2024年11月2日土曜日

定年退職を機に息子の「扶養」に入りたいです。「扶養に入るための条件」はなんですか? メリット・デメリットも教えてください

 〇税法上の扶養親族の条件

納税者である子どもに所得税法上の控除対象扶養親族となる親がいる場合には、扶養する子どもは一定の金額の所得控除が受けられ、所得税・住民税の節税ができます。控除額は、扶養親族の年齢、同居の有無等により決まります。たとえば、控除対象扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が70歳以上の方の控除額は、同居の場合は58万円(住民税45万円)、同居以外は48万円(住民税38万円)です。70歳未満の親の控除額は38万円(住民税は33万円)です。たとえば、所得税率20%の子どもが70歳以上の同居している親を扶養する場合の節税額を計算してみましょう。所得控除額は58万円なので、節税額は58万円×20%=11万6000円です。また、住民税に関しても、控除額45万円×10%=4万5000円の節税ができます。

扶養親族となる条件は、その年の12月31日の現況で、次の4つの要件のすべてに当てはまる人をいいます。

(1) 配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族をいいます)、または都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること

(2) 納税者と生計を一にしていること*

(3) 年間の合計所得金額が48万円以下であること

給与のみの場合は給与収入が103万円以下、年金収入のみなら65歳未満は108万円以下、65歳以上なら158万円以下であれば扶養控除を利用できます。

(4) 青色申告者の事業専従者として、その年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと

親に事業の手伝いなどをしてもらう場合は気を付けてください。

(出典:国税庁「No.1180 扶養控除」)

*「生計を一にしていること」

同居の場合は、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。別居の場合は、余暇には起居をともにすることを常例としている場合や、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合には、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。銀行振込の控えなどを保存しておきましょう。

〇健康保険上の被扶養者の条件

子どもが会社員等であれば、子どもの健康保険の被扶養者になることによって、親は健康保険料を負担せずに保険給付を受けることができます。子ども(被保険者)の健康保険料負担も変わりません。被扶養者に該当する条件は、日本国内に住所(住民票)があり、被保険者によって主として生計を維持されていること、および次の収入要件と同一世帯の条件の両方を満たす場合です。収入要件は、年間収入が130万円未満(60歳以上または障害者の場合は、年間収入180万円未満)かつ、(1) 同居の場合は収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満、(2) 別居の場合は収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満であることが条件です。

被扶養者が、配偶者、子、孫および兄弟姉妹、父母、祖父母などの直系尊属の場合は、被保険者と同居している必要はありませんが、これ以外の3親等内の親族や内縁関係の配偶者の父母および子は同居している必要があります。なお、75歳になると後期高齢者医療制度に加入しますので、健康保険の被扶養者から外れますので留意しましょう。

〇メリット・デメリット

親が子どもの扶養に入ることにより、子どもの税金負担が減る、75歳未満の親の健康保険料の負担をなくせるといったメリットがあります。一方、高額療養費の上限額が高くなるので親の医療費の自己負担が増える、介護保険料が世帯収入に基づいて計算されるため親の介護保険料の負担が増える、介護サービス利用料の負担が増える、といったデメリットがあります。以上のように、子が親を健康保険の扶養に入れる場合には、このようなデメリットがありますので、税金だけ子どもの扶養に入れるという方法もあるでしょう。

〇出典

国税庁No.1180扶養控除

日本年金機構 従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き

執筆者:新美昌也

ファイナンシャル・プランナー



2024年10月31日木曜日

9月10月はいろいろ忙しかったので投稿できませんでした。

 9月10月はいろいろ忙しかったので投稿できませんでした。11月から色々撮影等に行って投稿しますので期待してください。

2024年9月30日月曜日

SNSで「空き家差し上げます」という投稿を見つけました。「0円物件」だそうですが、本当に無料なのでしょうか?

