パチンコ業界は、2018年8月には6段階設定搭載パチンコ機が発売されたほか、19年2月以降は6号機と呼ばれるパチスロ機の検定基準変更が控えるなど規制強化が進むなかで、引き続き厳しい経営環境に置かれている。パチンコホール経営業者の倒産は18年10月末時点で20件発生しており、2年連続で倒産件数が増加する見込み。過去の倒産推移をみると、ピークは07年と08年の72件。この水準と比べると、18年は決して多くないが、業界内では「今後、倒産が大幅に増加する前触れではないか?」と不安の声が聞かれる。5期連続(13年度―17年度)で業績比較可能だったパチンコホール経営業者2106社の業績推移をみても、業界の厳しさがうかがえる。企業の売上高は、一般的に前年実績を上回り続ける右肩上がりが理想とするなかで、17年度に増収を果たせた企業は182社(構成比8・6%)にとどまった。約1割の業者しか増収を果たせていないという事は、残りの約9割の業者は減収もしくは横ばいだったという事を示している。また、増収だった企業数の推移をみると14年度には366社(同14・7%)だったものが、15年度(260社、同12・3%)、16年度(197社、9・4%)と年々減少し、現在の水準まで落ち込んでいる。増収を果たせない業者が増えた結果、13年度は21兆882億円だった売上高合計は年々減少。17年度には17兆3735億円まで縮小した。また、売上高合計の減少幅が年々拡大しており、14年度(減少率3・0%)、15年度(同4・2%)、16年度(同5・4%)、17年度(同6・3%)と拡大している。これはあくまで全体の数字だが、各社においても同様の傾向がみられる。売り上げが減収基調で推移したとしても、採算維持できれば倒産リスクは低いが、減収幅が大きくなるほど利益体質を保つことが難しい。パチンコホール経営業者の業績不振が続けば、パチンコメーカーやその下請けの電子部品工場など多岐にわたる業界に影響を及ぼす可能性がある。パチンコ業界の動向は引き続き業界内外から注目されることとなるだろう。
帝国データバンク情報部
最終更新:2018/12/4(火) 11:09ニュースイッチ
2018年12月5日水曜日
2018年12月4日火曜日
日大でも事件化学生を食い物にするイベサーというシステム
日本大学のイベントサークル幹部が、サークル会費を取り立てようと元メンバーを暴行しバッグを奪った強盗容疑で逮捕された。同サークルでは、一度でも加わったメンバーに対して、厳しい会費の取り立てが行われていた。これをきっかけとして、他のイベントサークル、通称イベサーでも金への執着を隠さない、似通った実態が明るみに出つつある。ライターの森鷹久氏が、イベサーの現幹部と元幹部に、イベントサークルの実態や目的を聞いた。
* * *
サークルの元メンバー男性に暴行を加え、バッグなどを奪ったとして日本大学4年でサークル幹部の男二人が逮捕された事件。パーティーなどに人を連れてくる「ノルマ」が課せられたり、毎月のサークル費を強制的に徴収されたなど、同サークルに関わった学生たちから他にも被害を訴える声が続出しているが、その舞台はまたしても「イベントサークル」だった。「イベサー」と聞けば、2003年に起きた早稲田大学のサークルが起こした事件のイメージが強い。14人もの実刑判決が出たこの事件は2004年に集団強姦罪と集団強姦致死傷罪を創設につながったため、大人にとって大学のイベサーと聞けば、飲酒を強要して女性に乱暴をする悪い印象が強くある。それから十年以上が経った今の大学生は、当時の事件を知らない世代だ。そのためか、いまも各大学には様々かつ悪質なイベントサークルが存在している。
果たして現在、イベントサークルとはどのような人たちが何のために運営しているのか?
都内の有名私大に通う現役イベントサークル幹部・O氏は、今は金儲けと人脈づくりがイベントサークルを主宰する目的だと言う。
「金と人脈だけっすね。有名サークルの幹部になれば、月に数十万を稼ぐ人間もいます。社会人になってからも、サークルの相談役や会長を名乗って影響力を及ぼし、収入が永続的に続く」(O氏)
サークルの主な収入源は、メンバーから集める会費と、イベントの参加費用だ。これでどうやって金儲けになるのかと思うが、より多くのイベント参加者を集められれば参加費が増え、サークルメンバーの人数が多ければ会費という名の定期収入がかなりの金額になる。赤字になるイベントもありそうなものだが、大勢の参加者を集めさえすれば、開催費用よりもずっと多くの金が入るから問題ないのだそうだ。また、学生のお遊び程度だろうと思いがちだが、一回のイベントで収益が数百万に及ぶこともあり、金額的な部分だけみれば、完全なビジネスが成り立っている側面もある。
「イベントだけじゃなくて、セミナーもやっていますよ。人が集まれば直"カネ"になりますから、昔より集客はシビアに求められますね。たとえば、一回三千から五千円の入場料がかかるイベントに新規で人を呼んだ場合、(勧誘に成功したメンバーへの報酬として)バックは大体二千円。サークルの会費が月に一万から三万円かかるイベサーがありますが、大体5人から10人を(イベントへ)毎月、新規で勧誘すればチャラ。それ(会費の金額)以上は丸々自分の儲けとなる。実際に集客頑張って、月に何十万も稼いでるやつはいますよ」(O氏)
主催するイベントへの参加者を集めると、その成功報酬として入場料の一部がメンバーに配分されるのが、多くのイベントサークルで採用されている仕組みだ。そのサークルにとって初めてのお客さん、新規参加者であれば成功報酬の割合も高く設定されている。数万円単位のサークル会費は大学生にとって大きな負担だが、初参加の人を数多く連れてくる才覚や要領の良さを身につければ、かなり割の良いアルバイト代わりになる。集客と新規勧誘が大事だというイベサーの活動内容は、まるで繁華街に立っている呼び込みビジネスのようだ。サークルの組織のあり方もそれに近いところがあると、東京六大学出身の元イベントサークル幹部で音楽出版社社員・M氏は言う。
「マルチ商法のように、親サークルに子サークル、孫サークルと複数のサークルが繋がり合ってピラミッド状の組織になっていることもある。そのトップには、たいてい会長とか代表とか言われる人が君臨している。ピラミッドの上へ行けば行くほど、下からお金が納められるようになっている。まるで上納金です。ヒエラルキーの上にいるサークル幹部やメンバーほど儲かるから、ヤクザのシステムや、ねずみ講のシステムによく似ていると思いますよ」
M氏が言うようなシステムは現在でも主流だというが、何年も続いている悪質なイベサーの場合、サークルの実情を慎重に調べたり、先輩から噂を聞いている大学生には、システムのからくりがバレている。そのため、狙い目は新学期が始まる少し前。SNSでリサーチしてDMを送るなどして勧誘する。
「いまはツイッターやインスタがあるので、時期に関わらず毎日勧誘できますよね。でも、新学期の4月には、SNSのプロフに“春から○○大学”と書いている子を狙う。その子が田舎の出身で東京に憧れているような書き込みをしているなら良し、かわいい女の子ならなおさら良し(笑)」(O氏)
中高生のツイッター利用の特徴のひとつに、進学が決まると入学前に新しくアカウントをつくり、新入学予定の仲間との繋がりを呼びかけるという行動がある。彼ら彼女たちのSNSにおける習慣と、何か新しい世界をのぞいてみたいという好奇心と、世間知らずな無知につけこんで、巧妙にサークルへ取り込んでいるのだ。大学生の新メンバーを勧誘できるタイミングが限られているからだろう、最近は大学生にこだわらない広がりを持たせているのだと、O氏は続ける。
「大学生や専門学校生だと(事情を知られていて)厳しいから、高校生メインの配下サークルを作ってイベントやらせたりする。さらに、高校生は中学生メインの配下サークルを作らせる…。ほんとヤクザとか派遣会社の仕組みと一緒ですね」
彼らのつくるピラミッド構造と、イベントを媒介にしたお金の動きは、法律違反すれすれのように聞こえる。犯罪者になってしまうかもしれない恐怖はないのか?
