、今後、年金制度はどんどん“改悪”されていく可能性は高いです。前回も述べたように、おそらく年金だけで暮らすことは、非常に難しくなるでしょう。年金だけで暮らせないとなると、働くほか、「運用する」ことを考えていかなければいけません。老後の運用について、大事な前提は、次の2つです。

前提①余裕資金で行う

80歳、90歳までカツカツで余裕資金がないといった高齢者は、そもそも株式投資をすべきか再考が必要だと思います。投資するなら、5年は使うあてのないお金を回しましょう。かつて金融業界にいた私がつくづく思うのは、10年に一度は、大きい金融ショックがくる可能性が高いということです。今は景気がよくても、この先、何が起こるかわからない。だからこそ、せめて5年は手元になくても辛抱できるお金をあててほしいのです。

■老後はNISAを使ってはいけない

前提②NISA口座は使わない

今、新NISAが大流行ですが、高齢者の方にはNISAはお勧めしていません。なぜならNISAには「すべてが非課税ではない」「譲渡税が課税される可能性がある」「損益通算できない」といった落とし穴があるからです。一つずつ、説明していきましょう。

・すべてが非課税ではない

NISAを完全非課税だと思っている人は少なくありません。

ですが、NISAは完全非課税ではありません。今、人気のアメリカ株式市場に上場しているような「S&P500」に連動するETF(上場投資信託)や、個別のアメリカ株式を購入する場合は注意が必要です。通常(一般口座や特定口座の場合)、海外からの配当金にはその国に税金を払ったうえで、日本でも20.315%が源泉徴収されます。確定申告をすることにより外国税額控除を受けられるしくみです。新NISAではこの20.315%が非課税になることで、二重課税でなくなるため、“海外に税金を支払う”必要が生じるのです。たとえば、米国株や米国ETFの配当には10%の税金がかかります。

・譲渡益が課税される可能性がある

政府は現在、将来の税制改正を見越して、NISAの配当金などインカムゲインには課税をしていません。ですが、譲渡益などキャピタルゲインには税金をかけようという議論が出ています。「安くなった株を買って高く売りたい」「含み益が出たら利益を確定して売りたい」などと、譲渡益狙いでNISAを使っている人にとっては寝耳に水。この先、制度変更される可能性があると考えるなら、NISAでキャピタルゲインありきの保有にのめり込まない姿勢が必要でしょう。

■NISAで予想される悪循環

老後のお金の設計にNISAが向いていない理由はまだあります。

・損益通算できない

「損益通算」とは、株式や投資信託を売却して利益や損失が出た場合、利益と損失を合算して合計が利益になっていれば、その利益に対して課税されるしくみ。たとえば、ある株式を売って50万円の利益が出る一方、別の株式で30万円の損失が出たら、50万円-30万円=20万円に税金がかかる、ということ。これが損益通算のしくみです。また1年間の合算した損益が結果的に損失になった場合、翌年以降、最小3年間、繰り越せる「繰越控除」が適用されます。たとえば、ある年に30万円の損失で、翌年の利益が40万円であれば、繰り越した30万円の損失と40万円の利益を合算し、40万円-30万円=10万円に対して課税されるのです。この損益通算と繰越控除が、NISA口座ではできません。株式投資は正直、これで儲かると思っても、なかなか理想通りに利益が出ることはありません。“塩漬け”になっているお金をさっさと損切りして、次の新しい運用に使いたいけれど、損益通算できないとそれもなかなか踏ん切りがつかない。こんな悪循環は多々起きます。株式投資は、ある程度“損をする”ことが前提であれば、私は損益通算できるほうが結果的にオトクになると思っています。ですから運用するなら、NISA口座ではなく、一般口座や特定口座で行うことをお勧めします。

■資産を分散投資するときのポイント

高齢者は「一般口座や特定口座で投資する」ことに加えて、資産を「分散投資」することが大切になります。増やすより、とにかく今ある資産を目減りさせないことが先決です。

もちろん80代でも、特定の資産に集中投資して成功しているトレーダーの方もいます。しかし、そういう人は、ずっと昔から投資をしてきたベテランの人。私の知り合いにもいますが、そういう人は本当に株式投資が好きで、『会社四季報』を24時間見ていても飽きない。それほど好きな人であれば、集中投資もよいと思いますが、そうでなければやめたほうがいいというのが私の考えです。では、どうやって分散させればいいか。ここ数年、日経平均が最高値を更新したり、戦争で世界的に物価が上がったりと想像を超えることが起きています。こうした景気リスクや地政学リスクの“有事”に備えるには、それらに敏感に「反応するもの」と逆に「反応しにくいもの」といったように、感応度の異なるものに分散させるのがおススメです。具体的には、株式、債券、不動産、金や原油などはのコモディティは、それぞれ有事や景気に対しての反応の仕方が違う傾向にあり、こうしたところに分散させるのが重要でしょう。株式も日本株と外国株に分散させます。日本円の目減りがこわいならば外貨にする、または外貨で「外貨建て社債を買う」、あるいはインド株などこれから伸びそうなインデックスファンドを買う、といった対策をします。

