2018年3月30日金曜日

飲食店の倒産激増の裏に消費行動の「根本的変化」…人手不足で24時間営業&大量出店が限界に

2017年の「飲食業」の倒産は766件――東京商工リサーチの調査によると、17年の飲食業の倒産は16年(639件)より約2割増加して、3年ぶりに750件を上回ったという。業種別では、「食堂、レストラン」の203件(前年比36.2%増、前年149件)と日本料理・中華料理・フランス料理店などを含む「専門料理店」の203件(同13.4%増、同179件)が最多だった。次いで、居酒屋などを含む「酒場、ビヤホール」が116件(同36.4%増、同85件)、「喫茶店」が59件(同34.0%増、同44件)。宅配ピザ店などを含む「宅配飲食サービス業」は42件(同7.6%増、同39件)、持ち帰り弁当店などの「持ち帰り飲食サービス業」は23件(同27.7%増、同18件)となっている。東京商工リサーチ情報本部経済研究室の関雅史課長は、「アベノミクスの恩恵が個人レベルまで行き渡っていないことに加え、個人消費の動向も変化しています。今は飲食を家で済まそうとする傾向が強く、たまにプチ贅沢をするという人が多い。支出も、賢く有効な使い方が強まりつつあります」と分析する。飲食業は、参入は容易だが継続するのが困難とされる業態だ。飲食業の不振の現状や今後の方向性はどのようなものか。
●ステーキ店「ケネディ」を襲った来客不足
現在、全業種を含めた倒産は減少傾向にある。しかし、なぜ飲食業では増えているのか。関氏は、その理由に3つの点を挙げた。
(1)鈍い賃金上昇に伴う個人消費の低迷
(2)ゲリラ豪雨など天候不順の影響
(3)人手不足や原材料高騰に伴うコストアップ
そして、具体的な事例として、ステーキ店「KENNEDY(ケネディ)」を展開していたステークスを挙げた。同社は17年10月2日に東京地方裁判所に破産を申請し破産開始決定を受けた。負債総額は13億8000万円だ。「カフェ感覚で気軽にステーキ」をモットーにカジュアルなステーキ店として人気を博し、一時は約40店舗を展開していたステークス。「100店舗を目指す」と意欲を見せていたが、新興勢力に顧客を奪われ深刻な来客不足に見舞われる。「このとき、顧客の呼び戻し策として値引きキャンペーンを行いました。しかし、これは一種の“麻薬”。値引きしたときは賑わいますが、キャンペーンが終われば客足は元に戻る。その繰り返しで、結果的に利益率が落ちてしまったのです」(関氏)
次に挙げたのは、ピザ専門店「NAPOLI」などを展開していた飲食ベンチャーの遠藤商事・Holdings.だ。同社は17年4月28日に東京地裁から破産開始決定を受けた。負債総額は12億7800万円。500円前後の低価格帯のピザで人気を博し、最盛期には直営25店舗のほかフランチャイズ店を含めて約80店舗を展開していた。しかし、過大な設備投資がたたって破産に至った。
「『景気が良くなった』と言われてはいますが、個人の懐具合はそんなに暖かくなっていません。また、消費者は必ずしも『安ければ行く』というわけではなく、何かしらの目新しさを求めています。そのため、薄利多売で多数の同様店舗を展開するようなビジネスモデルは難しくなってきているのではないでしょうか。また、そうしたビジネスモデルは計画が甘くなり、売り上げ以上に店舗を増やす放漫経営になりがちです。もうひとつの要因は、ジリ貧です。つまり、旧態依然としたサービスを続けていて消費者に飽きられてしまうというパターンです」(同)
●期待外れのプレミアムフライデー
政府と経済界が提唱した個人消費喚起キャンペーン「プレミアムフライデー」も、結局は笛吹けども踊らずであった。そもそも上場企業をはじめ中小・零細企業も月末の金曜日は多忙であり、計画に無理があったといわざるを得ない。「デフレマインドからの脱却を目指そう」という政府の意図は空振りに終わるかたちで、目立った成果は出ていない。当然、飲食業としては期待外れだ。当初こそ、プレミアムフライデーに合わせてキャンペーンを実施する飲食業や小売業があったが、今はあまり見受けられない。では、これも政府が進める働き方改革などで仮に労働時間が短縮されたとして、飲食業への支出が増すのだろうか。
「今は、外で飲食するよりも、好きなものを買って家で飲み食いする“宅飲み”がはやっており、全般的に節約志向になっています。そして、『ここぞ』というときにプチ贅沢をする。『お金を賢く有効に使おう』という方が多くなっているわけで、それが飲食業の倒産が増えた理由のひとつでもあります。そのため、今は飲食業の経営は大変難しい。何か目新しいサービスを打ち出したり特徴をアピールしたりしないといけないですから」(同)
また、天候不順も要因のひとつだ。17年はゲリラ豪雨や台風などが頻発し、全般的に天候が良い年ではなかった。天候に左右されるのが、飲食業の悩ましいところだ。
関氏は「当然、天候不順になると外出を控えます。飲食業は人が外に繰り出さないと商売にならないので、影響が大きいです」と指摘する。
●岐路に立つ「24時間営業」
さらに、「人材を確保するためのコストが高くなっています」(同)というように、人手不足と原材料高騰も飲食業の経営環境を悪化させる要因になっている。対応を進める企業も出始めている。ロイヤルホールディングスは17年にファミリーレストランの「ロイヤルホスト」の24時間営業を完全に廃止した。すかいらーくも、18年中に同じくファミレスの「ガスト」など約3000店のうち約400店で営業時間を短縮する。ほかにも、元日休業を実施したり24時間営業を一部廃止したりする飲食店も見られる。
「店舗運営を賢く回すのが大切。シフト人員も、顧客がいないときは最小限にし、売り上げを見込めない店舗では営業時間を短縮して全体の利益を確保する。そして、接客などのサービス面を手厚くし、ホスピタリティを強化していけば顧客満足度が向上する。弊社では、こうした戦略がトレンドになっている」(飲食業界関係者)
これまで、飲食業は営業時間を延長する動きが主流だった。そして、1980年代後半からは24時間営業が当たり前のようになった。しかし、昨今の人手不足により、「24時間営業ありきの大量出店で売り上げを伸ばす戦略は、岐路に立っている。今後は、1店1店で丁寧に接客する飲食業が生き残るのではないか。実際、弊社ではその戦略が成功している」(外食チェーン店関係者)
飲食業界は人の流動性が高く、正社員だけでなくパート・アルバイトにも頼っている。九州を中心に展開するファミレスの「ジョイフル」は、18年4月から約1万7000人のパート・アルバイトを無期雇用するほか、パート・アルバイトの正社員登用も積極的に進めている。また、ファミレスなどを展開する飲食業の関係者は、「『飲食はブラック』とのイメージを払拭することが大事。弊社では短時間正社員制度を検討中だが、働き方改革により『飲食業も働きやすい』と思ってもらえるように努めたい」と語る。
「人手不足により、飲食業はパート・アルバイトの待遇を競うことになるので大変でしょう。当然ですが、人材は待遇が良いほうに流れてしまうので、その確保は大きな課題です。そのため、大手など体力のある企業でないと経営が厳しくなっているわけです」(関氏)
●生き残る飲食店の条件とは
東京商工リサーチの調査によると、17年の飲食業の休廃業・解散は685件で16年(724件)からは減っている。
「飲食業は個人事業で展開しているところも多く、すべてを把握するのは難しい。そのため、実態はもっと多いと思います」(同)
その理由について、関氏はこう分析する。
「まず後継者不足。また、業績が下がっていると借金してまで事業を継続しようとは思わない。『誰にも迷惑をかけないうちに店を閉めてしまおう』というわけです。飲食業は競争相手も多く、生き残っていくのは大変です。やはり、参入は容易ですが続けるのが難しいということでしょう」(同)
これまで、飲食業はさまざまなブームを巻き起こしてきた。ワッフル、ステーキ、パンケーキなどが流行する一方で、そのサイクルはめまぐるしく変化する。一時期は行列ができていた店も、いつの間にか閑古鳥が鳴いているといった事例は多い。2017年の「ユーキャン新語・流行語大賞」を受賞した「インスタ映え」に代表されるように、「食べ物の写真をアップするために1回行けばいい」と思う若者も少なくない。一方で、好調を維持して何十年も続く街の飲食店や外食チェーン店も少なくない。その差は、どこにあるのか。
「飲食業で生き残るためには、リピーターの確保が欠かせません。消費者は移ろいやすく飽きやすい。今は、そのサイクルがさらに早くなっています。そのため、『より良いサービスや料理を提供する』という原点回帰が必要でしょう。常連客に対するサービスにしても、単純に同じ料理を出していれば、飽きて別の店に行くか宅飲みをしてしまう。安易な値引きや安さに頼るのではなく、『魅力』『満足感』『付加価値』を追求した戦略が求められます」(同)
消費者が好景気の実感を得られないなか、飲食業の今後はどうなるのだろうか。
(文=長井雄一朗/ライター)
Business Journal / 2018年3月29日 19時0分