「悪いことをやっているとは思わない。パー券(パーティー券)を売っているから(法律で禁じられている)ねずみ講には当たらないし、要は自身がいかに上に近いポジションでスタートできるか。長く頑張れば、必ずその(会長や代表の)ポジションに行けるから、夢もあります」(O氏)
現在のところ摘発は受けていないが、たとえパーティー券の販売であっても、その販売方法や手段によっては、違法だと責任を問われる可能性は消えない。実際、勧誘の言葉にマルチまがい商法と変わらない言葉を聞かされた学生もいる。だが、危うさよりも、目に見えてまとまったお金が稼げることと、組織のピラミッドを駆け上がる快感の魅力が上回っているようだ。そのため、早稲田や慶応など難関大学に入学しても、勉強だけでなく就職までおざなりにして、イベサー活動にのめり込む学生は珍しくない。
「逮捕された(日大イベサーの)奴らも、年中勧誘ばっかやってた。彼らから俺のところにも"サークルに興味ない?"ってライン来ました。誰にもの言ってんだって揉めそうになりましたね(笑)」(O氏)
O氏が語るイベントサークルのような仕組みは、常に新しい参加者を補い続けなければならない。実際に勧誘するメンバーにとっては、かなり負担が大きいはずだ。それでも熱中する人が次から次へと現れるというのは、ほとんどが大学未公認団体であるにも関わらず、就職などで強みを発揮するからなのだろうか? 前出の、六大学のイベサー元幹部・M氏は「アピールポイントになることもあります」と言う。
「イベサーで儲けた子は、それを入社試験でアピールしたりするんです。人の勧誘は営業につながるし、イベントの運営はマネジメントにもつながるという理屈です。確かに、そういえば聞こえはいいけど、所詮は“ごっこ”。チャラい奴も多いし、事件も起こすから、イベサー出身者は白い目で見られることも多いですね」
サークルOBの活躍は、現役学生たちからはどう見えているのか。現役イベサー幹部のO氏は、少し考えてから「幹部クラスだと、まともに就活やってる人は少ないですね」と、大学生であることを辞めづらい実情もあると言う。
「大学卒業してもサークルに関与し続けたり…。とあるサークルでは、辞めた幹部が会員制化粧品の会社に就職したらしく、メンバーに化粧品を買わせていたり、代理店に依頼された現役幹部がメンバーに青汁売ったり…。メリットは…幹部が儲かることくらいですかね…」
金儲けではなく、大学生ならではの探究心や社会貢献などを目的とした真面目なイベントサークルももちろん、存在している。期待に胸を膨らませて学生生活を夢見る新入生や、真面目なイベントサークルが不利益を被らない日が、一日も早くくることを願う。
NEWSポストセブン/2018年12月1日16時0分
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サークルの元メンバー男性に暴行を加え、バッグなどを奪ったとして日本大学4年でサークル幹部の男二人が逮捕された事件。パーティーなどに人を連れてくる「ノルマ」が課せられたり、毎月のサークル費を強制的に徴収されたなど、同サークルに関わった学生たちから他にも被害を訴える声が続出しているが、その舞台はまたしても「イベントサークル」だった。「イベサー」と聞けば、2003年に起きた早稲田大学のサークルが起こした事件のイメージが強い。14人もの実刑判決が出たこの事件は2004年に集団強姦罪と集団強姦致死傷罪を創設につながったため、大人にとって大学のイベサーと聞けば、飲酒を強要して女性に乱暴をする悪い印象が強くある。それから十年以上が経った今の大学生は、当時の事件を知らない世代だ。そのためか、いまも各大学には様々かつ悪質なイベントサークルが存在している。
果たして現在、イベントサークルとはどのような人たちが何のために運営しているのか?
