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2026年7月4日土曜日

これ、会社にだまされた? 求人では「ボーナス5カ月分」だったのに夏ボーナスが「2カ月分」しかないワケ

 転職やキャリアに関する悩みや疑問に、ひとつ上を目指す人の転職サイト『type』編集長の三ツ橋りさが回答します。今回のテーマは「ボーナスの支給額」についてです。

(質問)

求人に「ボーナス5カ月分」とあったのに、夏は2カ月分しか支給されませんでした。会社にだまされたのでしょうか?

(回答)

求人情報で見ていた条件と、実際に支給された金額に大きな開きがあると、裏切られたような気持ちになりますよね。ですが、一概に会社がうそをついたとは言い切れない、賞与特有の複雑な仕組みが背景にあるかもしれません。まずは現状を冷静に整理し、これからの向き合い方を一緒に考えていきましょう。詳しくは以下で解説します。

〇求人票に書かれた「○カ月分」の仕組み

求人票に「賞与5カ月分」と記載されていると、「1回の支給で基本給の5カ月分がもらえる」と誤解してしまうケースは少なくありません。しかし、多くの企業において、この表記は「年間(夏と冬など)の合計支給実績」を指しています。つまり、夏に2カ月分、冬に3カ月分を支給して、トータルで5カ月分になるという設計です。そのため、今回の「夏が2カ月分だった」という状況は、冬に残りが出れば求人票の記載通りになる可能性があり、これだけで会社にだまされたと決めつけるのは少し早いかもしれません。また、転職して間もない時期のボーナスには「在籍期間の壁」も存在します。賞与には通常、成果を評価するための査定期間が設けられており、その期間に在籍していなかった場合は支給対象外になったり、あるいは「寸志(ボーナスの代わりとして支給される、数万円程度の一時金)」として数万円程度の支給にとどまったりすることもあります。初年度は満額にならないことが多いという賞与の仕組みを知っておくだけでも、会社に対する見え方が少し変わってくるのではないでしょうか。

〇求人票の「ボーナス○カ月分」をうのみにしない! 入社後のギャップを防ぐ正しい見極め方

入社後に「思っていたのと違う」という事態を避けるためには、求人票に書かれた数字だけでなく、その背景にある表現を丁寧に確認することが重要です。

▼1. 「実績」か「基準」かを確認する

まず注目すべきは、提示されている数字が「前年度の実績」であるか、それとも「一律の基準」であるかという点です。賞与が「前年度実績」に基づいている場合、それは企業の業績に応じて変動する可能性があることを意味します。業績が悪化すれば支給月数が減少することもあるため、求人票の数字はあくまで過去の参考値であり、今後の支給を確約するものではないと理解しておく必要があります。

▼2. 算出の「ベースとなる金額」を把握する

次に、「○カ月分」という計算の元になる金額が何かを確認しましょう。一般的には諸手当を除いた「基本給」がベースとなりますが、まれに「総支給額」を基準とする企業も存在します。基本給が低く設定されている職場では、たとえ「5カ月分」という高い月数が記載されていても、実際の受取額が期待を下回る可能性があります。表記された数字の裏にある、給与の内訳まで読み解くことが、納得感のある転職へとつながります。

〇今の会社との関係を壊さずに確認する方法とは?

もし今の会社で「やはり計算が合わない」「査定のルールに納得がいかない」と感じる場合は、感情的に不満をぶつけるのではなく、まずは会社の制度を正しく理解するためのコミュニケーションを心掛けましょう。事前に「今後の目標や評価についてご相談したいです」と伝えて、1on1など落ち着いて話せる場を用意するのがスマートです。面談の場では、まずは支給されたボーナスへの感謝を述べた上で、「今後の目標設定のためにルールを知っておきたい」という前向きなスタンスを示すことで、上司も「会社の仕組み」として冷静に説明しやすくなります。

上司への切り出し方(例):

「今後の目標設定のために賞与の仕組みを正しく理解しておきたいです。求人票に記載されていた年間実績と、今回の支給額のバランスについて、どのような算出ルールになっているか教えていただけますでしょうか?」

仕組みについて説明してもらった後は、「次回に向けて私はどのような成果や役割を求められていますか?」とアドバイスを仰ぐのがベストです。制度の確認だけでなく、評価向上への意欲を示すことで、上司に前向きな印象を与えられるでしょう。

〇次の転職で後悔しない! 入社前に確認すべきチェックリスト

もし、今後のキャリアの中で転職を検討することがあれば、入社を決める前の「意思決定の段階」で賞与についての確認を行いましょう。求人票の文字情報だけに頼らず、以下の項目を確認しましょう。

▼その1:内定時の書類(労働条件通知書)をチェックする

内定通知書や労働条件通知書を受け取る段階で、賞与の具体的な算出基準(基本給ベースなのかなど)や、過去の平均支給実績についての詳細な記載があるかを確認しましょう。「賞与あり」とだけ書かれている場合は、その詳しい内容を人事担当者に確認することをおすすめします。

■確認すべきチェックポイント:

・賞与の算出基準が「基本給」になっているか(手当は除外されているか)

・書面に賞与の計算方法や過去の平均支給月数が明記されているか

・「賞与あり」の具体的な条件や上限額などの記載があるか

▼その2:入社1年目の「支給対象期間」を確認する

特に賞与の金額やタイミングを重視する場合は、入社を決める前に「査定期間」と「支給時期」のズレを考慮したルールを確認しておくことが重要です。入社直後は満額支給の対象外になるケースが多いため、以下の点を確認してみましょう。

■確認すべきチェックポイント:

・初年度の夏・冬は、査定期間の兼ね合いから支給対象になるか

・中途入社者向けに、在籍期間に応じた日割りや月割りでの計算ルールはあるか

・支給対象外の場合、代わりとなる「寸志」などの一時金制度はあるか

▼その3:面接やエージェント経由で「角を立てずに逆質問」する

面接の場で直接「ボーナスはいくらもらえますか?」と聞くと、給与ばかりを気にしている印象を与えてしまうリスクがあります。その場合は、聞き方を工夫するか、転職エージェントを挟んで確認してもらうのがスマートです。

角を立てない逆質問の例:「御社で早期に貢献できるよう努めていきたいと考えております。中途入社者の方々の、初年度の評価期間や賞与の仕組みについて、目安となるルールがございましたらご教示いただけますでしょうか」

〇納得のいくキャリアを築くために

ボーナスは単なる給料の一部ではなく、あなたの日々の努力や成果が正しく評価された証しでもあります。だからこそ、そこに疑問や不満を抱えたままにせず、会社の仕組みを正しく知ること、そして上司と前向きな対話を重ねることが大切です。もし、今の職場でどうしても納得のいく解決が難しいと感じたり、自分の努力が正当に評価されないと感じたりした時には、次の転職活動で事前の確認対策を徹底し、ミスマッチのない環境を選ぶことも選択肢になります。納得感を持って自分らしく働けるキャリアを、一緒に1歩ずつ目指していきましょう。



2026年6月11日木曜日

退職金制度について詳しく知らない人が増えているのでは?

 先日ネット上のニュースを見ていて明らかに「退職金制度について詳しく知らない人が増えているのでは?」と思う記事が出ていましたので紹介します。

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若手歓迎も中高年は猛反発!「退職金廃止」に動く企業の本音と、いまだ転職者を冷遇する制度の時代錯誤

退職一時金制度を縮小・廃止する動きが、日本企業で広がりつつあります。たとえば、王子ホールディングス(HD)は今春、中途採用も含めて2026年春以降に入社する従業員(一部の高卒採用を除く)の退職一時金を廃止すると決めました。一時金の廃止分は給与に上乗せします。生涯年収は、新旧制度でほぼ変わりません。また、既存従業員の退職一時金制度は存続します。したがって、会社にとっても従業員にとっても、即座に大きな影響があるわけではありません。それに対し、即座に大きな影響があるのが、伊藤忠商事の化学品子会社タキロンシーアイです。同社は、4月に退職一時金を廃止しました。一時金の廃止分は給与と存続する確定拠出年金に上乗せします。王子HDとの違いは、国内従業員約1200人すべてを対象に実施することです。また、退職一時金制度の廃止には踏み込んでいなくても、支給額を減額したり、前倒し支給で足元の支給を充実させようという動きが他社で広がっています。SMBC日興証券は、採用サイトの初任給に「退職金前払給3.7万円を含む」と明記しています。

■制度の普及は1950年代後半から

なぜ、ここにきて退職一時金を縮小・廃止する動きが広まっているのでしょうか。退職一時金制度が日本で導入されたのは、1872年(明治5年)、工部省鉄道寮(現JR)が最初とされています。そして、同制度が民間企業に普及したのは、1950年代後半以降です。当時、人手不足が深刻化しており、せっかく採用し、訓練した人材に長期勤続してもらうことが、企業の課題でした。企業は、従業員の勤続年数が一定以上(たとえば30年)に達すると支給額が急増するという制度設計をしました。これによって従業員は、1社に長期勤続することが有利になりました。退職一時金制度は、年功序列賃金と併せて、長期雇用を特徴とする日本的経営を形作ったのです。

