2022年12月18日日曜日

大原組<6代目山口組

 二代目大原組は大阪府大阪市東成区東小橋3-2-26(二代目誠心連合本部)に本部を置く暴力団で、指定暴力団・六代目山口組の二次団体。旧本部は大阪府大阪市生野区田島1-9-30(解体済)。

〇略歴

1989年12月、初代・大原宏延は、二代目北岡会会長・前田英明、正木組組長・正木年男、二代目川内組組長・根本辰男、細川組組長・細川幹雄、浅川会会長・浅川桂次、中村組組長・中村伍、大門会会長・大関大会長らと共に、五代目山口組組長・渡辺芳則から盃を受け、五代目山口組直参に昇格。

2021年6月までに、大原組の本部事務所は解体された。

系譜

初代-大原宏延(六代目山口組総本部長)

二代目-金田芳次


〇組織図

組長-金田芳次(六代目山口組若中)

若頭-池田勇次(二代目誠心連合会長)

舎弟頭-八角博行(二代目鈴雅組組長)

本部長-叶 将之(二代目叶組組長)

顧問-岩谷日新

相談役-本郷清郎

舎弟頭補佐-那和静雄(那和興業組長)

若中-梶渉

現事務所



旧事務所


この辺です。

この白い車の向う側です。

誠心連合<大原組<6代目山口組

 二代目誠心連合は大阪府大阪市東成区東小橋3-2-26に本部を置く暴力団で、指定暴力団・六代目山口組の三次団体。上部団体は二代目大原組。


〇系譜

初代-金田芳次(二代目大原組組長)

二代目-池田勇次

〇二代目誠心連合組織図

会長

池田勇次(二代目大原組若頭)



太田興業(連絡所)跡地<神戸山口組と綾誠会跡地<太田興業<神戸山口組

 ◎太田興業

太田興業は大阪府大阪市浪速区下寺3-6-6(旧住所は大阪市生野区林寺3-14-24)に本部を置いた暴力団で、元指定暴力団・神戸山口組の二次団体。2019年12月12日解散。

〇略歴

1964年、太田守正により太田興業が結成され、山健組・健竜会に参画する。暫くすると山健組の二次団体に昇格。2005年4月、組織名が太田興業から太田会に改称され、同時に五代目山口組の二次団体に昇格。2008年9月、組織名が再度変更され、太田会から太田興業に戻る。同年10月、太田が六代目山口組から除籍処分を受け太田興業は解散する。地盤は秋良連合会が引き継ぐ。2015年12月1日、引退していた太田守正が渡世に復帰し、神戸山口組・四代目山健組に相談役として参画。2016年1月16日、太田興業が再結成され、神戸山口組の二次団体に昇格。神戸山口組から分裂した絆會と親戚団体になるが絆會と神戸山口組の関係はそのまま。2019年12月13日、太田守正が大阪府警に太田興業の解散届と自身の引退届を提出する。神戸山口組からは破門処分を受けるが、その日付は前日の12月12日であり太田興業の解散もこれに準ずると推定される。

〇太田興業組織図

・組長

太田守正(神戸山口組舎弟頭補佐)

・執行部

若頭-綾川三智雄(守道会会長)

顧問-谷 和彦

顧問-岡川賢二(岡川総業組長)

本部長-金岡幸成(金岡総業組長)

若頭代行-北野利樹(平成塾塾長)

組織委員長-紅野直人(紅野組組長)

渉外委員長-杉本博(二代目三坂組組長)

若頭補佐-堀和弘(綾心興業組長)

若頭補佐-新井龍吉(新井興業組長)

若頭補佐-川口亮(二代目綾誠会会長)

若頭補佐-神山一幸(綾道会会長)

若頭補佐・中四国責任者-中平哲也(中平組組長)

若頭補佐・関東責任者-山口尚人(二代目谷興業組長)

・幹部

石橋拓也(守成会会長)

組長秘書-杉山明

事務局長-山田謙誠(山田組組長)

早見竜志

・若中

筆頭-家田紘幸

早美竜志(志竜会会長)

浜本英夫

平井保

江城明

坂本道俊

・幹事

山下綾次

杉浦貞夫

杉本治

滝本征矢

山本実

日比野誠

立岡慶悟

安藤大士

佐々木権

上野広巳

柳田俊介


◎綾誠会

二代目綾誠会は大阪府大阪市浪速区下寺3-6-6に本部を置いた暴力団で、指定暴力団・神戸山口組の三次団体。上部団体は太田興業。

〇略歴

2016年、六代目山口組・秋良連合会から移籍。

〇系譜

初 代-綾川三智雄(太田興業若頭)

二代目-川口亮

〇二代目綾誠会組織図

会長-川口亮(太田興業若頭補佐)

〇執行部

会長代行-堀和弘(綾心興業会長)

若頭-山田謙誠(山田組組長)

舎弟頭-紅野直人(紅野組組長)

本部長-宮内博司(綾道会会長)

若頭補佐-黒田洋次

若頭補佐-宇野剛史


2015年12月18日に、指定暴力団六代目山口組系秋良連合会傘下綾誠会に車が突っ込む事件があった。対立抗争であると思われる。新聞によると「逮捕容疑は、2015年12月18日早朝、秋良連合会傘下綾誠会の事務所ビルに乗用車で突っ込み、入り口の金属製ドアやシャッターなどを壊した疑い。事件前日には、神戸山口組系組員がゴルフクラブなどで殴られ負傷する事件が発生。府警は凶器準備集合・同結集容疑で秋良連合会の組員ら20人以上を逮捕していた。建造物等損壊罪は、器物損壊罪と違い親告罪ではなく、損壊された物の本権者または適法な占有者の告訴がなくても成立する。」とのことである。


解散時の事務所


森田組跡地<東組

 四代目森田組は大阪府豊中市稲津町2-11-2に本拠を置いた暴力団で、元・指定暴力団・二代目東組の二次団体。

○略歴

2022年4月11日、田村順一は引退し、二代目東組を除籍となる。組長空席のため跡地ということにしておきます。

○系譜

初代-森田至郎

二代目-

三代目-田村順一

四代目-空席

○組織図

組長-空席


2022年9月18日に見に行くと代紋や「森田」と書かれた看板のようなものはなくなっていた。




森田組跡地(山口組)

 森田組は大阪市天王寺区上汐4-1-32に本部を置いた暴力団。元指定暴力団・六代目山口組の二次団体。2007年6月解散。

○略歴

森田昌夫は元・小田秀組本部長。

山口組の四代目継承問題で、小田秀組は一和会に参画予定であったが、小田秀組若頭・松山政雄(松山組組長)、舎弟頭代行・山田輝雄(山田組組長)、舎弟・盛政之助(盛政連合会組長)、本部長・森田昌夫(森田組組長)が、四代目山口組直参に昇格し、小田秀組は解散した。

2007年6月、組長・森田昌夫の引退により森田組は解散。

○組織図

組長-森田昌夫

若頭-山口正明(二代目松島組組長)-大阪

舍弟頭-橋本得也(橋本組組長)-大阪

本部長-西田 慎(西田会会長)-大阪

片岡靜雄(片岡組組長)



10代目酒梅組組長木下政秀組長の自宅

 ○木下政秀とは

木下政秀(本名・李正秀(イ・チョンス))は日本のヤクザ。指定暴力団・十代目酒梅組組長、木政組組長。

2018年、酒梅組九代目体制で若頭を務めていた木下政秀が十代目組長を継承-2020年1月27日、総裁・吉村光男は、2億円の融資を受けながらその後会社の倒産により返済を免れた不動産会社社長を殴って怪我をさせたとして、大阪府警に傷害と恐喝未遂の疑いで逮捕された。

2020年2月28日、大阪府警は総裁・吉村光男が、同じ不動産会社社長に金を返すように迫り、1500万円を脅し取ったとして再逮捕した。

共犯として神戸山口組・山健組若頭補佐・藤岡宏文も逮捕された。

2020年12月2日、大阪地裁の公判で懲役7年が求刑された。

2021年1月28日、大阪地裁で吉村光男は懲役3年の実刑判決を、藤岡宏文は懲役2年6か月・執行猶予5年の判決を受けた。

2021年4月26日、継承式が執り行われ、総裁・吉村光男は引退。

自宅住所:大阪府大阪市生野区桃谷1-5-24



見た目普通の住宅にしか見えませんけど。


酒梅組2022最新組織図

 十代目酒梅組は大阪府大阪市西成区太子1-3-17に本部を置く指定暴力団。

○主な施設 

本部-大阪府大阪市西成区太子1-3-17

旧本部-大阪府大阪市中央区西心斎橋2-7-15

旧本部-大阪府大阪市中央区東心斎橋2-6-23

本家-大阪府大阪市生野区桃谷1-5-24

九代目本家-大阪府大阪市西成区山王2-6-7

八代目本家-大阪府泉南市新家1091

七代目本家-大阪府大阪市中央区西心斎橋2-7-15

六代目本家-大阪府東大阪市菱屋西4-10-23

五代目本家-兵庫県芦屋市山手町17-14

○略歴 

明治30年代、鳶梅吉が大阪南区一帯に結成。依頼金筋博徒として名を馳せた。五代目・谷口正雄の頃は全盛期で2000人以上の組員がいた。1993年5月26日、大阪府公安委員会から指定暴力団に指定。2013年、酒梅組八代目・南喜雅が病気療養のために引退。谷口正雄五代目の子飼いの若衆であり、自らは天龍会を率いて五代目体制では若頭補佐、八代目体制では舎弟頭を務めてきた吉村光男が九代目を継承。継承式には、六代目山口組若頭である髙山清司が後見人となっている。2015年、六代目山口組から神戸山口組が分裂。吉村光男は神戸山口組組長・井上邦雄と兄弟分であったことから、六代目山口組の後見を白紙とし、神戸山口組支持を表明した。2018年、酒梅組九代目体制で若頭を務めていた木下政秀が十代目組長を継承し、吉村光男九代目は総裁職に就いた。2020年1月27日、総裁・吉村光男は、2億円の融資を受けながらその後会社の倒産により返済を免れた不動産会社社長を殴って怪我をさせたとして、大阪府警に傷害と恐喝未遂の疑いで逮捕された。2020年2月28日、大阪府警は総裁・吉村光男が、同じ不動産会社社長に金を返すように迫り、1500万円を脅し取ったとして再逮捕した。共犯として神戸山口組・山健組若頭補佐・藤岡宏文も逮捕された。2020年12月2日、大阪地裁の公判で懲役7年が求刑された。2021年1月28日、大阪地裁で吉村光男は懲役3年の実刑判決を、藤岡宏文は懲役2年6か月・執行猶予5年の判決を受けた。2021年4月26日、継承式が執り行われ、総裁・吉村光男は引退。