都内の有名私大に通う現役イベントサークル幹部・O氏は、今は金儲けと人脈づくりがイベントサークルを主宰する目的だと言う。
「金と人脈だけっすね。有名サークルの幹部になれば、月に数十万を稼ぐ人間もいます。社会人になってからも、サークルの相談役や会長を名乗って影響力を及ぼし、収入が永続的に続く」(O氏)
サークルの主な収入源は、メンバーから集める会費と、イベントの参加費用だ。これでどうやって金儲けになるのかと思うが、より多くのイベント参加者を集められれば参加費が増え、サークルメンバーの人数が多ければ会費という名の定期収入がかなりの金額になる。赤字になるイベントもありそうなものだが、大勢の参加者を集めさえすれば、開催費用よりもずっと多くの金が入るから問題ないのだそうだ。また、学生のお遊び程度だろうと思いがちだが、一回のイベントで収益が数百万に及ぶこともあり、金額的な部分だけみれば、完全なビジネスが成り立っている側面もある。
「イベントだけじゃなくて、セミナーもやっていますよ。人が集まれば直"カネ"になりますから、昔より集客はシビアに求められますね。たとえば、一回三千から五千円の入場料がかかるイベントに新規で人を呼んだ場合、(勧誘に成功したメンバーへの報酬として)バックは大体二千円。サークルの会費が月に一万から三万円かかるイベサーがありますが、大体5人から10人を(イベントへ)毎月、新規で勧誘すればチャラ。それ(会費の金額)以上は丸々自分の儲けとなる。実際に集客頑張って、月に何十万も稼いでるやつはいますよ」(O氏)
主催するイベントへの参加者を集めると、その成功報酬として入場料の一部がメンバーに配分されるのが、多くのイベントサークルで採用されている仕組みだ。そのサークルにとって初めてのお客さん、新規参加者であれば成功報酬の割合も高く設定されている。数万円単位のサークル会費は大学生にとって大きな負担だが、初参加の人を数多く連れてくる才覚や要領の良さを身につければ、かなり割の良いアルバイト代わりになる。集客と新規勧誘が大事だというイベサーの活動内容は、まるで繁華街に立っている呼び込みビジネスのようだ。サークルの組織のあり方もそれに近いところがあると、東京六大学出身の元イベントサークル幹部で音楽出版社社員・M氏は言う。
「マルチ商法のように、親サークルに子サークル、孫サークルと複数のサークルが繋がり合ってピラミッド状の組織になっていることもある。そのトップには、たいてい会長とか代表とか言われる人が君臨している。ピラミッドの上へ行けば行くほど、下からお金が納められるようになっている。まるで上納金です。ヒエラルキーの上にいるサークル幹部やメンバーほど儲かるから、ヤクザのシステムや、ねずみ講のシステムによく似ていると思いますよ」
M氏が言うようなシステムは現在でも主流だというが、何年も続いている悪質なイベサーの場合、サークルの実情を慎重に調べたり、先輩から噂を聞いている大学生には、システムのからくりがバレている。そのため、狙い目は新学期が始まる少し前。SNSでリサーチしてDMを送るなどして勧誘する。
「いまはツイッターやインスタがあるので、時期に関わらず毎日勧誘できますよね。でも、新学期の4月には、SNSのプロフに“春から○○大学”と書いている子を狙う。その子が田舎の出身で東京に憧れているような書き込みをしているなら良し、かわいい女の子ならなおさら良し(笑)」(O氏)
中高生のツイッター利用の特徴のひとつに、進学が決まると入学前に新しくアカウントをつくり、新入学予定の仲間との繋がりを呼びかけるという行動がある。彼ら彼女たちのSNSにおける習慣と、何か新しい世界をのぞいてみたいという好奇心と、世間知らずな無知につけこんで、巧妙にサークルへ取り込んでいるのだ。大学生の新メンバーを勧誘できるタイミングが限られているからだろう、最近は大学生にこだわらない広がりを持たせているのだと、O氏は続ける。
「大学生や専門学校生だと(事情を知られていて)厳しいから、高校生メインの配下サークルを作ってイベントやらせたりする。さらに、高校生は中学生メインの配下サークルを作らせる…。ほんとヤクザとか派遣会社の仕組みと一緒ですね」
彼らのつくるピラミッド構造と、イベントを媒介にしたお金の動きは、法律違反すれすれのように聞こえる。犯罪者になってしまうかもしれない恐怖はないのか?
「悪いことをやっているとは思わない。パー券(パーティー券)を売っているから(法律で禁じられている)ねずみ講には当たらないし、要は自身がいかに上に近いポジションでスタートできるか。長く頑張れば、必ずその(会長や代表の)ポジションに行けるから、夢もあります」(O氏)
現在のところ摘発は受けていないが、たとえパーティー券の販売であっても、その販売方法や手段によっては、違法だと責任を問われる可能性は消えない。実際、勧誘の言葉にマルチまがい商法と変わらない言葉を聞かされた学生もいる。だが、危うさよりも、目に見えてまとまったお金が稼げることと、組織のピラミッドを駆け上がる快感の魅力が上回っているようだ。そのため、早稲田や慶応など難関大学に入学しても、勉強だけでなく就職までおざなりにして、イベサー活動にのめり込む学生は珍しくない。
「逮捕された(日大イベサーの)奴らも、年中勧誘ばっかやってた。彼らから俺のところにも"サークルに興味ない?"ってライン来ました。誰にもの言ってんだって揉めそうになりましたね(笑)」(O氏)
O氏が語るイベントサークルのような仕組みは、常に新しい参加者を補い続けなければならない。実際に勧誘するメンバーにとっては、かなり負担が大きいはずだ。それでも熱中する人が次から次へと現れるというのは、ほとんどが大学未公認団体であるにも関わらず、就職などで強みを発揮するからなのだろうか? 前出の、六大学のイベサー元幹部・M氏は「アピールポイントになることもあります」と言う。
「イベサーで儲けた子は、それを入社試験でアピールしたりするんです。人の勧誘は営業につながるし、イベントの運営はマネジメントにもつながるという理屈です。確かに、そういえば聞こえはいいけど、所詮は“ごっこ”。チャラい奴も多いし、事件も起こすから、イベサー出身者は白い目で見られることも多いですね」
サークルOBの活躍は、現役学生たちからはどう見えているのか。現役イベサー幹部のO氏は、少し考えてから「幹部クラスだと、まともに就活やってる人は少ないですね」と、大学生であることを辞めづらい実情もあると言う。
