2020年9月1日火曜日

【衝撃事件の核心】取り込み詐欺の舞台再演、休眠会社の「前科」込み信用力

後払いの約束で大量の商品を仕入れ、代金を支払わずに商品を処分して逃げる-。古くからある「取り込み詐欺」と呼ばれる手口で3千万円以上の商品をだまし取ったとして、大阪府警が7月、詐欺容疑で男6人のグループを逮捕した。男らは20年以上前に設立され、現在は活動実態のない休眠会社を悪用。この休眠会社には、10年ほど前に別の取り込み詐欺にも使われたという“前科”があった。男らはどのようにして大量の商品をだまし取ったのか。

○初回は期日前の支払い

「民泊の設備管理をしている。災害が増えているので発電機を注文したい」 電化製品を取り扱う大阪市内の工具店に、男(48)が取引を持ちかけたのは平成30年秋のこと。男は「三建商事株式会社大阪営業所」所長と名乗った。営業所の所在地は大阪市港区。当時、大阪ではインバウンド(訪日外国人客)が急増しており、男は「民泊にも外国人客が増えている」と説明した。初めての取引相手ということで、店主の80代男性は社内の様子を見るために営業所を訪問。そこでは従業員が忙しそうに働き、家電製品が山積みになっていた。初回の注文は約30万円相当の発電機。納入すると、期日よりも早く代金が支払われた。続けて発電機や業務用掃除機計140台を受注。初回の取引で三建商事を信用した男性は、販売価格で約1千万円にもなる商品を全て営業所に納入した。

○2カ月でもぬけの殻に

ところが、今度は期日が過ぎても入金がない。所長とも連絡が取れなくなり、営業所を訪ねると、そこにいたはずの従業員や電化製品は跡形もなく消えていた。初めての訪問からわずか2カ月後のことだった。大阪府警によると、グループは同様の手口で、この商店を含めた4つの会社から発電機やエアコンなど計約500点(約3300万円相当)をだまし取った疑いがある。電化製品は家電量販店などに転売していたとみられ、一部は関係先に残っていた。ほかにもこのグループによるとみられる被害相談が寄せられているといい、被害額は合わせて1億円規模に上る可能性もある。これだけの犯行が可能だった背景には、先に正規の取引をしたり、活気のある社内の様子を演出したりという工作に加え、休眠会社の存在がある。グループが使った登記簿では、三建商事の設立は平成9年。21年には警視庁が、三建商事の名前を使って東京都内の会社からステンレス鋼板をだまし取ったとする詐欺容疑で、別のグループを逮捕している。この事件でも、詐欺グループは実際に代金の一部を支払うなど手口は共通している。ただ、資材を注文する際の文言は「道路公団の仕事を請け負った」。登記上も建築資材の販売などが目的とされていた。 ○実績のある事業者 三建商事が今回、大阪府警が逮捕した詐欺グループの手にどのように渡ったのか、詳しい経緯は不明だ。ただ、犯行の約1年前、三建商事は住宅宿泊事業などに目的を変更している。ちょうどインバウンドの増加とともに民泊が広がってきた頃で、上り調子の事業に使うためであれば、大量の電化製品の注文も不自然ではない。もし取引相手に登記簿をチェックされても、20年以上の実績のある事業者を装えるという狙いがあったとみられる。かつて取り込み詐欺に利用された休眠会社の登記が再び悪用された格好だが、受け付ける側の法務局も年間数万単位で設立される法人登記を一つ一つチェックするのは不可能なのが実態。見せかけの信用にとらわれないことが、悪質な詐欺被害に遭わないために重要だ。

2020.8.31 08:00|産経WEST

「山口組」分裂5年相次ぐ銃撃、抗争激化警戒区域は10府県に

日本最大の暴力団山口組(神戸市灘区)から神戸山口組(同市中央区)が分裂して27日で5年になる。昨年以降、兵庫県内で自動小銃を使った殺人事件が起きるなど抗争は急速に激化。各地の公安委員会が両組織を「特定抗争指定暴力団」に指定し、厳しい規制に乗り出した。神戸山口組にさらなる離脱騒動が浮上し、山口組の優勢が鮮明になっているが、対立の構図は変わらず、抗争の火だねがくすぶり続けている。