■不動産投資信託を持つメリット

ちなみに私は、不動産ではなく、「REIT(リート)」と呼ばれる不動産投資信託にも注目しています。不動産投資信託とは、投資家から集めたお金で不動産を所有し、そこから得られた賃料収入を分配するもの。ホテルリートや物流リート、オフィスリートなど、いろいろな商品があり、小口で投資できるのがメリットです。現物の不動産投資は、借金して投資できるメリットがある一方、頭金を用意するのが大変だったり、手数料が非常に高くそれで損することもあるなどのデメリットもあります。そう考えると、不動産投資に興味があっても、そこまではしたくないという人は多い。私もその一人です。そんな人にリートはおススメといえるでしょう。今は金利が上がったことでマイナスになっていますが、もともと不動産投資は、戦争や金融ショックで多少は変動しても、賃料自体は景気に左右されにくいもの。過去のデータからは、「平均的には長期でインカムゲインでしっかりとリターンが出やすい」ことも実証されています。ですから配当金狙いでリートを持つというのは悪くないと思います。もちろん注意点もあります。歴史のあるリートは、想定外に修繕費用などのコストが出ることで、配当金が減る可能性もあります。リートの構成や中身を、しっかり確認してください。

■「仕組債」は様子見で検討を

注意すべきは「仕組債」と呼ばれるデリバティブ(金融派生商品)を利用することでキャッシュフローを生み出す債券です。証券会社や銀行がすすめる仕組債については、手数料や格付けなど、商品の中身が金額に見合っているかどうか、いったん立ち止まって確認してほしいですね。「利回りがよい=リスクが高い」ので、飛びつくのは危険。いったん様子を見ましょう。同じように株価は安いのに、配当利回りがいい銘柄も、様子見が必要です。安いには、ちゃんとワケがある。業績が悪くて、会社の持続可能性が失われているのかもしれませんし、機関投資家が手放しているだけかもしれません。

■世界はアメリカ一極から多極化へ

株式投資の世界には「利大損小」という言葉があります。これは100万円投資して、99万円損したら、残りの1万円から100万円にするのは非常に難しい。でも、100万円の損失を10万円に抑えて、90万円を原資にまた分散投資すれば、100万円を超えるかもしれない――そうした「いかに負けを小さく、そして利益を大きくするかが大事」といった意味です。私自身、分散投資を徹底していますが、それは今後、地政学的に大きなうねりが起こり、これまでの世界のルールが変わるかもしれないと予想しているからです。戦後80年、アメリカが世界の覇権を握ってきましたが、数々の戦争が重なり、アメリカはいよいよ体力が失われてきています。一方、中国が力をつけて、ロシアとタッグを組み始めている。つまり今は、アメリカ一極の世界から、多極化の世界への過渡期である。だからこそ、米ドルが今後も変わらず基軸通貨であり続けるかどうかはわからない――。私はこのように考えています。実際、中東の石油は米ドルではなく、人民元で買えるようになったり、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)では、ドルを使わないしくみをつくろうという動きが起きています。また中国は、自国の通貨の価値を上げるためか、金をどんどん買い増しています。つまり米ドルに今のように価値があるのは、ここ80年ぐらいの流れなのです。米ドル覇権がすぐに消滅することはないにせよ、リーマン・ショック級の経済ショックが頻発したら、アメリカ経済はどうなるかわかりません。

