2024年11月14日木曜日

あなたはどのタイプ? NISAを始めたいけれど「始められない理由」5つ

 「NISA」が話題だけれど、なかなか始められない…という方はいませんか? 筆者は、日々そのような方にたくさんお会いしていて、決して始められないのは少数派ではないと感じます。そんな、NISAを始めたいけれど始められない人は、大まかに「5つのタイプ」に分かれると感じます。今回はそれらのタイプと、始めるためのアドバイスについてお伝えしたいと思います。

タイプ1.「お金が減ることが怖い」

「NISAって投資ですよね? 投資って、お金が減りますよね?」と、投資をしてお金が減ることが怖いタイプです。投資が初めてであれば、誰でもそう思うのは当然でしょう。これまでお金をすべて元本保証の預貯金に預けていれば、最初から金利がわかっていますし、お金が減ることはありませんよね。一方で、NISAでは、株式や投資信託を買うことになり、いずれも元本保証はありません。増えたり減ったりする可能性があるのは確かです。しかし、お金をしっかり増やそうと思ったら、増える可能性だけでなく、減るリスクも同時に受け入れなければなりません。今の超低金利時代で、元本保証で、大きく増える金融商品は存在しないからです。「でも、お金が減るのは怖いから、投資はやめておこうかな」と思うのは、ちょっと待ってください。最近の物価上昇も、実は大きなリスクの一つなのです。自分の資産を、すべて低金利の預貯金だけに預けておくと、10年、20年たって物価がさらに上昇した場合、資産が実質的に目減りしてしまいかねません。そのため、投資をして減るリスクを受け入れながら、増やすことを目指すことも、物価上昇中の今の時代では大切なことなのです。まずは少額から、毎月の積み立てで投資を始めてみてはいかがでしょうか。増えたり減ったりしてお金を育てることを経験してみることで、投資をすることの大切さも実感できるかもしれません。

タイプ2.「投資するほどお金がない」

「投資をする人って、お金持ちですよね。投資をしたいけれど、お金が全然なくて…」という声もよく聞きます。

実際にお金持ちで投資をしている人は多いですが、一般的な人でも、投資がしやすい仕組みができて、実はお金持ちかどうかは、あまり関係ない時代となりました。というのも、幅広く投資先を分散できる「投資信託」なら、月100円や1000円などの小さな金額でも、気軽に投資ができるようになったからです。月100円くらいであれば、どんな方でも捻出できるのではないでしょうか。これを機に、自分の支出を見直してみて、無駄があればカットしましょう。意外と、貯蓄や投資にまわすお金が捻出できるかもしれません。

タイプ3.「忙しくて申し込みに行けない」

「投資を始めるのは、手間がかかって大変。金融機関の窓口があいている平日の昼間に、申し込みになんていけません」という声も聞きます。実はNISAの口座開設は、ネット証券やネット銀行なら、PCやスマホで申し込みが完了しす。わざわざ店舗に行かなくても、NISAが始められるのです。以前は、金融機関の口座開設には長い時間がかかりましたが、最近は、ネット証券を中心に、かなりスピーディーになっています。昔の経験者からは「時間がかかるよ~」と言われるかもしれませんが、意外とそうでもないのです。ネット証券などの口座開設ページを確認してみてください。

タイプ4.「金融機関が決められない」

「NISA口座を作る金融機関は、どこがいいのだろう…」と、何か月も何年も迷っていて、決められない方もいます。NISAは、ネット証券、店舗型の証券会社、店舗型の銀行、ネット銀行で始められます。それゆえ、迷ってしまうかもしれません。一つ注意したいのが、株式を買いたい場合は、基本的には証券会社(ネット証券、店舗型証券会社)のみということ。銀行でNISA口座を開設した場合は、株式は買えず、投資信託の購入のみとなります。ちなみに、NISAは一人1口座で、一度口座開設をして商品を買うと、その年は違う金融機関に変更ができません。年1回変更は可能とはいえ、毎年変更するのはなかなか面倒。ある程度の期間はお付き合いすることを考えて、口座を開けるとよいですね。そのため、いつか株式を買いたいと思っていたら、ネット証券か店舗型証券会社でNISA口座を開くのがよいでしょう。身近な人と同じ会社の口座で開くのも一つの選択肢だと思います。

