2026年10月23日金曜日

株式分割(株式が分割)されると、どうなるの? 仕組みやメリット・デメリットを会社と投資家の目線から解説

 「株式の分割って何?」「株式が分割されると株価はどうなるの?」などと疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。株式分割とは発行済みの株式の総数を増やすために会社が株式を分割することで、会社と投資家、双方にとってメリットとデメリットがあります。うまくタイミングを押さえれば、今まで価格が高くて買えなかった株を購入できたり、株価上昇の波に乗ったりもできるでしょう。株式分割の仕組みや目的とともに、株式分割の一般的な流れ、メリット・デメリットを解説します。株式分割によって、どのような影響があるのか、理解しておきましょう。

〇株式が分割されると、どうなるの?

株式の分割とは、すでに発行している株を会社が分割し、総数を増やすことです。株の総数は変わっても、保有する資産の価値は同じです。例えば、1株2,000円の株を会社が2株に分割した場合、同時に1株の価格も分割されます。そのため「1株1,000円×2株=2,000円」となり株式全体の価値は変わりません。

〇株式を分割する目的とは?

会社が株式分割を行う目的は、主に以下の2つです。

1. 株式の流動性を高めるため

2. 証券取引所に上場するため

順に解説していきましょう。

1.株式の流動性を高めるため

1つ目の目的は、株を取引する市場の流動性を高めるためです。

株を分割すると、1株あたりの価格(株価)が下がります。株価が下がることにより、投資に回せる資金が少ない投資家でも株を購入できるようになるため、株式市場の流動性が高まることが期待できるのです。なお、東京証券取引所では、投資単位が50万円以上(株価5,000円以上)の企業に対して、株式分割を推奨しています。これには、投資単位を引き下げることで個人投資家が投資しやすい環境を整えるという狙いがあります。

2.証券取引所に上場するため

2つ目の目的は、証券取引所に上場するためです。

上場とは、会社が証券取引所に株式を公開することを指します。会社が上場するためには、証券取引所の審査に通過しなければなりません。上場すると、一般の人でも証券取引所で株式を購入できるようになります。

上場するためにはさまざまな基準が定められており、証券取引所によってその基準は異なります。例として、東京証券取引所で最も大きい市場であるプライム市場を見てみましょう。

株主数:800人以上

流通株式数:20000単位以上

流通株式時価総額:100億円以上

流通株式比率:35%以上

時価総額:250億円以上

流通株式数は20,000単位以上とされているため、その条件を満たすために株式分割を行う場合があります。

〇株式を分割する会社側のメリットとデメリット

会社が株式分割を行うにあたって、以下のようなメリットとデメリットがあります。

・メリット

「投資家層の拡大が期待できる」

1つ目のメリットとして、投資家層の拡大に期待できる点が挙げられます。株式分割を行うことで1株あたりの金額が下がり、今まで投資したくてもできなかった方が株を購入しやすくなるためです。投資家層が拡大すれば、株主数も拡大しやすくなります。結果として、市場の流動性の向上も期待できるでしょう。

「配当の代替手段にできる」

2つ目は、配当手段の代わりにできることです。株主への配当を増やしたい場合、1株あたりの配当を変えずに株式分割を行えば、株主は持っている株の価値はそのままで増配(配当を増やすこと)できます。例えば、100株保有している株式が2つに分割され200株になったとします。このとき1株の価値も分割されるため資産総額の価値は変わりませんが、配当の額が以前のままであれば株主は100株分の配当が増えることになります。会社は自社株の配当金増加を市場にアピールできるでしょう。

・デメリット

「株価の変動が大きくなる」

1つ目のデメリットは、株価の変動が大きくなりやすいことです。株式分割をすると市場で売買しやすくなるため短期的な取引を行う投資家が増える可能性があります。短期的な利益を追求する投資家が増えると、短期間で急激に価格が上昇・下落するなど、株価が不安定になるリスクがあります。

「株主数の増加による管理の負担が増える」

2つ目は、株主の管理に関する手間が増えることです。会社は、株主を管理するために以下のような業務を行わなければなりません。

株主名簿の作成:株主を把握するため、氏名、住所、保有株式数などを正確に記載。

配当金の分配:配当金が決定したら、株主への利益分配が必要。

反社チェック:反社会的勢力から資金提供を受けると会社の社会的信用が大きく損なわれるため、株主に対しても反社チェックが必要。

株主が増えることで会社は1人あたりに対してさまざまな手間がかかるため、負担が増えます。

〇株式を分割する投資家側のメリットとデメリット

続いて、株式が分割されることによる投資家側のメリットとデメリットを解説します。

・メリット

「株の取引がしやすくなる」

1つ目は、株取引に対するハードルが下がる点です。株式分割が行われると1株の値段が下がるため、株を買いやすくなります。例えば、1株1,000円の場合、100株単位で買うと10万円が必要です。この株が「1:2」で分割(1株を2株に分割)されると、1株の値段は500円になり、100株を5万円で購入できます。結果として、資金に余裕のない投資家でも株の取引がしやすくなるでしょう。

「金融資産の組み合わせ(ポートフォリオ)を多様化できる」

2つ目は、さまざまな株式を購入できる可能性が高まり、金融資産の組み合わせ(ポートフォリオ)を多様化できる点です。1株あたりの価格が高いと、購入できる株が限られるため、予算内で購入できる金融資産が限定されます。株式が分割されて1株あたりの価格が下がれば購入しやすくなるため、金融資産の組み合わせの選択肢が増えます。

「配当金が増える」

3つ目として、配当金の増加が挙げられます。株式の分割がされると、1株あたりの配当金も同様に減るのが一般的です。しかし、株主に還元することが目的の場合、配当金が変わらないことがあります。例えば、100株保有している株式が2つに分割されると200株になります。このとき1株の価値も分割されるため、資産の総額は変わりませんが、配当の額は据え置かれる場合があります。すると株主は何もせずとも、100株分の増配を得ることができるのです。配当金の割合が同じであれば、株主は何もしなくても所有する株式が増えるため、結果として配当金が増えることになるのです。

・デメリット

「取引所で売買できない株(単元未満株)が発生する」

1つ目のデメリットは、取引所で売買できない株(単元未満株)が発生する可能性があることです。例えば、100株保有していた株式が「1:1.1」の割合で分割されると、110株になります。株式は通常、売買できる単位が100株からと定められているため、端数の10株については取引所で売買できません。端数の株は1単元に満たないため「単元未満株」と呼ばれます。単元未満株を売却したい場合は、株を発行した会社に買い取り請求をする必要があります。

「株価が安定しなくなる」

2つ目のデメリットは、株価が安定しなくなることです。株の流動性が上がって市場の動きが活発になると、株価の値動きも激しくなる可能性があります。売買のタイミングを見極めるのが難しいと感じ、不安になることもあるでしょう。

〇株式分割にはメリットとデメリットがある

株式分割を行うことで、会社は資金提供をより受けやすくなり、株主数を増やす可能性がある一方、リスクも存在します。また、投資する方にとっては、株価が下がるため購入しやすくなるのがメリットです。多くの種類の株を購入することで、株価の急な下落に伴うリスクを軽減できるでしょう。さまざまなメリットとデメリットがあるため、状況に応じて使い分けることが大切です。株式分割されることで、今まで手が出なかった株が購入できるようになるかもしれません。興味がある会社の株が株式分割を行う予定がないか、情報をチェックしておくといいでしょう。