私大103法人は経営難…「問題ない」割合減少

日本私立学校振興・共済事業団(東京)は29日、私立大・短大など計914校を運営する全国662法人を対象にした2017年度の経営診断結果をまとめ、各法人に通知した。経営困難な状態にある法人は103法人(15・6%)で、16年度より1・4ポイント減ったが、経営状態に問題がない法人の割合も減少した。事業団は「私大の経営環境は依然厳しい」と指摘している。事業団は各法人の15~17年度の財務データを分析した。その結果、20年度末までに破綻する恐れがある「レッドゾーン」は17法人(2・6%)、21年度以降に破綻の恐れがある「イエローゾーン」は86法人(13・0%)で、計103法人が経営困難な状態だった。
読売新聞2018/3/30(金) 6:05配信

2018年3月28日水曜日

人気ゲームアプリ「つみネコ」開発会社が破産

(株)ビースリー・ユナイテッド(TDB企業コード:987276829、資本金500万円、東京都渋谷区渋谷1-17-1、代表鈴木宏幸氏)は、3月22日に東京地裁より破産手続き開始決定を受けた。破産管財人は江森史麻子弁護士(東京都千代田区有楽町2-2-1、大洋綜合法律事務所、電話03-5537-8012)。債権届け出期間は4月19日まで。当社は、2006年(平成18年)2月に設立され、スマートフォンアプリ向けカジュアルゲーム開発およびキャラクターライセンス事業を手がけていた。人気ゲームアプリ「つみネコ」をはじめ、かわいいキャラクターとシンプルなゲーム性が特徴の得意なゲームレーベルとして知られた。「つみネコ」シリーズは合計販売150万本を超え、スマホの定番ゲームとなっていた。キャラクターライセンス事業では、「つみネコ」などで多数のライセンス商品を大手出版社や玩具メーカーに展開、2012年12月期の年収入高は約1億500万円を計上していた。しかし、2014年12月には新たな事業展開として音楽関連事業も開始。カラオケで歌いやすい楽曲を探せるスマートフォンアプリ「ウタエル」を始めたものの、同事業に伴う投資負担が重荷となるなか、2016年12月期の年収入高は約3500万円にまで落ち込んでいた。負債は債権者約11名に対し約4688万円。なお、ゲームアプリ「つみネコ」は2016年4月に別会社に譲渡されており、現在も運営が続けられている。
2018/3/28(水) 10:10配信

素人考えでの「節税」はこんなに危険!税務署が容赦なく多額追徴課税!