タイプ5.「そもそも、NISAが複雑すぎてよくわからない」

上記のタイプに加えて、よく聞かれるのが「NISAという言葉は散々聞いてきたけれど、結局NISAって何なのかがよくわからない」という声です。「NISA」とは、「少額投資非課税制度」の略。投資をして、利益が出たら通常は約20%の税金がかかりますが、それがかからない(=非課税)制度です。10万円の利益が出た場合、一般的には2万円ほどの税金がさしひかれて利益は8万円になりますが、NISA口座で買えば、この税金が差し引かれず、10万円の利益をそのまま受け取れるのが大きなメリットです。NISAでは一人あたり、年360万円まで投資ができる枠があります。「少額投資非課税制度といっても、360万円なんて“少額”ではない…」と感じてしまいそうですが、何億もの資産を投資している人も世の中にはたくさんいて、その金額に比べたら“少額”というわけですね。ちなみに、NISAには「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の2枠が自動的についてきます。「成長投資枠」は株式や投資信託などいろいろな商品を買える枠で、年240万円が上限、「つみたて投資枠」は金融庁が事前にOKを出した投資信託だけが買える枠で、年120万円が上限です(“枠”という投資上限額が決められているだけで、お金は自分で出します)。その枠を使い切る必要はなく、例えば月100円×12か月=年間1200円の投資でもOKです。NISAのどちらの枠を使って何を買ったらよいかと迷う方も多いので、まずは「つみたて投資枠」にある投資信託を積み立てていくのが、選びやすくてスムーズかと思います。以上、NISAを始めたいけれど始めたい人によくある理由について5つ紹介しました。さまざまな投資を経験すると、利益が出たときに約20%の税金がかからないNISAの魅力を感じるでしょう。ただ、あくまでも投資ですので、減る場合もあることを念頭において、余裕資金で少額から始めるようにしましょう。


(西山美紀)


MONEYPLUS / 2024年11月5日 7時30分


2024年11月2日土曜日

「相続税の滞納」なぜ増加?5つの原因と「本当に必要な対策」とは?【専門家が解説】

 国税庁が発表した「令和5年度租税滞納状況の概要」によると、相続税の新規滞納発生額は前年度より増加しており、多くの人が納税に悩まされていることが推測される。相続税を支払うべき方々には、被相続人が残した財産があるはずだ。にもかかわらず、なぜ相続税の滞納は発生するのだろうか。本記事では、来たるべき日に備えた本当に必要な相続税対策や、相続税の滞納によるペナルティなどについて、詳しく解説する。(税理士・岡野相続税理士法人代表社員岡野雄志)

〇相続税の滞納が増えている!2023年度の滞納状況とは

国税庁が発表している「令和5年度租税滞納状況の概要」には、租税の滞納状況や未然防止策、整理促進に向けた取組が掲載されている。まず、相続税に限らず租税全般の滞納状況を見てみると、2023年度(令和5年度)の新規発生滞納額は7997億円で、1992年のピーク時の4割程度に留まっている。しかし、前年の22年度よりも802億円増加している(国税庁が指す滞納とは、納付期限までに納付されず督促状が発送されたものを指す)。今回注目する相続税を見てみると、新規発生滞納額は464億円となっている。前年の22年度は367億円だったことから、こちらも97億円増加しており、前年度より滞納が増えている。21年度は325億円、20年度は236億円と公表されており、増加の一途をたどっている。

本資料には新規に発生した滞納以外に、滞納残高も公表されている。相続税の滞納残高(前年度末時点の滞納および新規発生滞納額の合算)は、23年度は560億円、22年度は527億円とされており、未整理対応が継続している相続税も増加している。なぜ相続税の滞納は発生するのか?