 「0円物件」とは、文字どおり不動産購入費用が0円の物件のことです。不動産物件が無料で手に入るならお得だと感じる反面、「何か裏があるのではないか?」と疑問に思う人もいるかもしれません。   そこで本記事では、「空き家差し上げます」という「0円物件」の実態を調査し、メリットとデメリットについて詳しく解説します。

〇全国にある空き家の数と割合

総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」によると、全国にある空き家の数と空き家率は 表1の通りです。

表1

空き家数 空き家率

2013年 820万戸 13.5%

2018年 849万戸 13.6%

2023年 900万戸 13.8%

※総務省「令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果」を基に筆者作成

空き家の数は年々増加傾向にあり、2023年における全国での空き家の数は900万戸、総住宅数に対する空き家率は13.8%となっています。

 〇0円物件は空き家問題を解決するために活用されている

空き家が増える主な要因として、少子高齢化による人口の減少と都市部への集中が考えられます。これによって、古かったり不便な場所にあったりする物件が空き家となり、年々増加の一途をたどっているようです。さらに、空き家放置による深刻な問題も発生しています。例えば、倒壊や不法侵入のおそれがあるほか、景観悪化などによる近隣への迷惑も引き起こします。また、固定資産税などの税負担が増えることも問題の1つでしょう。これらの問題を解決するために、買い手のつかない空き家を0円(無償)で譲渡する人が増えているようです。

〇0円物件のメリット

空き家のなかには、購入価格が0円の物件もあります。0円物件を購入する際に得られるメリットは、以下の通りです。

・不動産物件が0円で購入できる

・補助金や助成金を利用できる可能性がある

・古い建物を自由に活用できる

「0円物件」の最大の魅力は、土地や建物を0円で入手できる点です。建物だけではなく、以前住んでいた人が使っていた畑や設備なども、そのまま譲り受けられるケースがあります。また地方自治体が、空き家対策や地域活性化の一環として「0円物件」の仲介をしている場合は、ある一定の条件を満たせば補助金や助成金を利用できるケースもあるようです。

〇0円物件のデメリット

0円物件を購入した際に考えられるデメリットは以下の通りです。

・リフォーム費用や維持費がかかる

・税金がかかる

・手続きなどを自分で行う必要がある

・瑕疵(かし)担保の免責がある

不動産を取得する際に必要な費用は0円ですが、その多くは築年数が古い物件であるため、リフォームに多額の費用が必要になる可能性があります。さらに建材が古いため、維持費や管理費などのランニングコストがかかるかもしれません。また、不動産を譲り受けるときの代金は0円でも、法的には贈与として扱われるため、贈与税や不動産取得税などの税金がかかることを忘れないようにしましょう。贈与税は110万円以内であれば課税対象にならないのでは?と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、例え無償で譲渡された物件であっても、その不動産の固定資産税評価額が110万円を超えると贈与税の課税対象になるのです。さらに不動産の提供が無償であることから、住宅に住めないほどの欠陥が見つかったとしても、補修費用の負担請求や契約破棄ができないケースが多いようです。売り主が責任を負わない「瑕疵担保の免責」となるためです。このように、0円物件にはメリットもありますがデメリットも多いため、購入の際には慎重に検討しましょう。

〇0円物件は本当に0円で購入可能! ただし税金などの諸費用がかかる

「0円物件」としてネット上に紹介されている物件は、本当に0円で購入可能です。ただし0円物件の購入は、法律上では贈与として扱われるため、贈与税や不動産取得税などの税金がかかる可能性があります。なお、0円物件の多くが古い建物のため、リフォームをする場合は多額の費用がかかる可能性があるでしょう。しかし近年では、地域活性化の一環として一定の条件を満たした購入者に、自治体から補助金や助成金が支給されるケースもあります。このように、0円物件を購入する際はメリットとデメリットの両方があるため、慎重に検討しましょう。


出典

総務省 令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果

 