しかし拡大の一途だった退職一時金制度が、2000年代に入って転機を迎えました。日立製作所・NEC・富士通などが退職一時金を縮小し、確定拠出年金に振り向けました。これは当時、会計基準の変更で退職給付債務が財務諸表に計上されるようになり、リスク要因である退職給付債務の削減が急務になったためです。その後、企業では中途採用のニーズが高まりました。新卒採用?長期雇用を前提とする退職一時金制度は中途採用の足かせになることから、多くの企業が退職一時金を縮小するようになりました。この流れを決定的にしたのが、昨今の新人採用難です。激化する採用競争を勝ち抜くには、初任給を引き上げる必要があります。賃金の総額をなかなか増やせない状況で初任給引き上げの原資を確保するために、各社が退職一時金の減額を打ち出しました。

■新人・若手は制度廃止に肯定的だが…

これまで退職一時金制度を縮小・廃止した企業は、たいてい「退職一時金の減少分を給与や確定拠出年金の引き上げに回している。従業員に不利益は及ばない」と説明しています。従業員全体では、おそらくその通りでしょう。ただ、給与などへの配分を新人・若手に厚く、中高年に薄くすることで、世代間で利益・不利益が出ているのではないでしょうか。この疑問について、退職一時金制度を縮小・廃止した企業の従業員にヒアリングをしました。予想通り、世代間で受け止め方の違いがありました。中高年は、会社の措置に落胆し、会社に対し憤っていました。「中高年を狙い撃ちする措置で、落胆しています。組合も会社の言いなりで、何のために存在しているのか、と思います」(機械・50代)「以前はこんなドラスティックなことをする会社ではありませんでした。従業員の幸福なんて眼中にないようで、やるせない気持ちです」(精密・40代)一方、若手・中堅には、否定的な意見はなく、歓迎する意見が多く聞かれました。「(退職一時金廃止の)説明会に参加して、会社を変えようという会社側の熱意が感じられました」(化学・20代)「数十年先の退職金よりも今の手取りを増やそうというのは、合理的な取り組みだと思います」(ゲーム・30代)

もっとも、世代を問わずに多かったのは、退職一時金制度への理解やそもそもの関心が低く、「判断できない」「わからない」という意見でした。「当社の退職一時金制度は複雑で、理解できていません。制度改正も何やら複雑で、従業員にとってプラスなのかマイナスなのか、判断できません」(金融・40代)「退職金って30年後、40年後の話で、正直なところ関心ありません」(電機・20代)

■世代間の対立を煽らない配慮が必要

では、今後はどうなるのでしょうか。大手企業の人事部門関係者にヒアリングしたところ、退職一時金制度を縮小・廃止したいという声が数多く聞かれました。「これまで退職一時金は聖域でしたが、縮小・廃止に向けてようやく組合と協議に入ることになりました」(不動産)「すでに退職一時金を減額していますが、廃止に踏み込めないものか、部内で検討しています」(エネルギー)今後も中途採用は増加するでしょう。新卒採用難が解消される見込みはありません。とすれば、退職一時金の縮小・廃止という動きが加速することは間違いなさそうです。その際、従業員、とくに不利益を受けやすい中高年に対し、人事部門は慎重に対応する必要があるという見解がありました。「退職一時金の一方的な引き下げは、労働条件の不利益変更に該当するでしょう。退職給付はただでさえ難解なので、引き下げを進めるにあたり、組合としっかり協議し、従業員に丁寧な説明をし、理解を得ようと思います」(輸送機)「退職一時金だけでなく、このところ給与・福利厚生など新人・若手に有利、中高年に不利な制度改正が続いています。『世の中のトレンドだ』という一言で済ませるのではなく、世代間の対立を煽らないよう配慮する必要があります」(商社)

■退職金税制の見直しが急務

最後に、国に退職金税制の改正を改めて要望したいと思います。現在、退職一時金には退職所得控除があり、次のような計算式になっています。

・勤続20年以下:40万円 × 勤続年数

・勤続20年超:800万円+70万円 ×(勤続年数-20年)

例えば、AさんとBさんが30年間働いた場合、Aさん:30年連続勤務 → 控除額1500万円(800万円+70万円×「30年-20年」)

Bさん:20年勤務、転職して10年勤務 → 控除額1200万円(800万円+400万円)となり、同じ30年間働いても、転職したBさんは転職しないAさんよりも控除額が小さくなります。税制によって、Aさんのような長期勤続者を優遇、Bさんのような転職者を冷遇しているわけです。政府は経済界の要望を受けて、23年から「労働移動(転職)の促進」「成長産業への人材移動」を政策課題に掲げました。そして「長期勤続者だけを税制で優遇する仕組みは、転職をためらわせる要因になっている」とし、「骨太の方針」に退職金税制の見直しを明記しました。ところが、それから3年経っても税制改正は行われておらず、長期勤続者を優遇、転職者を冷遇する仕組みが続いています。長く日本の長期雇用を支えてきた退職一時金の見直しは、いわば働き方改革の総仕上げ。企業・組合・政府が協力し、知恵を出し合い、新しい日本の働き方を作っていきたいものです。


日沖 健 :経営コンサルタント2026/6/8(月) 7:00配信



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退職金は通常の給与とは異なり、「退職所得控除」という優遇措置があるため、税負担を大きく抑制することが可能です。退職金制度を廃止すると、企業は退職金という後払い用の賃金を積み立てる必要がなくなるので、積み立てに回していた賃金を現時点の給与に上乗せすることが可能になる。従業員にとっては、目先の賃金が増えるというメリットが期待できるが、「退職所得控除」という優遇措置がなくなるため、退職金制度がある場合に比べて生涯の税負担が重くなってしまうというデメリットがあることには注意が必要だろう。退職金がなくなると退職金で「住宅ローンを全額返済しよう」「大きな買い物をしよう」という考え方を持っている人にとっても困るのではないでしょうか。それに退職金制度をなくせば社会保険料負担も増えてしまうことについて知らない人が増えていることも事実だと思います。もう1度税金や社会保障制度の仕組みについてちゃんと勉強しなおした方がいい人が増えているのではないでしょうか。


2026年5月24日日曜日

新NISA・つみたて投資枠で〈債券ファンド〉解禁も…「正直、いまはオススメできない」納得の理由【FPが「債券投資の注意点」を解説】

 2026年4月の税制改正により、新NISAのつみたて投資枠で「債券ファンド」の運用が可能となりました。株価暴落時のクッション役として期待される債券ですが、特有のリスクを抱えていることはご存じでしょうか。YouTubeチャンネル登録者数40万人超の人気FP鳥海翔氏が、債券投資の基本と、新NISAの非課税枠で債券を買うことの合理性を検証します。

〇NISA制度改正で「債券ファンド」解禁

2026年4月1日、NISA制度が大きく改正されました。つみたて投資枠でこれまで対象外だった「債券ファンド」が、ついに投資対象に加わったのです。資産形成の段階では「株式100%」で運用する方法が主流ですが、60代以降、資産を取り崩す段階に入ると「株式だけの値動きは不安だ」と感じる人も多いでしょう。そのため、選択肢が増えることは喜ばしいことです。しかし……はたして、NISAという「貴重な非課税枠」を使ってまで債券を運用すべきなのでしょうか。今回は、特に「安定運用」や「資産の取り崩し」を意識している人に向けて、債券投資のメリットと、見落とされがちなデメリットを整理していきます。

〇「ローリスク・ローリターン」な債券投資の意外な罠

まず、債券という商品の性質をおさらいしましょう。株式が企業の業績によって価格が大きく変動する「ハイリスク・ハイリターン」な商品であるのに対し、債券は「ローリスク・ローリターン」の代表格です。債券は、国や企業にお金を貸し、その見返りに利息を受け取る仕組みです。基本的には発行体(企業など)が倒産しない限り、満期まで保有すれば投資した元本と利息が約束されており、極めて予測可能性が高い商品といえます。

〇債券は「物価上昇」に勝てない

一般的に「株と債券は逆の動きをする」といわれます。株が下がったときに債券が値上がりし、株が上がったときに債券が値下がりするため、両方持っていることで資産全体の値動きを安定させる効果があります。そのため、「ポートフォリオには債券も分散して組み入れるべきだ」という意見も少なくありません。しかし、債券には「物価上昇(インフレ)に極めて弱い」という、明確なデメリットがあるのです。物価が上がると、政府は景気を冷やすために金利を上げます。金利が上がれば、新しく発行される債券の利回りは高くなります。しかし、過去に「低い金利で発行された債券」を持ち続けている人はどうなるでしょうか。たとえば、物価上昇率2%のときに利回り2%の債券を購入し、その後物価上昇率が3%に上がったとします。この場合、保有している債券の利回りは2%のままですから、実質的な価値の下落です。さらに、その低い利回りの債券を売ろうとしても、より高い利回りの新発債が出回っている状況では、価格を大きく下げ、利回りを高めなければ買い手は現れません。つまり、物価が上がり金利も上がる局面では、債券を持ち続けても損、売っても元本割れという「打つ手なし」の状態に陥るリスクがあるのです。

〇では「債券ファンド」はどうか?