「大学卒業してもサークルに関与し続けたり…。とあるサークルでは、辞めた幹部が会員制化粧品の会社に就職したらしく、メンバーに化粧品を買わせていたり、代理店に依頼された現役幹部がメンバーに青汁売ったり…。メリットは…幹部が儲かることくらいですかね…」
金儲けではなく、大学生ならではの探究心や社会貢献などを目的とした真面目なイベントサークルももちろん、存在している。期待に胸を膨らませて学生生活を夢見る新入生や、真面目なイベントサークルが不利益を被らない日が、一日も早くくることを願う。
NEWSポストセブン/2018年12月1日16時0分
<福岡>暴力団、休眠NPO標的 肩書取得が目的か
休眠状態の特定非営利活動法人(NPO法人)が放置されている問題で、福岡県の休眠法人が乗っ取られるまでの経緯が毎日新聞の取材で判明した。運営に困った創立者が知人に相談し印鑑や書類を預けると、組幹部と密接な関係のある暴力団親交者が代表者に就任した。さらに多数の暴力団関係者も送り込まれ、当初4人だった理事は50人に。情報公開請求で入手した県警の文書によると、一連の工作は組幹部の指示に基づくものだった。【向畑泰司、田中龍士】創立者である40代の男性によると、問題の法人は2002年、福岡県内に設立。人権擁護運動をするはずだったが、「面倒くさくなって」放置し、休眠状態になった。「自然消滅しそう。どうしようか」。09年ごろ創立者が知人(男性)に相談したところ「環境問題をやろう」と誘われた。創立者は同意し、印鑑や関係書類を渡した。「人権」から「環境」に活動内容を変えるには、県(当時の所管官庁)に書類を提出する必要がある--と知人に言われ、信じたからだ。ところが狙いは違った。まず09年9月、代表理事が創立者から、知人の連れてきた親交者に取って代わられた。親交者は指定暴力団幹部と密接な関係を持つ人物だった。そして4人しかいなかった理事は同年10月、44人に急増。10年6月には50人に達した。捜査関係者は「これらの大半は暴力団関係企業(フロント企業)の役員など、いわゆる暴力団関係者」と話す。この間、法人の住所地は福岡県中部の自治体から親交者の関係先である福岡市内に移され、法人名も変わった。創立者は途中で気付き「関係ない人を理事に入れるな」と抗議したが、無視された。暴力団側の動機や乗っ取り後に何をしたのか詳細は不明だ。ただ、乗っ取り後の09年11月以降、約4カ月の間に計約30万円を福祉施設向けに寄付し、親交者は福岡市職員から感謝状を受け取った。創立者は「NPOの名前で安心させて、別の仕事をしようとしたのだろう」と推測。捜査関係者も「肩書で相手を信用させるのが手口」と指摘し、暴力団員らが看板の悪用を図ったとみる。結局、親交者を含む理事数人は11年、特定の業者に工事を発注するよう建設会社に迫った強要未遂容疑で福岡県警に逮捕された。県警はその後、法人と暴力団の関係を県に文書で通知。法人は解散した。親交者は取材に「NPOを隠れみのに使ったことはない。解散しており何も話したくない」と語った。NPO法人を巡っては、山口県の法人の理事長が暴力団組長と共謀して100万円を脅し取ったとして恐喝容疑で逮捕されたり(04年)、東京都内の法人理事が元暴力団組長と共に約430万円を詐取した疑いで逮捕されたり(12年)するなど刑事事件も相次いでいる。
◇福岡県警、実態を指摘
毎日新聞が情報公開請求で入手した福岡県警作成の文書は、問題のNPO法人を「暴力団の統制下にある」と結論づけている。NPO法は「暴力団やその構成員らの統制下にある団体」と疑われる場合、警察が自治体に「意見を述べることができる」と定める。通知文はこれに基づくものでA4判1枚。県警本部長から知事あてに提出された。(1)暴力団員との共犯被疑者(容疑者)として代表理事や多数の理事が逮捕、起訴されている(2)多くの理事が暴力団関係企業の理事等を兼任している(3)役員人事はすべて暴力団幹部の指示のもとに行われている--などと指摘。「適当な措置をとる必要がある」としている。県によると、通知を受けて認証取り消しに向けた手続きを進めたが、通知後間もなく法人が自主的に解散したという。【向畑泰司】
最終更新:2018/12/2(日) 10:20 毎日新聞
◇福岡県警、実態を指摘
毎日新聞が情報公開請求で入手した福岡県警作成の文書は、問題のNPO法人を「暴力団の統制下にある」と結論づけている。NPO法は「暴力団やその構成員らの統制下にある団体」と疑われる場合、警察が自治体に「意見を述べることができる」と定める。通知文はこれに基づくものでA4判1枚。県警本部長から知事あてに提出された。(1)暴力団員との共犯被疑者(容疑者)として代表理事や多数の理事が逮捕、起訴されている(2)多くの理事が暴力団関係企業の理事等を兼任している(3)役員人事はすべて暴力団幹部の指示のもとに行われている--などと指摘。「適当な措置をとる必要がある」としている。県によると、通知を受けて認証取り消しに向けた手続きを進めたが、通知後間もなく法人が自主的に解散したという。【向畑泰司】
最終更新:2018/12/2(日) 10:20 毎日新聞
2018年11月12日月曜日
不良集団:「半グレ」4団体トップ逮捕大阪で摘発強化
大阪府警が、暴力団組織に属さない「半グレ」と呼ばれる不良集団の摘発を強化している。少なくとも4団体のリーダー格を10月までに逮捕。表立った活動が難しくなった暴力団が半グレを隠れみのにしているとの指摘もあり、府警は一部の団体を「準暴力団」と認定している。中学生が所属する団体もあるとされ、府警は実態解明を進めている。「半グレ」は「半分グレている」が語源とされ、暴走族の元メンバーらが結成。飲食店の経営などを手掛ける一方、メンバーらが関わったとされるトラブルや事件が後を絶たない。
「おまえが当たってきたせいで財布をなくした。21万円払え」