■自給自足は究極のリスクヘッジ

ここからは私の予想です。今後、アメリカ一極が衰えて、世界が戦争状態になってしまったら、かなりの確率でインフレが加速すると思います。そうなると資源を持っている国が強い。たとえば食料や鉄鉱石などの資源が豊富なオーストラリアなどは、しっかりと生き残れるだろう。だから私は今、オーストラリアドルやオーストラリアドル建の債券に関心を持っています。もちろんアメリカも資源がありますが、覇権から衰退する過程で何が起きるかわからないことを考えると、米国債の追加保有は様子見したいと考えています。もしも台湾有事が起きれば、真っ先に飢えやすいのは東京だという試算もあります。それぐらい日本の食料自給率は低い。その自衛策として私は、趣味も兼ねて畑作業での作物づくりの準備に動いています。「自給自足」の準備です。東京にも手放された農地はたくさんあるので、共同でそこを耕し作物をつくり続けるのは、次世代にも価値があることだと。


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崔真淑(さい・ますみ)

エコノミスト

2008年に神戸大学経済学部(計量経済学専攻)を卒業。2016年に一橋大学大学院にてMBA in Financeを取得。一橋大学大学院博士後期課程在籍中。研究分野はコーポレートファイナンス。新卒後は、大和証券SMBC金融証券研究所(現:大和証券)でアナリストとして資本市場分析に携わる。債券トレーダーを経験したのち、2012年に独立。著書に『投資一年目のための経済と政治のニュースが面白いほどわかる本』(大和書房)などがある。

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(エコノミスト 崔 真淑 構成=池田純子)


プレジデントオンライン/2024年7月15日 9時15分


2023年9月19日火曜日

仕組預金

 仕組預金とは、デリバティブを使って銀行に有利な特約を付ける代わりに金利を上乗せされた定期預金のことをいう。

〇概要

仕組債の外側の箱を預金に変えたものと考えればわかりやすい。

仕組預金の例としては、(a)円で預け入れてその時に約定した外貨で運用し、満期日に外貨の価値が下がっていれば元本を外貨で払い戻す権利を銀行側が持つなどの二重通貨定期預金、(b)預け入れ期間が複数設定されており、市場環境によって満期日を選択する権利を銀行が持つ満期日変更特約付定期預金などがある。仕組債は証券会社が販売する際に十分といえないまでも、証券取引法によって規制されてきた。銀行法はリスク商品を販売することを想定していなかったため、証券取引法と比べて緩やかであった。銀行法の下元本が割れるリスクを説明せずに販売された仕組預金は社会問題にまで発展したため、証券取引法から改正された金融商品取引法は仕組預金まで規制を広げている。全国銀行公正取引協議会は、平成19年4月19日に『仕組預金にかかる表示について』という仕組預金の広告に関するガイドラインを公表した。「デリバティブ預金」として仕組預金を売っていた三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行は、販売停止にまで追い込まれた。

〇メリット

金利がプレミアム分、他の定期預金より高めに設定されている。

円建て仕組預金は中途解約の際には違約金はあるが、預金保険の対象となり、満期まで預けるなら元本は保証される。

〇デメリット

外貨建て仕組預金は預金保険の対象とならず(ペイオフの対象外ということ)、中途解約の違約金、為替手数料、為替リスク、元本を外貨で払い戻されるリスク、満期日の変更リスクなどのデメリットを顧客が負うことになる。

デリバティブが組み込まれて運用される中途解約が不可能な定期預金であり、やむを得ず中途解約した場合には元本を割れ込む可能性がある。

預金利息の保護は、通常の定期預金利息の範囲に限られることが明確化されている。

〇金利タイプ

円建て仕組預金には、満期まで金利が一定のフラット型や、預入年度ごとに金利がゆるやかに上昇するステップアップ型がある。金利は仕組預金契約前に確定しており、ステップアップ型でも預入後に金利が変動することはない。


2023年3月3日金曜日

メリットだらけにみえるが…来年スタート「新NISA」に潜む“2つの落とし穴”【投資のプロが解説】

 近年認知度が高まり、徐々に始める人が増えている「NISA(少額投資非課税制度)」。しかし、デメリットも少なくなかったことからこれが大幅に見直され、2024年から「新NISA制度」が導入されることとなりました。今回は、鎌倉投信の代表取締役社長である鎌田恭幸氏が、この新NISA制度に潜む「2つの落とし穴」を解説します。

〇来年から始まる「新NISA制度」…主な変更点は?