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー


ファイナンシャルフィールド/2024年9月25日10時20分


2024年8月25日日曜日

2024年7月16日火曜日

NISA制度"改悪"で譲渡益に課税の悪夢…エコノミストが「老後はNISAを使ってはいけない」と断言するワケ

 老後にストレスフリーでお金を運用するにはどうすればいいか。エコノミストの崔真淑さんは「高齢者は一般口座や特定口座での投資に加えて、資産を『分散投資』することが大切。そのための具体的な対策がある」という――。

■運用資金は5年は使うあてのない金額にする

2025年の年金改正を控えて、「65歳まで保険料を支払う」、あるいは「支給開始年齢が70歳や75歳に引き上がる」といった案が出ていますが、今後、年金制度はどんどん“改悪”されていく可能性は高いです。前回も述べたように、おそらく年金だけで暮らすことは、非常に難しくなるでしょう。年金だけで暮らせないとなると、働くほか、「運用する」ことを考えていかなければいけません。老後の運用について、大事な前提は、次の2つです。

前提①余裕資金で行う

80歳、90歳までカツカツで余裕資金がないといった高齢者は、そもそも株式投資をすべきか再考が必要だと思います。投資するなら、5年は使うあてのないお金を回しましょう。かつて金融業界にいた私がつくづく思うのは、10年に一度は、大きい金融ショックがくる可能性が高いということです。今は景気がよくても、この先、何が起こるかわからない。だからこそ、せめて5年は手元になくても辛抱できるお金をあててほしいのです。

■老後はNISAを使ってはいけない

前提②NISA口座は使わない

今、新NISAが大流行ですが、高齢者の方にはNISAはお勧めしていません。なぜならNISAには「すべてが非課税ではない」「譲渡税が課税される可能性がある」「損益通算できない」といった落とし穴があるからです。一つずつ、説明していきましょう。

・すべてが非課税ではない

NISAを完全非課税だと思っている人は少なくありません。

ですが、NISAは完全非課税ではありません。今、人気のアメリカ株式市場に上場しているような「S&P500」に連動するETF(上場投資信託)や、個別のアメリカ株式を購入する場合は注意が必要です。通常(一般口座や特定口座の場合)、海外からの配当金にはその国に税金を払ったうえで、日本でも20.315%が源泉徴収されます。確定申告をすることにより外国税額控除を受けられるしくみです。新NISAではこの20.315%が非課税になることで、二重課税でなくなるため、“海外に税金を支払う”必要が生じるのです。たとえば、米国株や米国ETFの配当には10%の税金がかかります。

・譲渡益が課税される可能性がある

政府は現在、将来の税制改正を見越して、NISAの配当金などインカムゲインには課税をしていません。ですが、譲渡益などキャピタルゲインには税金をかけようという議論が出ています。「安くなった株を買って高く売りたい」「含み益が出たら利益を確定して売りたい」などと、譲渡益狙いでNISAを使っている人にとっては寝耳に水。この先、制度変更される可能性があると考えるなら、NISAでキャピタルゲインありきの保有にのめり込まない姿勢が必要でしょう。

■NISAで予想される悪循環

老後のお金の設計にNISAが向いていない理由はまだあります。

・損益通算できない

「損益通算」とは、株式や投資信託を売却して利益や損失が出た場合、利益と損失を合算して合計が利益になっていれば、その利益に対して課税されるしくみ。たとえば、ある株式を売って50万円の利益が出る一方、別の株式で30万円の損失が出たら、50万円-30万円=20万円に税金がかかる、ということ。これが損益通算のしくみです。また1年間の合算した損益が結果的に損失になった場合、翌年以降、最小3年間、繰り越せる「繰越控除」が適用されます。たとえば、ある年に30万円の損失で、翌年の利益が40万円であれば、繰り越した30万円の損失と40万円の利益を合算し、40万円-30万円=10万円に対して課税されるのです。この損益通算と繰越控除が、NISA口座ではできません。株式投資は正直、これで儲かると思っても、なかなか理想通りに利益が出ることはありません。“塩漬け”になっているお金をさっさと損切りして、次の新しい運用に使いたいけれど、損益通算できないとそれもなかなか踏ん切りがつかない。こんな悪循環は多々起きます。株式投資は、ある程度“損をする”ことが前提であれば、私は損益通算できるほうが結果的にオトクになると思っています。ですから運用するなら、NISA口座ではなく、一般口座や特定口座で行うことをお勧めします。