昨年9月、大阪・ミナミの路上で通行人が因縁を付けられて暴行を受け、金品を奪われる事件が4件相次いだ。府警は今年3月以降、大阪市内の無職の男(24)ら8人を強盗致傷などの疑いで逮捕。男は50~60人が所属する半グレ集団「軍団立石」のリーダー格だった。府警は6月にも、半グレ集団「米谷グループ」のリーダー格の男(38)を威力業務妨害などの容疑で逮捕。暴力団へのみかじめ料の支払いを拒んだ飲食店従業員を脅したとされ、男は調べに「暴力団と懇意に付き合っている」と供述した。9月には20代の男性を監禁したとして、別の半グレ集団のリーダーの男(42)が、暴力団幹部とともに逮捕されている。暴力団対策法は指定暴力団の組員によるみかじめ料の要求などを禁じ、中止命令に反すれば刑罰の対象になるが、半グレは対象外。府警は、暴力団が半グレを利用することで同法の規制を免れようとしているとみている。半グレの中でも、府警が「準暴力団」として警戒しているのが「アウトセブン」「アビス」の2団体だ。府警は9~10月、アウトセブンのリーダー格の男(34)を保険金詐欺などの容疑で計3回逮捕。この団体は格闘技団体の元メンバーらで構成し、ミナミを拠点に100人以上が所属しているという。一方、数百人が所属し、最大規模と言われるのがアビス。捜査関係者によると、中学生を含む10代の男女が多数所属し、一時アウトセブンと対立していた。飲食店の客引きで収益を上げているとされるが、詳しい実態は分かっていない。半グレに詳しい元暴力団組員は、「締め付けが厳しい暴力団に代わり、半グレはみかじめ料の徴収や売春、特殊詐欺などのシノギ(稼ぎ)を拡大させている。摘発されても、名前やメンバーを変えて残り続けるだろう」と指摘する。
毎日新聞 / 2018年11月10日 11時42分
「おまえが当たってきたせいで財布をなくした。21万円払え」
昨年9月、大阪・ミナミの路上で通行人が因縁を付けられて暴行を受け、金品を奪われる事件が4件相次いだ。府警は今年3月以降、大阪市内の無職の男(24)ら8人を強盗致傷などの疑いで逮捕。男は50~60人が所属する半グレ集団「軍団立石」のリーダー格だった。府警は6月にも、半グレ集団「米谷グループ」のリーダー格の男(38)を威力業務妨害などの容疑で逮捕。暴力団へのみかじめ料の支払いを拒んだ飲食店従業員を脅したとされ、男は調べに「暴力団と懇意に付き合っている」と供述した。9月には20代の男性を監禁したとして、別の半グレ集団のリーダーの男(42)が、暴力団幹部とともに逮捕されている。暴力団対策法は指定暴力団の組員によるみかじめ料の要求などを禁じ、中止命令に反すれば刑罰の対象になるが、半グレは対象外。府警は、暴力団が半グレを利用することで同法の規制を免れようとしているとみている。半グレの中でも、府警が「準暴力団」として警戒しているのが「アウトセブン」「アビス」の2団体だ。府警は9~10月、アウトセブンのリーダー格の男(34)を保険金詐欺などの容疑で計3回逮捕。この団体は格闘技団体の元メンバーらで構成し、ミナミを拠点に100人以上が所属しているという。一方、数百人が所属し、最大規模と言われるのがアビス。捜査関係者によると、中学生を含む10代の男女が多数所属し、一時アウトセブンと対立していた。飲食店の客引きで収益を上げているとされるが、詳しい実態は分かっていない。半グレに詳しい元暴力団組員は、「締め付けが厳しい暴力団に代わり、半グレはみかじめ料の徴収や売春、特殊詐欺などのシノギ(稼ぎ)を拡大させている。摘発されても、名前やメンバーを変えて残り続けるだろう」と指摘する。
毎日新聞 / 2018年11月10日 11時42分
2018年11月10日土曜日
民営化で料金5倍に? 「水道水」がコーラよりも高くなる日
今国会での成立が確実視されている「水道法改正案」。さすがに、市民の生命に直結するだけに、自民や公明の内部からも反発の声が上がっている。新潟県議会では自民党議員までも水道法改正案に反対する意見書に賛同している。法案では上下水道施設は行政が所有し、運営権を民間に委託する「コンセッション」(官民連携)方式をとるが、事実上の民間への丸投げ。現場からも厳しい声が上がっている。
「水道事業は人口減少で利益が減る一方。民間に委託したら、利益のために水道料金を上げるのは確実。結局、市民にしわ寄せがくるだけですよ」(水道事業に詳しい自治体関係者)
法案が成立すれば日本中の水道事業が海外の巨大水道会社に食い荒らされる恐れがある。すでに浜松市は昨年10月、下水道部門の運営権を水メジャーの最大手、仏ヴェオリア社を中心とする「特別目的会社」に約25億円で売却している。水道を民営化するとどうなるのか。1997年、フィリピンのマニラでは水道料金が5倍になり、99年、アメリカのアトランタでは蛇口から茶色い水が出たという。水道料金が高騰するのも間違いないだろう。コーラより高くなるという冗談のような話まで出てきている。南アフリカでは、料金の高騰で1000万人以上が水道を利用できなくなった。こうした事態を受けて、世界では民営化した水道事業を再度公営化している。英国の調査機関によると、2000年からの15年間に世界37カ国で235の水道事業が再公営化された。日本だけが十分な議論や説明もないまま民営化を進めるという異常事態。この異様な状況について政治評論家の山口朝雄氏はこう言う。
「自分の実績づくりのために、市民の命に関わる重要な水道事業を十分な説明もないまま勝手に民営化させる。安倍独裁体制の最たるものです」
市民の命に関わる水道民営化を拙速に決めるなんて、もってのほかだ。
日刊ゲンダイDIGITAL / 2018年11月10日 9時26分
「水道事業は人口減少で利益が減る一方。民間に委託したら、利益のために水道料金を上げるのは確実。結局、市民にしわ寄せがくるだけですよ」(水道事業に詳しい自治体関係者)
法案が成立すれば日本中の水道事業が海外の巨大水道会社に食い荒らされる恐れがある。すでに浜松市は昨年10月、下水道部門の運営権を水メジャーの最大手、仏ヴェオリア社を中心とする「特別目的会社」に約25億円で売却している。水道を民営化するとどうなるのか。1997年、フィリピンのマニラでは水道料金が5倍になり、99年、アメリカのアトランタでは蛇口から茶色い水が出たという。水道料金が高騰するのも間違いないだろう。コーラより高くなるという冗談のような話まで出てきている。南アフリカでは、料金の高騰で1000万人以上が水道を利用できなくなった。こうした事態を受けて、世界では民営化した水道事業を再度公営化している。英国の調査機関によると、2000年からの15年間に世界37カ国で235の水道事業が再公営化された。日本だけが十分な議論や説明もないまま民営化を進めるという異常事態。この異様な状況について政治評論家の山口朝雄氏はこう言う。
「自分の実績づくりのために、市民の命に関わる重要な水道事業を十分な説明もないまま勝手に民営化させる。安倍独裁体制の最たるものです」
市民の命に関わる水道民営化を拙速に決めるなんて、もってのほかだ。
日刊ゲンダイDIGITAL / 2018年11月10日 9時26分
安倍政権の6年で「弱肉強食が進み庶民は転落」と専門家、我々に明るい未来なし?