〇主な5つの原因とは

相続税が発生する相続人には、被相続人から引き継げる財産があるにもかかわらず、新規発生滞納額も滞納残高も増加している。なぜ相続税の滞納は発生するのだろうか。主な原因として、以下の5つがある。

1つ目は「現金の不足による納税難」。相続税は原則「現金」で納付する必要があるが、用意できなければ滞納になってしまう。納税のために金融機関から融資を受ける方法も考えられるが、融資を受けるまでには時間を要するため、納税が遅れる可能性もある。

2つ目は「相続財産の中で不動産の割合が高い」。相続財産に有価証券など換価しやすい財産が少なく、換価しにくい不動産が多い場合、高額の相続税が発生しているにもかかわらず、手元に納税資金を用意しにくい。

3つ目は「相続手続きの知識不足」。相続税の納付期限は「被相続人が死亡したことを知った日から10カ月以内」である。しかし、大切な家族が亡くなった後は葬儀や遺品整理などの手続きに追われ、時間があっという間に経過してしまう。知識不足から相続税申告の準備が遅れるケースも少なくない。

4つ目は「相続人間の対立」。遺産分割協議が難航すると、相続税の申告が遅れやすくなる。高額の相続財産がある場合や、被相続人を介護していた相続人とその他の相続人との間で不公平感が生じるケースでは、遺産分割協議がもめやすい。

5つ目は「申告を認識していない」。価値のある相続財産が少ないと思い込んでいたり、名義預金が相続税の対象となることを知らなかったりすると、自身が相続税申告の対象者であることを失念しがちだ。近年はネット銀行やネット証券の財産を見落とすケースもある。また、相続発生から過去7年以内の生前贈与も相続税の対象となるため、注意が必要だ。

〇知らないと怖い!相続税を滞納するとどうなるか

相続税が払えない場合には、一体どのようなペナルティが待ち受けているのだろうか。申告期限である10カ月以内に申告書が提出できないと、無申告加算税が加算されてしまう。無申告加算税は、最大、相続税額300万円を超える部分に対して30%課税される。また、納付期限を超えると「延滞税」も加算される。さらに隠ぺいで申告が遅れたとみなされると、重加算税までプラスされる。重加算税は非常に重いペナルティであり、納付する相続税に対して40%も課税される。相続税申告・納付の遅れや隠匿は、何のメリットももたらさないことがわかるだろう。

〇複数の相続人のうちの誰かが相続税を納付しないとどうなる?

複数の相続人がいる場合、自身が取得した財産に応じた相続税を納めることが一般的だ。基本的に誰か1人が代表して納付するものではない。では、別の相続人が相続税を納付しなかった場合には、どのようなリスクがあるのだろうか。結論から言うと、他の相続人の滞納に関しても、自分が支払うよう税務署から請求される可能性がある。なぜなら、相続税には「連帯納付義務」があり、相続人全員が連携して相続税を支払う必要があるからだ。遺言書で財産をもらう場合も同様であり、相続人が複数いる場合には注意が必要だ。なお、本来支払うべき相続人が税務署から納税猶予や物納を認められた場合は請求されない。「相続財産を使い切ってしまった」「元々仲が悪く連絡しあう関係ではない」といった事情があっても、税務署は考慮してくれない。遺産分割協議や遺言書による財産の分配時に、いつ相続税を納付するのか確認しあっておくことも検討しよう。

納付が遅れそうな相続人がいる場合、代表者が支払うことも可能だが、贈与とみなされる可能性もある。相続税は注意したいポイントが多いため、必ず税理士に相談した上で手続きを進めてほしい。