元国税局職員、さんきゅう倉田です。女性とのデートで最後にするのは「否認」です。税金界には、「行為計算の否認」という言葉があります。同族会社の行為や計算が、関係者の所得税を不当に減少させたときは、税務署が所得の決定をすることができるというものです。よくあるのは、同族会社の社長が自分の土地を同族会社に貸して、そのときの賃貸料を低くするものです。高くするとお金はたくさん入ってきますが、自分の会社からお金が出ていくだけですし、自分の所得税が増えてしまいます。社長ならば、所得税率は45%かもしれません。そうなると、20%程度の法人税である法人の経費が増えるより、自分の所得が増えないほうが、税負担としては良いわけです。このように、同族会社では、社長と会社がほぼほぼ同一の人格となり得るため、恣意的な価格設定を行えないように、行為計算の否認の制度があります。同族会社以外の法人とのバランスを調整するためです。多くは、不動産の賃借料で争われるようです。今回はその一例を紹介します。同族会社とは何かを正確に説明すると難解なので、役員が社長一人しかいないような小さな会社と認識してください。役員がたくさんいても、それらが社長の家族なら同族会社です。
●会社を利用して税金を低く抑えた代表者
むかしむかしあるところに、不動産の管理を行うAという同族会社がありました。A社の代表取締役で、個人では不動産貸付業を営むBさんは、A社に土地を月額240万円で貸し付けていました。これだけでお金持ちです。しかし、A社はその土地を510万円でC社に賃貸していました。A社は差額で大儲けです。Bさんは、代表取締役としての役員報酬以外に不動産収入が発生するので、所得税の確定申告をしました。提出された確定申告書を見た税務署は、240万円の賃料は安いのではないかと異を唱えました。「行為計算の否認」をしようとしたのです。Bさんの所得を減らすために、安い賃料で契約しているのではないかと考えたわけです。税務署は、Bさんの土地の近隣において、類似の条件で土地を貸し付けている人たちの平均賃料を持ち出し、340万円くらいが適当な賃料だと主張しました。Bさんの設定した賃料には具体的な根拠がなく、A社がC社から受け取る賃料の半分くらいに設定してありました。Bさんから直接C社に賃貸すると、Bさんの所得が増えて所得税の負担も増えてしまいます。A社は法人なので、その所得に対する税率はBさんより低くなるものと思われます。そこで、Bさんの所得を圧縮するために、このような行為をしていると税務署は見たわけです。所得税法第157条には、通常の経済人の行為として不合理、不自然であり、同族会社だからこそなし得た行為又は計算を選択した場合において、同族会社だけが利益を操作できるような特別な場合は、実質課税の原則や租税負担公平の原則から、通常の行為や計算で税額を算定するといったことが書いてあります。そして、所得税の負担を不当に減少させる結果となるような、同族会社の行為又は計算に基づいて算出された所得税と、通常の行為と計算による所得税との乖離がある場合に行為計算の否認が行われます。BさんとA社との契約は、同業他社の価格に比べて低いことが調査によって判明しています。著しく低額であることが明らかである以上、A社とBさんが同族会社と代表取締役という関係でなければできないもので、客観的にみて経済的に合理性を欠く不自然、不合理な契約です。Bさんは税務署の更正処分によって、自ら行った確定申告の税額より多い税金を払うことになりました。社長だからといって、自分の会社を利用して納税額を減らそうとしても、がちがちに固められた税法の前に、素人の工夫では太刀打ちできないという事例です。
(文=さんきゅう倉田/元国税局職員、お笑い芸人)
Business Journal / 2018年3月28日 0時0分

