2021年5月8日土曜日

なぜ飲食店ばかり規制する?吉村知事は自民党と経済界の顔色をうかがって大阪をボロボロにした

 緊急事態宣言が延長されても、大阪の危機的状況は変わらない。日々のニュースでは新規感染者の数が強調されるが、問題は医療崩壊だ。すでに入院患者をはるかに上回る「入院調整中」の患者、すなわち入院しなければならないのにできていない患者がおり、感染者全体に占める入院患者は約1割しかいない。つまり、大多数の患者が発症しても入院できず、入院が必要だとされても病床が空くのを待つしかない状態が続いている。入院を待ちながら自宅や滞在場所で亡くなる悲劇も後を絶たない。吉村洋文・知事は、緊急事態宣言が出ている4都府県でもいち早く宣言延長を求めたように、その危機を認識はしている。しかし、2回目の宣言を1週間早く解除するよう要請したのも吉村氏であり、即断即決が良くも悪くも働いている。『週刊ポスト』(5月10日発売号)では、大阪の事業者や市民の窮状と不安を現地からリポートしているが、なぜ吉村氏はあんなにも判断が軽いのか、右往左往して間違いを繰り返すのか、かつて読売新聞大阪本社で活躍したジャーナリスト・大谷昭宏氏に、その「政治的生い立ち」から解説してもらった。


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吉村さんは、まず即刻、連日のテレビ出演をやめて、一人でも死者を減らすことに全力で取り組んでもらいたい。『ミヤネ屋』の視聴率も下がっているというが、この状況では府民はテレビで吉村さんを見たいわけではないからです。視聴率が取れるからと吉村さんを呼ぶような番組からは視聴者が離れています。いま呼ぶなら学者や医者でしょう。それがあるべき報道の姿です。これは吉村さんだけではありませんが、1年前の感染拡大以降、経済を優先するような発言をした政治家は土下座して国民に詫びるべきです。西村康稔・経済再生担当大臣はじめ、頭を丸めなければならない政治家はたくさんいます。学者も医者も、当初から経済を回しながら太刀打ちできるようなウイルスじゃないんだとさんざん言ってきた。諸外国ではそれがわかっているから政治家は厳しい感染防止措置を取りました。しかし、日本ではカネに目のくらんだ政治家たちが、「Go Toトラベル」までやって感染を広げてしまった。吉村さんもその一人です。だから、まず府民に対してカネのことを口にしたのは間違いだったと謝るべきです。カネの話をする政治家は、とかく居酒屋さんや飲食店が大変だからと言うのですが、それは嘘です。大阪でも東京でも、居酒屋さんで経済が回っているわけではないからです。経済全体から見れば小さな産業です。本当は、自民党を支える経済界からの要請があり、自民党の補完勢力である維新の吉村さんも、自民党と歩調を合わせるために経済を優先しようとしているのでしょう。違うというなら、居酒屋さんに負担を強いるのと同じように、本当はテレワークができるはずなのに普段通りに営業している8割の企業に罰則をかけるべきです。自民党を支える経済団体にも物が言えるなら、そちらのほうが感染防止につながります。

しかし、それは言えないから、居酒屋さんが大変だと言って宣言を解除した。吉村さんはマスク会食を訴えましたが、テレビに出てあのように言えば、見る人は「ああすればいいんだ。会食は解禁なんだ」と思うでしょう。吉村さんを「裸の王様」と書いた毎日新聞の記事によれば、吉村さんがマスク会食を言い出してから、居酒屋さんの入店率が50%以上上がったそうです。それがテレビの怖いところで、知事が「マスク会食しましょう」と言えば、そうしてしまう人が増える。結果として感染を広げてしまったのです。その背景に吉村さんの置かれた政治的な立場があることを府民は知る必要があります。彼は維新の副代表であり、自民党に可愛がってもらわなければ自分たちの存在意義がなくなることを知っている。大阪都構想が府民から否定され、党の一丁目一番地を失った今、維新は自民党にくっついていくしか生き残る道はないのです。だから経済を優先すると言わなければならない。私は、吉村さん個人は経済を後回しにして医療体制を立て直したいと考えているように感じます。しかし、維新という政党、その設立者であり自民党との協調路線を主張した橋下徹さん、そして菅政権の狭間で身動きが取れず、結果的に大阪をボロボロにしてしまったのです。



NEWSポストセブン / 2021年5月8日 7時5分 


はっきりと言わせてもらいます。「吉村洋文大阪府知事、テレビに出るな、お前を見たがっている人はいない。コロナ対応しろ」「コロナ対応ができないのなら大阪府知事を辞職せよ」「吉村洋文大阪府知事を当選させた大阪府内の有権者に問題がある」ということですよ。今年の衆議院選挙では維新の会の候補者や維新塾の出身者を落選させることが重要である。