〇相続税の支払いには現金が必要!来たるべき日に備える方法とは

相続税を納めるためには「現金」と「正しい相続税知識」が必要だ。物納も選択肢として考えられるが、現金での納付が困難であり国が定めた基準に該当していないと、物納申請は却下されてしまう。相続前から物納を目指すことは得策ではないため、来たるべき日に備えて相続税納付の準備を行うことが大切だ。また、納付期限や控除、特例など知っておくべき知識も多いため、相続税の基礎知識を学んでおくことも重要だ。相続について相談する多くの人は、相続開始後に税理士に相談する。相続税申告・納付に直面してから初めて税理士の必要性を感じるのだ。しかし、資産税に強い税理士の多くは生前からの相続税試算を推奨している。将来支払う可能性がある相続税額を把握すると、今やるべき対策がわかるからだ。特に不動産が多い方は、自身の所有する不動産がどのぐらいの評価になるのか、まずは税理士へ相談してほしい。相続税を節税し、将来の負担を少しずつでも減らしていくことも大切だ。オーソドックスな対策方法だが、贈与は効果的である。年間110万円の暦年贈与や相続時精算課税制度、贈与税の配偶者控除の特例など、家族の財産状況や構成にあわせて贈与を進めよう。相続時のトラブルによって相続税申告が遅れないように、遺言書を作成することもおすすめする。遺言書があれば遺産分割協議を行わなくて済むからだ。誰にどの財産を残すか、ご自身の意志を込めることも可能になる。相続時に現金が不足することが予想される場合、生命保険を活用する方法も検討しよう。生命保険には法定相続人1人につき500万円の非課税枠が用意されている。死亡時に保険金を受け取れるため、相続税納付に活用できることも生命保険のメリットと言えるだろう。不動産が多い場合には、贈与の上で収益物件化を目指したり、不要な土地・建物を売却しておくことも大切だ。収益を貯蓄し相続税に充てたり、不動産売却で現金化しておけば納税に備えることもできる。生前の段階から不動産の有効活用を検討しよう。

〇遺産分割協議が終わらない場合は未分割状態で申告できる

遺産分割協議がまとまらない場合であっても、相続税申告は待ったなしだ。調停や係争中であっても、税務署はトラブルを理由に相続税申告を待ってはくれない。このようなケースでは遺産分割の内容が決まっていないため、法定相続分で相続財産を按分して、申告・納付を行うことできる。トラブルの渦中であっても、税理士・弁護士と連携しながら、期限内の申告を進めてほしい。遺産分割が正式に決定したら、4カ月以内に更正の請求をすればよい。本記事では、相続税の滞納について、国税庁の最新資料を参考に滞納の発生理由や対策方法について詳しく解説した。相続税の納付には現金が必要であり、生前から準備を進めておくことが望ましい。納付のために、大切な不動産や株式を売却することを避けたい人もいるだろう。まずは生前から相続税の試算を行い、どのように納税資金を用意するのか家族で計画を立てよう。



ダイヤモンド・オンライン


定年退職を機に息子の「扶養」に入りたいです。「扶養に入るための条件」はなんですか? メリット・デメリットも教えてください

 〇税法上の扶養親族の条件

納税者である子どもに所得税法上の控除対象扶養親族となる親がいる場合には、扶養する子どもは一定の金額の所得控除が受けられ、所得税・住民税の節税ができます。控除額は、扶養親族の年齢、同居の有無等により決まります。たとえば、控除対象扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が70歳以上の方の控除額は、同居の場合は58万円(住民税45万円)、同居以外は48万円(住民税38万円)です。70歳未満の親の控除額は38万円(住民税は33万円)です。たとえば、所得税率20%の子どもが70歳以上の同居している親を扶養する場合の節税額を計算してみましょう。所得控除額は58万円なので、節税額は58万円×20%=11万6000円です。また、住民税に関しても、控除額45万円×10%=4万5000円の節税ができます。

扶養親族となる条件は、その年の12月31日の現況で、次の4つの要件のすべてに当てはまる人をいいます。

(1) 配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族をいいます)、または都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること

(2) 納税者と生計を一にしていること*

(3) 年間の合計所得金額が48万円以下であること

給与のみの場合は給与収入が103万円以下、年金収入のみなら65歳未満は108万円以下、65歳以上なら158万円以下であれば扶養控除を利用できます。

(4) 青色申告者の事業専従者として、その年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと

親に事業の手伝いなどをしてもらう場合は気を付けてください。

(出典:国税庁「No.1180 扶養控除」)

*「生計を一にしていること」

同居の場合は、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。別居の場合は、余暇には起居をともにすることを常例としている場合や、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合には、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。銀行振込の控えなどを保存しておきましょう。