2018年3月26日月曜日

優秀な人が会社を去っていく、7つの理由

また1人、また1人と、将来の幹部候補が抜けていく。きっと、それは偶然じゃない。理由はいくつかある。たとえば、できる社員への仕事の集中だ。できる社員が猛然と働く一方で、できない社員は余裕綽々のランチ遠征&定時帰り。できる社員たちがガマンできないことは、ほかにもたくさんある――。
■日本の会社は、意欲の低い人であふれている
アメリカのギャラップ社が世界の企業を対象に実施した従業員のエンゲージメント調査(2017年レポート。エンゲージメントとは、企業への愛着心や仕事への思い入れという意)によると、「熱意があふれる社員」の割合はアメリカが32%なのに対し、日本は6%しか存在せず、調査の対象となった139カ国中132位という悲惨な実態が明らかになった。さらに「意欲のない社員」は70%、「周囲に不満をまき散らしている無気力な社員」は24%に上っていることも明らかになった。ギャラップ社のジム・クリフトン会長兼最高経営責任者(CEO)は「不満をまき散らしている無気力な社員は、社員としての価値が低いだけでなく、周囲に悪影響を及ぼし、事故や製品の欠陥、顧客の喪失といった問題は、こういう人たちが関与していることが多い」と指摘している(「日本経済新聞」2017年2月27日付けを参照)。
■経営者が工夫しなければ、優秀な人は去っていく
意欲の低い人材の生産性を高めようとするとき、「社員のモチベーションを高め、やる気を向上させよう」と考える経営者は多い。そこで多様なモチベーション向上策を講じるが、やる気のない社員の意識を変えるのは非常に難しい。筆者は多くの企業向け研修を手掛けているが、外部から動機付けを行おうと働きかけても、目的意識や向上心の低い人の意識は、容易には変わらない。また意欲の低い人に仕事を好きにさせようと試みても、徒労に終わることが多い。
そのため、達観した経営者は社員のやる気に頼らない仕組みを作ろうとする。社員のやる気の有無に関係なく、成果を挙げさせる仕組みの中核を担うのは、「徹底したプロ意識」の醸成だ。「給与をもらっている分、しっかり働く」という思考と行動を促す。給与は与えられるものでなく、自ら稼ぎ出すものだという意識を植えつける。そして成果を挙げた人材には、正当な報酬を用意する。経営者によるこうした工夫がなければ、できる社員がどんどん会社から流出することになる。そして、できる社員が流出する職場には、いくつかの特徴がある。
■優秀な人を流出させてしまう7つの状況
「有能な社員が辞めてしまう」という問題を抱える企業は少なくない。優秀な社員が退職するのは、仕事の中味の問題ではなく、上司や管理職に起因することが多い。退職される原因として、次の7点が挙げられる。
(1)有能な社員に仕事が集中する
仕事ができる人材は、仕事の精度が高いことに加え、仕事をするスピードが速い。逆に仕事ができない社員は精度が低いだけでなく、仕上がるスピードが遅い。そのため、有能な社員にばかり仕事が集中し、仕事量が増大してしまう。仕事のできない社員は、仕事量が少なく時間的余裕があるので退社できる時間が早く、逆に有能な人材は残業が増えるという悪循環に陥る。
(2)社員との間で個人的な関係を築かず、仕事以外のコミュニケーションがない
有能な部下を辞めさせてしまう上司や管理職は、部下とは仕事のことしか会話をせず、相互に個人的な情報交換を行っていないことが多い。自分の評価に直結する仕事の進捗や成果だけに関心を持つために、部下の生活環境や問題などに目を向けることがない。部下と一度も昼食をともにしたことがないような上司とは、人間として親しみを感じることがなく、情報の共有化もうまく図れない。
(3)よい仕事をして、いつも会社に貢献しているのに、評価を受けていない
有能な人材は仕事の精度がいつも高く、上司や管理職はそれが当たり前だと考えてしまう。毎回よい仕事をしているにもかかわらず、褒めたり昇格させたりする発想にならず、そのまま放置していることが多い。
(4)社員の成長を支援しない
有能な社員ほど自身の能力向上に意欲的で、自らの成長にこだわる傾向が強い。能力向上に結びつかない仕事ばかりさせ、研修などの能力開発の機会を提供していないため、社員は自らの成長を実感できずにいる。
(5)価値観を共有できない人材を採用し、誤った昇格人事を行う
中途採用も含めて、新しい社員を採用する際に人材採用の基準が曖昧なため、基本的な価値観を共有化できない人材を入社させてしまう企業がある。とにかく人手が欲しいと考える企業では、特に生じやすい問題だ。また、仕事ができないのに上司や管理職に媚を売る人材を昇格させるといった誤った昇格人事を行っている企業もある。企業の人事評価制度が機能していない典型例だ。
(6)裁量権を渡していない
有能な人材は自己管理に長けている。しかし、上司や管理職が一律に仕事の進め方や方法論にまで口出ししてしまい、能力のある人材の裁量権を奪っているケースがある。能力のある人材から主体性を奪ってしまうと、労働意欲は大幅に低下してしまう。
(7)尊敬できない上司や管理職の下で働いている
選り好みが激しく、自身に媚を売る人間を登用し、そうでない社員には目をかけないといった上司や管理職がいる企業では、有能な部下は育たない。男性社員の場合、会社や仕事への忠誠心があるので、異動があるまで辛抱するケースもあるが、女性社員の場合は尊敬できない上司の下では働かず、退職してしまうことが多い。
では、有能な人材を引き止めておくには、どうすればいいのか。
■優秀な人をつなぎとめる、7つのヒント
有能な人材が退職してしまう問題を解決するには、次のような打ち手がある。
(1)人事評価制度を抜本的に見直し、フラットな組織に切り替える
終身雇用制度と年功序列を前提とした人事評価制度と昇給・昇格基準を改め、管理という仕事しかできない「課長」や「部長」という職位を見直し、年齢でなく能力に応じて登用するフラットな組織に切り替える。
(2)部下とは成功や問題も共有し、共に評価や問題の解決に取り組む
上司や管理職は、部下が仕事で成功した際には言葉にして賞賛し、問題を抱えている場合にはその内容を共有して、ともに解決に取り組む姿勢を持つようにする。
(3)良い仕事をしたら、その都度、最適な評価を行う
部下が良い仕事をしたら、その都度功績を評価し、言葉だけでなく昇給や昇格による待遇で報いる。部下には定期的にヒヤリングを行い、どのような報酬(昇給と昇格とでは似ているようで違う)を本人が望んでいるのかも把握して対応する。
(4)能力開発の機会を定期的に提供したり、社内講師に起用したりする
仕事ができる人材には、研修に代表される能力開発の機会を定期的に提供し、さらに社内で研修を行う際には、社内講師に起用するなど、社員が自身の成長を感じられる手立てを講じる。
(5)人材採用モデルをつくる
社内で活躍する有能な人材の適性を分析し、同じ適性を持つ人材を採用できるように、自社の人材採用モデルを策定して運用する。
(6)自己管理ができる人材は、プロジェクトリーダーに抜擢する
指示や命令をされなくても、自主的に考えて行動を起こせる人材は、権限を持つプロジェクトリーダーに抜擢して裁量を持たせる。上司は指示命令でなく、フォローに回る。
(7)全方位評価を行い、組織風土の最適化を目指す
上司が部下を評価するだけでなく、部下も上司を評価する「全方位評価」を行い、最適な組織風土を実現するように取り組む。この場合、経営陣や管理職も含めた階層別評価を行う。たとえば、一般社員の意欲が低いのに、管理職層の意欲が高い場合には、管理職のマネージメント方法に問題があると判断して、管理職層への改善策を講じるといった具合だ。
どの企業にも通用する報酬制度や、労使ともに納得する昇格システムなどは存在しない。業種や業態、企業の生い立ちや理念、さらには企業の文化によって左右されるからだ。だからこそ、自社に最適な評価と報酬の制度を構築する必要がある。
(マーケティングコンサルタント 酒井 光雄 写真=iStock.com)

中退・留年率公表、大学に義務化へ…進路状況も

政府は大学改革の一環として、大学に義務づけている情報公開項目を見直す方針を固めた。中退率や留年率、卒業後の進路状況などを中心に、公開項目を追加することを検討している。文部科学省の関係省令を改正し、2020年度にも実施したい考えだ。大学の学習状況や成果に関する情報を公開することで、受験生が進学先を選ぶ際の指標が加わり、教育の質を確保する狙いがある。政府の「人生100年時代構想会議」(議長・安倍首相)が夏までにまとめる基本構想にも反映させる。大学の情報公開は学校教育法で定めており、省令で項目が決まっている。今回の見直しでは、学生が大学でどのような能力を身に付けて卒業していくかに焦点を当てる。一般的に4年間(医学部など除く)とされる修業年限期間内に卒業する学生の割合、中退率、平均学修時間、満足度のほか、進学先や就職先に関する情報も公開対象とする方向で調整している。
2018/3/26(月) 8:08配信読売新聞