今回、新NISAで買えるようになるのは「債券」ではなく「債券ファンド」です。ファンドはさまざまな時期に発行された債券の詰め合わせであるため、生の債券よりは利回りが平均化されますが、金利上昇による価格下落の影響は避けられません。インフレが長引くなか世界的な金利上昇が警戒されている現在の相場環境を鑑みると、「いまはオススメできない」というのが正直なところです。またここで、NISA制度の本来の目的を考えてみましょう。NISAは「利益にかかる税金をゼロにする」制度です。そもそも利回りが低く、大きな利益が期待しにくい債券を、生涯1,800万円という限られた非課税枠に放り込むことは、本当に効率的でしょうか。債券ファンドは特定口座(課税口座)でも購入可能です。せっかくの非課税メリットを最大限に活かすのであれば、より高いリターンが期待できる株式に枠を使い、債券は枠外で持つという考え方もあります。

〇NISAで債券ファンドを「検討すべき人・避けるべき人」の特徴

もちろん、すべての人にとってオススメできないわけではありません。次のような人には検討の余地があります。

・すでに取り崩し可能な十分な資産(生活費10~20年分など)がある

・資産を増やす必要性よりも、精神的な安定(評価損に耐えられない)を優先したい

一方、これから資産を大きく育てたい段階にある人や、なんとなく「分散投資=債券」というイメージだけで選ぼうとしている人は、避けたほうが無難でしょう。投資スタイルに「正解」はありません。したがって、債券に潜むインフレリスクを正しく理解したうえで、自身のライフプランにとって本当に必要なのかを「あなた自身の基準」で判断することが大切です。


鳥海翔

株式会社Challenger代表取締役

FP(ファイナンシャル・プランナー)/投資家


THE GOLD ONLINE


2026年5月19日火曜日

サムライ債、ショーグン債ってなに?

 サムライ債やショーグン債という言葉を聞いたことがありませんか。今回はその説明をします。

〇サムライ債とは

サムライ債(サムライさい、Samurai bond)は外国債券(外債)の一種であり、日本に居住していない海外の発行体(国際機関、外国政府・政府関係機関、外国民間企業)が、日本国内市場で募集(公募)・発行する円建て債券。日本を連想する言葉として「サムライ」の名があてられており、正式には円建外債という(※ただしより厳密には、広義の円建外債には、サムライ債には含まれない、例えば中国企業が米国内で募集するような債券も含むため、1対1の関係ではない)。発行時に日本円で払い込み、利払い・償還金も日本円で支払われるのが一般的だが、利払いを外貨にするエイバース・デュアル債、償還金を外貨にする順デュアル債などもある。日本法を準拠法とし、金融商品取引法に則って開示書類を作成し、原則として債券管理会社を設置する。

・概要

サムライ債の発行者側から見た利点としては、日本市場の規模の大きさからして巨額の資金を比較的低利で調達できる点、資金調達手段を多様化できる点があるが、欠点として日本市場特有の流動性の低さなどがある。日本国内の投資家側から見た利点としては、円建てであることから為替リスクが無い点、日本国債や日本企業の社債に比べて金利が高い点があるが、欠点として発行主体が海外にあるため信用リスクを評価しづらい点がある。最初のサムライ債は、1970年12月にアジア開発銀行が発行した60億円の債券であり、その背景には国際収支の黒字拡大と外貨準備の急増があった。当初は国際機関や政府機関などの公的機関によるストレートボンドのみだったが、1979年からは民間企業による起債が始まり、1996年には発行体の格付規制が撤廃されて途上国からの起債が活発化するなど、発行体や商品性の多様化が進んでいる。2001年にはアルゼンチン政府が起債したサムライ債が事実上デフォルトとなり、リスクの高さが改めて浮き彫りになった。

〇ショーグン債とは

海外の発行体(政府、企業、国際機関など)が日本国内で募集・発行する外貨建て債券のこと。正式には「東京外貨建て債」と呼ばれており、元本の払込み、利払い、償還などは全て外貨建てで行われます。当然為替差損益が発生するというリスクがあります。



2026年4月24日金曜日

不動産投資って怖いよ。

不動産投資の知識がないままに悪い業者に引っかかると、ローン組んで買ったのにいきなり3000万円一括請求の末路。自分でサインをしたら「知らなかった」では済まされないから、情弱のまま手を出した瞬間に人生が崩壊する世界。僕自身は不動産投資をやっていませんがブログでも不動産投資について書いていこうと思います。
@kazubonka

不動産投資って怖いよ。 不動産投資の知識がないままに悪い業者に引っかかると、ローン組んで買ったのにいきなり3000万円一括請求の末路。自分でサインをしたら「知らなかった」では済まされないから、情弱のまま手を出した瞬間に人生が崩壊する世界。

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2026年3月17日火曜日

整理銘柄、監理銘柄って何?

 よく株式投資欄を見ていて整理銘柄、監理銘柄という言葉が出てきますが解説します。

〇整理銘柄

証券取引所が定めている上場廃止基準に該当し、上場廃止が決定された銘柄のことです。 東京証券取引所では、2008年1月15日より「整理ポスト」という表現の使用をやめ、「整理銘柄への指定」としています。上場有価証券の上場廃止が決定された場合、原則として、1ヵ月間「整理銘柄」に指定し、その事実を投資家に周知させ、投資者が整理銘柄の売買を行うことができるようにしています。


〇監理銘柄

上場銘柄が上場廃止基準に該当するおそれがある場合に、投資家にその事実を周知するため、証券取引所により指定された銘柄のことです。


〇特設注意市場銘柄

有価証券報告書等の虚偽記載、不適正意見や、上場契約違反等の上場廃止基準に抵触するおそれがあったものの、金融商品取引所による審査の結果、影響が重大とは言えないとして、上場廃止には至らなかった銘柄のうち、内部の管理体制等の改善が必要で、継続的に投資家に注意喚起するために取引所が指定している銘柄のことを特設注意市場銘柄と言います。これに指定された銘柄は、「特設注意市場」に置いて、通常銘柄とは区別されて売買取引が行われます。



NISAのメリットデメリット

 〇NISAってどんな制度なの?

NISA(ニーサ)とは、少額からの投資を行う人のため2014年からスタートした「少額投資非課税制度」のことで、購入した金融商品(株式・投資信託など)から得られる利益がまるまる非課税になる制度です。


〇NISAのメリット

メリット①投資で得られた運用利益が一生涯非課税

本来、株式や投資信託などの金融商品に投資した場合、これらを売却して出た利益に対して約20%は税金でもっていかれてしまうのですが、NISA口座で投資した場合、税金がかからないため利益をまるまる受け取ることができます。

メリット②金融庁の基準を満たした商品に投資できる

NISAのつみたて投資枠で購入できる商品は、金融庁の定める基準を満たした商品のみです。いずれも「長期・積立・分散投資」に適した、低コストの商品が揃っています。

世の中で購入できる投資信託は6,000本以上もありますが、品数が絞り込まれているので、投資初心者でも選びやすいのがメリットです。

メリット③少額から気軽に資産運用ができる

少額から投資を始められるのもNISAの魅力の一つです。金融機関によっても変わりますが毎月100円から投資できる商品も沢山あります。

1,000円、1万円など、生活に負担をかけない範囲で長期的に資産形成を目指すことができます。


〇NISAのデメリット

デメリット①選べる金融商品が限定されている

NISA口座では株式や投資信託など、一定の条件を満たす商品しか購入できず、一般の証券口座と比べて選択肢が狭くなるため、自由に商品を選びたい人には制約と感じられることがあります。

デメリット②NISA口座は一人一口座、一つの金融機関でしか開設できない

お得なNISA口座ですが、開設できるのは一人につき一つの口座までである点には注意が必要です。

また、一つの金融機関でしか開設ができないため、複数の金融機関でNISA制度を使用するということはできない点に気を付けましょう。

デメリット③元本割れの可能性もある

前提の話となりますが、NISAで購入できる商品は投資信託、ETF、株式などになります。iDeCoのように定期預金などを選択することはできないため、NISAを利用する際には元本割れの可能性があることを認識しておく必要があるでしょう。

デメリット④NISA口座は損益通算や繰越控除ができない

一般的に、複数の口座で投資信託等の商品を購入して運用を行っている場合、利益から損失を差し引くことで、税金がかかる所得を減らすことが可能です。これを損益通算と言います。しかし、NISA口座で運用している分は他の特定口座や一般口座での運用分と損益通算することができません。従って、他の口座と損益通算をしようとして、NISA口座での運用資産を慌てて売却してしまわないように注意が必要です。また、損益通算を行ってもなお、損失がでてしまうという結果になった場合には、その損失を翌年以降最長3年間にわたって繰り越して利益と相殺することができる、繰越控除というものがあります。

デメリット⑤年間の投資上限がある

NISAの投資上限の総額は1,800万円であり、年間に投資できる金額の上限も決まっています。最大で、つみたて投資枠と成長投資枠を両枠合わせて年間360万円までが一年間で投資できる金額の上限となります。従って、手元に例えば500万円があるとして、それを今すぐNISAで運用したいと思っても、500万円を一括で投資することはできません。360万円と140万円に分けて2年間かけて投資を行うなど、年間上限額を超える場合には、何年かに分割をして投資を行う必要があります。

デメリット⑥債権を購入できない

購入した金融商品(株式・投資信託など)から得られる利益がまるまる非課税なので債権から得られる利益(利息)は非課税にはできません。

デメリット⑦配当金の受取方法を「株式数比例配分方式」とする必要がある

配当金の受け取り方法には「株式数比例配分方式」「一括振込方式(登録配当金受領口座方式)」「配当金領収証方式」「個別銘柄指定方式」があります。

株式数比例配分方式:各証券会社にお預けの株式などの数量に応じて、配当金をお客様の証券口座で受け取る方法です。

一括振込方式(登録配当金受領口座方式):保有する全ての株式などの配当金を一つの銀行口座で受け取る方法です。

配当金領収証方式:発行会社から郵送される配当金受領証を、ゆうちょ銀行などの窓口まで持参し、配当金を受け取る方法です。

個別銘柄指定方式:ご指定の銀行口座などで配当金を受け取る方法です(銘柄ごとのお手続きが必要です)。

株式の配当金を非課税にするためには「株式数比例配分方式」にしないとだめなんです。これに指定するとNISA口座を持っていない証券会社の株式も全て「株式数比例配分方式」で受け取ることになります。配当金を銀行で受け取りたい場合は一括振込方式(登録配当金受領口座方式)にしておき、NISAでは投資信託を購入するようにすればよいと思います。





2026年2月11日水曜日

「会社経営の行き詰まり→社長の破産」を回避可能に…2026年施行予定「早期事業再生法」の概要

 会社経営には波があり、いつも順風満帆というわけにはいきません。しかし「いよいよダメ」という局面になったとき、経営者自身の破産は避けられないのでしょうか? ここでは、会社倒産と代表個人の債務整理の関係のほか、2026年施行予定の「早期事業再生法」の概要を見ていきましょう。司法書士の加陽麻里布氏が解説します。

〇手遅れになる前に会社を立て直す…「早期事業再生法」とは?