○酒梅組系譜 

初代-鳶梅吉

二代目-田中勇吉

三代目-松山庄次郎

四代目-中納幸男

五代目-谷口正雄(谷政組組長)

六代目-大山光次(三代目阪口組組長)

七代目-金山耕三朗(金山組組長)

八代目-南喜雅(三代目森下連合会長)

九代目-吉村光男 (天龍会会長)

十代目-木下政秀(木政組組長)

○酒梅組組織図 

・組長 

木下政秀

・執行部 

若頭-金石盛栄(金石會会長)

本部長-早川公祐(早川組組長)

事務局長-中田一成(八代目今西組組長)

若頭補佐-秋元天志

若頭補佐-池田貴紀(二代目天竜会?会長)

・幹部 

野山景年

組長秘書-児玉雄司

・若中 

森本忠士

花木祐紀

小野寺和彦(光和会会長)

石村慎


阪急東通商店街

 阪急東通商店街とは、大阪市北区の小松原町と堂山町と神山町に広がる商店街。東西に阪急東第一商店会、阪急東第二商店会、阪急東第三商店会、パークアベニュー堂山商店会、南北に阪急東中央商店街、阪急東中通商店街が交差し、全体で「阪急東通商店街」と称している。阪急東第一商店会、阪急東第二商店会、阪急東第三商店会は東西に繋がり、全長約450mの一本の商店街になっている。OS楽天地ビル前から新御堂筋までが第一、新御堂筋から阪急東中通商店街交差点までが第二、そこから綱敷天神社までが第三である。

2022年12月17日土曜日

職業訓練校に行くメリットデメリット

 「リストラされたから」「新卒で就職できなかったから」「仕事を探したがなかなか就職先が決まらないから」という理由等で職業訓練校に行く人が少なからずいる。どのような理由で職業訓練校に行こうと知れは人の自由であるため、私自身が口を出すつもりはない。ただ、職業訓練校に行くメリットとデメリットについて理解していないととんでもないことになる可能性があるため「職業訓練校に行くメリットデメリット」について書かせてもらうことにしました。あくまでもここに書いてある内容は私自身の個人的意見であり、全ての人に当てはまる内容でないことを理解した上で読んでほしい。

○職業訓練校の種類

職業訓練校には私自身が知りうる限り「公共職業訓練校(地域によって呼び方は違うらしいが都道府県立高等職業技術専門校と呼ばれるケースがある)」「民間訓練委託校(都道府県や国の外郭団体が運営しているケースもあれば完全な民間の会社(資格試験の学校や学校法人含む)が運営しているケースもあるそうです)」があるそうです。地域や職業訓練校の種類にもよるため一概には言えないがコースや内容によっては「本科講座(失業中で求職者に対する支援を対象にした講座で3ヶ月位から1年位の期間の講座もあるようです)」「在職者支援講座(現在仕事等をしている人(雇用形態問わず)に対してスキルアップを図るための講座で、期間は数日や数回程度の講座が行われる)」がある(私自身「在職者支援講座」を受講した経験がある)。


○職業訓練校に行くメリットデメリット

1、職業訓練校に行くメリット

・規則正しい生活を送ることが出来る

・格安の料金でスキルアップをすることが出来る(専門知識を身につけることが出来る)

・「本科講座(失業中で求職者に対する支援を対象にした講座で3ヶ月位から1年位の期間の講座もあるようです)」では失業給付金が受け取れるため、経済的に楽である

・就職に対する相談やアドバイスや指導を受けることが出来る(場合がある)


2、職業訓練校に行くデメリット

・必ずしも正社員としての就職が出来るわけではない

就職活動をする時の景気動向にもよるためなんとも言い切れないが必ずしも正社員として就職できるとは限らない事実がある。「就職内定率が100%ではない」「就職内定率の中には非正規雇用としての就職やブラック企業への就職も含まれている」ということを理解しておく必要がある。

・講座の内容によっては途中で授業についていけなくてリタイアしてしまう人が稀にいる

「IT系の講座にパソコンの経験が余ない人が受講したためついていけなかった」「事務系の講座を受講したが簿記検定やワードエクセル(事務系の仕事でもワードエクセルの基本操作は出来ないと就職できませんから)の講座内容についていけなかった」という人が稀にいるそうです。当然途中でリタイアしてしまうと「失業給付は受けれなくなる」「就職相談やアドバイスは受けれなくなる」「一定期間職業安定所からの斡旋で職業訓練校に入校できなくなる可能性がある」というデメリットがあるそうです。又仮に失業給付金を満額受け取るために最後まで講座を受講しても就職できないケースがあります。現実に私自身が勤めている会社の同じ部署にアルバイト(社会保険に加入できるアルバイト)として勤務していた女性の話によると「職業訓練校に講座の最後まで通ったが就職できない人(雇用形態を問わない)人は半分以上いた」「途中から来なくなった人が数人いた(理由は不明)」「事務系の講座を受講したが資格試験等を全く取得できなかった人も少なからずいた」「事務系の講座なのにワードエクセル等基礎的なパソコンの操作の授業でつまずく人が少なからずいた」という話を聞いたことがある。このことから考えて「授業についていけない人が稀にいる」「就職できない人が稀にいる」ということは事実だと思います。

・就職できなかった場合職業訓練校に通っていた期間と卒業後の就職活動期間がブランクになってしまう(何のために職業訓練校に通っていたのかと面接官に聞かれることになる)

・稀に「失業給付金を満額受け取るためにはなから就職活動をする気のない受講生がいる」「講師の先生の中にレベルが低い(又は全くやる気がない)人がいる」「民間訓練委託校の中には運営会社に問題があるケースがある(雇用助成金を貰うためだけにいい加減な運営をしている会社もある)」という話を聞く。

職業訓練校の受講生の中には一生懸命勉強して就職活動につなげようとしている人も多数います。しかし、「やる気がない」「失業給付金を貰いたい」という受講生も少なからずいるそうです。そして「受講生が集まらなかったら雇用助成金が入ってこない」「受講生が集まらなかったら自分の担当している授業が廃止されて自分の居場所がなくなるからと必死になっている講師がいる」という話を聞いたことがあるが嘘ではなさそうである。


○職業訓練校に行って就職できない人

・失業給付金を貰うことを目的に最初から就職する意思がない

・職業訓練校に通えば就職を無条件に斡旋してくれると思っている

・通うべきコースを間違えている(そのコースを終了後にどのような就職先があるのかを理解せずただ単に入学倍率が低くて入学しやすいコースを選んでしまったケースがこれ)

・職業訓練校に通えば無条件に何らかの資格が取得できると思っている

・職安だけに就職活動を依存しきっている(職安に通うだけでなく転職サイトに登録するとか新聞の求人欄を見るとかもしないとだめですよ)

・余程の事情がある(「無謀な会社を受験した」「コミュニケーション能力がない」「過去の職歴と職業訓練校の講座内容とに整合性がない」等)


○職業訓練校に行く前に考えておくべきこと

職業訓練校はあくまでも就職や転職に必要な知識や技術を身につけるための学校である(厳密に言えば学校ではないのかもしれないが)。ですので自分から積極的に知識を身につけるための努力をする(資格取得含む)と同時に積極的に就職活動もしなければ意味はありません。ただ単に学校と家を往復するだけの生活をしていたのでは就職は出来ません。それと職業訓練校の講座選択は重要です。興味のない(適正的に無理な)講座を受講しても授業についていけなくなる可能性があるし、仮に失業給付金のために最後まで受講しても就職できません。職業訓練校の体験入学や学校見学が出来るのであれば参加してみると同時に「資格取得実績(どんな資格を取得しているのかも確認)」「就職実績(どんな会社に就職しているのかも確認)」「就職指導としてどういうことをしているのかも確認する(学校に求人情報が張り出されているのかどうかも確認した方がよい)」を確認しておくようにしたほうがいいですね。そうでないと「職業訓練校に入学してから違った」ということになりかねませんから。


資格を取得すれば就職に有利なのか

 「資格を取得すれば就職に有利なのか」という質問がよくあるので書かせてもらいます。これは資格の内容によるとしか言い切れませんね。資格試験でも役に立つ資格と役に立たない資格がありますから(まあこのことについては自分でよくよく調べてみてくださいね)。それと資格試験に合格すればという前提がありますからね。どんなに就職に有利な資格でも合格できなかったら意味ないですからね。