2018年3月25日日曜日

また新しいiPhone?“浪費男”を結婚前に見抜くポイント3つ

ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子です。今時のモテ男の条件は「四低」(低姿勢、低依存、低リスク、低燃費)と言われていますよね。「低姿勢」とは家族に威張った態度をとらない、「低依存」とは家事や子育てを妻に任せっきりにしない、「低リスク」とはリストラにあうリスクが少ない、「低燃費」とは無駄なお金を使わないということです。
◆浪費グセのある男性を見抜くポイント3つ
その昔(バブル時期)は「三高」(高学歴、高収入、高身長)がモテる男の条件だったので、ずいぶん時代は変わりました。しかし、低燃費な男性をパートナーに選ぶと、自分や家族の使えるお金が増えます。結果的に女性にとっての幸福度は高くなるのでしょう。反対に浪費家男子をパートナーにしてしまうと大変です。自分の稼ぎをすべて自分のために使ってしまうので女性が苦労することになるからです。「婚約をしてから相手に借金があった」「すごい収集癖があった」――なんてことのないように、あらかじめ浪費家男子を見抜くポイントをご紹介しますできるだけ早い時期に相手が浪費家男子かどうかを見抜きたいものです。私は職業柄、パッと一目見ただけでおおよその貯金額などを推測することが得意なのでその方法を少しお伝えしたいと思います。
◆1)最新デジタル機器、時計、クルマ…持ち物をチェック
最初のポイントとしては持ち物をチェックしてみてください。一番象徴的なのは腕時計やクルマですが、その他にもカバンや靴や洋服や小物にこだわりがあって高そうな物を身につけていないか要チェックです。もちろん収入に見合っていたら問題がないのですが、収入に対して無理をしているようなら家計が火の車になっている可能性が大です。また、カメラ、スマホ、タブレットなどのデジタルガジェットが好きな男性は多いですが、新型モデルを揃えている男性には要注意です。1点10万円前後するものもあり高額だからです。細かいところですが、ぬいぐるみやフィギュアなどを収集する収集癖(=浪費グセ)がある男性も一定の確率でいます。こうしたところは一見ではわからないので話をして引き出すか自宅に行かないと判明しにくいです。
◆2)「何でもクレジットカード払い」は要注意
次のチェックポイントとしては、お金の使い方を見てください。お会計はすべてクレジットカード払いという男性も浪費家の可能性が高いです(なかにはカードの達人も紛れていますが)。レストランでの支払いや大きな買い物だけクレジットカード払いならよいのですが、コンビニなど細かな生活費までクレジットカードで支払うという人は要注意です。細かな支払いは電子マネーなどと使い分けているようならOKです。
◆3)コーヒーからティッシュまで毎日の浪費グセがないか
最後のチェックポイントとして生活習慣を見てください。タバコを吸う、晩酌を必ず、コーヒーチェーン店に行くのが癖といった習慣があると、それは固定費になります。タバコは一箱450円程度ですが、毎日一箱吸うなら月1万3500円程度です。晩酌も飲む量によっては月数万円に。嗜好品もたしなむ程度ならよいのですが、量や頻度によっては家計を圧迫するからです。また、ネットショッピングが趣味でネット通販サイトから毎日物が届くという人も細々とお金を使い続けている証拠です。細かいですが、ティッシュペーパーやサランラップなどが自宅に数十個ストックがあるという人も危険です。在庫管理ができていなくて、「安いから」という理由で次々と買っている可能性が高いからです。塵も積もれば山となります。上記の特徴がある男性は浪費家の可能性が多いに高いと言えます。もちろん支出が収入に見合っていればなんの問題はないのですが、あるだけ使ってしまう、収入以上に使い過ぎてしまうという人をパートナーにすると女性もお金が大変になってしまいます。お金の使い方も含めて、人は一緒にいる人から多くの影響を受けるのでパートナーとして選ぶ人のお金使いもしっかりチェックしましょう。
<TEXT/花輪陽子>
【花輪陽子】
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)、CFP(R)認定者。1978年生まれ、外資系投資銀行をへてFPとして独立。現在シンガポール在住。『夫婦で年収600万円をめざす! 二人で時代を生き抜くお金管理術』『お金持ちになる女はどっち?』など著書多数。
http://yokohanawa.com/
女子SPA! / 2018年3月25日 8時47分

2018年3月23日金曜日

たまにある質問なのですが

たまにある質問なのですが「雑居ビルって何」というのがありますね。調べて見ると次のようなものだそうです。


雑居ビルとは、不特定多数の業種、業態の店(テナント)、住居などが多数混在するビルのことである。消防法では法第8条および施行令第1条の2にて「複合用途防火対象物」と定義されている。
○実情
大都市の歓楽街の古いビルに多く、一般的な企業の事務所(オフィス)よりも、小規模な飲食店、金融業、風俗業などが集まる。特に風俗業の看板はビル全体に覆いかぶさり、強烈な文言と刺激的な映像で通行人の興味を引く。あまりに大きいので非常出口を兼ねた窓をもふさぐことから、内部は昼でも薄暗く、通路も狭い場合が多い。飲食店も酒類の提供が中心である。金融業も違法金利営業(闇金融)が多い。異業種同士が利益をかけて結束する形態も常態化し、表面上は別経営であるが、実際はひとつの経営主体(多くは非合法集団)であり、結果ビル全体が一つの支配下にある場合もある。雑居ビルの法律上の定義はないものの、広辞苑第四版では「系統性のない多種の用途によって占有されるビルディングテナント」と書かれており、規模の大きな会社が複数入っているビルも雑居ビルといえなくもないが、「六本木ヒルズ」のような形態のビルを雑居ビルと表現する者は少ない(企業の本社や支社などの事務所が主に入居しているため、オフィスビルと呼ばれることが多い)。消防庁では「直通階段が一つのみ設けられていること」などの条件を満たしているものを「小規模雑居ビル」と定義している。「雑居」と呼ばれることに建物権利者は不快感を持つ。しかし営業形態が公然にできない業種の賃借人(店子)が多く、他者の関与を嫌う。通常の賃貸ビルなら貸主店子相互が一定の親睦友誼を図っているが、それができない以上「雑居」と称して他者の介入を拒んでいる。これがオフィスビルとの相違である。また違法営業について司法からの追求を逃れるために、自らの関与を否定することを狙い「雑居」と称しているものもある。
○問題点
雑居ビルでは、ビルオーナーが利益を最優先する傾向があるため、入居させるテナントを選ばないことが多い。一定の利益を上げるとビルオーナーが建物を転売し、所有者が一定しないケースがしばしばある。非公然業種が入居したビルに通常の入居者の入居は難しく、貸主もこうした借主と関係を持つことを忌避するからである。閉鎖的な業種が多くなるので、犯罪の温床となりやすく、建築物構造そのものや管理体制の面で、消防法に違反するものも多い。また、町並みの景観を壊す元凶ともなっている。特に消防法の違反事例は、非常階段に荷物・倉庫を置くなど雑居ビル火災時の避難を阻害しており、それにより、たびたび惨事を招いている。常軌を逸した営業同様、建物設備についても供給事業者(電気、ガス、水道など)に無断で改造しており、改修するにも設備図面自体がない。極端な改造により建物の老朽化を早めてしまう場合がある。外装だけ看板で擬装した老朽ビルが今なお営業している。階数が5階以下だとエレベーターが設置されていない場合が多い(設置の義務がない)上、階段と通路が狭い。