会社経営において、資金繰りや業績の悪化といった「経営の行き詰まり」は決して珍しいものではありません。そのようななか、多くの経営者が恐怖を感じるのが、「会社が倒産したら、自分(代表・社長)も破産しなければならないのか?」という点です。2026年に施行が予定されている「早期事業再生法」は、こうした「手遅れになる前段階」で会社を立て直す、新たな制度として注目されています。この新制度を起点に、会社倒産と代表個人の債務整理の関係について、順を追って見ていきましょう。

(1)制度の概要

早期事業再生法(仮称)は、経営が悪化し始めた比較的早い段階で、会社の事業再生を図ることを目的とした新しい法制度です。従来の民事再生や破産と比べると、

●まだ債務超過や支払不能に至っていない段階

●事業自体には再生可能性がある段階

での利用を想定している点に特徴があります。

(2)施行が検討されている背景

この制度が検討されている背景には、次のような事情があります。

●民事再生は「遅すぎる」ケースが多い

●破産に至る前に、選択肢が事実上なくなっている

●経営者が「倒産=破産」と考え、早期相談をためらう

結果として、本来は立て直せたはずの企業が、破産以外の選択肢を失ってしまうという問題が指摘されてきました。

(3)民事再生・破産との違い

早期事業再生法は、あくまで「再生」を前提とした制度です。

●破産:清算が目的(事業は終了)

●民事再生:法的再生だが、開始時点で相当程度悪化していることが多い

●早期事業再生法:悪化初期での再生を想定

という位置づけになると考えられています。

〇早期事業再生法は「使える段階かどうか」の見極めが超重要

次のような状況にある場合は「早期事業再生法」の利用をお勧めすることができます。

○ 一時的な資金繰り悪化にとどまっている

○ 事業モデル自体は成立している

○ 金融機関との関係が完全には壊れていない

○ 経営者が早期に相談できている

次のような状況にある場合は「早期事業再生法」の利用はお勧めできません。

× すでに支払不能に陥っている

× 長期間の粉飾・資金流用がある

× 主要な取引先・金融機関との信頼関係が崩壊している

× 事業自体に継続性がない

この制度は万能ではなく、「使える段階かどうか」の見極めが非常に重要になります。

〇「早期事業再生法を使えない場合」の立て直し手段

早期事業再生法が使えない場合でも、直ちに破産しかないわけではありません。次のように、会社の状況に応じた選択肢があります。

●私的整理(リスケジュール・任意交渉)

●事業譲渡による再編

●第二会社方式

●民事再生

重要なのは、「どの手続が使えるか」よりも「いつ相談したか」です。

〇「立て直しが難しい場合」の対処方法(倒産手続)

事業の継続が現実的でない場合には、会社としての倒産手続を選択することも、経営判断のひとつです。

●破産手続

●特別清算(条件が整う場合)

倒産は「失敗」ではなく、法的に整理して次へ進むための手段でもあります。

会社が倒産した場合、代表(社長)も債務整理が必要か?

多くの経営者にとって「会社が倒産した場合、代表(社長)も債務整理が必要か」という点が、最大の関心事だといえます。代表の債務整理が必要になるケースと、そうはならないケースをそれぞれ見ていきます。

(1)代表の債務整理が「必要になるケース」

●金融機関借入に個人保証をしている

●代表個人名義の借入がある

●会社債務を個人で肩代わりしている

日本の中小企業では、代表者の個人保証が付いているケースが多いため、会社倒産と同時に、代表個人の債務整理が必要になることは珍しくありません。会社が融資を受ける際は、基本的に代表者が連帯保証人となるケースが多いです。この場合、会社の債務整理を行っても、代表個人の連帯保証債務はなくなりません。

会社の破産となると連帯保証額も巨額となるため、基本的には代表も自己破産または個人再生で債務整理を行うことになる場合が大半です。

(2)代表の債務整理が「不要なケース」

次のような場合は、会社が倒産しても、代表個人は破産せずにすむ可能性があります。

●個人保証が付いていない

●代表個人の借入がない

●会社と個人の資産・債務が明確に分離されている

つまり、会社の借金に対して、代表が責任を負っていないというケースです。連帯保証もないため、代表個人が債務整理を行う必要はない状況となります。

〇事前対策…会社倒産時、「自分の資産」まで失わないために

重要なのが、問題が起こる前の「事前対策」です。

●個人保証の内容を把握しておく

●会社と個人の資金を明確に分ける

●安易な追加保証・連帯保証を避ける

●早期に専門家へ相談する

倒産時に慌てて動いても、選択肢はほとんど残っていません。資産を守れるかどうかは、「倒産前の行動でほぼ決まる」ということを、覚えておきましょう。

〇「倒産」「破産」以外の選択肢を持てる可能性

早期事業再生法は、「倒産か、破産か」という二択しかなかった状況を変える可能性を持つ制度です。しかし、どの制度を使うにしても、早期の判断と専門家への相談がなければ意味を持ちません。会社が苦しいときこそ、「会社の問題」と「自分個人の問題」を切り分けて考えることが、経営者自身を守る第一歩になります。


THE GOLD ONLINE 2026/2/11


2026年1月24日土曜日

経営不振でも不祥事でもない…あえて「上場廃止」を選ぶ日本企業が続出している裏事情

 2025年、東証で上場廃止する企業は100社を超え、過去最多を記録した。中央大学の近廣昌志准教授は「上場企業としての優位性が薄れ始めている。アクティビスト(物言う株主)の拡大や配当性向のプレッシャーから、上場廃止を目論む企業は今後も増えるだろう」という――。

〇投資家が「上場廃止」に注目する理由

上場廃止は、多くの場合、市場価格より高く買い取られるなど「上場廃止利得」が得られるため、次はどの企業が上場を廃止するのか、これを見極め予測することは株式投機のひとつの戦略だ。2025年の上場廃止企業の割合は、東証プライム上場会社数1599社のうち45社で約2.8%、東証スタンダード1568社のうち59社で約3.8%、東証グロース613社のうち21社で約3.4%と、実数も割合も増加している。上場廃止の理由を見ると、TOB(株式公開買付け)が圧倒的に多く、買収・合併とMBO(経営陣による自社買収)が続く。この増加傾向は2026年以降も続くとみられる。上場企業であることは、良い人材を採用するうえで最も重要な要件のひとつで、これまで上場コストや上場維持コストをかけてでもそのステータスを維持しようとする企業が多かった。しかし、ここへきて流れが変わろうとしている。

〇上場時点で「乗っ取り」リスクが生まれる

「証券市場は企業の資金調達のためにある」という教科書的な解釈を信じている人は少なくないだろう。しかしIPO(新規株式公開)で新たに上場企業になる場合であっても、必ずしも資金調達を目的としているとは言えない。IPOは、創業者やベンチャーキャピタル等のEXIT戦略としての意味合いが大きく、創業者が保有する株式の一部を一般に売却するだけなら資本金を増やすことにはならない。それを「ダイレクトリスティング」と呼ぶ。上場企業になるためには、証券取引所の定める基準を満たし、IRに関わる費用がかさんでしまい、そもそも会社のことを色々と公開しなければならなくなる。それよりも何よりTOB等で買収される可能性に怯えることになる。2025年末には、小林製薬の筆頭株主が香港系の投資ファンド「オアシス・マネジメント」になり大きな話題になった。このファンドは市場でじわじわと小林製薬の株式を買い増していたのだ。これを批判する意見も見られるが、上場している以上、文句を言うのはお門違いだ。