■資産を分散投資するときのポイント

高齢者は「一般口座や特定口座で投資する」ことに加えて、資産を「分散投資」することが大切になります。増やすより、とにかく今ある資産を目減りさせないことが先決です。

もちろん80代でも、特定の資産に集中投資して成功しているトレーダーの方もいます。しかし、そういう人は、ずっと昔から投資をしてきたベテランの人。私の知り合いにもいますが、そういう人は本当に株式投資が好きで、『会社四季報』を24時間見ていても飽きない。それほど好きな人であれば、集中投資もよいと思いますが、そうでなければやめたほうがいいというのが私の考えです。では、どうやって分散させればいいか。ここ数年、日経平均が最高値を更新したり、戦争で世界的に物価が上がったりと想像を超えることが起きています。こうした景気リスクや地政学リスクの“有事”に備えるには、それらに敏感に「反応するもの」と逆に「反応しにくいもの」といったように、感応度の異なるものに分散させるのがおススメです。具体的には、株式、債券、不動産、金や原油などはのコモディティは、それぞれ有事や景気に対しての反応の仕方が違う傾向にあり、こうしたところに分散させるのが重要でしょう。株式も日本株と外国株に分散させます。日本円の目減りがこわいならば外貨にする、または外貨で「外貨建て社債を買う」、あるいはインド株などこれから伸びそうなインデックスファンドを買う、といった対策をします。

■不動産投資信託を持つメリット

ちなみに私は、不動産ではなく、「REIT(リート)」と呼ばれる不動産投資信託にも注目しています。不動産投資信託とは、投資家から集めたお金で不動産を所有し、そこから得られた賃料収入を分配するもの。ホテルリートや物流リート、オフィスリートなど、いろいろな商品があり、小口で投資できるのがメリットです。現物の不動産投資は、借金して投資できるメリットがある一方、頭金を用意するのが大変だったり、手数料が非常に高くそれで損することもあるなどのデメリットもあります。そう考えると、不動産投資に興味があっても、そこまではしたくないという人は多い。私もその一人です。そんな人にリートはおススメといえるでしょう。今は金利が上がったことでマイナスになっていますが、もともと不動産投資は、戦争や金融ショックで多少は変動しても、賃料自体は景気に左右されにくいもの。過去のデータからは、「平均的には長期でインカムゲインでしっかりとリターンが出やすい」ことも実証されています。ですから配当金狙いでリートを持つというのは悪くないと思います。もちろん注意点もあります。歴史のあるリートは、想定外に修繕費用などのコストが出ることで、配当金が減る可能性もあります。リートの構成や中身を、しっかり確認してください。

■「仕組債」は様子見で検討を

注意すべきは「仕組債」と呼ばれるデリバティブ(金融派生商品)を利用することでキャッシュフローを生み出す債券です。証券会社や銀行がすすめる仕組債については、手数料や格付けなど、商品の中身が金額に見合っているかどうか、いったん立ち止まって確認してほしいですね。「利回りがよい=リスクが高い」ので、飛びつくのは危険。いったん様子を見ましょう。同じように株価は安いのに、配当利回りがいい銘柄も、様子見が必要です。安いには、ちゃんとワケがある。業績が悪くて、会社の持続可能性が失われているのかもしれませんし、機関投資家が手放しているだけかもしれません。