〇健康保険上の被扶養者の条件

子どもが会社員等であれば、子どもの健康保険の被扶養者になることによって、親は健康保険料を負担せずに保険給付を受けることができます。子ども(被保険者)の健康保険料負担も変わりません。被扶養者に該当する条件は、日本国内に住所(住民票)があり、被保険者によって主として生計を維持されていること、および次の収入要件と同一世帯の条件の両方を満たす場合です。収入要件は、年間収入が130万円未満(60歳以上または障害者の場合は、年間収入180万円未満)かつ、(1) 同居の場合は収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満、(2) 別居の場合は収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満であることが条件です。

被扶養者が、配偶者、子、孫および兄弟姉妹、父母、祖父母などの直系尊属の場合は、被保険者と同居している必要はありませんが、これ以外の3親等内の親族や内縁関係の配偶者の父母および子は同居している必要があります。なお、75歳になると後期高齢者医療制度に加入しますので、健康保険の被扶養者から外れますので留意しましょう。

〇メリット・デメリット

親が子どもの扶養に入ることにより、子どもの税金負担が減る、75歳未満の親の健康保険料の負担をなくせるといったメリットがあります。一方、高額療養費の上限額が高くなるので親の医療費の自己負担が増える、介護保険料が世帯収入に基づいて計算されるため親の介護保険料の負担が増える、介護サービス利用料の負担が増える、といったデメリットがあります。以上のように、子が親を健康保険の扶養に入れる場合には、このようなデメリットがありますので、税金だけ子どもの扶養に入れるという方法もあるでしょう。

〇出典

国税庁No.1180扶養控除

日本年金機構 従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き

執筆者:新美昌也

ファイナンシャル・プランナー



2024年10月31日木曜日

9月10月はいろいろ忙しかったので投稿できませんでした。

 9月10月はいろいろ忙しかったので投稿できませんでした。11月から色々撮影等に行って投稿しますので期待してください。

2024年9月30日月曜日

SNSで「空き家差し上げます」という投稿を見つけました。「0円物件」だそうですが、本当に無料なのでしょうか?

 「0円物件」とは、文字どおり不動産購入費用が0円の物件のことです。不動産物件が無料で手に入るならお得だと感じる反面、「何か裏があるのではないか?」と疑問に思う人もいるかもしれません。   そこで本記事では、「空き家差し上げます」という「0円物件」の実態を調査し、メリットとデメリットについて詳しく解説します。

〇全国にある空き家の数と割合

総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」によると、全国にある空き家の数と空き家率は 表1の通りです。

表1

空き家数 空き家率

2013年 820万戸 13.5%

2018年 849万戸 13.6%

2023年 900万戸 13.8%

※総務省「令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果」を基に筆者作成

空き家の数は年々増加傾向にあり、2023年における全国での空き家の数は900万戸、総住宅数に対する空き家率は13.8%となっています。

 〇0円物件は空き家問題を解決するために活用されている

空き家が増える主な要因として、少子高齢化による人口の減少と都市部への集中が考えられます。これによって、古かったり不便な場所にあったりする物件が空き家となり、年々増加の一途をたどっているようです。さらに、空き家放置による深刻な問題も発生しています。例えば、倒壊や不法侵入のおそれがあるほか、景観悪化などによる近隣への迷惑も引き起こします。また、固定資産税などの税負担が増えることも問題の1つでしょう。これらの問題を解決するために、買い手のつかない空き家を0円(無償)で譲渡する人が増えているようです。

〇0円物件のメリット

空き家のなかには、購入価格が0円の物件もあります。0円物件を購入する際に得られるメリットは、以下の通りです。

・不動産物件が0円で購入できる

・補助金や助成金を利用できる可能性がある

・古い建物を自由に活用できる

「0円物件」の最大の魅力は、土地や建物を0円で入手できる点です。建物だけではなく、以前住んでいた人が使っていた畑や設備なども、そのまま譲り受けられるケースがあります。また地方自治体が、空き家対策や地域活性化の一環として「0円物件」の仲介をしている場合は、ある一定の条件を満たせば補助金や助成金を利用できるケースもあるようです。

