2022年3月12日土曜日

ロシア発「世界金融危機」への秒読みが始まった! デフォルトの“Xデー”は4月4日

 格付け大手フィッチ・レーティングスは8日、ロシアの信用格付けを6段階引き下げ、「C」とした。欧米などによる制裁強化を受け、ロシアが「デフォルト(債務不履行)寸前」の状態にあるとの見方を示した。デフォルトの「Xデー」はズバリ、4月4日と目され、ロシア発の「世界金融危機」に発展する恐れがある。

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デフォルトとは期限通りに債権の元本や利息が払われないこと。経済制裁を食らうロシアが、これから迎える期限に耳をそろえて支払えるのか、世界が注目している。プーチン大統領は日本などを「非友好国」に指定。ドルなどの外貨ではなく、自国通貨ルーブルで債務を返済しようとしているが、持ちこたえられるのか。ロシア国債や政府機関債など「ソブリン債」の次の支払期限は3月16日。3月中に計7.3億ドル(約840億円)が期限を迎える。「3月は何とか乗り切っても、4月4日期限の21.3億ドル(約2400億円)のドル建て元本返済払いは、ほぼ不可能でしょう。日に日に価値が下がるルーブル払いに債権者が納得するはずはない。4日の不払いを受け、4月中にデフォルトが確定する公算が大きい」(兜町関係者)

金融ジャーナリストの小林佳樹氏はこう言う。「世界的に低金利が長期化する中、利回りの高いロシア債は人気がありました。天然ガス、原油、アルミなど豊富な資源に恵まれ、経済的にも比較的安定していたからです。2014年のクリミア併合以降、経済制裁を科されても、投資家はロシア債を買い続けました」ロシア向け債権は世界で約18兆円に上り、日本の3大メガバンクは5000億円を抱える。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は昨年3月末時点で約2200億円のロシア関連資産を保有。うち債券が約500億円、最大手ズベルバンクなどの株式が約1700億円だ。


○守られない海外債権者の債権は紙くず同然に

1998年の通貨危機でロシアはデフォルトを経験している。原油価格が低迷し、苦しい経済環境の下、米国の利上げに引きずられ、政策金利を大幅に上げたためだ。ロシア国債を大量に抱えていた米大手ヘッジファンドのLTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)は破綻に追い込まれた。今回は当時よりも、タチが悪いという。「世界的な金融危機に発展する恐れがあります。今回、デフォルトを機にロシア投資で稼いできたファンドや商社が破綻に追い込まれるケースも十分考えられます。さらに、98年のロシア通貨危機より深刻な事態に陥る恐れがある。この際のデフォルトでは、IMF(国際通貨基金)を中心に世界がロシアに手を差し伸べました。その結果、ロシア経済はV字回復し、ロシア債を保有する海外の債権者もある程度、守られたのです。当時、ロシア国内はソ連崩壊後の混乱が続いていましたが、世界とケンカしていたわけではなかった。しかし、今回は少なくとも西側諸国やIMFがロシアを助けることはあり得ません。ロシア経済の破綻に加え、海外の債権者は守られることなく、債券が紙くず同然になりかねません」(小林佳樹氏)戦争の長期化に加えて、深刻な金融危機に見舞われたら、世界経済は一体、どうなるのか。


日刊ゲンダイDIGITAL / 2022年3月9日 15時42分