〇「狙われやすい企業」の4つの共通点

経営陣が株式を買い占めて非上場化を目指すMBOのためには、上がりすぎた自社の株価下落はチャンスになる。一方で、時価総額が大きいと、買収する側も障壁が高くなり買収される蓋然性は低くなる。そもそも、どのような上場企業がTOBのターゲットになりやすいのかという観点から、4点ほど紹介したい。第1に、1株当たりの利益に対して株価が比較的低い、時価総額が小さい企業だ。業績自体は悪くないのに同業種よりも株価が低迷していると、当然のこととしてTOBでも狙われやすい。だからこそ、経営陣はMBOを真剣に検討するのだ。第2に、ファミリー色の強い企業だ。特にオーナーによる企業統治が鮮明な企業も、上場を維持して同意なき買収に巻き込まれるより、MBOを選択するインセンティブは大きい。さらに高配当の企業は、利益を創業家に還元しており、配当に回すより新事業に振り向けたほうが長期的に企業価値は高まると考えられる。むしろ事業拡大ができていない企業は狙われやすいともいえる。

〇投資ファンドにとって魅力的に映るもの

第3に内部留保の多い企業にも注目が必要だ。内部留保とは経営上の概念で、財務諸表で言えば利益剰余金を指す。内部留保が大きいからと言って、流動性資産(現金・預金)が大きいとは限らないが、本業に直接関係のない資産を売却して配当に回せる余地が大きいとも言えることから、TOBを仕掛けられる余地も大きい。第4に本業以外に関わる資産が大きい企業だ。これはアクティビストにとって、とても魅力的に映る。典型的な事例は、本業の事業とは別に、保有不動産からの収益が大きい企業だ。株価にとってROA(総資産利益率)を上げることは最も重要な観点で、同じ利益ならバランスシートが小さいスリムな企業のほうが株式市場の評価は高くなる。保有する不動産をことごとく売却して得られる流動資産を配当に回すことは、株価を上昇させる手っ取り早い方法だ。

〇非上場でも立派な企業はたくさんある

上場企業であるかどうかは、今でも就職活動中に学生にとって大きな基準であることに違いはない。親が安心するから、生涯年収が良いから、企業年金があるから等、学生たちは関心のある業種や企業風土よりも「上場企業であるか」を重視してきた。これこそが上場企業が上場を維持する最大の理由といっても過言ではない。一方で、新卒や転職の際の就職希望先に対する判断も多様化してきており、むしろ非上場企業の「穴場」や、すぐに成長機会を与えてくれる企業、年功序列ではなく実力が年収に直結する企業を選ぶ学生が増えてきていることも確かだ。筆者は大学のゼミ生に『四季報・未上場会社版』(東洋経済新報社)を見せて、世の中には非上場でも産業の基幹をなす立派な企業の存在を伝えている。未上場企業が持っている上場企業にない魅力を知ってほしいからだ。

〇上場のメリットよりデメリットが目立つように

上場企業を英語で“Listed Company”や“Public Company”という。Listedは言葉通り証券取引所のリストに挙げられるという意味で理解しやすいが、Publicについては「公共」と訳すものではない。Publicとは、対価さえ支払えば誰でもアクセスできる、つまり株式を購入すれば誰でも株主になれる会社という意味だ。だからこそ、四半期ごとの決算を公開する必要に迫られる。長年にわたり新規株式発行による増資を行っていない上場企業が、より多くの自社の情報を公開しなければならず、手間も費用もかかるのに、上場を維持し続けているのは、優秀な人材を確保するためだ。しかし、就活生や転職希望者の基準が変わりつつある今、企業にとって上場し続けるインセンティブもじわじわ低下している。未上場・非上場で社員の年収が高い企業が増えると、上場企業というブランド価値が薄れる一方、買収される可能性という「恐怖」が目立ち始める。だからこそ、MBOで上場廃止を狙う企業が今後も増えていくと予想される。これはTOBやアクティビストの介入を避けるためでもある。

〇「物言う株主」は企業にとって悪者なのか

アクティビストから口出しされる企業側からすると、短期的な株価上昇が求められ、創業者の理念や歴史などを軽視されると良い気はしないはずだ。だがアクティビストをはじめとする投資ファンドは、株価を上昇させたうえで彼らもEXITすることが目的なのだ。支配ではなく株価上昇が目的であれば、既存株主である創業家にとっても悪いことばかりだけではない。アクティビストが関わり、投資ファンドによる株式保有が増えると、その企業の株価が上昇しやすいことは,証券市場や企業統治の研究分野ではよく知られている。株価が上昇することと、企業業績が改善することとは必ずしも同義ではないものの、低迷するよりは、ROA上昇など根拠を伴う好調な株価のほうが歓迎すべきだろう。もちろんアクティビストが「物言う株主」だからといっても、株価が上がり続ける保証はない。ひとつ注意が必要なことは、アクティビストが有する株式を、時の市場価格を下回る価格で次のファンドに売り渡すこともあるという落とし穴だ。先述したアクティビストとしての投資ファンド「オアシス・マネジメント」は、昇降機メーカー、フジテックの株式を取得し、2020年1月の株価約1740円から2025年1月には6100円へと、3.5倍に大きく株価を上昇させた。その後、市場で6200円だったフジテックの株式を、2025年7月になんと1株5700円で売却すると発表した。オアシスとしては確実に次のファンドに売却するために「値引き」したことになる。

〇「外圧」に耐え続ける上場企業は偉い

上場を維持する企業は、それでも社会的に偉い。証券市場が十分に機能するためには、優良企業が上場した状態にいなければならない。企業が利益を出せるのはもちろん優秀な財やサービスを提供できる能力がある証左であるが、もう一つ、「配当」という利益を社会にパブリックに分配する仕組みは忘れてはならない側面だ。年金の運用も、だいぶ社会に浸透した投資信託も、株式市場のおかげで成り立っている。カラフルで妙なピンバッチを胸につけて連帯感を得るより、社会の中で利益を出し、そしてその利益が広く株主の配当となる、それこそが根本的な上場企業、そして証券市場の社会的責任というわけだ。

「物言う株主」を排除するために非上場を選ぶのか、「外圧」によって現状の課題を克服するのか――。資本主義がもっと効率的になることは社会的に歓迎されることではないか。

---------- 近廣 昌志(ちかひろ・まさし) 中央大学准教授 1978年広島県生まれ。中央大学商学部金融学科卒業。中央大学大学院商学研究科博士後期課程修了、博士(金融学)。愛媛大学准教授を経て2022年より現職。専門分野は貨幣金融論・貨幣供給理論。主な出版物に『60分でわかる金利 超入門』(監修)技術評論社 2025年、「通貨と銀行」(『入門銀行論』2023年、有斐閣、第2章の一部所収)、「管理通貨制と中央銀行」(『新版 現代金融論』2016年、有斐閣、第5章所収)他。ピアノという楽器が好きで、自身のYouTubeチャネル「ちかひろピアノ」を開設している。 

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2025年12月8日月曜日

米国債について

 ネット証券等を利用しているのですが最近米国債に興味があり、色々調べてみました。あくまでも個人的意見ですので最終的判断は自己責任でお願いします。

〇米国債の種類

①償還期間が1年以下の短期債の「トレジャリービル」

②償還期間が1年超10年以下の中期債の「トレジャリーノート」

③償還期間が10年超の長期債(一般的に30年物)の「トレジャリーボンド」

の3種類あります。これ以外に

①トレジャリーノート

②ストリップス債券

の2種類があります。


〇米国債を購入するメリットデメリット

・メリット

日本国債より利息が高い場合がある。

為替差益が生じる場合がある

・デメリット

「為替差損が生じる場合がある」

為替の変動による利益または損失のことです。

「価格変動リスクがある」

債券も株式と同じように毎日価格が変動します。そして債券価格と金利は逆相関の関係にあり、金利が上昇する局面で債券価格は低下、金利が低下する局面では債券価格が上昇する傾向にあります。したがって米国債の購入後に金利が上昇し、債券価格が低下した局面で中途売却しなければならないときには、売却損が出る可能性があります。ただし債券は償還時には額面金額で償還されるため、金利上昇局面でも償還日が近づけば価格は額面金額に近づくという特色があります。

「政治的リスクがある」

米国は信用格付けも高く、また米ドルは基軸通貨として信用度も高いため、債務不履行になる危険性は少ないです。ただし最近では政治的な問題から一時的な債務不履行に陥る危険性が起きています。


〇米国債の種類と特徴

・トレジャリーノート

利付債券(利息が付く債権)のこと。

・ストリップス債券

ゼロクーポン債(利息は付かない)が割引価格(価格が安い)販売されており満期時に額面価格で償還される債券です。この額面価格と割引価格の差(償還差益)が利息になります


〇ストリップス債券のメリットデメリット

・ストリップス債のメリット

利付債は毎年(毎回)の利払いごとに税金が差し引かれますが、ストリップス債は償還時に一括で課税となるため、毎年(毎回)発生する利息を税控除なしで再投資するのと同様の効果があります。債券は支払われた利息を同じ債券に再投資することは難しいため、償還までの期間が長ければ長いほど、納税が後になるメリットは大きいでしょう。少額の利息を少しずつ受け取っても意味がないという方には向いているともいえますし、逆に、毎回の利払いを楽しみにしている方には向いていないのかもしれません。

・ストリップス債のデメリット

注意点としては、ストリップス債にはクーポンがついていないため、金利による価格変動の影響が利付債より大きい傾向にあります。昨日と今日では買付価格が異なることもありますし、既発債(外国債券は、一般の人が購入するほとんどが既発債で、すでに発行されているものを証券会社から購入する方法を取ります)のため、常に同じものがあるとは限りません。自分の条件に合う債券が見つかったら、その場で決断しないと翌日には買えない可能性もあります。また、途中売却するときには価格が変動しているため、利益が出ることもあれば、損が出る可能性もあるため、購入の際には、満期償還まで持つ前提で選択していただくことをおすすめします。


〇ストリップス債券の償還差益に対する税金

購入時の割引価格と額面との差額が「償還差益」として同じく20.315%で課税されます。 


2025年11月30日日曜日

MMFとは?MRFや一般的なファンドとの違いをわかりやすく解説

 投資家から集めた資金をひとまとめにして、専門家が運用をする投資信託。投資信託は運用対象や分配方法などによってさまざまな種類に分けられます。その中の一つに「MMF」という商品があることはご存知でしょうか。本記事ではMMFの特徴や投資するメリット・デメリット、一般的な投資信託との違いなどを詳しく解説します。どの金融商品に投資すべきか迷っている方は参考にしてみてください。

〇MMFとは?

