2018年3月15日木曜日

よくあることなのですが(営業上の本社と商業登記簿上での本社が違う)

これは企業の調査をしている時によくあることなのですが、「商業登記簿上での本社所在地」と「営業上の本社所在地」が異なっていることが良くあります。中小事業者であればちょくちょくあります。大手企業(又はそのグループ企業でも稀にあります)。なぜこのようなことが起こるのか解説したいと思います。


理由①「創業当時自宅兼事務所で営業していたが規模拡大とともに営業上の本社を別の場所に移転した(商業登記簿は移転していない)」
このケースは多いですね。創業当時は個人事業主だった(自宅兼事務所だった)けど規模が大きくなってきたので法人成してさらに規模が大きくなったので営業上の本社と商業登記簿上の本社を別にした(商業登記簿上の本社所在地に社長の自宅があるし、商業登記簿の移転をすると事務手続きが面倒なのでそのままにしている)ケースですね。この場合銀行も税務署も取引先もある程度納得している(事情をキッチリと説明していればの話)し、事業遂行上支障がない場合はまあ問題はありませんね(営業上の本社と商業登記簿上の本社が極端にはなれているとか許認可権等の都合がなければ余り問題にならないケースが多い)。こういう場合は社会的に許容されることが多い(絶対とは言い切れませんが)。


理由②「商業登記簿上の本社所在地に営業上の本社はないが会社の関連施設(支店等)がある」
これもたまにあります(理由①程ではないが)。とある大手企業(実名は伏せます)もそうです。「最初創業した場所は地方都市だったが、東京23区内に支店を出した。その数年後に営業上の本社は東京に移したが商業登記簿は地方都市のままにしてある(創業した地方都市に支店があり、そこに商業登記簿がある)」「創業者が〇○市に自宅を持っていた。なので営業上の本社は××市にあることになっている(本社ビルがある)が〇○市内にある会社の関連施設を商業登記簿上の本社にしている」というケースかな。


理由③「商業登記簿上の本社所在地に営業上の本社がなく会社の関連施設(支店等)や会社の社長等の関係者等の自宅等があるわけでもない」
稀にありますね。とある会社のホームページには「本社は〇○にある」と書いてあるのに「商業登記簿上の本社所在地は別の場所になっている」となっているケースがあります。それも商業登記簿上の本社の所在地には社長さん役員さんの自宅があるわけでない。それもひどいケースになると「怪しげな雑居ビルがある(そもそも商業登記簿上の本社の住所には部屋番号がかかれておらず、ビルやマンション等のテナントに入居していたように部屋番号がかかれていない)」「かつてビルがあったようだが調査をした時には更地になっていた(過去の地図を調べてみてもそこに社長と同じ苗字の人が住んでいた形跡がない)」ということはたまにあります。


理由①や理由②についてはさほど重点的に調査はしません(多少の調査はするが)。しかし理由③については詳しく調査をします。「たまたま家賃の安い場所で創業して別の場所に移転したけど商業登記簿はそのままです」ということもあるのかもしれないけどこういう場合はやはり疑ってかかりたくなりますね(全てが怪しいというわけではないが)。商業登記簿上の本社のあるビル等が親戚の経営している会社の所有物件でしたというのならばまだ理解できますがそうでない場合はやはり疑いたくなりますね。商業登記簿上の本社近辺(雰囲気)の状況を確認してみます。当然雑居ビルやマンション等に入居している場合はそこのビルやマンション等のポストを確認したり所有者に確認してみたりします。場合によっては周辺での聞きこみをすることもあります。そこのビルにどんなテナントが入居しているのかも確認します。理由③のような会社が全ての意味で危ないとは言いません。けど納得がいくまで徹底的に調査をします(まあこういう会社は危ないとは言わないにしてもあまりいい評価はしませんけどね)。