2024年12月31日火曜日

自社株買をするメリットデメリット

 新聞をよく読んでいると「○○株式会社が自社株買をする」「今年自社株買をした金額が○○円だった」と言う話を聞きますね。自社株買をするメリットデメリットについて書きたいと思います。

〇自社株買いとは

自社株買いとは、企業が自社の株式を市場から買い戻す行為を指します。自社株買いを行うと、市場に出回る株式の数が減少するため、結果的に株価の安定・上昇の可能性が高まります。

○メリット

1、1株当りの純資産額や当期純利益額が増える

「1株当りの純資産額や当期純利益額」は発行済株式数から自己株式の株式数を引いた株式数で計算するため、自社株買をすればするほど1株当りの純資産額や当期純利益額は経営状態が同じであれば増えることになる。

2、株価が高くなる可能性がある

株価とは会社の業績だけでなく流通している株式数等によっても左右される部分があるため、業績が良くて自社株買をすれば株価が上昇する可能性がある(あくまでも可能性)。

3、株主への利益還元

自社株買を行うと前述の通り株式数が減り、株主にとっては1株当たりの利益配分が増えるため、間接的に 株主への利益還元 につながります。

4、財務体質の改善

株式数が減少することで、これまで株主に支払っていた配当金の支払い額も減少します。その結果、企業の財務体質改善という効果が期待できます。

5、敵対的買収リスクの低減

市場から買い戻すことで自社株の持ち株比率を高め、敵対的買収など外部から買い占められるリスク低減への対応策として自社株買いが行われる場合もあります。

6、ストックオプションへの活用

ストックオプションとは、自社株をあらかじめ定めた価格において購入できる権利を指します。このストックオプションで付与するための株式の調達方法として、自社株買いを用いるケースがあります。従業員は自社株を取得することで株主になり、業務をとおして企業価値を高められれば、個人資産を増やすことが可能です。企業への貢献や自身の働くモチベーションの向上にもつながることが考えられます。

7、非上場株式の現金化

非上場企業の場合、株式を保有する個人株主が相続などにおいて株式を現金化したい場合、企業に対して株式の買い戻し請求を行い、現金化するケースがあります。

企業側にとっては株主数が減少するため株主の管理がしやすく、株式の分散化を抑制できるという効果もあります。


○デメリット

1、自社株買をするために株主総会の決議が必要である

自社株買を行うにあたって株主総会が必要になるので会社側にとって手続きが増えることになる。

2、処分可能額以下の金額でなければ自社株買いが出来ない(業績が悪く配当可能額が少なければ自社株買いで切る金額も限られてくる)

3、株価が高いと当初予定していた株式数を自社株買出来ない場合がある

処分可能額(配当限度額)内でなければ自社株買が出来ないため、自社株買をする時に株価が高いと当初期待していた金額の自社株買が出来ても株式数を取得出来ない場合がある。

4、自社株買をするための資金が必要である。

自社株を市場から購入するための資金が必要になってくる。そのための現金預金があればよいのだがなかった場合、銀行等から資金を調達する必要が出てくる。企業の業績がよく投資格付け等がよければ資金調達できるが、調達できなければ自社株買自体出来ないことになる。

5、自己資本比率の低下

自社株買いは、手元のキャッシュ(自己資本)を使って行われるため、自己資本比率(自己資本÷総資本)が低下します。自己資本比率が低下することで財務リスクがあると見なされ、株主や投資家から懸念を持たれる可能性があります。

6、企業の成長を阻害

自社株買いは計画と実行に多くの時間や経営リソースを要します。企業はこれらのリソースを自社株買いに充てることで、他の重要な業務や戦略的な活動に割くことができなくなり、成長を阻害する可能性も考えられます。

7、取得した株式の処分で株価下落の可能性

自社株買いによって取得した自己株式の取扱い方法は、「資産として自社で保有」「売却して処分する」「消却」の3つがあります。

処分した場合、売却資金を獲得できる一方、売却した株式は市場に戻り、発行済株式総数が増える(元に戻る)ため1株当たりの利益は減少します。そのため株価下落の可能性も考えられます。

8、処分・消却には手間とコストがかかる

自社株買いで取得した株式の処分や消却には、手間とコストがかかるというデメリットがあります。企業が自社の株を買い戻したあとは、保有、消却、売却、などが考えられますが、処分する場合には手続きや費用が伴います。消却する場合は株主総会の承認や登記が必要となり、ある程度の時間と手間がかかります。

またストックオプションとして使用する場合(自己株式の処分)には、従業員に対するインセンティブとしての評価や、行使価格設定における慎重な検討が必要になるでしょう。


○その他

自社株買をするのは良いのだが、自社株買した株式をその会社がどのように活用しようとしているのかと言うことも見ておく必要性がある。買取った株式を「消却する予定なのか」「M&Aに活用するのか」「ストックオプション等に利用するのか」と言った方向についても見ておく必要性がある。


信託口って何?