MMFは外国投資信託の一種で、一般的な投資信託と比べると安全性の高い商品とされています。外貨預金やMRFとの違いなども含めて、まずは特徴を把握しておきましょう。

・MMFとは?

MMF(マネー・マーケット・ファンド)とは、高い格付けの短期金融商品によって運用される投資信託のことです。米ドル・ユーロ・オーストラリアドル・カナダドルなどの外貨で運用されるため「外貨建てMMF」と呼ばれることも多くなっています。日本円で運用されるMMFは「マネー・マネジメント・ファンド」と呼ばれており、投資対象は似ているものの、外貨建てMMFとは別の商品です。日銀のマイナス金利が導入され、元本割れのリスクが出てきたため、運用難に陥ったMMFの繰り上げ償還が相次いだことから、現在円建てのMMFを買付することはできません。そのため、本記事では「外貨建てMMF」について解説します。MMFの主な投資対象は公社債やCP(コマーシャルペーパー)、CD(譲渡性預金証書)などです。なお、CPとは、企業が1年未満の短期で資金調達するための無担保の約束手形のことを指し、CDは、第三者に譲渡可能な自由金利の大口定期預金のことを指します。MMFは基本的に株式を投資対象に含んでいない点が特徴であり、一般的な投資信託よりも安全性を重視した商品といえるでしょう。ただし、ほかの投資信託同様に、元本保証があるわけではなく運用実績によって利回りが変化する点には注意が必要です。また、売買手数料はかからないケースが多くなっています(為替手数料はかかります)。

〇MMFと外貨預金の違い

MMFと外貨預金は「外貨で投資する」という点は共通しているものの、MMFは外国投資信託の一種であるため、特徴には以下のように違いがあります。

・MMF

利回り:運用成果によって変動する。外貨預金よりも高い傾向あり

元本保証の有無:元本保証なし

換金性:いつでも解約可能

倒産時の資産管理:証券会社の資産と分別管理されるため、倒産時でも資産は保護される

為替手数料:外貨預金よりも低めに設定されていることが多い


・外貨預金

利回り:日々変動する

元本保証の有無:外貨ベースで元本保証あり(為替差損益はある)

換金性:いつでも払出し可能

倒産時の資産管理:預金保険制度の対象外のため、資産は保護されない

為替手数料:MMFよりも高めに設定されていることが多い


〇MMFとMRFの違い

MMFと同じような公社債投資信託として、「MRF」と呼ばれる商品があります。MRFは「マネー・リザーブ・ファンド」の頭文字を取ったものでMMFと基本的に投資対象は同じです。しかし、MMFは総合口座を開設した後に都度購入する必要があるのに対して、MRFは総合口座への入金を済ませると自動的に運用されるといった違いがあります。また、MRFのほうがMMFより短期(残存期間の短い)かつ信用リスクを抑えた債券やCP、CDなどで運用されているといった点も違いです。証券会社の中には、株式や投資信託などを購入するときにMRFを自動的に売却して買付代金に充当し、逆に売却したときは売却代金で自動的にMRFを購入するといった、いわば「投資資金の置き場所」として活用できるところもあります。

・MMF

名称:Money Market Fund

投資先:国外

買い付けの有無:自己の判断による買い付け

手数料の負担:あり(会社により解約手数料や為替手数料が発生)


・MRF

名称:Money Reserve Fund

投資先:国内・国外

買い付けの有無:自動で運用される

手数料の負担:なし


〇MMFと一般的な投資信託との違い

MMFは流動性を確保しつつ安定した収益を追求する金融商品です。そのため、短期の国債や地方債、社債などを投資対象とし、最低1,000?1万円程度から1円単位で購入・売却できるようになっています。ただし、外貨で運用されるため、為替の動きが損益に影響する可能性があります。一方、一般的な投資信託は株・債券・不動産など、銘柄によって投資対象が異なるため、リスク・リターンは銘柄によって大きな違いがあります。また、最低購入額はファンドごとに基準価額は違いますが一般的に1口1万円前後からで、投資対象によって日本円で運用するものと外貨で運用するものに分かれているのも特徴です。


〇MMFのメリットとデメリット

MMFにはほかの金融商品と同様に、メリットとデメリットがあります。投資すべきか判断する際の材料にしてください。

・MMFのメリット

MMFは株式と比べて価格変動のリスクが低い公社債などで運用されているため、大きなリターンを得ることは難しいものの、安定したリターンを期待できます。また、投資信託の分配金は元本に再投資されるため、利息が利息を生み出す「複利効果」を得やすくなる点もメリットです。外貨預金は元本に対してのみ利息が発生する「単利」で運用される商品が少なくないため、外貨預金よりもMMFの方が利回りは高くなる傾向があります。さらにMMFを円高のときに購入し、円安になってから売却すれば為替差益を狙うことも可能です。例えば1ドル=140円のときに140万円分(1万ドル分)MMFを購入したとしましょう。これを、1ドル=150円のときに売却すれば、1万ドル×150円=150万円になり、差額の10万円が利益となります。そのほかに、いつでも解約できる点もMMFのメリットといえるでしょう。

・MMFのデメリット

MMFは投資信託の一種であるため、元本が保証されている商品ではありません。例えば市場金利が上昇すると、ファンドに組み込まれている債券の価格が下落して、MMFの価格が下落する可能性があります。また、円安時にMMFを購入し、その後円高が進んでから売却した場合には、為替差損を被るリスクもあるでしょう。あるいは、ファンドに組み込まれている公社債の発行体が財政難に直面し、債務不履行に陥るリスクも考えられます。比較的リスクの低い商品とはいわれているものの、損失を出す可能性が全くないわけではありません。



2025年10月23日木曜日

楽天銀行エクステ預金について

 預入期間が延長される可能性があるかわりに、好金利の円定期預金(仕組預金)です。 当初の預入期間は1年ですが、1年ごとに預入期間を1年延長するかどうかを当行が判断します。「15年もの」の場合、最長15年まで延長される可能性があります。原則として中途解約ができません。

分かりやすく書くと「預入期間1年~15年(預けた時点では何年になるか不明)」「1年ごとに銀行が預金を続けるか返金するか決める」「最長で15年まで出金できない可能性がある」「途中解約はできない」なんです。

〇リスク

・資金が拘束されるリスク

楽天エクステ預金にお金を預けると15年間にわたりお金を引き出せない可能性があります。ちなみに普通の定期預金と違い解約はできません。商品の詳細説明に『この預金の中途解約はできません』と記載されています。

・楽天エクステ預金の利回りは高いの?

「15年間使う予定がないなら、高利回りで預けられてお得でしょ?」と思われた方がいるかもしれません。「いや、15年後に金利が下がっていれば儲かるじゃないか」と思いましたか?しかし、そう思った方は楽天エクステ預金の仕組みを理解できていません。「私たちが得する金利になると返金される」という顧客に有利な金利は銀行にとって不利な金利です。延長なんかせず途中でお金を顧客に返してしまうでしょう。楽天エクステ預金の『1年ごとに返還か判断…』は「銀行に不利な金利になったら契約を終わりにしますよ」というだけなのです。

〇「楽天エクステ預金の預入期間は金利で決まる」

なお、私は金融機関の中の人ではありませんので、様々な書籍やネット情報を元にした推測であることはご了承ください。まず、大前提として預入期間は他の金融商品の利回りによって決まります。

・定期預金の金利が上がっても低金利がつづく

たとえば以下のケースで考えてみましょう。

定期預金:0.02%

楽天エクステ預金:0.6%

現在の市場金利だと楽天エクステ預金の0.6%は魅力的に感じます。しかし、これから金利が上昇し普通の定期預金が2.0%で預けられるようになったらどうなるでしょう。お金を0.6%の楽天エクステ預金より2%の定期預金の方がいいですよね。しかし、期間延長を決めるのは銀行です。途中解約もできません。私たち顧客は0.6%の低利回りで我慢するしかありません。

・私たちが有利になったら延長されない

では逆に市場の金利が下がったらどうなるでしょう。わかりますよね。銀行は高い金利を払い続けたくないのですから、預入期間を延長せず、さっさと返金してしまいます。私たち顧客は15年間0.6%の利回りで固定されるという特大のリスクを取って、楽天エクステ預金に投資しました。しかし、延長期間を決められる銀行だけが途中で「やっぱやめた」ができるのです。物凄い不公平な金融商品が楽天エクステ預金なんです。

・「短い期間でも高利回りを得たい」なんて思わないで!