「長さゆえの慢心はないか」
先月24日に始まった臨時国会の所信表明演説で、そう自問した安倍首相。「1強に陰り」「求心力低下」と言われながらも、第二次安倍政権が発足してから6年10か月が経過。さらに、2021年までの「戦後最長政権」が視野に入る。長さゆえに忘れられがちな公約、さまざまなスローガン、鳴り物入りで始まった政策って結局、どうなった? まずは景気や経済について、あの人と見ていこう。
「トクしたのは大企業と富裕層316万人だけ」
2012年末に自民党が政権与党に返り咲いて以来、鳴り物入りで進められてきたアベノミクス。あれから6年、私たちの暮らしはどう変わってきたのだろうか?民主党政権時と現在を比べると、平均給与が上がり、株価も円相場も持ち直して、経済が上向いているかのように見える。実際、景気を数値で表す景気動向指数はバブル期を超え、その長さは、来年1月まで続けば戦後最長を更新するという。
経済アナリストの森永卓郎さんが解説する。
「財政・金融政策については、安倍政権は、ほぼ正しいことをやったんです。金融緩和で市場に出回るお金の量を増やした結果、経済の指標が劇的によくなりました」
第2次安倍政権の発足前、日本経済はボロボロだった。「日経平均株価が8600円ぐらい。いまの2・5分の1ぐらいでしたが、回復しました。労働市場もひどい状況だったのが、有効求人倍率は倍ぐらいにまで上がり、いまや人手不足の状況に。為替レートも、民主党政権の末期には79円だったのが、110円台まで戻っています」一方、物価はじわじわと上がり、家計に占める食費の割合を示す「エンゲル係数」も上昇。平均給与も上がってはいるものの、その伸びは物価の上昇に追い付いていない。「国内総生産(GDP)という経済のパイは7%も大きくなりましたが、実質賃金は4%ほど下がった。パイが大きくなったのに、分け前はむしろ減っている。なぜか? ごく一部に、お金が滞留したからです」
内部留保は過去最高に
企業が利益を貯め込む「内部留保」は417兆円を超え、過去最高に。「さらに、現金・預金もため込んでいる。財務省の法人企業統計によると、その数、およそ200兆円以上。とてつもない額を握り込んでいる」蓄えが社員に還元されることはめったにない。企業が稼ぎを人件費に回す割合を示す「労働分配率」は下がり続け、'17年度は66・2%と、43年ぶりの低水準に落ち込んだ。「企業の優遇はまだある。民主党政権だった2010年、法人実効税率は40%台でしたが、いまでは20%台まで下がっています」そんななかで現れた“ハゲタカ・ファンド”は、不良債権を抱えた会社を二束三文で買いたたき、荒稼ぎをしている。「フランスのコンサルティング会社が毎年、『世界富裕層報告』という調査レポートを出していますが、その最新版で日本は世界2位。1億1000万円以上の投資資産を持つ富裕層が、全国に316万2000人もいるというんです。その大半がハゲタカ。アベノミクスのもうけは、彼らと大企業へ集中しています」
一方、痛手を負っているのが地方経済だ。
「地方の疲弊ぶりはすさまじいものがある。TPP(環太平洋経済連携協定)でもずいぶん押し込まれて、農産物のうち51・3%が即時関税撤廃になりました。さらにアメリカのトランプ大統領は一層の譲歩を迫っています。弱肉強食が進んで庶民は転落、そこからの逆転が難しくなった。それが安倍政権の6年間で起こったことです」そんななか、来年10月には消費税10%への引き上げが待ち受ける。森永さんは「おそらく参院選の直前にとりやめると思う。野党が増税反対で足並みをそろえているので」としながらも、もし上がるとしたら「中小企業はバタバタつぶれますよ」と断言する。「'14年に消費税を3%引き上げたときは、消費が3%落ちて冷え込んだ。今度もそうなるでしょう。カード決済すればポイント還元する案が出ていますが、中小零細企業では、カード会社に5%ぐらい手数料で持っていかれる。売り上げが減るし入金も先になるので、資金繰りが苦しくなります。中小企業をつぶすぞと言っているのも同然です」
日本の軽減税率はインチキ
増税の痛みが襲いかかるのは庶民も同じ。とりわけ消費税には、低所得者ほど負担が大きいという問題がある。それをやわらげるために、初めて「軽減税率」制度が導入される予定だが、「税率が8%に据え置かれるだけで軽減になっていません。インチキです。例えばイギリスでは、食料品も、公共交通機関の運賃も0%。新聞代にもかからない。生活必需品にはかけないというのが本来の軽減税率なんです」消費税を引き上げるにあたり、安倍首相は「社会保障の維持」を理由に挙げている。「そもそも、消費税で社会保障費をまかなおうというのが間違いです。厚生年金も健康保険も、社会保障に関しては労使で折半しているのに、消費税を払うのは消費者だけ。企業は負担しないで、むしろ還付金を受けている立場です。社会保険料の企業負担をスウェーデン並みに増やし、法人実効税率を40%台に戻せば、莫大な税収が入る。そうすれば消費税は下げられます」安倍政権の6年間を経て、日本はどこへ向かうのだろうか。
〈PROFILE〉
森永卓郎さん ◎1957年生まれ。経済アナリスト。獨協大学教授。東京大学卒業後、三和総合研究所(現・三菱東京UFJリサーチ&コンサルティング)等を経て現職。テレビやラジオ、雑誌ほか各メディアで活躍
週刊女性PRIME / 2018年11月9日 17時0分
先月24日に始まった臨時国会の所信表明演説で、そう自問した安倍首相。「1強に陰り」「求心力低下」と言われながらも、第二次安倍政権が発足してから6年10か月が経過。さらに、2021年までの「戦後最長政権」が視野に入る。長さゆえに忘れられがちな公約、さまざまなスローガン、鳴り物入りで始まった政策って結局、どうなった? まずは景気や経済について、あの人と見ていこう。
「トクしたのは大企業と富裕層316万人だけ」
2012年末に自民党が政権与党に返り咲いて以来、鳴り物入りで進められてきたアベノミクス。あれから6年、私たちの暮らしはどう変わってきたのだろうか?民主党政権時と現在を比べると、平均給与が上がり、株価も円相場も持ち直して、経済が上向いているかのように見える。実際、景気を数値で表す景気動向指数はバブル期を超え、その長さは、来年1月まで続けば戦後最長を更新するという。
経済アナリストの森永卓郎さんが解説する。
「財政・金融政策については、安倍政権は、ほぼ正しいことをやったんです。金融緩和で市場に出回るお金の量を増やした結果、経済の指標が劇的によくなりました」