■銃弾計23発

尼崎市の繁華街の路面に今も弾痕が残る。昨年11月27日夕、神戸山口組幹部が自動小銃で連射され、死亡した。逮捕された元山口組系組員の男は別の幹部も襲う計画だったという。この年、抗争事件は神戸市で相次いだ。8月、山口組系組員が同市中央区の住宅街で銃撃されて重傷を負い、10月には逆に、神戸山口組系組員2人が同区の路上で射殺された。県内の3事件で撃たれた銃弾は計23発に上る。3年前には、神戸山口組から離脱した絆会(旧・任侠山口組)の組員が同市長田区の路上で射殺され、神戸山口組系組員の男が殺人容疑で指名手配された。いずれも人々が行き交う時間帯に発生した。

■総本部に人けなく

兵庫県公安委員会などは今年1月、暴力団対策法に基づき、両組織を特定抗争指定暴力団にした。神戸、尼崎を含む6府県10市を「警戒区域」に指定。同区域内での組員の集合や事務所の立ち入りを禁じ、活動の封じこめを図る。その区域内にある山口組総本部は毎月、全国から主要幹部が集う組織力の象徴だったが、今は庭木が無造作に伸び、郵便物がたまった状態。神戸・三宮の繁華街では「暴力団組員を見かけない」との声も聞かれ、規制が組の活動に変化をもたらしている。ただ、警戒区域外で事件が起きている。5月に岡山市で、神戸山口組系組員が襲われる銃撃事件があった。その後、警戒区域は10府県16市に拡大。捜査幹部は「今後も事件が起これば、警戒区域の指定範囲は広がる」とみる。

■続く対立の構図

抗争が増えた背景には、資金力や構成員数で上回る山口組の攻勢があるとされる。「神戸山口組勢に対し、説得による組員の引き抜きと、銃撃による圧力という『アメとムチ』を使い分けている」と捜査員。実際、神戸山口組から山口組に移籍する組員は後を絶たない。関係者によると、今年7月から、神戸山口組の結成を主導した中核団体「山健組」(神戸市中央区)が、離脱する動きが表面化。複数の直系団体の脱退や神戸山口組幹部の引退の情報も飛び交う。しかし、山健組、神戸山口組とも「反山口組」の姿勢は崩していない。県警幹部は「神戸山口組の存在を認めていない山口組には、攻勢を緩める理由がない。抗争終結の兆しは見えない」と話す。 【山口組の分裂】2015年8月27日、山健組(神戸市中央区)など一部の直系団体が離脱し、神戸山口組を結成。離脱派は関西の組が多く、山口組組長の出身母体・弘道会(名古屋市)を優遇する組織運営や高額な会費(上納金)に反発したとされる。17年4月には神戸山口組が再分裂して絆会(旧・任侠山口組)が発足し、三つどもえの状態となった。

神戸新聞2020/8/27(木) 6:15配信

【就職内定率から学ぶ】就活生が気になる調査方法や数字の推移

○毎年発表される就職内定率について理解しておこう

近年の景気感の回復、また人手不足の影響などを受け、就職内定率が過去最高に達したというニュースが眼に飛び込んできます。就職を目指す学生にとっては、これはとてもよいことのように感じられますが、この就職内定率とは、そもそもどのようなものなのでしょうか。よく耳にするこの「就職内定率」という言葉ですが、実のところその実態について知っていると言い切れる人はあまりいないでしょう。そこでこの記事では、就活生が知っているようで知らないこの「就職内定率」について、その調査方法から近年の推移などを徹底的に解説します。「就職内定率」について正しく理解し、ぜひ自身の就職活動に役立ててください。