ひょっとして「払い戻されても、高利回の期間は儲かるじゃないか?」と思われましたか。しかし、それは結果論です。楽天エクステ預金に投資する時点で15年間お金引き出せない『資金拘束リスク』があることを忘れてはいけません。また「金利の下落を予想するなら投資していいだろ」と思われたのなら、さらに危険な考えです。

・楽天エクステ預金は金融のプロが考えた金融商品

未来の金利予想は非常に難しいものです。そんな中で金融のプロの方々は全力で未来の金利を予想し、その結果を元に作られた金融商品が楽天エクステ預金です。そして金融商品は基本的に売る側(銀行)に有利に作られます。つまり、金利の下落を予想し楽天エクステ預金の早期払い戻しで利益を得ようとする行為は、「私は金融のプロより金利に詳しいです!」と言っているのと同じなんですよ。


〇楽天エクステ預金(ステップアップ)とは

楽天エクステ預金(ステップアップ)は、円定期預金に『JRE BANKの銀行サービス提供元である楽天銀行(以下、当行とする)が任意に預入期間を延長することができる権利』(以下「延長特約」といいます。)を組み合わせることにより、通常の円定期預金よりも預金利率を高く設定した商品です。預入期間は1年間です。ただし、当行が満期の延長を決定した場合には、預入期間は延長後満期日まで1年延長します。延長有無の判断は毎年行い、預入期間は最長で10年になります。預入期間が延長されるごとに金利が上がる。

※「楽天エクステ預金(ステップアップ)」は原則として中途解約できません。相続や差し押さえなど当行がやむを得ないと認めるもの以外は中途解約をお断りいたします。

※当行がやむを得ないと判断し中途解約を認める場合、元本割れする可能性が高くなります。

〇楽天エクステ預金(フラット)とは

楽天エクステ預金(フラット)および楽天エクステ預金(ステップアップ)は通常の円定期預金に「当行が任意に預入期間を延長することができる権利」(以下「延長特約」といいます。) を組み合わせた商品です。 延長特約を行使する権利は当行にのみ帰属し、お客さまに延長特約を行使する権利はありません(お客さまは満期日を選べません。)。全期間の金利が一定となる。

預入期間が短い場合は、フラット型の金利が有利となり、長くなるとステップアップ型が有利になります。

個人的にはエクステ預金はお勧めしません。僕自身楽天銀行に口座を持っていますがエクステ預金はやっていません。


2025年9月11日木曜日

新株予約権付社債とは?転換社債との違いやメリット・デメリットを解説

 〇転換社債とは

Convertible Bondの頭文字をとって呼ばれるCBは、かつて転換社債と呼ばれていたが「転換社債型新株予約権付社債」が商法上正しい名称である。株式に転換する権利(転換権)を持つ社債のことであり、あらかじめ決められた価格で一定期間内に株式に転換する権利を持った債券ということになる。例えば、転換価格が1,000円と定められたCBを発行した株式会社のその社債権者は株価が上昇して転換価格を上回る1,200円になったとすると、1,000円で転換できる権利があるため、その時点で債券を株式に転換し市場にて1,200円で売却すれば、その差額200円が収益となり、株式を割安に購入したことと同じ結果が得られることになる。逆に、転換価格(1,000円)を下回っていれば転換せずに債券として保有することにより、クーポン収入と額面金額は保証されることになる。このように、債券としての安全性(利息と償還金の確実性)と、株式としての収益性の両面を選択しながら投資できるという特徴がある。


〇発行側のメリット

・株式転換したら自己資本比率が高くなる

社債(負債)が資本になるので自己資本比率が高くなります。

・株式転換すると金利負担が減る

社債の金利負担は減るが配当金の負担は増える。


〇発行側のデメリット

・株式に転換した時に急に大口株主が現れることがある

転換社債を投資ファンド(特に物をいう株主)が取得していた時にその投資ファンドが大口株主になるため、株主総会で対応の仕方が大変になる。株式ではないためいわゆる「5%ルール」に抵触せずに買い集めることができることから、会社や他の投資家に知られることなく転換社債を買い集めて一気に転換し、突然大株主として経営の主導権を握ることも可能である。村上ファンドが阪神電気鉄道に対しこの方法で一気に大株主となり、最終的に阪神は長年のライバルであった阪急電鉄に経営統合させられることとなった。

・株式転換した時に1株当たり純利益や1株当たり純資産額が少なくなる

株式転換すると発行済み株式数の数が増えるのでそうなる

・株式転換すると配当金負担が増える

社債の金利負担は減るが配当金の負担は増える。

・自社株買いにおいて株主総会の決議が必要になる

社債の期日前償還の場合取締役会決議で償還できるが株式転換後の自社株買いを行う場合株主総会の決議が必要になる。

・株価が上昇しなかったら現金で負債を支払わなければならなくなる

株価が期待以上に上昇しなかった場合株式に転換する事が出来ず負債を現金で支払わなければならなくなるため、それが原因で破綻するケースもある。結果として資金繰りが悪化する。ヤオハンのように破綻・倒産した企業もある。


〇投資家側のメリット

・社債であれば定期的に利息収入が受けとることが出来る。

・株式転換した場合配当金が受け取れたり株価が上昇した場合売却益が受け取ることが出来る。


〇投資家側のデメリット

・株式転換した場合、株価が下落したり期待したほど配当金が受け取ることが出来なかったりする場合がある。

株式転換後株式売却前に会社が破綻した場合配当金や売却益を受けたることが出来なくなる。


MRFとは

 〇MRFとは何?

マネーリザーブファンド(追加型公社債投資信託・自動けいぞく投資専用・マル優適格)の略称です。毎日決算を行い、実績に応じて収益(運用の結果出た利益)が分配されます。このときに分配されるお金を分配金と呼びます。分配金は1か月分まとめて自動的に再投資(MRFを買い付け)されます。MRFには以下のような特徴があります。これは銀行の貯金とは異なります。

特徴①「MRFは元本割れのリスクが低い」

MRFは安定運用を行うため、国内外の公社債およびコマーシャル・ペーパー等に投資対象を限定しています。具体的にいうと、「債券を組み入れるのなら格付けが高いもの」、「組み入れた金融商品の平均残存期間は90日を超えないこと」などのルールがあります。株式は投資対象外です。

特徴②「決算、実績に応じて収益が分配される」

運用の成果を毎日計算し、決算、実績に応じて投資対象や、収益分配金が変動します。MRFは高格付け債券、CP(コマーシャルペーパー)、CD(譲渡性預金)などの短期金融商品で運用されており、且つ購入単位は1円以上1円単位で、購入後いつでも手数料なしで引き出しが可能です。投資対象の収益は月末にまとめて自動的にお客様のMRFに再投資されます(もちろんMRFの入金額により、月末に再投資される分配金も変わります)。

特徴③「MRFは手数料なしで入出金できる」

原則として、いつでも手数料なしで、1円単位から入出金することができます。

ATMを利用する場合、入出金は1,000円単位からとなります。

特徴④「ATMまたはオンライントレードを利用して入出金が可能」

ネット証券ではネット銀行から入金もできますね。


〇注意事項

銀行預金は元本が保証されておりさらにペイオフ制度によって1,000万円までの預金とその利息が保護されます。 一方、MRFは投資信託であり元本保証はありません。 しかし投資信託には分別管理が義務付けられており証券会社や信託銀行が破綻しても資産が保護される仕組みになっています。



2025年4月22日火曜日

インボイス制度公表サイト

 2023年10月から始まったインボイス制度に登録しているかどうかを調べることが出来るサイトです。運営している会社の情報を調べるのに便利ですね。

https://www.invoice-kohyo.nta.go.jp/


2024年12月31日火曜日

自社株買をするメリットデメリット

 新聞をよく読んでいると「○○株式会社が自社株買をする」「今年自社株買をした金額が○○円だった」と言う話を聞きますね。自社株買をするメリットデメリットについて書きたいと思います。

〇自社株買いとは

自社株買いとは、企業が自社の株式を市場から買い戻す行為を指します。自社株買いを行うと、市場に出回る株式の数が減少するため、結果的に株価の安定・上昇の可能性が高まります。

○メリット

1、1株当りの純資産額や当期純利益額が増える

「1株当りの純資産額や当期純利益額」は発行済株式数から自己株式の株式数を引いた株式数で計算するため、自社株買をすればするほど1株当りの純資産額や当期純利益額は経営状態が同じであれば増えることになる。

2、株価が高くなる可能性がある

株価とは会社の業績だけでなく流通している株式数等によっても左右される部分があるため、業績が良くて自社株買をすれば株価が上昇する可能性がある(あくまでも可能性)。

3、株主への利益還元

自社株買を行うと前述の通り株式数が減り、株主にとっては1株当たりの利益配分が増えるため、間接的に 株主への利益還元 につながります。

4、財務体質の改善

株式数が減少することで、これまで株主に支払っていた配当金の支払い額も減少します。その結果、企業の財務体質改善という効果が期待できます。

5、敵対的買収リスクの低減

市場から買い戻すことで自社株の持ち株比率を高め、敵対的買収など外部から買い占められるリスク低減への対応策として自社株買いが行われる場合もあります。

6、ストックオプションへの活用

ストックオプションとは、自社株をあらかじめ定めた価格において購入できる権利を指します。このストックオプションで付与するための株式の調達方法として、自社株買いを用いるケースがあります。従業員は自社株を取得することで株主になり、業務をとおして企業価値を高められれば、個人資産を増やすことが可能です。企業への貢献や自身の働くモチベーションの向上にもつながることが考えられます。