金融業界では、令和5年度税制改正に盛り込まれた「資産所得倍増プラン」の実現に向け、目玉施策である「新NISA制度」への関心と、その準備に向けた機運が高まっています。つみたてNISA(年間投資上限額40万円、非課税期間20年)と一般NISA(年間投資上限額120万円、非課税期間5年)のいずれか1つを選択する 現行のNISA制度は、令和6年(2024年)1月から主に以下のような点が変わろうとしています。「1.「成長投資枠」と「つみたて投資枠」に枠組みが変わり、その併用が可能 」「2.年間投資上限額が、最大360万円(成長投資枠240万円+つみたて投資枠120万円)に大幅に拡大」「 3.非課税保有期間の無期限化」「 4.生涯非課税限度額が設定され、最大1,800万円に(非課税限度額は生涯利用可能であり、「簿価(=取得価額)」で総枠が管理され、保有する有価証券をいったん売却して再投資した場合も適用されるなど、非課税枠の再利用が可能)」「 5.制度の恒久化」このこと自体は、現在のNISA制度と比べると利便性も高まり、個人投資家の資産形成に大きく貢献する可能性があるので、筆者は好ましいと考えます。その一方で、個人投資家や運用商品を提供する資産運用会社は、次のような落とし穴に入り込まないように、自らの投資姿勢をしっかりと持っておきたいところです。

〇新NISA制度の「2つの落とし穴」

1.投資家…販売会社による「囲い込み」

NISA口座が複数の金融機関で同時に利用できないことから、1,800万円の投資資金の総取りを狙って、金融機関による獲得競争が激化することが想定されます。その際、成長枠については株式投資も可能なため、株式を扱える証券会社の営業マンから「銀行などの他の金融機関よりも有利である」などといった誘い文句が聞こえてきそうです。また、違う観点からは、「簿価(=取得価額)」で総枠が管理されるため、短期売買を目的とした投資勧誘や、個人投資家のリスク許容度や運用姿勢などに適合しない投資勧誘が増えることも気がかりです。そのため個人投資家は、本当に顧客の立場に立って運用商品を提供したり、説明責任をしっかりと果たしてくれる金融機関を選択する必要があります。筆者が経営する資産運用会社でも新NISAに係る勉強会などを実施していますが、書籍を読んだり、そうした勉強会に参加したりするなどして、自ら改めて考えて資産形成に取り組むことが肝要です。「自ら考えること」は、資産形成で成功するうえで、とても重要な要素なのです。

2.運用会社…「販売会社依存」の業界体質への逆戻り

一方、運用商品を供給する側である資産運用会社にも、新NISA制度によって明確なポリシーが求められることになります。富裕層を除く多くの個人投資家の場合、生涯を通じた資産運用額は、新NISAの生涯非課税枠1,800万円の範囲内に収まる可能性が高いです。その結果として、NISA口座を多く保有する販売力の強い販売会社は、資産運用会社よりも立場が強くなるかもしれません。そのため、資産運用会社は、販売会社依存の体質から脱却し、資産運用会社の独立性を高め、運用力の高度化を図ろうとする現在の流れに逆行しないよう、受託者責任を強く意識したいものです。

〇より重要視される「金融教育」

こうした動きとは別に、近年、「金融教育」や「金融リテラシー」という言葉をよく見聞きするようになりました。今年度から段階的に、小・中・高校向けの教育指導要領のなかに、経済や金融の仕組み、生活設計や資産運用、さらにはキャリア形成が盛り込まれるなど、今後、金融についての学びがより身近なものになりそうです。また、学校だけではなく、社員教育の一環として「資産形成」を社員自らが考える機会を提供する会社も増えており、弊社もそうした場に声をかけられることが多くなりました。長く地道な取り組みになりますが、なるべく早い時期からお金や資産形成に係る学びに触れることは、新たなNISA制度を活かすうえで、重要な施策のひとつです。

・「金融教育」の定義

そもそも、金融教育や金融リテラシーといった言葉で表現される金融の学びとは、どのように定義されるものなのでしょうか。広く金融の学びを推進している金融広報中央委員会によると、「金融教育は、お金や金融のさまざまな働きを理解し、それを通じて自分の暮らしや社会について深く考え、自分の生き方や価値観を磨きながら、より豊かな生活やよりよい社会づくりに向けて、主体的に行動できる態度を養う教育である」として、金融教育プログラムは「社会のなかで生きる力を育む授業である」と謳っています。筆者は、お金について考えることは、単なる知識を得ることではなく、人生そのもの、つまり自分の価値観や人生観を深めるためのものだと思ってきましたから、こうした定義に違和感はありません。一方で、学生向けの授業を「主体的に行動できる態度」や「生きる力を育む」ものにしていくためには、単に教える授業で終わらせずに、より生徒に腹落ちさせることが求められのではないでしょうか。