という定義になるようです。まあ明確な定義があるわけではないかもしれませんがこんなものです。

2018年3月21日水曜日

これが医学部大量留年の驚くべき実態だ

異常な医学部受験ブームのために、医師になるモチベーションの低い人や、医師に向かない人たちが医学部に入ってくるようになりました。そのために、一部の医学部では別の問題も抱えています。それは「留年」です。とくに一部の私立大学では、大量の留年が発生しています。ある私立大学を卒業した研修医は、私の取材に次のような衝撃的な事実を打ち明けてくれました。
「ストレートに国試に受かったのは3分の1」
「私の大学は同級生が120人いたのですが、1年目で20人ほどつぶれました(筆者注・留年のこと)。ストレートに6年間で卒業して、医師国家試験(国試)に合格できたのは40人ぐらいではないでしょうか。最終的に80人は国試に合格できると思いますが、他の人たちはいつの間にか転部して医学部から消えたり、卒業できずに放校されたりします」その大学では卒業はできたものの、医師国家試験に受からず浪人している学生が200人ほど溜まっているという話も、ある医学教育関係者から聞きました。医学部に入りさえすれば、誰もが簡単に6年で卒業して医師になれるわけではないのです。そもそも、医学部は1単位でも必修科目を落とせば、留年させられてしまいます。他学部では多少試験に落ちても、規定の単位数をクリアしていれば、進級することができます。なので、サークルにバイトに遊びにと、青春を謳歌している学生がたくさんいます。
「医学部がこんなにシビアな世界だと思っていなかった」
しかし、医学部ではあまり遊ぶ余裕はありません。医学の専門教育が前倒しされたので、1年生からしっかりと勉強する必要があります。受験勉強が終わりホッとしたのもつかの間、国試に受かるまで6年間ずっと怠らずに精進する覚悟が求められるのです。前出の研修医も、次のように吐露していました。
「大学に入るまで、医学部がこんなにシビアな世界だとは想像もつきませんでした」
実は同じ私立でも、大学によって大量に留年が発生するところと、そうでないところに大きく分かれています。とくに医師国家試験の合格率が高い大学では、「1学年約100人のうち6年で卒業できないのは2、3人」というほど留年が少ないのです。なぜ、そんなにも差が出るのでしょうか。
医師国家試験の合格率が高い大学の特徴
それは「医師になる」というモチベーションの違いなのではないかと思います。医師国家試験の合格率が高い大学は、授業料が免除される代わりに9年間の地方勤務が義務づけられる自治医科大学や、授業料を大幅に下げて偏差値がトップクラスになった順天堂大学など、優秀で「医師になる」というモチベーションの高い学生が集まる大学が多いのです。医学部関係者によると、医学部1年目から成績がいい学生は、卒業するまでずっとその成績を維持する傾向が強いそうです。
「医師にさえなれればいい」という開業医の子弟たち
一方、大量留年が発生している大学は、かつて「金を積めば入れる」と揶揄された70年代に設立された私立の新設校に見受けられます。そうした大学でも偏差値が上昇し、現在では裏口入学はほとんどできなくなったと言われています。大手予備校・河合塾の大学入試サイトKei-Netで確認すると、私立大学医学部の偏差値は最も低い大学でも62.5となっています。単純比較はできませんが、これは早稲田や慶應の理工系学部と同程度の偏差値です。つまり、早稲田・慶應かそれ以上の学力がないと、どの医学部にも入れないのです。それに、私立の新設校でも留年が減り、国試合格率をアップさせているところがあります。優秀な学生が集まるようになったので、大学側のやり方次第で留年や国試浪人を減らせる可能性もあります。ただ、まだ以前の雰囲気が残っている大学もあるようなのです。私立大学出身で国立大学の医局に入った医師が、次のように語ってくれました。「国立大学の医師たちはみんな海外の論文を一生懸命読むなど、よく勉強していると感じました。一方、僕の母校では開業医の子弟が多いせいか、『医師にさえなれればいい』という感じで、試験に受かる以上の勉強はしない学生が多かったと思います」
私大医学部生はベンツやポルシェ、教授は国産車
また、国立大学出身で、ある新設私立大の教授になった医師も、次のように話してくれたことがあります。「大学の駐車場にベンツやポルシェが停まってるでしょ。あれは全部、学生たちの車なんですよ。やっぱり、私大の医学部に入れるのは開業医とか裕福な家庭の子が多いよね。教授のほうが安月給で、僕なんて国産車ですよ」裕福な学生が多くてモチベーションが低いうえに、まわりも勉強熱心でないために、そうした大学では大量留年が発生してしまうのかもしれません。学生を留年させるのは、大学側にも事情があります。国試合格率が低いと、文科省から補助金が削減されてしまうリスクがあるのです。見かけの合格率を高めるために、国試に受かりそうにない学生は簡単に卒業させません。
20人留年させれば1億円収入が増える
それに、医学部関係者から、こんな噂も聞きました。一部の大学では「経営的な思惑もあって、学生を留年させているのではないか」というのです。私立大学医学部の学費は、6年間で2000万円から高いところで4000万円以上かかります。1年間の学費が500万円だとすると、20人留年させれば、それだけで1億円も収入が増えるのです。「授業料稼ぎ」の真偽は不明ですが、医学部に合格したと喜んだのもつかの間、留年を繰り返されたとしたら、保護者はたまったものではありません。そのうえ国試浪人されたら、国試予備校に通うのにも数百万円の授業料がかかります。大金を叩(はた)いたのに、もし医師になれなかったら……想像しただけでも悲劇です。留年は一部の私立大学だけの問題ではありません。東京大学をはじめとする難関大学でも、解剖実習のテストのためにひたすら人体の部位を覚えるのがバカらしくなって転部したり、臨床実習がうまくいかず引きこもって留年してしまう学生がいると聞きました。
2017年の東大医学部の国試合格率は平均以下
ちなみに、2017年の東京大学医学部の国試合格率は88.9%で、80校中46位と平均点レベルです。しかも既卒者(国試浪人)を見ると15人中6人しか合格していません。最難関の医学部と言っても、入ってしまったら「並」の学生になってしまうのです。医学部では「よき臨床医」を育てる目的が重視されるようになりました。そのため、低学年のうちから、高齢者や障害者の施設で介護体験などをする「アーリー・エクスポージャー(早期体験学習)」や、数人のグループで自発的に学習をする「PBLチュートリアル」といった、他者と触れ合ったり、多くの人と協同作業したりする授業が増えました。このような教育内容に興味を持って取り組める人でないと、医学部での勉強は続きません。「自分は苦手だな」と思う人は、受験はやめたほうが無難なのです。
(鳥集 徹)
文春オンライン / 2018年3月21日 9時30分