■世界はアメリカ一極から多極化へ

株式投資の世界には「利大損小」という言葉があります。これは100万円投資して、99万円損したら、残りの1万円から100万円にするのは非常に難しい。でも、100万円の損失を10万円に抑えて、90万円を原資にまた分散投資すれば、100万円を超えるかもしれない――そうした「いかに負けを小さく、そして利益を大きくするかが大事」といった意味です。私自身、分散投資を徹底していますが、それは今後、地政学的に大きなうねりが起こり、これまでの世界のルールが変わるかもしれないと予想しているからです。戦後80年、アメリカが世界の覇権を握ってきましたが、数々の戦争が重なり、アメリカはいよいよ体力が失われてきています。一方、中国が力をつけて、ロシアとタッグを組み始めている。つまり今は、アメリカ一極の世界から、多極化の世界への過渡期である。だからこそ、米ドルが今後も変わらず基軸通貨であり続けるかどうかはわからない――。私はこのように考えています。実際、中東の石油は米ドルではなく、人民元で買えるようになったり、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)では、ドルを使わないしくみをつくろうという動きが起きています。また中国は、自国の通貨の価値を上げるためか、金をどんどん買い増しています。つまり米ドルに今のように価値があるのは、ここ80年ぐらいの流れなのです。米ドル覇権がすぐに消滅することはないにせよ、リーマン・ショック級の経済ショックが頻発したら、アメリカ経済はどうなるかわかりません。

■自給自足は究極のリスクヘッジ

ここからは私の予想です。今後、アメリカ一極が衰えて、世界が戦争状態になってしまったら、かなりの確率でインフレが加速すると思います。そうなると資源を持っている国が強い。たとえば食料や鉄鉱石などの資源が豊富なオーストラリアなどは、しっかりと生き残れるだろう。だから私は今、オーストラリアドルやオーストラリアドル建の債券に関心を持っています。もちろんアメリカも資源がありますが、覇権から衰退する過程で何が起きるかわからないことを考えると、米国債の追加保有は様子見したいと考えています。もしも台湾有事が起きれば、真っ先に飢えやすいのは東京だという試算もあります。それぐらい日本の食料自給率は低い。その自衛策として私は、趣味も兼ねて畑作業での作物づくりの準備に動いています。「自給自足」の準備です。東京にも手放された農地はたくさんあるので、共同でそこを耕し作物をつくり続けるのは、次世代にも価値があることだと。


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崔真淑(さい・ますみ)

エコノミスト

2008年に神戸大学経済学部(計量経済学専攻)を卒業。2016年に一橋大学大学院にてMBA in Financeを取得。一橋大学大学院博士後期課程在籍中。研究分野はコーポレートファイナンス。新卒後は、大和証券SMBC金融証券研究所(現:大和証券)でアナリストとして資本市場分析に携わる。債券トレーダーを経験したのち、2012年に独立。著書に『投資一年目のための経済と政治のニュースが面白いほどわかる本』(大和書房)などがある。

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(エコノミスト 崔 真淑 構成=池田純子)


プレジデントオンライン/2024年7月15日 9時15分


2024年6月19日水曜日

相続放棄したのに請求がきた!債権者による取り立てへの対処法

 親族がなくなった際、相続放棄をすれば、故人が残した借金の返済を引き継がなくてよくなります。しかし、相続放棄をしたのに相続人に請求が来ることがあります。相続放棄したのに請求が来た際の対処法や、相続放棄しても返済をしなければいけないケースについて弁護士が解説します。

1. 相続放棄後の請求に支払い義務はない

民法では、相続人は自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に、相続について単純承認、限定承認、相続放棄のいずれかをしなければならないと定められています。単純承認とは被相続人(亡くなった人)の財産を無条件で全て相続することであり、限定承認とは相続によって得たプラスの財産の範囲内でマイナスの財産も引き継ぐことを言います。これに対し、相続放棄をすると、相続人は初めから相続人とならなかったものとみなされ、被相続人の権利や義務を一切受け継がないことになります。そのため、相続放棄をした人は、その後に、亡くなった人の借金について債権者から請求を受けたとしても支払う義務はありません。