 よく株式の主要株主の欄を見ていると「日本トラスティサービス信託口」「日本マスタートラスト信託口」と言う言葉を見たことがありませんか。ここで言う信託口とは「投資信託」「年金(厚生年金や国民年金)を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人のこと)」「企業年金」が信託銀行を通じて資金の運用をしていることを示すことを示す表示なんですよ。こういう「投資信託」「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)」「企業年金」の場合極端に問題があり、信用力の低い会社に投資していることはありません。但し、誤解しないでほしいのは「信託口」が株主になっている会社が絶対に倒産しないとか、問題の会社だと言っているわけではありません。あくまでも当市は自己責任という前提で行う必要性はあります。


税外収入

 国家の財政収入のうち租税以外の収入をいうが,通常は公債と前年度剰余金ははずす。専売納付金,官業収入,政府資産整理収入,日本銀行納付金や日本中央競馬会納付金,国有財産利用収入などの雑収入,借入金などがある。近年は租税収入の減少により財政が逼迫(ひっぱく)しており,土地,建物等の国有財産を処分するなど,税外収入の増加が図られている。なお,地方公共団体の地方税外収入は,公有財産収入,受益者負担金,使用料・手数料,国庫支出金,地方債,一時借入金などがある。


財政収入のうち租税収入および公債,借入金以外のもの。国の場合は,専売納付金,官業益金および官業収入,政府資産整理収入,雑収入,前年度繰越金の受入れから成り,社会保険関連の特別会計における社会保険料収入は含まない。地方公共団体の場合もこれに準じ,特別会計からの繰入金,財産収入,分担金および負担金などから成る。


デットエクイティスワップとは

 デットエクイティスワップという言葉を知っているだろうか。あまり聞いたことがない人が多いのでメリットデメリット等を含めて説明させてほしい。

○デットエクイティスワップとは

債務の株式化のこと。デット(=債務)とエクイティ(=株式)をスワップ(=交換)することをいう。デットエクイティスワップとは銀行等貸付金を持っている企業が貸付金を資本に変え(借入金等の融資を受けている会社が借入金を資本に変え)て財務体質を改善したり事業再生を行ったりする場合に行われる金融取引です。事業再生や財務体質改善だけでなく金融支援や不良債権処理等の一環として行われる場合もあります。


○銀行側のメリット

・不良債権が形の上で減少する

・株式を取得した会社から配当金が入ってくる

・株式を取得した会社の経営が改善して株価が上がればその時に売却して売却益が得られる


○銀行側のデメリット

・融資先(貸付先)からの受取利息が減少する

・もし株式を取得した会社の経営が悪くなれば(経営再建が出来なければ)配当金が入ってこないだけでなく株式が紙くず同然になるリスクがある(こうなれば株式を減損処理しなければいけないだけでなく金融機関の信用問題になる可能性がある)

・債権よりも回収順位が後回しになる

債権と株式を比較した場合、債権の方が回収できる順位が早く、株式は後回しとなります。さらに、本来回収できるはずのキャッシュを、株式に交換したことで回収できなくなるリスクがあります。


○企業側のメリット

・借入金が減少し資本が増えるため、自己資本比率が向上する

・支払利息を減らすことが出来る


○企業側のデメリット

・金融機関や取引先から役員が送り込まれることがあるため、経営の自由度が下がる(役員が送り込まれなかったとしても金融機関等の株主から色々株主総会で追求される可能性がある)

・株式数が増えるため、1株当りの「当期純利益額」「純資産額」が減少する


FIREになるメリットデメリット

 ○FIREとは

経済的に自立して早期退職を目指します。FIREは資産運用や節約によって資産を築き、働かなくても自由に暮らせる生活を実現することを目指しています。

・従来の早期リタイアとの違い

FIREも従来の早期リタイアも、定年よりも前に退職することには変わりありません。しかし、大きく異なるのが、リタイア後の暮らし方についてです。従来の早期リタイアでは、退職金やそれまでの貯蓄を切り崩しながら生活を送ることが一般的です。リタイア後の生活が長くなるほど資産が目減りしていくため、早期リタイアの実現には多額の資産を用意しなければなりません。一方、FIREでは資産運用で得た不労所得をもとに生活を送ります。リタイア後の生活費は資産運用による利益や配当金でまかなうため、一定の資産を減らさずに生活ができることが魅力のひとつです。もちろん生活費をまかなえるだけの投資元本を築く必要はあるものの、早期リタイアほどまとまった資産を準備する必要がないといえます。


○FIREになるメリット

・自分のペースで生活が出来る

・自分の自由な時間が出来る

・自分のやりたい事で生計を立てることが出来る

・嫌な人と顔を合わせなくても良いことがある

・生活する場所を好きに選べる


○FIREになるデメリット

・社会的信用性がない

銀行から融資を受けたりクレジットカードを作る時に職業が何か聞かれる事があるが無職扱い(又はそれと同等の扱いになる)ため、断られる場合がある。賃貸物件を借りたり結婚したりする時にも社会的信用がないため借りる事が出来ないことが多い

・職歴にならない

就職・転職する時に無職扱いになる(酷い場合にはニートや引きこもりと同等の扱いになる可能性もある)

・年金が国民年金のみになる

会社に勤務していれば厚生年金にも加入することになるが会社を辞めてFIREになれば自営業又は無職と同じなので国民年金だけに加入していることになる。そのため、老後に受け取る年金額も少なくなることになる。国民年金基金に加入したり確定拠出年金に加入したりすれば年金は増えるが、確定拠出年金の場合自分の運用成果によっては余増えない場合もある。

・ある程度の財産があってある程度以上の運用実績を上げることが出来なければ生活費に困ることがある

もともとある程度以上の財産がなければ運用等が出来ないしあっても運用益が少なければ生活が出来ないことは当然です。それに景気動向等によって運用実績も変わりますからね。

・資産運用等の基礎知識がなければ無理がある

・お金が必要な時に必要な金額のお金が手元になくて困る時が出てくることがある


○まとめ

たまに「本や雑誌(名前は出しません)を読んでFIREになって見たいと思った」と言う人がいるのかもしれませんがそういう事は考えない方がいい。勤務先の信用力を利用しながら副業をするとか株式投資をしてお金を稼ぐのが一番良いですよ。たまに「会社を辞めてぼろ儲けをしました」と言う人がいますがその逆もありますから。


2024年12月27日金曜日