7、非上場株式の現金化

非上場企業の場合、株式を保有する個人株主が相続などにおいて株式を現金化したい場合、企業に対して株式の買い戻し請求を行い、現金化するケースがあります。

企業側にとっては株主数が減少するため株主の管理がしやすく、株式の分散化を抑制できるという効果もあります。


○デメリット

1、自社株買をするために株主総会の決議が必要である

自社株買を行うにあたって株主総会が必要になるので会社側にとって手続きが増えることになる。

2、処分可能額以下の金額でなければ自社株買いが出来ない(業績が悪く配当可能額が少なければ自社株買いで切る金額も限られてくる)

3、株価が高いと当初予定していた株式数を自社株買出来ない場合がある

処分可能額(配当限度額)内でなければ自社株買が出来ないため、自社株買をする時に株価が高いと当初期待していた金額の自社株買が出来ても株式数を取得出来ない場合がある。

4、自社株買をするための資金が必要である。

自社株を市場から購入するための資金が必要になってくる。そのための現金預金があればよいのだがなかった場合、銀行等から資金を調達する必要が出てくる。企業の業績がよく投資格付け等がよければ資金調達できるが、調達できなければ自社株買自体出来ないことになる。

5、自己資本比率の低下

自社株買いは、手元のキャッシュ(自己資本)を使って行われるため、自己資本比率(自己資本÷総資本)が低下します。自己資本比率が低下することで財務リスクがあると見なされ、株主や投資家から懸念を持たれる可能性があります。

6、企業の成長を阻害

自社株買いは計画と実行に多くの時間や経営リソースを要します。企業はこれらのリソースを自社株買いに充てることで、他の重要な業務や戦略的な活動に割くことができなくなり、成長を阻害する可能性も考えられます。

7、取得した株式の処分で株価下落の可能性

自社株買いによって取得した自己株式の取扱い方法は、「資産として自社で保有」「売却して処分する」「消却」の3つがあります。

処分した場合、売却資金を獲得できる一方、売却した株式は市場に戻り、発行済株式総数が増える(元に戻る)ため1株当たりの利益は減少します。そのため株価下落の可能性も考えられます。

8、処分・消却には手間とコストがかかる

自社株買いで取得した株式の処分や消却には、手間とコストがかかるというデメリットがあります。企業が自社の株を買い戻したあとは、保有、消却、売却、などが考えられますが、処分する場合には手続きや費用が伴います。消却する場合は株主総会の承認や登記が必要となり、ある程度の時間と手間がかかります。

またストックオプションとして使用する場合(自己株式の処分)には、従業員に対するインセンティブとしての評価や、行使価格設定における慎重な検討が必要になるでしょう。


○その他

自社株買をするのは良いのだが、自社株買した株式をその会社がどのように活用しようとしているのかと言うことも見ておく必要性がある。買取った株式を「消却する予定なのか」「M&Aに活用するのか」「ストックオプション等に利用するのか」と言った方向についても見ておく必要性がある。


信託口って何?

 よく株式の主要株主の欄を見ていると「日本トラスティサービス信託口」「日本マスタートラスト信託口」と言う言葉を見たことがありませんか。ここで言う信託口とは「投資信託」「年金(厚生年金や国民年金)を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人のこと)」「企業年金」が信託銀行を通じて資金の運用をしていることを示すことを示す表示なんですよ。こういう「投資信託」「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)」「企業年金」の場合極端に問題があり、信用力の低い会社に投資していることはありません。但し、誤解しないでほしいのは「信託口」が株主になっている会社が絶対に倒産しないとか、問題の会社だと言っているわけではありません。あくまでも当市は自己責任という前提で行う必要性はあります。


税外収入

 国家の財政収入のうち租税以外の収入をいうが,通常は公債と前年度剰余金ははずす。専売納付金,官業収入,政府資産整理収入,日本銀行納付金や日本中央競馬会納付金,国有財産利用収入などの雑収入,借入金などがある。近年は租税収入の減少により財政が逼迫(ひっぱく)しており,土地,建物等の国有財産を処分するなど,税外収入の増加が図られている。なお,地方公共団体の地方税外収入は,公有財産収入,受益者負担金,使用料・手数料,国庫支出金,地方債,一時借入金などがある。


財政収入のうち租税収入および公債,借入金以外のもの。国の場合は,専売納付金,官業益金および官業収入,政府資産整理収入,雑収入,前年度繰越金の受入れから成り,社会保険関連の特別会計における社会保険料収入は含まない。地方公共団体の場合もこれに準じ,特別会計からの繰入金,財産収入,分担金および負担金などから成る。


デットエクイティスワップとは

 デットエクイティスワップという言葉を知っているだろうか。あまり聞いたことがない人が多いのでメリットデメリット等を含めて説明させてほしい。

○デットエクイティスワップとは

債務の株式化のこと。デット(=債務)とエクイティ(=株式)をスワップ(=交換)することをいう。デットエクイティスワップとは銀行等貸付金を持っている企業が貸付金を資本に変え(借入金等の融資を受けている会社が借入金を資本に変え)て財務体質を改善したり事業再生を行ったりする場合に行われる金融取引です。事業再生や財務体質改善だけでなく金融支援や不良債権処理等の一環として行われる場合もあります。


○銀行側のメリット

・不良債権が形の上で減少する

・株式を取得した会社から配当金が入ってくる

・株式を取得した会社の経営が改善して株価が上がればその時に売却して売却益が得られる


○銀行側のデメリット

・融資先(貸付先)からの受取利息が減少する

・もし株式を取得した会社の経営が悪くなれば(経営再建が出来なければ)配当金が入ってこないだけでなく株式が紙くず同然になるリスクがある(こうなれば株式を減損処理しなければいけないだけでなく金融機関の信用問題になる可能性がある)

・債権よりも回収順位が後回しになる

債権と株式を比較した場合、債権の方が回収できる順位が早く、株式は後回しとなります。さらに、本来回収できるはずのキャッシュを、株式に交換したことで回収できなくなるリスクがあります。


○企業側のメリット

・借入金が減少し資本が増えるため、自己資本比率が向上する

・支払利息を減らすことが出来る


○企業側のデメリット

・金融機関や取引先から役員が送り込まれることがあるため、経営の自由度が下がる(役員が送り込まれなかったとしても金融機関等の株主から色々株主総会で追求される可能性がある)

・株式数が増えるため、1株当りの「当期純利益額」「純資産額」が減少する


FIREになるメリットデメリット

 ○FIREとは

経済的に自立して早期退職を目指します。FIREは資産運用や節約によって資産を築き、働かなくても自由に暮らせる生活を実現することを目指しています。

・従来の早期リタイアとの違い

FIREも従来の早期リタイアも、定年よりも前に退職することには変わりありません。しかし、大きく異なるのが、リタイア後の暮らし方についてです。従来の早期リタイアでは、退職金やそれまでの貯蓄を切り崩しながら生活を送ることが一般的です。リタイア後の生活が長くなるほど資産が目減りしていくため、早期リタイアの実現には多額の資産を用意しなければなりません。一方、FIREでは資産運用で得た不労所得をもとに生活を送ります。リタイア後の生活費は資産運用による利益や配当金でまかなうため、一定の資産を減らさずに生活ができることが魅力のひとつです。もちろん生活費をまかなえるだけの投資元本を築く必要はあるものの、早期リタイアほどまとまった資産を準備する必要がないといえます。


○FIREになるメリット

・自分のペースで生活が出来る

・自分の自由な時間が出来る

・自分のやりたい事で生計を立てることが出来る

・嫌な人と顔を合わせなくても良いことがある

・生活する場所を好きに選べる


○FIREになるデメリット

・社会的信用性がない

銀行から融資を受けたりクレジットカードを作る時に職業が何か聞かれる事があるが無職扱い(又はそれと同等の扱いになる)ため、断られる場合がある。賃貸物件を借りたり結婚したりする時にも社会的信用がないため借りる事が出来ないことが多い

・職歴にならない

就職・転職する時に無職扱いになる(酷い場合にはニートや引きこもりと同等の扱いになる可能性もある)

・年金が国民年金のみになる

会社に勤務していれば厚生年金にも加入することになるが会社を辞めてFIREになれば自営業又は無職と同じなので国民年金だけに加入していることになる。そのため、老後に受け取る年金額も少なくなることになる。国民年金基金に加入したり確定拠出年金に加入したりすれば年金は増えるが、確定拠出年金の場合自分の運用成果によっては余増えない場合もある。

・ある程度の財産があってある程度以上の運用実績を上げることが出来なければ生活費に困ることがある

もともとある程度以上の財産がなければ運用等が出来ないしあっても運用益が少なければ生活が出来ないことは当然です。それに景気動向等によって運用実績も変わりますからね。

・資産運用等の基礎知識がなければ無理がある

・お金が必要な時に必要な金額のお金が手元になくて困る時が出てくることがある


○まとめ

たまに「本や雑誌(名前は出しません)を読んでFIREになって見たいと思った」と言う人がいるのかもしれませんがそういう事は考えない方がいい。勤務先の信用力を利用しながら副業をするとか株式投資をしてお金を稼ぐのが一番良いですよ。たまに「会社を辞めてぼろ儲けをしました」と言う人がいますがその逆もありますから。