2. 相続放棄をした後に債権者から請求が来た場合の対処法

まずは「相続放棄をしたのに借金の請求が来た場合」の対処法を紹介します。

2-1. 相続放棄が認められたことを伝える

家庭裁判所で相続放棄の申述を行い、受理されたとしても、被相続人の債権者に通知が行くわけではありません。そのため、債権者はあなたが相続放棄をしたことを知らない可能性があります。そんなときは慌てずに、債権者に対して相続放棄を行っている旨を伝えましょう。相続放棄をしたことを伝えれば、債権者も基本的にはそれ以上の請求はしてこないでしょう。

2-2. 相続放棄申述受理通知書を提出する

債権者の中には「相続放棄をしているなら、その証拠を提出して欲しい」と主張してくる人がいるかもしれません。そのような場合には「相続放棄受理通知書」を債権者に示すことで、相続放棄が行われていることを理解してもらえます。もし手元に、相続受理通知書がない場合でも、相続放棄の申述をした家庭裁判所に申請することで、相続放棄が受理された旨の証明書を交付してもらうことが可能です。亡くなった人の借入先がすでに分かっていて「いつか連絡が来るかもしれない」という状態が嫌だという場合には、あらかじめ相続放棄をしたことを、これらの書類を添えて通知しておくことで事前に対処することもできます。

2-3. 取り立てが続く場合は弁護士に相談する

相続放棄をしたことを伝え、証明書を提示しても取り立てが続くような場合には、弁護士に相談し、法的に支払う義務がないことを明示してもらいましょう。弁護士に依頼し、債権者との連絡を弁護士に任せることで、債権者と直接やりとりする必要がなくなり、精神的な負担も軽減できます。また、万が一、借金を返済する必要があるかもしれないケースだったとしても、早めに相談することで今後の対策が立てやすくなります。

3. 相続放棄をする前に請求がきた場合の対処法

相続は突然発生するものなので、亡くなった人にどんな財産や債務があるか、相続人が把握していない場合も多いです。債権者からの請求によって、遺産に借金が含まれているのを知ることもよくあります。自分が相続人になった場合には、亡くなった人にどんな財産があるかだけでなく、どんな債務があるかについても、よく調べておくようにしましょう。亡くなった人宛の郵便物や、預金通帳の取引履歴などから、債務の手がかりを見つけることができるケースもあります。なお、相続放棄をする前に、債権者から請求を受けた場合であっても、相続放棄をすることは可能です。ただし、相続放棄は「被相続人が亡くなったことと、自分が相続人であることを知ったときから3ヶ月以内」にしなければなりませんので、この期間には十分注意しましょう。

4. 相続放棄をしても借金を返済する必要があるケース

相続放棄をしても、借金を返済しなければいけないケースもありますので、注意しましょう。

4-1 亡くなった人の借金の連帯保証人になっていた

相続人が、亡くなった人の借金の連帯保証人になっていた場合には、相続放棄をしたとしても借金を返済する必要があります。なぜならば、相続人自身が亡くなった人の連帯保証人となっている場合には、自己の連帯保証債務として借金を支払う義務を負うからです。この場合には、相続放棄をしたとしても、連帯保証人としての返済義務を免れることはできません。

4-2. 正式な手続きをしていない場合

相続放棄をするためには、被相続人が亡くなった後、亡くなった人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に相続放棄の申述をしなければなりません。中には「他の相続人に、相続放棄をする、と伝えたので相続放棄をしたものだと思っていた」「兄弟で、兄が遺産を取得し、弟である自分は何ももらわないということで、話はついているので、相続放棄をしていると思っていた」などというケースもあります。しかし、相続人同士で話し合っただけでは、正式な相続放棄とは認められません。また、「生前に遺留分を放棄する旨の手続きを裁判所に対して行っているので、相続放棄は行わなくてもいいのではないですか」という質問をお受けすることもありますが、遺留分の放棄の許可と相続放棄の申述は全く別の手続きです。遺留分放棄の許可は、亡くなった人の生存中に、亡くなった人の住所地の家庭裁判所に対して申立てをすることで、あらかじめ遺留分を放棄することができる制度のことです。従って、仮に、遺言によって全財産が他の相続人に相続されることになったとしても、遺留分放棄者である法定相続人は、亡くなった人の負債を相続することになります。そのため、遺留分放棄の許可を受けている相続人であっても、亡くなった人の死後に、改めて相続放棄の申述を行う必要があります。