第2次安倍政権の発足前、日本経済はボロボロだった。「日経平均株価が8600円ぐらい。いまの2・5分の1ぐらいでしたが、回復しました。労働市場もひどい状況だったのが、有効求人倍率は倍ぐらいにまで上がり、いまや人手不足の状況に。為替レートも、民主党政権の末期には79円だったのが、110円台まで戻っています」一方、物価はじわじわと上がり、家計に占める食費の割合を示す「エンゲル係数」も上昇。平均給与も上がってはいるものの、その伸びは物価の上昇に追い付いていない。「国内総生産(GDP)という経済のパイは7%も大きくなりましたが、実質賃金は4%ほど下がった。パイが大きくなったのに、分け前はむしろ減っている。なぜか? ごく一部に、お金が滞留したからです」
内部留保は過去最高に
企業が利益を貯め込む「内部留保」は417兆円を超え、過去最高に。「さらに、現金・預金もため込んでいる。財務省の法人企業統計によると、その数、およそ200兆円以上。とてつもない額を握り込んでいる」蓄えが社員に還元されることはめったにない。企業が稼ぎを人件費に回す割合を示す「労働分配率」は下がり続け、'17年度は66・2%と、43年ぶりの低水準に落ち込んだ。「企業の優遇はまだある。民主党政権だった2010年、法人実効税率は40%台でしたが、いまでは20%台まで下がっています」そんななかで現れた“ハゲタカ・ファンド”は、不良債権を抱えた会社を二束三文で買いたたき、荒稼ぎをしている。「フランスのコンサルティング会社が毎年、『世界富裕層報告』という調査レポートを出していますが、その最新版で日本は世界2位。1億1000万円以上の投資資産を持つ富裕層が、全国に316万2000人もいるというんです。その大半がハゲタカ。アベノミクスのもうけは、彼らと大企業へ集中しています」
一方、痛手を負っているのが地方経済だ。
「地方の疲弊ぶりはすさまじいものがある。TPP(環太平洋経済連携協定)でもずいぶん押し込まれて、農産物のうち51・3%が即時関税撤廃になりました。さらにアメリカのトランプ大統領は一層の譲歩を迫っています。弱肉強食が進んで庶民は転落、そこからの逆転が難しくなった。それが安倍政権の6年間で起こったことです」そんななか、来年10月には消費税10%への引き上げが待ち受ける。森永さんは「おそらく参院選の直前にとりやめると思う。野党が増税反対で足並みをそろえているので」としながらも、もし上がるとしたら「中小企業はバタバタつぶれますよ」と断言する。「'14年に消費税を3%引き上げたときは、消費が3%落ちて冷え込んだ。今度もそうなるでしょう。カード決済すればポイント還元する案が出ていますが、中小零細企業では、カード会社に5%ぐらい手数料で持っていかれる。売り上げが減るし入金も先になるので、資金繰りが苦しくなります。中小企業をつぶすぞと言っているのも同然です」
日本の軽減税率はインチキ
増税の痛みが襲いかかるのは庶民も同じ。とりわけ消費税には、低所得者ほど負担が大きいという問題がある。それをやわらげるために、初めて「軽減税率」制度が導入される予定だが、「税率が8%に据え置かれるだけで軽減になっていません。インチキです。例えばイギリスでは、食料品も、公共交通機関の運賃も0%。新聞代にもかからない。生活必需品にはかけないというのが本来の軽減税率なんです」消費税を引き上げるにあたり、安倍首相は「社会保障の維持」を理由に挙げている。「そもそも、消費税で社会保障費をまかなおうというのが間違いです。厚生年金も健康保険も、社会保障に関しては労使で折半しているのに、消費税を払うのは消費者だけ。企業は負担しないで、むしろ還付金を受けている立場です。社会保険料の企業負担をスウェーデン並みに増やし、法人実効税率を40%台に戻せば、莫大な税収が入る。そうすれば消費税は下げられます」安倍政権の6年間を経て、日本はどこへ向かうのだろうか。
〈PROFILE〉
森永卓郎さん ◎1957年生まれ。経済アナリスト。獨協大学教授。東京大学卒業後、三和総合研究所(現・三菱東京UFJリサーチ&コンサルティング)等を経て現職。テレビやラジオ、雑誌ほか各メディアで活躍
週刊女性PRIME / 2018年11月9日 17時0分
リボルビング払いはもったいない!?ローンとお金の話
クレジットカードが浸透し、現在では支払方法が多様になり、便利になっています。しかしその半面、収入に見合わない買い物をしてしまったり、月々の支払額が多額になったりするという問題も起こっています。健全なライフプランのためには、借金やローンは少ないに越したことはありません。ここでは「健全」をテーマに借金の話を中心にお送りしましょう。
■知らないと損をするリボ払いの利率
手持ちの資金がない場合、ついついクレジットカードのリボルビング(リボ)払いを利用してしまう人もいることでしょう。しかし、リボ払いは、実は損な支払い方法ということをご存知でしょうか。なぜリボ払いが損かというと、まず、利息が非常に高いことがあげられます。現在、利息制限法が定める上限金利は元本の額が100万円以上の場合は15%ですが、ほとんどのリボ払いの利息は、この15%かそれに近い金利が設定されているのです。2018年1月現在、大手の金融機関の定期預金金利がほぼ0.01%であることを考えれば、15%というのは高い数字であることがわかります。もう一つ、リボ払いでは支払いが長期化する恐れが高いことがあげられます。月々1万円ずつの返済と聞くと、計画的な支払いができるように感じるかもしれませんが、30万円の品物を購入した場合、利息がつかなくてもすべて払い終えるまでには30ヵ月かかります。2年6ヵ月という期間になりますが、もちろん、通常ならばその間ずっと利息がついていくことになるのです。
■借金は雪だるま式に……
ローンは、返済が滞って時間が経てば経つほどその利息が膨らんでいくため、雪だるま式に返済額も増えていくことでしょう。少し難しい用語ですが、「複利」という言葉があります。複利とは、その期間に元金についた利息にも次期の利息がつくことです。たとえば、100万円のローンを10%の金利で組んだ場合、1年後には10万円の利息がついて110万円になります。そして返済が滞れば、2年後はその110万円の10%である11万円の利息がつくのです。このように、複利で増えていく借金やローンは、時間が経てば経つほど支払額が増えていくことになります。
■ローンがあるなら、まずは借金の返済を優先