2018年3月17日土曜日

死んだ後に後悔しても遅い。年金未納者の家族が直面する悲しい現実

「年金未納で困るのは自分だから、払う払わないは個人の自由」などと考えている方、後々困るのはあなただけではないようです。今回の無料メルマガ『年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座』では著者のhirokiさんが、遺された家族が受け取る「遺族基礎年金」について詳しく解説しています。国民年金から支給される遺族給付は限定的でやや支給条件が厳しい国民年金からの遺族給付には遺族基礎年金という給付があります。この遺族基礎年金の受給者というのは正直少ないです。大体全国に11万人くらい。逆に遺族厚生年金は500万人程もいるから圧倒的に少ないことが伺えます。それは、大前提として18歳年度末未満の子がいないと支給されないものだから。支給されても18歳年度末未満の子が居なくなると、年金は消滅します。つまり国民年金からの遺族給付は有期年金なんです。遺族厚生年金は再婚等しなければ基本的には終身。というわけでその遺族基礎年金について今日は見ていきましょう。

1.昭和60年3月8日生まれの男性(今は33歳)
● 何年生まれ→何歳かを瞬時に判断する方法!(参考記事)
20歳になる平成17年3月から4年制大学を卒業する平成19年3月までの25ヶ月は学生納付猶予特例免除。この免除期間は普通の免除期間と違って将来の老齢基礎年金額には反映しないが、年金受給資格を得るための10年以上の中には組み込む。平成19年4月から平成23年6月までの51ヶ月は厚生年金に加入した(国民年金第2号被保険者)。平成23年7月から平成26年6月までの36ヶ月は国民年金第1号被保険者として国民年金保険料を納めた。平成26年7月から平成30年10月までの52ヶ月はフリーターとなり国民年金未納。平成30年10月16日に病死。死亡当時に生計維持していた遺族は、昭和62年7月18日生まれの妻(夫死亡時は31歳)。平成22年9月12日生まれの子(夫死亡時は8歳)が1人。昭和30年1月28日生まれの夫の母のこの3人。さて、死亡した夫は死亡時は未納の状態でしたが、年金保険料を支払っていない状態でも20歳以上60歳未満は強制的に国民年金の被保険者である状態。よって、この夫の死亡時は国民年金加入中の死亡となり、支給されるとしたら遺族基礎年金のみ。で、支給されるかどうかという前に夫の過去の年金保険料納付状況を見ないといけない。障害年金の「初診日」という保険事故と同じように、「死亡日」という保険事故前の夫の年金保険料納付状況を見る。まず、死亡日の前日において死亡日の属する月の前々月(平成30年8月)までの直近1年間に未納が無いかどうかを見ますが、未納だからダメ。じゃあ原則の、死亡日の前日において死亡日の属する月の前々月までに年金保険料を納めなければならない月がある場合は、その3分の2以上(66.66%以上)が年金保険料納付済みか免除期間じゃないといけない。それを見てみると、20歳到達月の平成17年3月から平成30年8月までの162ヶ月の間に、学生免除期間25ヶ月+厚生年金期間51ヶ月+国民年金保険料納付済み期間36ヶ月=112ヶ月ある。
112ヶ月÷162ヶ月=69.13%≧66.66%だから保険料納付要件を満たす。
次に遺族基礎年金は、死亡時に生計維持していた「18歳年度末未満の子が居る配偶者」、または「18歳年度末未満の子」にしか支給されない。だから、まず夫の母は支給対象から外れる。生計維持というのは簡単に言うと、死亡当時にその死亡者と同居していた時に、配偶者(この記事なら妻)の前年の年収が850万円未満または前年所得(前年分が確定してないなら前々年分)が655.5万円の両方を満たす場合をいう(一時所得みたいな一時的にドカンと入ってきた収入は除く)。じゃあ、遺族基礎年金は妻と子に支給されるのかというと、この場合は優先的に妻に支給される。子も受給する権利はあるけれども、配偶者である妻が遺族基礎年金を受給する間は子への遺族基礎年金の支給は停止となる。さて、遺族年金を平成31年1月に請求した。遺族年金は遅れて請求しても、死亡日の翌月分からの支給。だから、平成30年11月分から遡って支給される(年金の時効の都合上どんなに遅れても最大過去5年分まで)。いくら支給されるのか。遺族基礎年金は定額です。配偶者と子1人分なので、遺族基礎年金779,300円+子の加算金224,300円=1,003,600円(月額83,633円)。これが、子が18歳年度末を迎える平成41(2029)年3月分まで支給される。2029年4月分からの年金は0円となり遺族基礎年金は消滅する。ちなみにこの妻がそれまでに再婚等した場合はどうなるのか。例えば、平成35(2023)年7月に再婚するとする(事実婚も含む)。となるとここで妻の遺族基礎年金の権利は消滅し、2023年8月分の遺族基礎年金から消滅する(失権という)。
● 遺族年金の主な失権事由(日本年金機構)
しかし子の遺族基礎年金を貰う権利は無くならない(年金額779,300円のみ)。母である妻が再婚し、子はその父と養子縁組をした。