〇0円物件のデメリット

0円物件を購入した際に考えられるデメリットは以下の通りです。

・リフォーム費用や維持費がかかる

・税金がかかる

・手続きなどを自分で行う必要がある

・瑕疵(かし)担保の免責がある

不動産を取得する際に必要な費用は0円ですが、その多くは築年数が古い物件であるため、リフォームに多額の費用が必要になる可能性があります。さらに建材が古いため、維持費や管理費などのランニングコストがかかるかもしれません。また、不動産を譲り受けるときの代金は0円でも、法的には贈与として扱われるため、贈与税や不動産取得税などの税金がかかることを忘れないようにしましょう。贈与税は110万円以内であれば課税対象にならないのでは?と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、例え無償で譲渡された物件であっても、その不動産の固定資産税評価額が110万円を超えると贈与税の課税対象になるのです。さらに不動産の提供が無償であることから、住宅に住めないほどの欠陥が見つかったとしても、補修費用の負担請求や契約破棄ができないケースが多いようです。売り主が責任を負わない「瑕疵担保の免責」となるためです。このように、0円物件にはメリットもありますがデメリットも多いため、購入の際には慎重に検討しましょう。

〇0円物件は本当に0円で購入可能! ただし税金などの諸費用がかかる

「0円物件」としてネット上に紹介されている物件は、本当に0円で購入可能です。ただし0円物件の購入は、法律上では贈与として扱われるため、贈与税や不動産取得税などの税金がかかる可能性があります。なお、0円物件の多くが古い建物のため、リフォームをする場合は多額の費用がかかる可能性があるでしょう。しかし近年では、地域活性化の一環として一定の条件を満たした購入者に、自治体から補助金や助成金が支給されるケースもあります。このように、0円物件を購入する際はメリットとデメリットの両方があるため、慎重に検討しましょう。


出典

総務省 令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果

 

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー


ファイナンシャルフィールド/2024年9月25日10時20分


2024年8月25日日曜日

2024年7月16日火曜日

NISA制度"改悪"で譲渡益に課税の悪夢…エコノミストが「老後はNISAを使ってはいけない」と断言するワケ

 老後にストレスフリーでお金を運用するにはどうすればいいか。エコノミストの崔真淑さんは「高齢者は一般口座や特定口座での投資に加えて、資産を『分散投資』することが大切。そのための具体的な対策がある」という――。

■運用資金は5年は使うあてのない金額にする

2025年の年金改正を控えて、「65歳まで保険料を支払う」、あるいは「支給開始年齢が70歳や75歳に引き上がる」といった案が出ていますが、今後、年金制度はどんどん“改悪”されていく可能性は高いです。前回も述べたように、おそらく年金だけで暮らすことは、非常に難しくなるでしょう。年金だけで暮らせないとなると、働くほか、「運用する」ことを考えていかなければいけません。老後の運用について、大事な前提は、次の2つです。

前提①余裕資金で行う

80歳、90歳までカツカツで余裕資金がないといった高齢者は、そもそも株式投資をすべきか再考が必要だと思います。投資するなら、5年は使うあてのないお金を回しましょう。かつて金融業界にいた私がつくづく思うのは、10年に一度は、大きい金融ショックがくる可能性が高いということです。今は景気がよくても、この先、何が起こるかわからない。だからこそ、せめて5年は手元になくても辛抱できるお金をあててほしいのです。

■老後はNISAを使ってはいけない

前提②NISA口座は使わない

今、新NISAが大流行ですが、高齢者の方にはNISAはお勧めしていません。なぜならNISAには「すべてが非課税ではない」「譲渡税が課税される可能性がある」「損益通算できない」といった落とし穴があるからです。一つずつ、説明していきましょう。

・すべてが非課税ではない

NISAを完全非課税だと思っている人は少なくありません。

ですが、NISAは完全非課税ではありません。今、人気のアメリカ株式市場に上場しているような「S&P500」に連動するETF(上場投資信託)や、個別のアメリカ株式を購入する場合は注意が必要です。通常(一般口座や特定口座の場合)、海外からの配当金にはその国に税金を払ったうえで、日本でも20.315%が源泉徴収されます。確定申告をすることにより外国税額控除を受けられるしくみです。新NISAではこの20.315%が非課税になることで、二重課税でなくなるため、“海外に税金を支払う”必要が生じるのです。たとえば、米国株や米国ETFの配当には10%の税金がかかります。