健全なライフプランを考えるうえで、借金やローンというのはできるだけなくしたほうが良いでしょう。現在は低金利の時代のため、ローンを返すよりも資産運用をしたほうが効率的なのではないかという話も聞きますが、たとえば3%のローンを組んでいる場合、ローンを返済せずに資産を5%で運用するほうが果たして良いのでしょうか。実はこの比較は単純に行うことができません。なぜなら、投資はリターンとリスクを総合的に考えて判断する必要があるからです。仮に期待リターンが5%と7%の投資信託が2種類あったとします。5%のほうは比較的情勢が安定している先進国を対象としたファンドで、7%の期待リターンが見込まれるほうは、新興国を中心としたものとします。この場合、新興国に投資をしたファンドのほうがリターンは大きいのですが、当然、情勢の変化でその価格が大きく上下することもあり得ます。よって、2つのファンドは投資額やリスク許容度など、各々でさまざまな面から判断することが必要でしょう。さて、ローンと資産運用も同じように判断することが必要です。資産を5%で運用できれば、3%のローン返済より投資効率は高いのですが、当然リスクも生じます。一方、3%のローンを返済するだけでは大きく資産を増やすことはできないかもしれませんが、ローンを集中して返済するということは、必ず3%の金利を減らしていけるということであり、堅実な投資方法ともいえるのです。
■資産運用は、借金完済後のほうが効果が見られる
ライフプランを健全に保とうとする場合、リボ払いはできるだけ避けたほう良いですし、借金やローンも極力少ないに越したことはありません。そして、15%の利息を長期間払い続けるリボ払いが、いかに消費者にとって損なローンであるかも理解できたのではないでしょうか。もし高い利息のローンがあるなら、まずそれを返済し、そのあとに資産運用をはじめるという順番がいいでしょう。借金やローンがある状態で資産運用を考える場合は、リターンとリスクを考える必要がありますが、借金を返済してから資産運用をはじめるという順序を踏むと、投資額も増やせ、高い複利効果も期待できます。まずは確実に借金を返済し、健全な家計を目指してみるといいでしょう。
(提供:フィデリティ投信)
ZUU online / 2018年11月9日 19時30分
■知らないと損をするリボ払いの利率
手持ちの資金がない場合、ついついクレジットカードのリボルビング(リボ)払いを利用してしまう人もいることでしょう。しかし、リボ払いは、実は損な支払い方法ということをご存知でしょうか。なぜリボ払いが損かというと、まず、利息が非常に高いことがあげられます。現在、利息制限法が定める上限金利は元本の額が100万円以上の場合は15%ですが、ほとんどのリボ払いの利息は、この15%かそれに近い金利が設定されているのです。2018年1月現在、大手の金融機関の定期預金金利がほぼ0.01%であることを考えれば、15%というのは高い数字であることがわかります。もう一つ、リボ払いでは支払いが長期化する恐れが高いことがあげられます。月々1万円ずつの返済と聞くと、計画的な支払いができるように感じるかもしれませんが、30万円の品物を購入した場合、利息がつかなくてもすべて払い終えるまでには30ヵ月かかります。2年6ヵ月という期間になりますが、もちろん、通常ならばその間ずっと利息がついていくことになるのです。
■借金は雪だるま式に……
ローンは、返済が滞って時間が経てば経つほどその利息が膨らんでいくため、雪だるま式に返済額も増えていくことでしょう。少し難しい用語ですが、「複利」という言葉があります。複利とは、その期間に元金についた利息にも次期の利息がつくことです。たとえば、100万円のローンを10%の金利で組んだ場合、1年後には10万円の利息がついて110万円になります。そして返済が滞れば、2年後はその110万円の10%である11万円の利息がつくのです。このように、複利で増えていく借金やローンは、時間が経てば経つほど支払額が増えていくことになります。
■ローンがあるなら、まずは借金の返済を優先
健全なライフプランを考えるうえで、借金やローンというのはできるだけなくしたほうが良いでしょう。現在は低金利の時代のため、ローンを返すよりも資産運用をしたほうが効率的なのではないかという話も聞きますが、たとえば3%のローンを組んでいる場合、ローンを返済せずに資産を5%で運用するほうが果たして良いのでしょうか。実はこの比較は単純に行うことができません。なぜなら、投資はリターンとリスクを総合的に考えて判断する必要があるからです。仮に期待リターンが5%と7%の投資信託が2種類あったとします。5%のほうは比較的情勢が安定している先進国を対象としたファンドで、7%の期待リターンが見込まれるほうは、新興国を中心としたものとします。この場合、新興国に投資をしたファンドのほうがリターンは大きいのですが、当然、情勢の変化でその価格が大きく上下することもあり得ます。よって、2つのファンドは投資額やリスク許容度など、各々でさまざまな面から判断することが必要でしょう。さて、ローンと資産運用も同じように判断することが必要です。資産を5%で運用できれば、3%のローン返済より投資効率は高いのですが、当然リスクも生じます。一方、3%のローンを返済するだけでは大きく資産を増やすことはできないかもしれませんが、ローンを集中して返済するということは、必ず3%の金利を減らしていけるということであり、堅実な投資方法ともいえるのです。
■資産運用は、借金完済後のほうが効果が見られる
ライフプランを健全に保とうとする場合、リボ払いはできるだけ避けたほう良いですし、借金やローンも極力少ないに越したことはありません。そして、15%の利息を長期間払い続けるリボ払いが、いかに消費者にとって損なローンであるかも理解できたのではないでしょうか。もし高い利息のローンがあるなら、まずそれを返済し、そのあとに資産運用をはじめるという順番がいいでしょう。借金やローンがある状態で資産運用を考える場合は、リターンとリスクを考える必要がありますが、借金を返済してから資産運用をはじめるという順序を踏むと、投資額も増やせ、高い複利効果も期待できます。まずは確実に借金を返済し、健全な家計を目指してみるといいでしょう。
(提供:フィデリティ投信)
ZUU online / 2018年11月9日 19時30分
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