〇金融教育キャンプに参加して…筆者が得た「気づき」

昨年夏、ある団体が主催し、弊社が協賛する小・中学生向けの「金融教育キャンプ」に参加してきました。2泊3日で開催されたキャンプでは、前半で金融についてひと通り学んだあと、最終日には「自分や周り、社会の困りごとはなにか」という視点から自ら事業を考え、発表するというプログラムがありました。参加した子供たちは、いくぶん緊張気味のなか、一所懸命に考えた事業アイデアを披露していました。たとえば、国民が健康に暮らすための保険会社を考えた小学2年生、自由に出歩くことができない高齢者などの買い物をサポートする事業を考えた小学4年生、子供の発想力を高めるための場をつくる事業を考えた小学6年生……。筆者はその豊かな創造力とたくましさに感心しました。しかし、それと同時に、「子供たちのなかには、主体的に行動できる態度や生きる力はすでに備わっており、それを大人が教えるというのは、おこがましいのではないか。むしろ、その潜在的な力を“発揮させる場”が必要ではないか」と思ったのです。また、こうした子供達に、“表面的”な金融の知識を教えることは必要ない、とも感じました。そこで検討に値すると考えるのが、「高校にある『普通科』といった曖昧な学科をやめ、たとえば「起業科」などといった、目的を明確にした学科を設置する」という案です。大学受験を目的とした進学クラスを設置している高校はよく見かけますが、それと同じように、起業家を目指す起業科クラスをつくってはどうでしょうか。そこで、金融にとどまらず、経済の仕組みや会社経営に必要な知識を学び、社会課題やそれを解決する事業アイデアを創出し、その事業を実現するために必要な語学やITなどのスキルを自ら選択して学ぶのです。実際に会社を設立したり、学生起業家が集う海外の高校に留学したりできる仕組みをつくることもよいでしょう。この構想は、筆者の知人である山本敏行氏(Chatwork株式会社の創業者)が、起業家と投資家の育成支援に取り組むなかで提唱されているものですが、筆者もこの意見に賛成です。時間はかかると思いますが、新NISA制度と、人の自立心や好奇心などを喚起する真の金融教育とが上手くかみ合って、個人の資産形成のみならず、日本の社会・経済の発展につながることを願っています。そこに、新NISA制度の究極の目的があるのではないでしょうか。

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鎌田 恭幸

鎌倉投信株式会社

代表取締役社長

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幻冬舎ゴールドオンライン / 2023年3月3日 9時15分


2023年1月13日金曜日

【自営業者必見!】「国民年金を増やす方法」とは? 国民年金基金やiDeCo、付加年金などを解説

 自営業者やフリーランスの人は国民年金の第1号被保険者となるため、将来受け取れる年金額を2022年4月現在で満額受給した場合、年額77万7800円となります。しかしその金額では、老後の生活に不安を抱く人も多いかもしれません。   本記事では、国民年金を増やす方法として国民年金基金やiDeCo、付加年金などについて解説します。

〇国民年金を増やす方法とは

国民年金を増やして老後生活を充実させる方法として、以下の4つが挙げられます。

〇国民年金基金

国民年金基金は国民年金の第1号被保険者が加入できるもので、月額6万8000円までの掛金を上限として、希望する口数に応じて申し込める制度です。1口あたりの金額は、加入時の年齢や性別、希望する受け取り方により変わります。1口目は終身年金で確定しており、2口目以降は終身年金のほか、5年や10年、15年の確定年金として受け取ることが可能です。また加入する年齢によって掛金が変わり、1口目が1~2万円、2口目以降が1口あたり5000円~1万円となります。国民年金基金の掛金は、所得税や住民税がかからず全額が社会保険料控除の対象となるため、節税対策として活用するのも有効です。

〇iDeCo

iDeCo(個人型確定拠出年金)は国民年金の第1号被保険者の場合、月額6万8000円までの掛金を上限として利用できます。受け取り時は一時金または年金となり、一時金であれば退職所得扱い、年金であれば公的年金などの雑所得扱いです。iDeCoで拠出した掛金は所得税や住民税がかからず、全額が小規模企業共済等掛金控除の対象となり、運用益も非課税となります。iDeCoの大きな特徴は、拠出した掛金の運用を自分自身で行える点です。もし資産形成を自分で行いたいと考えている場合は、iDeCoを活用するとよいでしょう。ただし、安定的に積み立てができるわけではなく、元本割れのリスクもあるため利用には注意が必要です。