4-3. 相続放棄が無効な場合

家庭裁判所に相続放棄の申述を行って受理された場合でも、実際には相続放棄の要件を満たしていなかったという場合には、相続放棄が無効だと判断される場合があります。

下記のようなケースでは遺産を相続したと見なされます。

・相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき

・相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に限定承認又は相続放棄をしなかったとき

・相続人が、限定承認又は相続放棄後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録に記載しなかったとき

そのため、相続放棄をする前に、亡くなった人の財産を処分してしまっていた場合には、相続について単純承認をしていたと判断される可能性があります。相続放棄をした後に、亡くなった人の財産を隠匿したり、自分のために消費してしまっていたりというような場合でも同様です。

4-4. 民事訴訟を起こされ裁判で負けた場合

債権者が相続放棄を無効だと考える場合には、相続放棄をした相続人に対して「亡くなった人の債務を支払え」という民事訴訟を提起してくる可能性があります。この場合には、その民事訴訟手続きの中で、相続放棄が有効か無効かが判断されます。相続放棄が無効であると判断され、債権者の請求が認められた場合には、相続人は亡くなった人の債務を相続したとして、債権者に対して借金を支払わなければなりません。

5. 相続放棄が正しく行われたか確認する方法

続放棄が行われると、相続放棄した相続人は、法律上、初めから相続人ではなかったものとみなされるので、次順位の相続人が、法定相続人としての地位を取得することになります。例えば、亡くなった人に子どもがいる場合、子どもが相続放棄をすると、亡くなった人の親が法的相続人になり、親も相続放棄をすると、亡くなった人の兄弟が法定相続人になります。次順位の相続人が先順位の相続人と連絡が取れない状態にあるような場合、相続放棄の手続きが行われているかどうか分からないという状況になる可能性もあります。このような場合には、第二順位以降の相続人は、相続放棄の申述が行われているかどうかについて、亡くなった人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に照会することによって確認することができます。

6.相続放棄後の請求でよくある質問

Q. 相続放棄されると債権者は泣き寝入り?

相続放棄が有効な場合には、債権者は相続放棄をした相続人に対して、請求を行うことができません。ただし、その場合には、次順位の相続人が法定相続人になるため、次順位の相続人に対して、被相続人の借金の返済を請求することができます。

Q. 遺産の一部を相続したら返済の義務はどうなる?

遺産分割協議を行って、遺産の一部を相続するなど相続人が相続放棄を行わなかった場合には、亡くなった人の債務についても返済義務を負うことになります。その場合、借金のような債務については、法定相続割合に応じて、各相続人に分割されます。例えば、相続人が2人いて、そのうちの1人が、亡くなった人の財産も債務も全て相続するというような遺産分割の合意を行ったとしても、債権者に対しては、それぞれが法定相続割合に応じて借金の返済義務を負うことになります。

Q. 返済してしまったお金は相続放棄後に返してもらえる?

相続放棄をした後に、債権者に支払ってしまったお金は原則、返してもらうことは難しいでしょう。民法では第三者弁済として、債務の弁済を債務者以外の第三者が行うことも認められているからです。ただし、例えば、その弁済が他の相続人の意思に反しているような場合で、かつそれを債権者も知っているような場合など、第三者弁済が無効となる場合には、支払ったお金を返してもらえる可能性があります。また、債権者に騙されたり、暴行や脅迫によって支払を強制されたりした場合には、弁済を取り消して返金を請求することが可能です。