2022年12月11日日曜日

「バブル崩壊前後」にヤクザと金融機関の間で起こっていた「衝撃すぎる出来事の数々」

 平成バブルとバブル崩壊時期に、日本の金融界は反社会的勢力による大規模な侵入を許し、これが平成金融危機後の長期停滞の原因のひとつになった。バブル期の地上げをはじめとするフロント企業の暗躍、バブル崩壊期の反社会的勢力による債権回収妨害、その対処に当たった日銀・警察・検察・国税(査察)・裁判所出向者から構成された預金保険機構の人々の生々しい経験を描いた海棠進『ヤクザと金融機関』(朝日新聞出版)が上梓された。元日本銀行員・元預金保険機構職員の海棠氏(筆名である)は、預金保険機構大阪業務部時代に、京都のとある名庭をフロント企業が占拠した事件、敦賀地方の反社会的勢力が建設した豪邸とバックにある原子力発電所の事件、バンク・オブ・アメリカを経由したマネーロンダリング案件、和歌山県で暴力団組事務所に強制執行をかけ建物を暴力団追放県民センターに生まれ変わらせた件、悪質不動産業者が登記官を買収して不法登記を行った件などに対峙ないし遭遇している。それら驚愕の事件の詳細については著書にあたっていただくとして、そもそもバブル期前後に金融機関と反社会的勢力の間で何が、なぜ起こり、どうやって解決し、その教訓は何なのかについて、海棠氏にメールインタビューをお願いした。

〇バブル期に反社会的勢力と金融機関は「共犯関係」にあった

――「ヤクザ不況」と呼ばれる不良債権の焦げ付きの原因のひとつは、当時は銀行がフロント企業を見抜くノウハウがまだ確立されていなかった、ということでしょうか。

海棠 残念なことですが、フロント企業を見抜くノウハウがなかったということもあったでしょうが、バブル期は、融資拡大競争が今より格段に激しかったので、融資ノルマの達成のために、「うすうす感じていたけれど、融資による儲けが莫大だから、多少のリスクには目をつぶろう」といったスタンスの金融機関が多かったと思います。

――一部の金融機関側がフロント企業と結託していたこともあるとの記述を読んで驚きましたが、その場合の金融機関側の動機は「(相手がどんな存在であれ)ビジネス上の数字を作れるから」ということでしょうか。

海棠 太平洋銀行や阪和銀行、関西興銀といった先は、フロント企業というより、直接暴力団に融資していたわけですから、相手はかまわず「儲かればいい」という態度で、融資したということだと思います。

――反社会的勢力に融資した資金の回収が困難な場合にサービサー(民間の債権回収専門業者)にほかの回収可能な債券と混ぜて売却し、結果サービサーが反社会的勢力から実質的に回収せずにヤクザ等は借りた分丸儲けになるのでフロント企業を作って同じことを繰り返していた、という話がありました。一度やられたり、そういう手口があるという情報が業界に出回ったら警戒する気がするのですが、全体がバブルで儲かっていたので放置されたということでしょうか。

海棠 この話はバブル期ではなく、そのあとの崩壊期のことです。金融機関は反社会的勢力がらみの融資の回収は基本的にしません。リスクがある上に、コストもかかるからです。そのため、サービサーを利用して、金融機関としての融資案件から切り離し、いわば、庭先をきれいにしたということでしょう(金融庁や日銀の検査対策という観点もあります)。

サービサーの方も、反社会的勢力向けの融資については、回収努力はしなくても、他の融資案件で十分に採算がとれれば、全体としては儲かります。金融機関とサービサーにとっては、お互いにWIN-WINな取引ですから、そういうやり方があるとわかったので、一気に広がったのです。一言でいうと金融機関の責任逃れですね。もちろん、一番得をしたのは、融資回収を免れた反社会的勢力ということでしょうが。

――「バブルが崩壊し、フロント企業の業績が悪化し、破綻懸念が出てきてから、監督当局が初めて気が付くということも珍しくなかった」と本文中にありましたが、バブルが崩壊していなかったら(ないしはもう数年続いていたら)、金融機関はずっと食い物にされていた可能性もある? 

 海棠 「食い物にされる」というのは金融機関が一方的な被害者ということになりませんか。むしろ、バブル期には反社会的勢力と金融機関は共存・共犯関係に近かったのではないかと思っています。バブルが崩壊していなかったら、反社会的勢力と金融機関の「共犯関係」が一層深化したのではないかと思います。

――山一証券破綻(廃業)の大きな原因のひとつが、総会屋に供与した信託がバブル崩壊で価格が急落した分を「元本保証」した(大量の損失補填を実施した)ことだとは知らなかったので驚きました。もし払わなければ株主総会その他が荒らされるので払わざるを得なかったということでしょうか? 97年12月の商法改正で利益供与罪の罰則が強化されていますが、これがもっと早かったら97年11月の山一破綻も避けられた可能性がある? 

海棠 総会屋等に流れた金額は山一証券の全体のロス額に比べると少額です。むしろ、特金・ファントラ(特金=特定金銭信託。 ファントラ=ファンドトラスト 。いずれも企業などが金銭を信託銀行等に信託し、株式などの有価証券に投資・運用する目的の信託商品) について「元本保証」を続けた結果、膨大なロスが溜まり続け、海外の子会社に「飛ばし」を行ったことが発覚し、廃業にいたったものです。利益供与罪の罰則強化は大事なことですが、山一の破綻とは直接結びつきません。

――バブル期の「地上げ」と金融機関の関係ですが、反社会的勢力を使って威嚇行動等により短期間で地上げを完成させている悪徳不動産業者だと知りつつも、その膨大な収益力を目当てに金融機関が大規模融資を実施していた、あるいは地上げをしていたフロント企業自体に(知らずに? )融資していた、ということですよね? そしてさらに、バブル崩壊後の地価急落時期には競売を妨害して金融機関の資金回収を妨害する「占有屋」として、建物を物理的に「若いもん」が占拠したり勝手に小屋を建てたりして、反社会的勢力が脅威となったと。金融機関は地上げに半分(? )加担していて、そのツケを食った面もあるということでしょうか。

海棠 バブル期には、金融機関からフロント企業に直接融資していたケースもかなりあったと思います。不動産業者に融資していたら、不動産業者がフロント企業を使っていたため、巻き込まれたというケースもありました。バブル崩壊後の「占有屋」の暗躍については、無論バブル期に当該不動産に融資をしていた場合も多かったと思います。ただ、バブル崩壊期の新たな金儲けの手段として、反社会的勢力が、それまで関係のなかった案件に「占有屋」として参加することも多かったようです。

〇反社会的勢力の金融機関への侵食に対する後始末と予防

――阪和銀行の破綻処理に旧従業員の抵抗があり、盗聴が横行し、処理チームには人数分の防弾チョッキが預金保険機構から届けられたとありました。銀行の破綻処理は関わる人間にとっては文字通り命懸けの仕事という空気だったのでしょうか。

海棠 全ての銀行の破綻処理が命がけの仕事であったとは言えません。なにしろ、182の金融機関が破綻していますので。目立ったのは、北朝鮮系信用組合の破綻に関しては、国会議員を動員して妨害工作をしたり、破綻処理部隊のみならず、日銀や預金保険機構の幹部にも脅しが来ることも多々ありました。

――困難な回収仕事に従事されていた預金保険機構の方々は財務局、税関、国税、日銀、都道府県警察本部、裁判所、検察庁の出向者からなるある意味ドリームチームですが、金融関係でここまで多様な出自の人たちがひとつの職場で働くことはほかにあるものなのでしょうか。

海棠 私の知る限り他に例をみないと思います。おかげ様で、裁判官、検事、警察官、国税査察官と親しく「同じ釜の飯」を食べ、仕事をすることにより得たものは大きかったと思います。普段、日銀・大蔵省(財務省・金融庁)・国会のみの世界に住んで居たのでは分からないことを知ることができました。個人的にも、裁判官・検事・警察官・国税査察官の数多くの友人を得ることができ、貴重な財産だと感じています。

――専門性のある人たちが一丸とならないと回収は到底できなかった? 