※注意
もしこの再婚者である父とは母である妻が事実婚である場合は、正式な法律婚ではない父と養子縁組してしまうと直系姻族以外の者との養子縁組となって子に対する遺族基礎年金はその時点で消滅する(事実上の養子縁組も含む)。再婚と同じく、直系血族又は直系姻族以外の者の養子になると遺族年金は消滅する(失権)。ただし、子の遺族基礎年金を貰う権利は無くならないが、同居する親がいると遺族基礎年金は停止してしまう。よって、親と同居してる状態だから支給される遺族基礎年金は無い。
※追記
この死亡した夫には国民年金第1号被保険者として国民年金保険料を納めた期間が36ヶ月以上あるから(厚生年金期間とか第三号被保険者期間は除く)、掛け捨て防止のための死亡一時金というのがあるが、遺族基礎年金を貰う遺族がいるから一時金は無し。なお、一時金を請求できる場合は生計を同じくしている配偶者、子(18歳未満である必要は無い)、父母、孫(18歳未満である必要は無い)、祖父母、兄弟姉妹の順で最優先順位者に支給。ちなみになぜ国民年金制度には死亡一時金という独自の制度があるかというと、今回紹介したように国民年金からの遺族基礎年金は18歳年度末未満の子が居る場合にしか発生しないから。もし子が居なければ掛け捨てになってしまうのでその防止のため。あと、厚生年金を支払ってる期間が過去に51ヶ月ありますが、遺族厚生年金はこの事例の場合は出ない。なぜなら厚生年金加入中の死亡等ではない場合は年金保険料納付済み期間+免除期間+カラ期間≧25年が要件となる。それを満たしてないから遺族厚生年金は出ない。平成29年8月改正により老齢の年金は年金保険料納付済み期間+免除期間+カラ期間≧10年と短縮されましたが、遺族年金の場合は25年以上が原則となるので、最低でも25年以上を満たしておくと遺族にもありがたいかも^^。

2018年3月15日木曜日

よくあることなのですが(営業上の本社と商業登記簿上での本社が違う)

これは企業の調査をしている時によくあることなのですが、「商業登記簿上での本社所在地」と「営業上の本社所在地」が異なっていることが良くあります。中小事業者であればちょくちょくあります。大手企業(又はそのグループ企業でも稀にあります)。なぜこのようなことが起こるのか解説したいと思います。


理由①「創業当時自宅兼事務所で営業していたが規模拡大とともに営業上の本社を別の場所に移転した(商業登記簿は移転していない)」
このケースは多いですね。創業当時は個人事業主だった(自宅兼事務所だった)けど規模が大きくなってきたので法人成してさらに規模が大きくなったので営業上の本社と商業登記簿上の本社を別にした(商業登記簿上の本社所在地に社長の自宅があるし、商業登記簿の移転をすると事務手続きが面倒なのでそのままにしている)ケースですね。この場合銀行も税務署も取引先もある程度納得している(事情をキッチリと説明していればの話)し、事業遂行上支障がない場合はまあ問題はありませんね(営業上の本社と商業登記簿上の本社が極端にはなれているとか許認可権等の都合がなければ余り問題にならないケースが多い)。こういう場合は社会的に許容されることが多い(絶対とは言い切れませんが)。


理由②「商業登記簿上の本社所在地に営業上の本社はないが会社の関連施設(支店等)がある」
これもたまにあります(理由①程ではないが)。とある大手企業(実名は伏せます)もそうです。「最初創業した場所は地方都市だったが、東京23区内に支店を出した。その数年後に営業上の本社は東京に移したが商業登記簿は地方都市のままにしてある(創業した地方都市に支店があり、そこに商業登記簿がある)」「創業者が〇○市に自宅を持っていた。なので営業上の本社は××市にあることになっている(本社ビルがある)が〇○市内にある会社の関連施設を商業登記簿上の本社にしている」というケースかな。


理由③「商業登記簿上の本社所在地に営業上の本社がなく会社の関連施設(支店等)や会社の社長等の関係者等の自宅等があるわけでもない」
稀にありますね。とある会社のホームページには「本社は〇○にある」と書いてあるのに「商業登記簿上の本社所在地は別の場所になっている」となっているケースがあります。それも商業登記簿上の本社の所在地には社長さん役員さんの自宅があるわけでない。それもひどいケースになると「怪しげな雑居ビルがある(そもそも商業登記簿上の本社の住所には部屋番号がかかれておらず、ビルやマンション等のテナントに入居していたように部屋番号がかかれていない)」「かつてビルがあったようだが調査をした時には更地になっていた(過去の地図を調べてみてもそこに社長と同じ苗字の人が住んでいた形跡がない)」ということはたまにあります。


理由①や理由②についてはさほど重点的に調査はしません(多少の調査はするが)。しかし理由③については詳しく調査をします。「たまたま家賃の安い場所で創業して別の場所に移転したけど商業登記簿はそのままです」ということもあるのかもしれないけどこういう場合はやはり疑ってかかりたくなりますね(全てが怪しいというわけではないが)。商業登記簿上の本社のあるビル等が親戚の経営している会社の所有物件でしたというのならばまだ理解できますがそうでない場合はやはり疑いたくなりますね。商業登記簿上の本社近辺(雰囲気)の状況を確認してみます。当然雑居ビルやマンション等に入居している場合はそこのビルやマンション等のポストを確認したり所有者に確認してみたりします。場合によっては周辺での聞きこみをすることもあります。そこのビルにどんなテナントが入居しているのかも確認します。理由③のような会社が全ての意味で危ないとは言いません。けど納得がいくまで徹底的に調査をします(まあこういう会社は危ないとは言わないにしてもあまりいい評価はしませんけどね)。




2018年3月4日日曜日