7. まとめ 相続放棄は弁護士に相談を

相続放棄をすれば、亡くなった人の借金の返済はしなくてよくなります。相続放棄をしたのに債権者から請求が来る場合「相続放棄をしたこと」をまず伝えましょう。「相続放棄の証拠を見せろ」と言われた場合には、家庭裁判所から発行される書類を提出するのも有効です。一方で、亡くなった人の連帯保証人になっていたり、相続放棄の手続きがきちんとできていなかったり、相続放棄が無効になったりしたケースでは、借金の返済を引き継がなくてはいけないので注意しましょう。相続放棄の期限は「自分が相続人だと知ってから3ヶ月以内」です。悩みがある人は急いで弁護士に相談しましょう。

(記事は2024年4月1日時点の情報に基づいています)

竹森現紗(弁護士)プロフィール

福井県出身。アリシア銀座法律事務所代表弁護士。第二東京弁護士会所属。大手渉外法律事務所などでの勤務を経た後、銀座にアリシア銀座法律事務所を開業。相続問題や離婚・男女問題など家族にまつわる法律問題と、企業法務・医療機関向けの法務を主に取り扱う。男女問題については、離婚だけでなく、婚前契約や夫婦関係の再構築などの相談にも対応しているほか、結婚相談所アイデアルマリッジ銀座で結婚アドバイザーとしても活動している。

竹森現紗(弁護士)

相続会議2024/6/18(火) 7:03配信


森林環境税って何?

 今年から森林環境税という税金が課税されます。これについて説明します。

森林環境税は、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律(平成31年3月29日法律第3号)に基づき、市町村(特別区を含む。以下同じ。)及び都道府県が実施する森林の整備及びその促進に関する施策の財源に充てるため個人住民税均等割に上乗せして課される税金である。国の課す税金であるが、実際の徴収は個人住民税に併せて市町村が行う。その収入額は、森林環境譲与税とし、市町村及び都道府県に対して譲与される。

〇納税義務者

森林環境税の納税義務者は、日本国内に住所を有する個人となっており、合計所得金額が政令で定められる一定額以下の者や、未成年者・寡婦(寡夫)・障害者に該当する者で合計所得金額が135万円以下である場合は課税されない。非課税基準は、個人住民税の均等割が課されない基準と同じのため、実際には、個人住民税の均等割が課される者に課税される。

〇税率

年間1000円

〇納付方法

森林環境税は、住所所在市町村の個人の市町村民税の均等割の賦課徴収の例により、当該住所所在市町村の個人住民税の均等割の賦課徴収と併せて行うことになっており、納税者から見ると実質的に住民税の均等割が1000円引き上げになったのと同じである。

〇課税開始

森林環境税は、令和6(2024)年度から課税される。

〇森林環境譲与税を活用した森林の整備

森林環境譲与税の制度と同時にこれを財源として利用した森林整備の制度(森林経営管理制度)が整備された。これは森林整備、経営管理が行われていない森林(主に人工林)を対象に、森林所有者から受託を受けた市町村もしくは再委託を受けた事業者が、森林所有者の代わりに森林経営を行う制度である。これまで手入れを行う手立てが無かった小規模所有者や不在村所有者の森林も対象になるほか、境界や所有者未確定のため放置されてきた森林の整備にも道が開けることとなり、森林の質的向上を通じ、森林の多面的機能(水源涵養や防災機能など)が高まるなど多くのメリットの発現が期待されている。

〇問題点

平成31年から交付金として自治体に先行配布されているが、国から具体的な活用方法が示されていないことや、自治体側に人手不足などにより活用できていないことが明らかになっている。2022年の調査では3年間で配分された約840億円のうち395億円が活用されず、大半が基金として積み立てられているという結果となった。配分基準は、私有林や人工林の面積に応じた分が50%、人口に応じた分が30%、林業従事者数に応じた分が20%となっていることから、森林面積が少ないが人口の多い大都市に多く配分されている。渋谷区は私有林や人工林の面積がゼロで林業や農業の担当係もないが、3年間で4600万円が交付され基金として積み立てられている。管理している区の財政課ではNHKの取材に対し「都市部なので、林業に対する考えが及んでないというか、よくわかりません。特定の事業に使う想定はありません」と回答している。林野庁では税制改正要望を出しており議論の推移を見守るとしている。