海棠 金融機関の口座調査は預金保険機構職員しかできません(主に国税査察官の担当)。暴力団の実態や動きについては、都道府県警察の情報が必要です。刑事事件化できるかどうかは、検事や裁判官の知見が必要です。反社会的勢力からの債権回収と、悪質債務者の民事・刑事の責任という任務を同時に行うためには、専門性のある人たちの合同チームがどうしても必要だったと感じています。

――反社会的勢力が金融機関を狙う手口を予防したり、回収が難しくなった資金を回収するためには、やはり法改正が一番効くのでしょうか。

海棠 抜本的な対処のためには法改正が大事だと思います。ただし、法改正には時間がかかります。短期賃貸借を悪用した強制執行妨害については、法改正までに15年あまりの年月を要しています。現在問題となっている、統一教会の問題も40年間放置されたままでしたよね。その意味で、反社会的勢力の暗躍の動きを警察・検察・マスコミを中心に素早く察知することが重要です。反社会的勢力がその分野にどのような形で侵入してくるかがはっきりすれば、法改正以前に様々な対処方法があるはずです。

現実に起きた、驚愕の事件の数々から学ぶべきこと

 ――バブルやバブル崩壊後に京都を舞台に暗躍したフロント企業家や政治ゴロ5人の苗字に全て「山」という字がついていることに由来して「悪の五山」と呼ばれていたとか、暴力団の事務所を強制執行して差し押さえるもその後競売が難しいために暴力団対策センターの事務所になったとか、『ヤクザと金融機関』の中には「マンガかVシネかな」と思うような凄まじいエピソードが山ほど登場します。海棠さんは当事者として駆け抜け、また、本にこうしてまとめてみて、どんな感想・感慨を抱いていますか。

海棠 この本に書かれたことは、マンガやVシネマではなく、真実の記録です。公式の裁判資料等で裏付けられているものです。小説ではありません。逆に言うと、バブル期やバブル崩壊期のことを、実録風小説ではなく、正確に記録し、残しておきたかったのです。暴力団事務所に強制執行をかけて暴力団追放センターにした件も、当初から計画していたものではなく、いわば苦し紛れに、知恵を出し合って行ったものです。ある意味、戦争中のことを私共の親の世代が書き残していることに近いかもしれません。預金保険機構大阪業務部では、反社会的勢力といわば直接対峙して戦っていたわけですが、そのことは世間にはあまり知られていません。一緒に戦った、裁判官、検事、警察官、国税査察官のためにも、真実の正確な記録を残しておきたかったのです。

――お金を貸すことに比べて反社会的勢力から回収することのあまりの難しさに『ヤクザと金融機関』を読んでいるとクラクラしてきます。コロナ禍で2020年、21年には金融機関から企業に対してそれほど精査されることなく資金がジャブジャブに供給されたことを思うと、また同じことが起きるのではと恐ろしくなってきます。海棠さんはどのように見ていらっしゃいますか。

海棠 確かに、コロナ下での超金融緩和がどのような結果をもたらすかは、元日銀マンとして興味深くみているところです。反社会的勢力がどのような動きをするのかを含めて。

――バブルとその崩壊後に金融機関や関係官庁が経験したことから得た教訓で、当時を知らない世代に知ってもらいたいことには、どんなことがありますか。

海棠 まず、起きている事実=ファクトを素直に「みる」ことを学んでほしいと思います。反社会的勢力の侵入に気づくことが遅れた自身の反省を込めて言っています。いやなことでも逃げずに「みる」ことが大事です。金融機関や金業界が、いわば正気を失っていたことの後始末にどれほどのコストと時間がかかったのかという点も是非知ってほしいと思います。当時正気だったのはむしろ反社会的勢力の方だったのかもしれません。さらには、物事を抜本的に解決していくための、構想力を身に着けてほしいと思います。

――最近のことで反社会的勢力と金融機関との関係で危惧されていること、あるいは海棠さんが取り組まれていることがあれば教えてください。

海棠 本の最後に記した休眠預金の関係で、過去に遡って休眠預金を全廃することを検討すべきだと思っています。預金保険機構大阪業務部で学んだことは「犯罪には預金口座が必要」ということでした。休眠預金を全廃できれば、犯罪者が利用する預金口座を劇的に減らすことが可能になります。現在、新たに預金口座を開くためにはマイナンバーカード等身分証明書が必要で、しかも預金口座の売買は犯罪になっているからです。休眠預金の全廃はまだ猛威を振るっている振込詐欺の強力な防止策になります。


飯田 一史(ライター)


2022/12/11(日) 7:02配信現代ビジネス


2022年12月7日水曜日

無申告は危険…税務署に「タンス預金」が高確率でバレる理由【税理士が解説】

 お子さんなどに相続で財産を残す際、相続税を回避するためにタンス預金をしておこう!どうせ税務署にはバレないから大丈夫だろう!などと思ったことはありませんか? それは少し考えが甘いかもしれません。富裕層・IPO税務を専門とする黒田悠介税理士(税理士法人Bridge 代表)が、数々の経験に基づき、「タンス預金がバレる理由」を解説します。

〇タンス預金とは?タンス預金の何が悪いのか

まとまった額の現金を金融機関などに預けず、家のタンスや金庫等に保管しておくことを通称「タンス預金」といいます。相続発生時に亡くなった方の銀行口座が凍結されても、現金があれば葬儀費用などの急な出費の際に困らないですむなどのメリットもあり、タンス預金は多くの方がされていらっしゃいます。もちろんタンス預金をすること自体は法的にまったく問題ないのですが、相続税を逃れようと悪い使い方をすると、大きなトラブルを招くことになります。

〇「相続税回避のためのタンス預金」は節税でなく脱税

さきほど話したようにタンス預金をすること自体は悪いことではありません。銀行に預金として預けるのも、自宅のタンス・金庫等で保管しておくことも、個人の自由なので問題はありません。大事なポイントは、タンス預金は故人の財産なので相続税の課税対象となり、相続税申告に含めなければならないということです。たとえば、タンス預金があるかなんてどうせ税務署にはわからないだろう!と考え、相続税を逃れようと隠して申告に含めない。これは合法的な節税ではなく、単なる脱税となってしまいます。こうした悪い使い方を考える方もいらっしゃいますが、その多くはタンス預金が税務署にバレてしまい、思わぬペナルティを課されています。しかし、タンス預金は銀行に預けていないお金なのに、なぜその存在が税務署にバレてしまうのでしょうか?

〇タンス預金はなぜバレる?

税務署ではタンス預金があるのではないか?と常に目を光らせています。税務署は、おおむね以下で説明する4つの方法で皆さんのタンス預金の存在を発見しています。

①国税総合管理(KSK)システムで捕捉

⇒税務署は、全国すべての納税者の申告納税などの情報を一元的に管理する「国税総合管理(KSK)システム」を使用しています。KSKシステムには申告情報に加えて、資産の購入や売却履歴などの個人情報が蓄積されています。税務署では、このシステムにより私たち国民のひとりひとりの稼ぎや財産をおおむね把握しているのです。たとえば財産を2億円くらい持っていそうだなとKSKシステムではじき出された人が、1億円しか記載せず相続税の申告をしたとしましょう。そうすると税務署は差額の1億円をどこかに隠しているのでは?と考え調査を行うのです。

②過去の口座履歴から捕捉

⇒タンス預金は、預金口座から引き出した現金がもととなり蓄積されているものが多いです。ですので税務署は過去数十年にわたって、亡くなった方の口座履歴を調べます。口座の過去の出金記録をさかのぼって調査し、不明な出金があれば、これはタンス預金になっているのではないか?と相続の申告漏れを見つけるのです。また、50万円・100万円といったまとまった出金でなくともタンス預金の存在はバレてしまいます。一回あたり数万円の出金であったとしても月・年で集計し大きな金額となっていた場合、故人の生活費と照らし出金が多すぎれば、その差額はタンス預金による申告漏れでは?と税務署は仮説を立て指摘をするのです。

③相続した後の口座から捕捉

⇒税務署はとても強い調査権限を持っています。実は亡くなった方だけでなく、財産を受け継いだ相続人やその家族の口座も調査することができるのです。たとえば、相続人の方が遺産整理をしている最中にタンス預金を発見したとします。そして、そのタンス預金を相続税申告には含めず、こっそり自身や配偶者名義の預金口座に入金したとします。税務署は相続人やその家族の口座も金融機関に照会し調べますので、そこに出どころ不明な入金があれば、これはタンス預金だ!と税務署にバレることになります。

④実地調査で現金を捕捉

⇒税務調査では、通帳やハンコ等を取ってきてもらえますか?と調査官が相続人にお願いする場面に遭遇することがよくあります。相続人の方がタンス・金庫などへ取りに行くと調査官が後ろからついてきて、そこにあるタンス預金を発見する!という流れもあります。銀行の貸金庫も必ずチェックされますし、納税者が何か隠しているな?と思った場合には、家宅捜索のように、隅から隅まで徹底的に調査をされます。公表されているケースでは、神棚や衣装ケース、座布団の間、なかにはガレージのタイヤといった様々な場所から隠された現金が発見されています。税務調査官は調査のプロ! こんなところを調査するのか?といった場所にある現金もしっかり見つけています。タンス預金の「バレない隠し方」はない

税務署は最初からタンス預金があるのでは?と相続人を疑い徹底的に調べますので、タンス預金はバレるものと思っていたほうがよいです。タンス預金がバレた場合、追徴課税が発生し、加算税などのペナルティが課されます。また、悪質な脱税と判断された場合には刑事罰となり、1,000万円以下の罰金刑や10年以下の懲役刑を科せられてしまうこともあります。葬儀などの急な出費に備え現金を自宅に保管しておくことはよいですが、相続税を回避するためのタンス預金は絶対にNGです。申告していないタンス預金がありドキッとした読者は、修正申告などでペナルティの軽減ができますので、税理士等の専門家に一度相談することもおすすめです。


黒田悠介税理士法人Bridge代表、税理士・政治資金監査人


幻冬舎ゴールドオンライン / 2022年12月6日 18時15分


2022年11月23日水曜日

金融庁、ネット不正送金対策強化 銀行業界に要請、偽サイト排除

 インターネットの偽の銀行サイトに個人情報を入力させる「フィッシング」という手口を使った不正送金被害の急増を受け、金融庁が銀行業界に対策強化を要請したことが20日、分かった。各銀行は偽サイトを排除し、ネット上の監視を徹底するなどの取り組みを加速。金融庁は実施状況を確認する方針だ。ネットバンキングの利用者に「不正ログインを検知した」などという、うそのメールやショートメッセージを送りつけ、記載したリンク先にアクセスさせ、本物のサイトと簡単に見分けがつかない偽サイトに誘導。キャッシュカードの暗証番号や、ネットバンキングのパスワードなどを入力させるケースが多い。