・譲渡益が課税される可能性がある

政府は現在、将来の税制改正を見越して、NISAの配当金などインカムゲインには課税をしていません。ですが、譲渡益などキャピタルゲインには税金をかけようという議論が出ています。「安くなった株を買って高く売りたい」「含み益が出たら利益を確定して売りたい」などと、譲渡益狙いでNISAを使っている人にとっては寝耳に水。この先、制度変更される可能性があると考えるなら、NISAでキャピタルゲインありきの保有にのめり込まない姿勢が必要でしょう。

■NISAで予想される悪循環

老後のお金の設計にNISAが向いていない理由はまだあります。

・損益通算できない

「損益通算」とは、株式や投資信託を売却して利益や損失が出た場合、利益と損失を合算して合計が利益になっていれば、その利益に対して課税されるしくみ。たとえば、ある株式を売って50万円の利益が出る一方、別の株式で30万円の損失が出たら、50万円-30万円=20万円に税金がかかる、ということ。これが損益通算のしくみです。また1年間の合算した損益が結果的に損失になった場合、翌年以降、最小3年間、繰り越せる「繰越控除」が適用されます。たとえば、ある年に30万円の損失で、翌年の利益が40万円であれば、繰り越した30万円の損失と40万円の利益を合算し、40万円-30万円=10万円に対して課税されるのです。この損益通算と繰越控除が、NISA口座ではできません。株式投資は正直、これで儲かると思っても、なかなか理想通りに利益が出ることはありません。“塩漬け”になっているお金をさっさと損切りして、次の新しい運用に使いたいけれど、損益通算できないとそれもなかなか踏ん切りがつかない。こんな悪循環は多々起きます。株式投資は、ある程度“損をする”ことが前提であれば、私は損益通算できるほうが結果的にオトクになると思っています。ですから運用するなら、NISA口座ではなく、一般口座や特定口座で行うことをお勧めします。

■資産を分散投資するときのポイント

高齢者は「一般口座や特定口座で投資する」ことに加えて、資産を「分散投資」することが大切になります。増やすより、とにかく今ある資産を目減りさせないことが先決です。

もちろん80代でも、特定の資産に集中投資して成功しているトレーダーの方もいます。しかし、そういう人は、ずっと昔から投資をしてきたベテランの人。私の知り合いにもいますが、そういう人は本当に株式投資が好きで、『会社四季報』を24時間見ていても飽きない。それほど好きな人であれば、集中投資もよいと思いますが、そうでなければやめたほうがいいというのが私の考えです。では、どうやって分散させればいいか。ここ数年、日経平均が最高値を更新したり、戦争で世界的に物価が上がったりと想像を超えることが起きています。こうした景気リスクや地政学リスクの“有事”に備えるには、それらに敏感に「反応するもの」と逆に「反応しにくいもの」といったように、感応度の異なるものに分散させるのがおススメです。具体的には、株式、債券、不動産、金や原油などはのコモディティは、それぞれ有事や景気に対しての反応の仕方が違う傾向にあり、こうしたところに分散させるのが重要でしょう。株式も日本株と外国株に分散させます。日本円の目減りがこわいならば外貨にする、または外貨で「外貨建て社債を買う」、あるいはインド株などこれから伸びそうなインデックスファンドを買う、といった対策をします。

■不動産投資信託を持つメリット

ちなみに私は、不動産ではなく、「REIT(リート)」と呼ばれる不動産投資信託にも注目しています。不動産投資信託とは、投資家から集めたお金で不動産を所有し、そこから得られた賃料収入を分配するもの。ホテルリートや物流リート、オフィスリートなど、いろいろな商品があり、小口で投資できるのがメリットです。現物の不動産投資は、借金して投資できるメリットがある一方、頭金を用意するのが大変だったり、手数料が非常に高くそれで損することもあるなどのデメリットもあります。そう考えると、不動産投資に興味があっても、そこまではしたくないという人は多い。私もその一人です。そんな人にリートはおススメといえるでしょう。今は金利が上がったことでマイナスになっていますが、もともと不動産投資は、戦争や金融ショックで多少は変動しても、賃料自体は景気に左右されにくいもの。過去のデータからは、「平均的には長期でインカムゲインでしっかりとリターンが出やすい」ことも実証されています。ですから配当金狙いでリートを持つというのは悪くないと思います。もちろん注意点もあります。歴史のあるリートは、想定外に修繕費用などのコストが出ることで、配当金が減る可能性もあります。リートの構成や中身を、しっかり確認してください。