○就職内定率とは 就職内定率とは、「就職希望者がいったいどのくらい就職することができたのか、または内定を受けることができたのか」を調査し、その割合を算出したものです。一般にこの就職内定率は、景気や経済状況の目安としたり、就職環境の指標として利用されています。また、大学などの教育機関が自学の就職状況として独自の数字を発表し、学校のPRとしてアピールする場合もあるでしょう。さまざまな大学や高校などが、それぞれの学校の学生の就職内定率を発表しています。これは学校教育法施行規則によって公表されるもので、それらの学校の就職状況を知るための指針となります。それゆえ、各学校ではPRのための材料として用いているのです。 ○厚生労働省・文部科学省で調査されたもの 就職内定率とは、該当する年度に卒業する学生が、就職および就職内定を受けた割合をいいます。これは厚生労働省と文部科学省とが共同で「就職内定状況に関する調査」という調査を実施し、これを基に算出した数値です。厚生労働省はこの調査の目的を、「大学や短期大学、高等専門学校及び専修学校の卒業および卒業を予定する学生・生徒の就職内定状況を把握し、就職問題に適切に対処するための参考資料を得ること」としています。さらに文部科学省と共に、大学の就職相談員とハローワークのジョブサポーターとの連携での取り組みを通して就職支援を図るため、年に4回、定期的な公表をおこなっています。それにより、その期間における就職内定の状況を周知させているのです。

○厚生労働省と文部科学省が連携しておこなうこの「就職内定状況に関する調査」は、国内の大学などの就職相談員、ハローワークのジョブサポーターなどの連携を促進するためにおこなわれるものです。調査の依頼先は、国立大学、公立大学、私立大学、短期大学、高等専門学校、専修大学(専門課程)の112校です。これは地域などを考慮して厚労省と文科省が抽出したもので、調査の対象人員は6,250人となります。調査方法は、対象となる各大学などで、調査の対象学生を抽出し、電話及び面接によって性別や就職希望の有無、就職状況などを調査します。調査の時期は、毎年10月1日、12月1日、翌年の2月1日、4月1日です。発表についてはそれぞれに対応して11月16日、1月18日、3月18日、5月17日となっています。 ○就職内定率の数字が全て正しいとはいえない 就活生にとっては、就職に関するさまざまな場面で指標として活用される就職内定率ですが、実は注意すべき点もあります。示されている数値が実際の就職状況を正確に反映しているのかどうかというと、実はこの数値がすべて正しい、というわけではない点です。ここからは、就職内定状況調査の調査依頼におけるサンプル数について、また調査方法にみられるその問題点を探ることで、就職内定率が示す数値についての信頼性について考えていきます。 ○就職希望者のみを調査対象としている また注意したいのは、これらの大学の調査で調査対象となっているのは、就職希望者のみです。発表されるデータに「注)なお、就職率とは就職希望者に占める就職者の割合。」という記載があることに注意してください。ここでは就職浪人や就職を諦めて大学院へ進学する学生、また留学をする学生は含まれていません。 ○分母、分子というカラクリ 文部科学省単独の就職率は、正確には「卒業者に占める就職者の割合」と言います。 という正式名称が出た時点で、合点の行く読者も多いのではないでしょうか。 こちらは、卒業者総数が分母、就職者数が分子です。毎年8月にその年の卒業者について速報値を公表しています。大学、短大、高校などは全て回答する必要がありますので、実態としてはこちらの方が正確です。 では、厚生労働省と文部科学省の合同調査である「就職内定状況等調査」はどうでしょうか。 こちらは就職希望者が分母、就職者が分子です。 さらに付け加えると、この調査は全大学に対して調査するものではありません。 厚生労働省サイトに、調査の概要がありました。対象は、以下の通りです。 全国の大学、短期大学、高等専門学校、専修学校の中から、設置者・地域の別等を考慮して抽出した112校についての調査。調査校の内訳は、国立大学21校、公立大学3校、私立大学38校、短期大学20校、高等専門学校10校、専修学校20校。 調査対象人員は6,250人(大学、短期大学、高等専門学校合わせて5,690人、専修学校560人)。 調査対象は短大などを含めても6250人。一方、学校基本調査は卒業者総数が分母であり、この卒業者は大学卒だけで約56万人。 大学数は782校(2018年時点)に対して、就職内定状況等調査は112校。 学校基本調査と就職内定状況等調査、どちらがより正確か、どう考えても前者の方でしょう。

まあこういうことを理解しましょうね。統計の取り方にもよるのですが親が自営業(法人成しているかどうかは別として)の場合就職実態としてどう扱っているのかは不明です。