共同通信 / 2022年11月20日 16時41分




73%が詐欺メールの要注意ポイントを見逃しテクノロジーに詳しい人でもVisa調査

 テクノロジーに非常に詳しい人でも、詐欺メールなどに気づかないようだ。米Visaが11月16日(現地時間)に発表した調査レポートによると、半数近くが「自分は詐欺に引っかからない自信がある」と回答している一方、73%が要注意ポイントを見逃していた。ほとんどの消費者は、自分自身は十分に警戒できていると自負している一方、90%が友人や家族が詐欺メールの被害にあうのではないかと心配していた。ところが、詐欺メールなのか本物なのかをどこで見分けるかについて聞くと、企業名やロゴなど簡単に偽造できるものを選んだ人が81%にのぼった。「送信元のメールアドレスが有効なものかどうかを確認する」と答えた人は60%にとどまった。また「文章のつづりの正しさを確認する」と答えた人も47%しかいなかった。一方で、暗号資産の利用者は、詐欺かどうかを確認するポイントとして、適切なものを選択した割合が高くなったという。犯罪者がSMS詐欺で使う文言を解析したところ、トラブルやオファーへの反応を促すものが87%と最も多かった。最も巧妙にクリックを誘うメッセージは、「当選しました」「無料で差し上げます」「限定割引」「今すぐ◯◯を」という言葉だ。これに続くのが、問題が発生したとして、受信者に行動を促すものだった。この調査は、米国、カナダ、ブラジル、英国、フランス、ドイツ、オランダ、UAE、スペイン、イタリア、アイルランドの6000人を対象に、9月7日から14日にかけて、インターネット上で行われた。


ITmedia NEWS / 2022年11月18日 16時10分


2022年11月18日金曜日

「ねんきん定期便」を見ればわかる…厚労省がひた隠しにする厚生年金"支払い損"のカラクリ

 ねんきん定期便の「これまでの保険料納付額」には、個人負担分のみが記載されている。会社負担分の記載がないのはなぜか。新著『バカと無知』が話題の作家・橘玲さんは「それは、厚生年金が支払い損であることがバレてしまうからだ。この会社負担分がどこに回されるかというと、国民年金(基礎年金)の赤字の補?だ」という──。

■2065年には現役世代1.3人で高齢者1人を支える…

岸田政権で検討されている相次ぐ負担増への反発から、SNSでは《#自民党に殺される》がトレンド入りしたという。そこでいま、年金制度になにが起きているのかをまとめてみよう。話の前提として、人類史上未曾有(みぞう)の超高齢社会になった日本では、制度を支える現役世代の数がますます減り、「受益者」である高齢者の人数が増えていく。「現役世代(20~64歳)何人で高齢者(65歳以上)を支えるか」では、1950年には12.1人で1人の高齢者の負担を肩代わりしていたのに、2015年は2.3人で1人、2065年には1.3人で1人へと状況は急速に悪化していく(「令和2年版高齢社会白書」)。戦争や内乱、疫病の蔓延がないかぎり人口動態はほぼ変わらないので、これは予測ではなく「確実にやってくる未来」だ。

■コロナ禍で「ごまかせなくなった」

社会保険制度を破綻させず、「サスティナブル(持続可能)」なものにするためには、原理的に2つの方法しかない。「収入を増やす」と「支出を減らす」だ。政府・厚労省はこれまでいろいろとごまかしながら、少しずつこれを進めてきたが、コロナ禍以降、ほころびを取り繕えなくなり、いまやなりふり構わなくなってきた。それが、《#自民党に殺される》という反発の背景にあることをまずは確認しておこう。

■サラリーマンは年金の奴隷

サラリーマンが加入する厚生年金は、とんでもない「ウソ」によって成り立っている。といってもこれは「陰謀論」の類いではなく、年1回送られてくる「ねんきん定期便」を見れば誰でもわかる。そこには、「これまでの保険料納付額」と「これまでの加入実績に応じた年金額」の欄があり、それを比較すると、納付総額を大きく超える年金が受け取れるように思える。だがこれは、あなたが国に収めた年金保険料のうち、個人負担分しか記載されていないからだ。社会保険料の半額は、会社が肩代わりして支払っている。本来であれば、個人負担分と会社負担分を加えた倍の額が、社会保険料の納付総額として記載されるべきだ。

■サラリーマンの年金保険料は半分「詐取」される

ではなぜ、そうしないのか。いうまでもなく、厚生年金が支払い損であることがバレてしまうからだ。これを簡単にいうと、サラリーマンが収めた年金保険料のうち、およそ半分が国によって「詐取」されている。そのお金がどこに回されるかというと、国民年金(基礎年金)の赤字の補?(ほてん)だ。こうした仕組みがわかると、厚労省がなぜ厚生年金の適用拡大に必死になっているか理解できる。これは一般に、「パートなど短時間労働者が国民年金よりも多い年金を受け取れるようになる」と説明されるが、それにともなって保険料の会社負担が増えることはなぜかほとんど言及されない。経営側からすれば、社会保険料は人件費の一部だ。パートが厚生年金に加入すると、会社負担が増えた分だけ人件費予算は減る。この単純な理屈によって、厚生年金の適用拡大は、その会社の(パートではない者を含む)社員全員の賃金を抑制する大きな要因になるだろう。

■会社負担が増え、全員の給料は下がる

国からすれば、厚生年金は会社が保険料を取り立ててくれるおいしい制度だ。それに加えて、消費税の増税は政治的にきわめて困難だが、社会保険料の料率は国会での審議を経ずに厚労省の一存で決めることができる。こうして社会保険料の負担が年々重くなり、会社が賃上げしても社員の手取りは逆に減っていく事態になった。とはいえ、社会保険料の料率をいくらでも上げられるわけではない。そこで目をつけたのが、厚生年金をパートにまで拡大して保険料収入を増やすことだ。ほとんどのサラリーマンは、厚生年金の適用拡大をひとごと(あるいはよいこと)のように思っているだろうが、それは現役世代を犠牲にして、会社の利益を高齢者の年金に「流用」する巧妙な仕掛けだ。これによってさらに会社負担が増え、全員の給料が下がる(上がりにくくなる)ことをちゃんと説明しなければ、公正な報道とはいえないだろう。

■サラリーマンと自営業者は「基礎年金でつながっている」

一般には、サラリーマンが「厚生年金」に、自営業者などが「国民年金」に加入すると思われているが、これは正確ではない。厚生年金には「基礎年金」部分があり、これが国民年金に該当するからだ。厚生年金の基礎年金(いわゆる「1階」)は、国民年金と分離されているわけではなく、ひとつの器(同じ資金プール)に入れられている。その結果、国民年金が赤字になると、自動的に、その分が基礎年金から補?される。厚生年金の会社負担分が国民年金に流用されてもなんの問題にもならないのは、この手品のような仕組みがあるからだ。しかしそれでも、厚生年金の報酬比例部分に手をつけることは許されないとされてきた。基礎年金(1階)と報酬比例部分(2階)は分離されており、報酬に応じて増額された年金を受け取ることはサラリーマンの権利だからだ。

■ついに報酬比例部分まで「盗まれる」…

ところが日経新聞(9月28日付)に「国民年金『5万円台』維持へ 抑制策停止、厚生年金で穴埋め」という記事が出たことで、この前提が揺らいだ。厚労省は、(報酬に比例して)多額の年金保険料を収めてきた一部の高年金受給者の年金を減らし、それを基礎年金に充当することで、「大半の世帯で給付水準が上がる」と説明している。だがいったん報酬比例部分に手をつければ、それはとめどもなく拡大していくのではないか。このようにしてサラリーマンは、厚生年金の会社負担分のうち基礎年金を「詐取」されるだけでなく、報酬比例部分まで「盗まれる」ことになる。ここまで制度が歪(いびつ)になると、もはや正当化は難しい。いまさら積み立て方式に変えられないとすれば、消費税を大幅に引き上げて社会保険の経費に充てるか、雇用形態にかかわらず所得に応じて徴収する「保険税」を新設すべきではないだろうか。

■「保険料支払い期間64歳まで」の衝撃

厚生年金の適用拡大や、報酬比例部分の取り崩し以上に大きな衝撃を与えたのは、国民年金の保険料支払い期間を5年間延長し、64歳までの45年間にするという報道だ。これによって保険料収入が増えるので、将来受け取る年金の水準が下がるのを防ぐ狙いがあるとされる。しかし、ここには大きな問題がある。保険料負担が増える一方で、受給額が減っていくと、どこかの時点で収支が逆転して、「国民年金に加入すると損する」ことになってしまうのだ。そこで、簡単な計算をしてみよう。現在、国民年金の保険料は月額1万6590円(年額19万9080円)で、20歳から59歳までの40年間満額を収めた場合、65歳から終身で月額6万4816円(年額77万7792円)の年金を受け取ることができる。2021年の簡易生命表では、65歳時点の平均余命は男で19.85年(84歳)、女で24.73年(89歳)となっている。この条件が今後も変わらないとするならば、20歳の国民年金加入者は、これから40年で796万3200円を納め、平均的には、男で1553万9171円、女で1923万4796円を受け取ることが期待できる。これを積み立て型投資商品と見なし、運用利回りをEXCELのIRR(内部収益率)関数で計算すると、男が年率2.16%、女が年率2.67%になる。