■「仕組債」は様子見で検討を

注意すべきは「仕組債」と呼ばれるデリバティブ(金融派生商品)を利用することでキャッシュフローを生み出す債券です。証券会社や銀行がすすめる仕組債については、手数料や格付けなど、商品の中身が金額に見合っているかどうか、いったん立ち止まって確認してほしいですね。「利回りがよい=リスクが高い」ので、飛びつくのは危険。いったん様子を見ましょう。同じように株価は安いのに、配当利回りがいい銘柄も、様子見が必要です。安いには、ちゃんとワケがある。業績が悪くて、会社の持続可能性が失われているのかもしれませんし、機関投資家が手放しているだけかもしれません。

■世界はアメリカ一極から多極化へ

株式投資の世界には「利大損小」という言葉があります。これは100万円投資して、99万円損したら、残りの1万円から100万円にするのは非常に難しい。でも、100万円の損失を10万円に抑えて、90万円を原資にまた分散投資すれば、100万円を超えるかもしれない――そうした「いかに負けを小さく、そして利益を大きくするかが大事」といった意味です。私自身、分散投資を徹底していますが、それは今後、地政学的に大きなうねりが起こり、これまでの世界のルールが変わるかもしれないと予想しているからです。戦後80年、アメリカが世界の覇権を握ってきましたが、数々の戦争が重なり、アメリカはいよいよ体力が失われてきています。一方、中国が力をつけて、ロシアとタッグを組み始めている。つまり今は、アメリカ一極の世界から、多極化の世界への過渡期である。だからこそ、米ドルが今後も変わらず基軸通貨であり続けるかどうかはわからない――。私はこのように考えています。実際、中東の石油は米ドルではなく、人民元で買えるようになったり、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)では、ドルを使わないしくみをつくろうという動きが起きています。また中国は、自国の通貨の価値を上げるためか、金をどんどん買い増しています。つまり米ドルに今のように価値があるのは、ここ80年ぐらいの流れなのです。米ドル覇権がすぐに消滅することはないにせよ、リーマン・ショック級の経済ショックが頻発したら、アメリカ経済はどうなるかわかりません。

■自給自足は究極のリスクヘッジ

ここからは私の予想です。今後、アメリカ一極が衰えて、世界が戦争状態になってしまったら、かなりの確率でインフレが加速すると思います。そうなると資源を持っている国が強い。たとえば食料や鉄鉱石などの資源が豊富なオーストラリアなどは、しっかりと生き残れるだろう。だから私は今、オーストラリアドルやオーストラリアドル建の債券に関心を持っています。もちろんアメリカも資源がありますが、覇権から衰退する過程で何が起きるかわからないことを考えると、米国債の追加保有は様子見したいと考えています。もしも台湾有事が起きれば、真っ先に飢えやすいのは東京だという試算もあります。それぐらい日本の食料自給率は低い。その自衛策として私は、趣味も兼ねて畑作業での作物づくりの準備に動いています。「自給自足」の準備です。東京にも手放された農地はたくさんあるので、共同でそこを耕し作物をつくり続けるのは、次世代にも価値があることだと。


----------

崔真淑(さい・ますみ)

エコノミスト

2008年に神戸大学経済学部(計量経済学専攻)を卒業。2016年に一橋大学大学院にてMBA in Financeを取得。一橋大学大学院博士後期課程在籍中。研究分野はコーポレートファイナンス。新卒後は、大和証券SMBC金融証券研究所(現:大和証券)でアナリストとして資本市場分析に携わる。債券トレーダーを経験したのち、2012年に独立。著書に『投資一年目のための経済と政治のニュースが面白いほどわかる本』(大和書房)などがある。

----------

(エコノミスト 崔 真淑 構成=池田純子)


プレジデントオンライン/2024年7月15日 9時15分