2021年6月3日木曜日

大阪メトロ2020年度の決算に関する個人的意見

 今年4月20日に大阪メトロの連結決算の発表があった。以下新聞等からの引用。

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大阪メトロ 民営化後 初の「赤字」決算 外出自粛の影響が続き利用客、運輸収入ともに30%近く減少

大阪メトロは昨年度の決算が新型コロナウイルスの影響で43億円の「赤字」になったと発表した。赤字は、民営化後初めて。大阪メトロによると、2020年度の最終的な損益は、2019年度より300億円以上落ち込み、43億円の赤字となった。2018年に民営化して以降、初めての赤字決算。新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛の影響が続き、地下鉄の利用客、運輸収入ともに30%近く減少した。

大阪メトロの河井英明社長

「大変厳しい決算となった。様々なコスト削減策を織り込んでいて、じわじわと下期にはある水準まで回復し、本格的(な回復)は2022年度になるかなと(思う)」

大阪メトロは、ワクチンの接種で利用客は徐々に戻ると見通していて、地下街での販売事業などに力を入れていく方針だ。


2021/5/20(木) 17:57配信ytv


大阪メトロ、発足以来の赤字決算に…コスト削減もコロナ禍で焼け石に水

大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)は4月20日、2020年度の連結決算を発表した。それによると、営業費用はコスト削減により2019年度より63億円減の1426億円となったものの、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、営業収益は27.3%減の1338億円となった。これにより、2019年度の営業利益は352億円の黒字から一転して88億円の赤字に。経常利益や特別利益・損失を加味した当期純利益は、271億円の黒字から43億円の赤字に転落した。このうち鉄道事業では、乗車人員が2019年度より3割近く減少し、298億円の黒字から93億円の赤字となっている。大阪メトロの赤字決算は、2018年4月の事業開始(民営化)以来初めてとなるが、同社では短期で回復しないことを想定しつつ、2021年度の事業計画に基づき業績の立て直しを図りたいとしている。


2021/5/20(木) 17:15配信レスポンス


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ここまではまあ一般の決算発表と同じである。ここまで読んだ限りでは新型コロナの感染拡大の兼ね合いで売上が減少して赤字になったという発表であることは分かる。まあこういうご時世だから仕方ない部分もある。しかしここにはかかれていない重要な項目が隠されていることがあることも見逃せないのである。その項目は以下の2点である。

項目①「赤字の原因がコロナの都合だけなのか」

今回赤字になった原因はコロナによる乗客人員減少による売上減少により赤字となったといっているが本当にそれだけか。実は今年の1月頃に新聞にこういう記事が出ていた。以下引用。

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大阪メトロ、コロナで民泊断念マンション売却で数億円損失

大阪メトロが民泊事業向けに大阪市浪速区のマンションの土地と建物を20億円超で購入しながら、コロナ禍で訪日外国人客が大幅に減った影響で開業を断念し、昨年12月に売却したことが22日、分かった。売却額や売却先は非公表。購入額と比べて数億円の損失が出たという。市は同社に100%出資している。同社は21年2月の開業を目指し、19年8月に購入。72室を備え、繁華街の新世界に近い立地のため、訪日客の需要を見込んでいたが頓挫した。損失が出たことについて、松井一郎市長は22日、「経営判断として勇気ある撤退をしたということだと思う。ビジネスにはリスクもある」と述べた。


2021年1月22日 17:34 京都新聞


大阪メトロ、一度も使わない民泊マンション売却…損失数億円以上か

大阪メトロが民泊事業用に約20億円で購入した大阪市内の新築マンションを、一度も使わないまま昨年末に売却していたことがわかった。新型コロナウイルスの影響で外国人観光客が激減し、開業は困難と判断したためだ。売却額や売却先は非公表だが、関係者によると、少なくとも数億円の損失が出る見込みという。同社によると、大阪市浪速区の地上13階建てマンション(72室)。鉄道以外の事業多角化の一環として民泊事業を掲げ、2019年8月、購入し、昨年12月に完成した。民泊開業は21年2月からを予定していた。しかし、新型コロナで外国人観光客の回復も見通せないため、売却を決定。賃貸マンションへの転用よりも、資金を回収しやすいと判断した。ただし、民泊事業は継続するという。同社は昨年12月に発表した20年度の年間業績見通しで、新型コロナの影響による乗客減などにより、純損失が38億円に上ると想定。18年4月の民営化後、赤字転落は初めてとなる。同社の全株式を保有する大阪市の松井一郎市長は22日、市役所で記者団に「(コロナの状況から)経営判断として撤退したということだ。ビジネスなのでリターンを求めるときにはリスクもある」と述べた。