■ついに維持困難に…

年金受給額は、インフレ率に応じて増えていくように設計されている。物価の上昇を完全にヘッジできるとするならば、国民年金は男で2%、女で2.5%のプレミアムを加えた(国家が支払いを保証した)無リスクのインフレ連動債ということになる。このように、国民年金はけっして損な投資商品ではない。というよりも、この条件であれば、加入しないことで大きな損失を被ることになる。少子高齢化にもかかわらず好条件が維持できたのは、年金制度に多額の税が投入されていることと、サラリーマンが納めた保険料が大規模に「流用」されているからだ。しかしいま、長期にわたってこれを維持することが困難になってきた。

■マクロ経済スライドの減額で生活保護増大可能性も

国民年金の受給額は、人口動態に合わせて、2004年に導入されたマクロ経済スライドによって少しずつ減額されていく。当初、これはインフレ率がプラスのときにしか適用されない(デフレでマクロ経済スライドを実施すると名目での受け取り額が減って政治問題になる)とされたが、もはやそんな悠長なことはいっていられなくなって、2015年からは問答無用で年金が減額されることになった。2019年に行われた財政検証では、これによって約30年後に厚生年金の水準が約2割、国民年金は約3割減るとされた。だがその後、コロナ禍で少子化がさらに加速したことで、年金水準の維持はさらにきびしくなった。年金受給額が現在の7割(月額4万5371円)に減額されたケースで試算すると、平均余命までの受給総額は男で1135万1874円(年利回り1.03%)、女で1346万4357円(年利回り1.60%)まで下がる。だがそれよりも問題なのは、毎月の受け取り額が現在より2万円ちかく減ることで、これでは生活できないひとたちが続出し、大挙して生活保護に移行しかねない(そうなれば当然、生活保護制度は破綻するだろう)。

■「45年間で約900万円納付、年金1100万円受給」に魅力はあるか

64歳までの納付期間延長はこうした事態を避けるためで、仮に受給額2割減に抑えられたとすると、保険料の支払い総額が895万8600円と12.5%増えるかわりに、毎月の受け取り額は月額5万1853円で、なんとか5万円台を維持できる。ただし、積立額(負担)が増えたことで、運用利回りは男で年0.98%、女で年1.52%まで下がる。だが、これで社会保障制度が安定する保証はない。そこで、あり得る可能性のうち(たぶん)最悪のケースとして、保険料納付期間を64歳まで延長しても年金受給額が現在より3割減るとすると、資産運用の利回りは男で年0.57%、女で年1.15%になる。男の場合、45年間で約900万円の保険料を納め、年金として1100万円あまりを受け取ることになるが、20歳の若者がこの計算を見せられて、年金制度に魅力を感じるだろうか。

■69歳まで保険料を納める「残酷な未来」

なお、現行制度のまま年金の受給開始年齢を引き上げていくことも考えられるが、同じように試算すると、68歳の支給開始での年利回りは男で1.71%、女で2.18%、70歳の支給開始では男で1.33%、女で1.85%に下がる。現実的なのは、「厚生年金の適用拡大」「厚生年金の報酬比例部分の取り崩し」「保険料納付期間の延長」「年金の受給開始年齢の引き上げ」「マクロ経済スライドによる受給額減額」のすべての組み合わせになるだろう。いずれは、20歳から69歳まで50年間保険料を納め、70歳から減額された年金を受給する「1億生涯現役社会」が到来すると予想しておこう。

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橘 玲(たちばな・あきら)

作家

2002年、小説『マネーロンダリング』でデビュー。2005年発表の『永遠の旅行者』が山本周五郎賞の候補に。他に『お金持ちになる黄金の羽根の拾い方』『言ってはいけない』『上級国民/下級国民』などベストセラー多数。

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(作家 橘 玲)

プレジデントオンライン / 2022年11月17日 13時15分


2022年11月13日日曜日

倒産件数が増加基調、「危ない企業の共通点」を帝国データバンクが解説

 帝国データバンクが11月9日に発表した2022年10月の全国企業倒産(法的整理かつ負債1000万円以上を対象)は、前年同月(512件)比16.0%増の594件となり、6カ月連続で前年同月を上回った。年上半期とは一転し、年下半期は増加基調に転じている。また、2022年1月~10月の累計件数は5214件となり、前年同期を168件上回っている。2021年の年間倒産件数は6015件で帝国データバンクが全国企業倒産集計の発表を開始した1964年以降、1965年(5690件)、1966年(5919件)に次ぐ歴史的な低水準となったが、増加基調に転じている現状を踏まえると2022年は過去最少を更新する可能性は低いとみられる。そうしたなか、今回は最近の大型倒産や話題性の高い企業の倒産において不適切案件が増えていることや、地域金融機関担当者から聞いたコロナ禍で倒産する企業の共通点について解説する。(帝国データバンク情報統括部阿部成伸)

●コロナ前の大型倒産で続出した 「粉飾」が再び増加の恐れ

近時発生した負債額が大きな倒産や話題性の高い倒産について経緯を調べると、周辺から「粉飾決算」「融通手形」といった言葉が聞こえてくる。振り返るとコロナ前の2019年の倒産動向の大きなポイントは「業歴の長い」「事業規模の大きい」「商品・サービス・店舗名の知名度が高い」の3要素を備えた優良企業において「数十年以上にわたる粉飾」が発覚。倒産に至るケースが続出したことだった。当時は地方銀行を中心とした金融再編が最終局面を迎えていた。それに伴って水面下で融資先の選別、デューデリジェンスが進められ、かつてない深掘りの実態調査が行われた例もあったと聞く。「長年融資取引してきた地場の有力企業の中には、実態は債務超過や不適切会計の疑いがあるなど問題を抱える先もありましたが、歴代の担当者の間では暗黙の了解となっていた」(某地銀支店担当者)というケースもあったようで、長年のしがらみで切るに切れなかった関係を見直そうとする過程でそうした不正が次々と明るみに出たのかもしれない。そして、2020年も同じ状況が続くと予想していたのだが、コロナが発生して状況は一変。金融機関は資金繰りに困った中小企業への融資対応で多忙を極め、既存融資先の定点管理や実態調査を十分に実施できなくなってしまった影響が大きかったのだろうか。不適切会計を理由とした倒産を全く目にしなくなった。それどころか、コロナ関連融資によって倒産件数は激減した。しかし今では、コロナ関連融資は行き渡り、据え置き期間を経て返済が始まる企業が日に日に増えている。つまり、これからについて検討し、話し合っていくタイミングでついに不正が隠し切れなくなり、息絶える企業が増えているとも考えられる。コロナ禍での経験を踏まえると、コロナ禍を境に業績開示しなくなった企業や急に役員が交代した企業、主力取引先が変更した企業、異常な業績伸長を見せている企業などには特に動向を注視する必要があると考える。

●コロナ禍で倒産する会社に 金融機関の新規取引先が多い理由

2019年に年間8354件だった全国企業倒産は、2020年に7809件(前年比6.5%減)、2021年は6015件(同23.0%)にまで減少した。コロナ関連融資をはじめとする中小企業支援策の執行による効果が大きく、コロナがなければ2020年、2021年に淘汰されていたはずの企業までもが延命された結果ともいえよう。しかし、そうしたなかでも倒産は日々発生している。コロナ融資が効かないほど業績が悪化したのか、経営者の士気が下がってしまったのか、主力取引先が倒産したのか、取引を打ち切られてしまったのか…などなど考えても机上の空論だ。そうしたなか、都内の地域金融機関(信用金庫、信用組合)の本部を訪れ、融資の担当者からコロナ禍で倒産する事業者の共通点について尋ねると、これまで知らなかったコロナ融資現場の実態が見えてきた。実際に質問を投げかけると、複数の地域金融機関の担当者から出てきたのは「新規取引先」という言葉だった。「区からの紹介などでこれまで当金庫と取引のない小規模事業者からの申し込みが一定数ありましたが、その中に倒産する事業者が多く見られます」(都内某信金幹部)コロナ融資の執行は全国的に2020年の5月、6月、7月頃に集中。そして多くの事業者は据え置き期間を1年以内に設定した。「1年後にコロナは収束しているだろう」という当時の人々の何となくの心理が影響していたのだろう。しかし、1年たってもコロナは収束しなかった。当然、据え置き期間を終えて返済が始まる事業者の中には、予定通り返済できない先が出始める。そんなとき、日ごろの金融機関とのコミュニケーションがその後の社運を左右することもあるようだ。

「新規先の倒産が目立っています。コロナ前から融資取引をしている事業者の多くは、ゼロゼロ融資、既存融資を問わず返済が厳しくなったら相談に来ますので(リスケジュールなどの)対応が可能です。しかし、ゼロゼロ融資で取引が始まった事業者を見ると事前に何の相談もなくある日突然事業を停止し、弁護士から受任通知が送られてくるケースが多いです」(別の某都内信金担当者)さらに続けて本音を漏らす。「相談してくれれば何とかなった先は多かったと思います…。新規先の倒産が相次ぐ要因は、金融機関との取引経験や情報量に乏しく『困ったら相談する』という発想がないことと考えます。コロナ融資が予定通り返済できない状況になったことを金融機関に知られたら大変だと考えていたのでしょう」(同)それまで融資実績がないような小規模事業者だからこそ、倒産しやすい状況にあったとも解釈できるが、困ったときに相談する発想がないという共通点の指摘は実に的確で納得できる背景だ。平時からの金融機関とのコミュニケーションは、有事の際のスムーズな再建への近道になると中小企業活性化パッケージで強調されたことは記憶に新しく、今後、中小企業が生き残っていくための不可欠なファクターといえる。来年春以降、再びゼロゼロ融資の返済が始まる企業が増加する時期を迎え、同時期における倒産動向を注目する金融機関担当者は多い。実際、帝国データバンクの調査では2022年9月の全国企業倒産件数は583件でそのうち負債5000万円未満の小規模倒産が356件(構成比61.1%)を占めており、小規模事業者ほど倒産リスクは高いことがデータからもわかっている。コロナ融資を受け、相談もなく突然事業を停止する小規模事業者はこれからも増えていくのだろうか。