〇付加年金

付加年金は国民年金の第1号被保険者が加入できるもので、納付する保険料に付加保険料を上乗せすることで将来受け取れる年金額を増やせる制度です。付加保険料は月額400円で、年額200円×加入月数分が将来受け取れる年金に加算されます。加算される最大額は月額8000円となります。

〇小規模企業共済

小規模企業共済は、小規模企業の経営者や役員、個人事業主などが加入できる積み立てによる退職金制度です。月額1000円~7万円までを500円単位で自由に掛金設定でき、加入後も増額したり減額したりできるため、事業収益に合わせた拠出ができます。共済金の受け取り時は「一括」や「分割」、「一括と分割併用」が可能となり、一括であれば退職所得扱い、分割であれば公的年金などの雑所得扱いです。

〇制度を組み合わせる方法がおすすめ

国民年金を増やす4つの方法は、それぞれの特色を活かして組み合わせるとよいでしょう。もし制度を最大限に利用するとすれば、付加年金(400円)や、iDeCo(6万8000円)、小規模企業共済(7万円)を組み合わせるやり方があります。拠出する金額は月額13万8400円です。また6万8000円の範囲内で国民年金基金とiDeCoを併用し、安定的に積み立てる分と投資信託などを活用して積極的に運用する分に分ける方法もあるでしょう。運用する際の掛金は、どの場合も所得税や住民税がかからず控除対象となるため、節税対策の一環として活用することも可能です。ただし将来、一時金または年金で受け取る際は所得税がかかります。特に一時金で受け取る場合の所得税は、高額になる可能性もあるため注意が必要です。個人事業主やフリーランスの場合、老後で受け取れる年金は国民年金のみとなるため、国民年金基金やiDeCoの制度を組み合わせるなどして国民年金を増やすことをおすすめします。


執筆者:古田靖昭二級ファイナンシャルプランニング技能士


ファイナンシャルフィールド / 2023年1月6日 3時10分


2022年11月3日木曜日

112万人分の年金資産を放置、転職・退職時に必要な手続きせず…企業型DC

 企業が掛け金を払い、従業員が運用する企業型確定拠出年金(企業型DC)で、約112万人分の年金資産が放置された状態になっていることが1日、国民年金基金連合会のまとめでわかった。2017年度末から1・5倍になった。総額は昨年度末で約2600億円に上っている。転職時などに必要な手続きをとらなかったためで、運用機会を逃し、老後の資産形成に影響を及ぼす可能性がある。企業型DCの加入者は年々増加しており、全国で約780万人にのぼる。転職などで会社を辞めると加入資格を失う。積み立てた年金資産は、6か月以内に個人型確定拠出年金(iDeCo)などに移す手続きをしなければ、同連合会に自動的に移管され、その後は運用されない。同連合会によると、年金資産が自動的に移管された人は2021年度末で108万3116人おり、公表している17年度末の73万4243人から47%増えた。総額は2587億5200万円で37%増加した。1日に発表された9月末の自動移管者数は112万6145人だった。自動移管された資産は塩漬けにされるだけでなく、移管時に4348円、以後の管理に毎月52円の手数料がかかるため、目減りしていく。受給開始年齢に達しても、そのままでは年金として受け取ることはできない。手数料をかけてiDeCoなどに移す必要がある。移管中は通算加入期間にカウントされず、受給開始が遅れる場合もある。増加している背景には、退職時の忙しさや、制度の理解不足がある。東京都内の女性会社員(41)は昨年8月に転職。半年後に自動移管の通知を受けた。「以前勤めていた会社から説明を受けた記憶はない。知らない間にお金が移され、手数料が引かれるのは釈然としない」と話す。同連合会は毎年1回、対象者に通知を出し、手続きをするよう促している。厚生労働省は「企業が掛け金を負担するため、自分の資産という認識に乏しく、自覚なく放置する人が多い。退職者への説明義務を企業に徹底させるなど、周知を図りたい」としている。ファイナンシャルジャーナリストの竹川美奈子さんは「老後に向けた資産形成が求められる時代に、貴重な年金資産が放置され目減りしてしまうのは問題だ。退職時の移管手続きの簡素化などの対策が求められる」と話す。

◆企業型確定拠出年金(企業型DC)=2001年10月に導入された年金制度の一つ。企業が従業員のために掛け金を支払い、従業員が自らの積立金の運用方法を決める。将来の年金額は運用の結果次第で変わり、原則60歳まで受け取れない。


2022/11/2(水) 5:02配信読売新聞オンライン