2021/01/22 14:19 読売新聞

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コロナの問題だけでなくこういう事実も赤字になった原因の1つであることは間違いない事実である。この不動産売却は2020年12月に行われているのである。それも2021年1月になって新聞で公表されているのである。「こういう(不動産売却という)事実を大阪市や大阪メトロが不動産売却前に自主的に公表したのでなく新聞社をはじめとするマスコミに知られたから公表した(マスコミにかぎつけられなかったら何も公表する予定はなかったのか)」「2020年12月に売却したということは2020年11月1日の都構想住民投票の時には不動産を売却する方向性で対応することが大阪メトロの内部で議論されていたのではないのか」ということである。こういうことを書くと「大阪メトロは今現在市営地下鉄ではない。大阪市が出資している株式会社である」という事を言う人が出てきそうだ。しかしこの考え方は間違えている。なぜなら「大阪メトロは大阪市が100%出資している会社である」からだ。「同社は昨年(2020年のこと)12月に発表した20年度の年間業績見通しで、新型コロナの影響による乗客減などにより、純損失が38億円に上ると想定。」と報道されていることなのでこの不動産売却の件について株主である大阪市に対して何がしかの報告があったのではないだろうか(確かに株主総会で報告するべき内容ではないのかもしれないが重要な経営方針に影響を与えるような事情があるであれば報告はすると思うのだが)。ここで考えられるのは「大阪メトロ側が意図的に不利な情報を隠していた」「大阪市側に報告があったが意図的に大阪市側が不都合な情報を隠していた」「松井一郎大阪市長が意図的に情報を隠蔽するように指示した」ということが考えられる(証拠がないためなんともいえないがそれ以外にもあるのかもしれない)。ただ、2020年12月の年間業績見通しで純損失が38億円に上ると大阪メトロ側が想定していることから考えて「大阪メトロ側が意図的に不利な情報を隠していた」ということは考えづらい。という事は都構想の住民投票の兼ね合いがあるので都合の悪い情報を隠していたと判断されても仕方のない対応の仕方である(実際にそういう意図がなかったとしても)。それとここで気になるのは松井一郎大阪市長が市役所で記者団に「(コロナの状況から)経営判断として撤退したということだ。ビジネスなのでリターンを求めるときにはリスクもある」と書いている部分である。確かにビジネスにはリスクがつきものだ。しかし、リスクだというのなら、「どのような需給見通しを立てていたのか」ということが疑問である。はっきり言って「甘い見通しで物事を進めて赤字になった」というのはバブルの時の第3セクター等の問題(大阪だけでなく日本全国における問題)と全く同じではないだろうか。「都構想によって2重行政が解消される」といいながらこういうことをやるのは根本的に間違えているのではなかろうか。「経営判断から撤退」「ビジネスにはリスクがつきもの」というが大阪メトロは大阪市の100%出資の会社である。松井一郎大阪市長のポケットマネーではない(偉そうに「経営判断から撤退」「ビジネスにはリスクがつきもの」というなら自分の財布でやれ)。もし経営状態が悪くなれば大阪市の税金で救済しなければならなくこともあるのではなかろうか。要はこの問題は「経営判断から撤退」「ビジネスにはリスクがつきもの」というレベルを超えていないだろうか。はっきりいっておく。大阪メトロは大阪市営地下鉄ではないが大阪市の100%出資会社のため大阪市の財産である(交通手段としても)。それを出来の悪い市長や政党のためにええ加減な事するなよ。


項目②「2020年11月に行われた都構想の賛否を問う住民投票の時に大阪メトロの配当金があるから財源不足になることは無いといっていたのではないか」

2020年11月に行われた都構想の賛否を問う住民投票の時に大阪メトロの配当金があるから財源不足になることは無いといっていたことは余程のあほで無い限り覚えているはずや。それが数ヶ月でこんな事態になるか。まさに都合の悪いことを隠蔽していたとしか考えられない。2020年11月に行われた都構想の賛否を問う住民投票で都構想が否決されていたからよかったけどもし賛成多数で可決されていてこういう事実が出てきたらまあ冗談ではすまないことになっていたと思うで。


このことでも分かると思うけど大阪維新の会や日本維新の会の言うことはええ加減ででたらめだらけ(やることといえば他人をデマ呼ばわりしたり他人の批判したりすることだけ)やと言うことがよく分かった決算結果だと思うのは僕だけであろうか。