2022/11/10(木) 6:02配信 diamondonline



「媚び営業」は絶対NG…儲かっていない「ジリ貧中小企業」が業績を改善する方法【公認会計士が解説】

 儲かっていない中小企業はには「粗利率が低い」という共通点があると、KMS経営会計事務所の代表である公認会計士・税理士の川崎晴一郎氏はいいます。今回の記事では、詳しくみていきましょう。

〇儲かっていない中小企業は「粗利率」が低い

失礼を承知で言うと、儲かっていない中小企業の損益計算書を見ると、これでは儲からないですよね、と一目でわかることが多いです。注目すべきは粗利率(売上総利益÷売上高)です。とにかくこれが低い。売上高が大きければまだよいのですが、中小企業なので売上高も大きくありません。売上高が小さく粗利率が低い場合、人件費や広告費といった販管費を賄うための粗利(売上総利益)を稼げないため、営業利益を確保できません。粗利率が低いのは多くの場合、値段設定が低いからです。いわゆるP戦略のミスです。競合他社に勝つためと、値段をあえて低く設定して勝負しようとしている場合はまさにこの状態です。また、競合ひしめく業界に新規参入した場合も、競合による値下げ合戦の結果として粗利率が低い状況からのスタートとなってしまいます。粗利率が低い商品・サービス自体を選択している時点で、その中小企業の負け戦がほとんど確定します。なぜなら、たくさん売れないと赤字になりますし、たくさん売るための仕組みを、儲かっていない段階の中小企業が用意するのは茨の道になるからです。たくさん売るためには人手が必要ですし、その人たちへの教育もしなければなりません。集客のためのマーケティング活動も必須です。設備投資をし、在庫も確保しなければなりません。利益がまだないしょっぱなの段階から、すでに多くの手間とコストがかかります。これにさらなる苦労が重なります。社員が増えれば社員間のトラブルが増えます。売上が増えるまで儲からない期間が続きますので社員の給料を増やせず、忙しい思いばかりをさせた結果、せっかく教育した社員が辞めてしまうこともあります。その上お客様の数が増えるわけですから、お客様のクレーム数が増えます。そして、そんな苦労をした割に、結局思っていたほどたくさん売れなかったりします。よくあるパターンなので身近な会社に思い当たる節はありませんでしょうか。ただでさえ経営資源が少ない中小企業において、たくさん売らなければ儲けられない構造にしてしまっていることは非常にリスキーなのです。たくさん売れなくても地獄、たくさん売るための茨の道も地獄であり、儲かる見込みが著しく低くなってしまいます。もともとたくさん売れる「確証的」な見込みがあったり、建設業や不動産業のように販売単価がとても高ければ、粗利「額」を確保できるのでよいのですが、そうでない限り粗利率は少なくとも50%は確保したいところです。粗利率が低く、そして売上も少ない「ジリ貧」の会社は、まず粗利率の改善を考えましょう。

〇粗利率を上げるには、まず「価格の見直し」から

そのために第一に考えるべきは、価格の見直し(値上げ)です。価格を見直す際は、堂々と「値上げします」といわずとも、値上げと気づかれないようメニューの組み合わせを変えたり、新サービスを導入したり、同じものでも見せ方を変えたりするなどして、しれっと行うことも考えられます。粗利率の改善の視点からは、値上げせずとも原価を下げることでも実現できます。企業努力で製造原価や仕入原価を下げることが第一ですが、低い原価で新しいメニューを構成し、既存の価格帯で売るという方法も考えられます。あるいは、既存のお客様を捨てて新しいお客様にシフトチェンジすることも粗利率向上の施策として有効です。粗利率が低いのは、御社の商品・サービスを提供するお客様の質が悪いからでもあり、「おたくみたいな商品なんてどこにでもあるし、別にそんなにほしくない」と思っている人に、「まあまあそういわずに買ってくださいよ、ほかよりも安くしますので」と、媚びて販売しているようなものなのです。プライドを持って作り出した商品・サービスであれば、もっと高く買ってくれる人はきっといるはずです。世のなかの全員に買ってもらう必要なんてありません。御社の商品・サービスを高く買ってくれる人を想定し、その人たちのニーズにマッチする形に付加価値を乗せて適切に届けることができれば薄利の商売になんてならないはずなのです。中小企業は何をおいても薄利を狙ってはなりませんし、薄利に追い込まれてもダメなのです。粗利率をできるだけ高く設定できるよう、よく考えてみましょう。高粗利率を確保することが、中小企業が儲かるようになるための最重要ポイントです。粗利率を〇%増やすことができたら営業利益がいくら増えるでしょうか。まずはワクワクしながらそんなことを考えてみてください。なお、販売数量を減らさずに粗利率を増やすことができれば最高なのですが、仮に販売数量が減ることになったとしても、営業利益が変わらない水準にキープできるのであれば、販売数量が減ることで省ける手間の分、実質的なプラスとなります。


川崎 晴一郎公認会計士・税理士

KMS経営会計事務所・株式会社KMS代表


幻冬舎ゴールドオンライン / 2022年11月7日 17時15分


2022年11月3日木曜日

112万人分の年金資産を放置、転職・退職時に必要な手続きせず…企業型DC

 企業が掛け金を払い、従業員が運用する企業型確定拠出年金(企業型DC)で、約112万人分の年金資産が放置された状態になっていることが1日、国民年金基金連合会のまとめでわかった。2017年度末から1・5倍になった。総額は昨年度末で約2600億円に上っている。転職時などに必要な手続きをとらなかったためで、運用機会を逃し、老後の資産形成に影響を及ぼす可能性がある。企業型DCの加入者は年々増加しており、全国で約780万人にのぼる。転職などで会社を辞めると加入資格を失う。積み立てた年金資産は、6か月以内に個人型確定拠出年金(iDeCo)などに移す手続きをしなければ、同連合会に自動的に移管され、その後は運用されない。同連合会によると、年金資産が自動的に移管された人は2021年度末で108万3116人おり、公表している17年度末の73万4243人から47%増えた。総額は2587億5200万円で37%増加した。1日に発表された9月末の自動移管者数は112万6145人だった。自動移管された資産は塩漬けにされるだけでなく、移管時に4348円、以後の管理に毎月52円の手数料がかかるため、目減りしていく。受給開始年齢に達しても、そのままでは年金として受け取ることはできない。手数料をかけてiDeCoなどに移す必要がある。移管中は通算加入期間にカウントされず、受給開始が遅れる場合もある。増加している背景には、退職時の忙しさや、制度の理解不足がある。東京都内の女性会社員(41)は昨年8月に転職。半年後に自動移管の通知を受けた。「以前勤めていた会社から説明を受けた記憶はない。知らない間にお金が移され、手数料が引かれるのは釈然としない」と話す。同連合会は毎年1回、対象者に通知を出し、手続きをするよう促している。厚生労働省は「企業が掛け金を負担するため、自分の資産という認識に乏しく、自覚なく放置する人が多い。退職者への説明義務を企業に徹底させるなど、周知を図りたい」としている。ファイナンシャルジャーナリストの竹川美奈子さんは「老後に向けた資産形成が求められる時代に、貴重な年金資産が放置され目減りしてしまうのは問題だ。退職時の移管手続きの簡素化などの対策が求められる」と話す。

◆企業型確定拠出年金(企業型DC)=2001年10月に導入された年金制度の一つ。企業が従業員のために掛け金を支払い、従業員が自らの積立金の運用方法を決める。将来の年金額は運用の結果次第で変わり、原則60歳まで受け取れない。


2022/11/2(水) 5:02配信読売新聞オンライン


2022年11月1日火曜日

周囲から媚びられる独裁者プーチンと同じ…日本のオジイサン社長がその座にしがみつく5つの身勝手な理由

 なぜ、日本企業のトップは権力の座にしがみつくのか。日本の社長の平均年齢は、2009年は59.5歳だったが、2021年は62.77歳。世界的に見ても高齢化が突出し、老害を指摘する声も多い。コミュニケーション戦略研究家の岡本純子さんは「ある程度の地位と名誉と金銭を得たのだから、傍目にはとっとと楽しいセカンドライフを送ればいいのにと思いますが、彼らが何歳になっても辞められない5つ理由がある」という――。

■オジ(イ)サン社長がその地位に恋々としがみつく理由

日本企業の社長の高齢化が進んだことで、最近ますます経営者の老害化の話が耳に入るようになった。権力の座に居座り、一向に後進に道を譲ろうとはしない。そのため世代交代は起こらず、組織が硬直化、企業はどんどんと時代に取り残され、世界の中での“日本”の存在感もどんどん薄れていく……。なぜ、大きな組織のトップに就いたオジ(イ)サンたちはその地位に恋々としがみつくのだろうか。その複合的な理由と深刻な弊害に迫ってみよう。かつてはカリスマ経営者としてたたえられた日本電産の永守重信会長。その話は明快で面白く、人を惹きつける強烈なエネルギーを発していた。しかし、最近は齢78にして、次々とその後継とされる人の首を切り、幹部が大量離職、株価は急落するなど、社内は混乱を極めている、と報じられている。筆者がかつて勤務した読売新聞の渡邉恒雄氏も96歳ながら代表取締役主筆として、今も君臨している。フジサンケイグループ代表の日枝久氏も御年84歳だが、いまだ権勢をふるっていると聞く。もちろんこれまでの功績が否定されるわけでもなく、高齢でも会社組織を改革し前進させる人も少なくない。しかし、トップが権力に執着し、ある種の「恐怖政治」を行うと、結果的に上の言うことに唯々諾々と従う「コバンザメ」のような幹部が増殖することになる。新陳代謝は起きず、風通しが悪くなる。イノベーションは起こるべくもなく、組織はやがて壊死する。そうした事例は日本企業には掃いて捨てるほどある。東京商工リサーチの調べによると、2021年の社長の平均年齢は、調査を開始した2009年以降、最高の62.77歳(前年62.49歳)だった。調査を開始した2009年の59.5歳から毎年、上昇を続け、社長の高齢化傾向が鮮明となっている。

■米国57歳 ドイツ54歳 英国53歳 中国50歳 日本60歳超

英国経済紙「フィナンシャル・タイムズ」のグローバルデータによると、CEO(最高経営責任者)の平均年齢はアメリカでは57歳、ドイツでは54歳、イギリスでは53歳、中国は50歳。日本は世界で唯一の60歳超えとなっており、高齢化が際立っている。日本では海外に比べ、若い経営者による起業が少なく、平均年齢を押し上げている側面もあるが、何より年功序列の弊害の側面はあるだろう。だが最も厄介なのが、いったん権力を握ると、なかなか辞めようとしない経営者が多くいることだ。ある程度の地位と名誉と金銭を得たのであれば、とっとと楽しいセカンドライフを送ってはどうかとも思うが、なぜかそういう発想にはならないらしい。その理由は後で詳述するとして、海外のCEOのリタイアメントライフとはどういったものなのか、アメリカの事例について、少し触れてみよう。米国経営学誌「ハーバードビジネスレビュー」の「CEOのためのリタイアメントガイド」という記事によれば、アメリカのCEOの平均退任年齢は62歳。大企業に当たるフォーチュン500の元CEOのうち、

・4分の1以上はプライベート・エクイティ(未公開株投資)などに携わる

・半数以上が非営利団体でリーダー職に

・3分の2は学校や博物館の理事など、公的機関の役員に

・多くが教鞭をとり、本を書く人もいる

・ほぼ全員が慈善活動をしている

つまり、ほとんどの元CEOがこれまでいた企業を潔く去り、非営利の仕事などに携わって、「経済と社会の幸福に貢献している」のだそうである。日本のエライ人たちは、なぜそこまでして「会社にしがみつく」のだろうか。これには少なくとも次の5つの理由が考えられる。

■① 海外のCEOほど、カネがない

そもそも、海外のCEOの年収は数十億、数百億円がスタンダード。日本では、数千万~多くて数億円程度で、さすがに、これを数年やっただけでは、退職後に、慈善活動に大枚をつぎ込むほどの蓄財はできないだろう。そう考えると、人生100年時代、少しでも稼いでおきたいという気持ちになる人がいてもおかしくない。

■②権力、特権を手放したくない

権力は魔物である。一度手に入れたその力を手放すことに強い抵抗感を覚える人は少なくない。「秘書、自分の部屋、送り迎えの車」という三種の神器に加え、肩書や名刺を失い、「何者でもない人」になることへのおびえ。特に、生涯を一企業に捧げる人が多い日本では、そのセーフティーネットを失う「アイデンティティークライシス」に対する恐怖心は相当なものだろう。

■③権力により、謙虚さを失い、承認欲求が肥大化

権力は腐敗する。そもそも、リーダーにのし上がる人には、「マキャベリアン(個人の野望と利益に固執し、人との関係性より、権力や金を優先する)」「サイコパス」「ナルシシスト」という、心理学では「暗黒の三元素(Dark Triad)」と呼ばれる3つの特質をもった人が多いとされている。最近では、これに「サディズム」が加わった4要素という説もあり、一般人のサイコパスの出現率は1%である一方、エグゼクティブになるとその割合が3~5%になるというデータもあるほどだ。もともとそうした資質を持っていなかったとしても、権力が人を変えてしまうこともよくある。権力の座に居座り続けることで、エゴや承認欲求が肥大化し、傲慢さと行きすぎたプライドや自信ゆえに他者を見下す姿勢へとつながる。また、「つねにこびへつらわれる」という状況下で、「共感力」を失い、ロシアのプーチン大統領のように権力が目的化してしまう。暴君化するリスクは少なくない。

■④「自分は役に立っている」という過信

自分の能力を謙虚に評価する力を失い、自らの知見や能力を過信してしまう。「まだまだ、会社のために貢献し、役に立てる」という誤った認知にはまり、迷惑な「利他意識」を振りかざしている可能性がある。

■⑤仕事以外にやりたいことがない。

案外よくあるのが、このパターンだ。40年あまり、会社に尽くしてきて、トップに上り詰める人は基本、ワーカホリック、仕事一筋だ。趣味はゴルフぐらい。時間ができたとしても、何か打ち込みたいという趣味もなく、そもそも家族を顧みる時間などなかったので、疎まれていたりもする。楽しいリタイアメントライフの絵がなかなか描けないのだ。華麗にリタイアし、セカンドライフをエンジョイしているロールモデルも少なく、退職後の人生に希望を持てない人もいるだろう。こうした複層的な理由が絡み合い、「辞めたくないオジサン」が生まれてしまう。悩ましいのは彼らが高齢だから、能力が低いと必ずしも断言できないことだ。しかし、世界は秒速で状況が変化し、高いITスキルが求められる時代に、「昭和の成功体験」を語り、自らのやり方を結果的に押し付ける経営者が率いる企業に機動性を求めるのは難しい。実際、社長の高齢化と業績悪化の関連性はデータでも如実に表れている。東京商工リサーチによれば、直近決算で減収企業の社長は60代が48.8%、70代以上も48.1%を占めた。高齢社長に業績不振が多い理由として、「長期的なビジョンを描けず、設備投資や経営改善が遅れる」と分析している。これは海外でも同じ傾向だ。アメリカのabcニュースによれば、S&P500企業のうち、47歳以下のCEO23人の株価の19カ月間の平均下落率が2.8%に対し、72歳以上のCEOを擁する6社は、平均21%下落している。「高齢のCEOの中に勝ち組はほとんどいない」というのが、残酷な真実のようだ。このままでは、多くの企業があの世へ道連れにされかねない。年功序列に変わる新たな経営の形の模索や世代交代の促進とともに、長年培ってきたシニア経営者の知見を全く別の分野で活用し、活躍してもらう仕組み作り、さらに、新たなロールモデルの創出をすることが、沈みかけている日本の地位を復活させる鍵なのではないだろうか。


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岡本 純子(おかもと・じゅんこ)

コミュニケーション戦略研究家・コミュ力伝道師

「伝説の家庭教師」と呼ばれるエグゼクティブ・スピーチコーチ&コミュニケーション・ストラテジスト。株式会社グローコム代表取締役社長。早稲田大学政経学部卒業。英ケンブリッジ大学国際関係学修士。米MIT比較メディア学元客員研究員。日本を代表する大企業や外資系のリーダー、官僚・政治家など、「トップエリートを対象としたプレゼン・スピーチ等のプライベートコーチング」に携わる。その「劇的な話し方の改善ぶり」と実績から「伝説の家庭教師」と呼ばれる。2022年、次世代リーダーのコミュ力養成を目的とした「世界最高の話し方の学校」を開校。その飛躍的な効果が話題を呼び、早くも「行列のできる学校」となっている。

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(コミュニケーション戦略研究家・コミュ力伝道師 岡本 純子)


プレジデントオンライン/2022年10月26日 11時15分


2022年10月15日土曜日

山安ビル

 山安ビルの跡地にComenz梅田というマンションができている。Comenz梅田の築年月は2017年9月だそうです。グーグルマップストリートビューによると2015年4月にはまだ山安ビルが存在していたが、2016年4月にはすでに取り壊されて更地になっていました(2016年4月には造幣局通り抜けの後確認したらなくなっていた)。2015年秋から取り壊されたものとみられる。この山安ビルの606号室に章友会の本部(株式会社石田というフロント企業が存在していた)があった。


所在地:大阪市北区兎我野町4-22

阪急電鉄神戸線大阪梅田駅徒歩4分/大阪市御堂筋線梅田駅徒歩4分/大阪市谷町線中崎町駅徒歩7分/大阪市堺筋線扇町駅徒歩8分 

階数:7階建 

総戸数:- 

種別・構造:マンション/RC 

築年月:1967年04月 

電話:06-6313-0995(当時)




2022年9月28日水曜日

月3万円の天引きだが…厚生年金保険料「払い損」と後悔の現役世代、老後に手にする「衝撃の年金額」

 高齢化に伴う現役世代の負担増と年金への不信感から、「このまま保険料を払い続けても、損をするだけではないか」という声が大きくなっています。実際に現役世代は年金保険料の「払い損」になるのか、考えてみましょう。

〇大卒初任給なら4万~5万円…天引き額にため息

給料明細をみるたびに「はぁーこんなに天引きされているんだ」と、ため息をついた経験は、誰にでもあるでしょう。会社員が天引きされるものは、主に6種類。まずは「厚生年金」。保険料を支払えば、国民年金に厚生年金を上乗せした年金が、現行、65歳から受給できます。その保険料は給与によって変動。給与から「標準報酬月額」を求め、保険料が決まります。そして「雇用保険」。「失業保険」とも呼ばれ、失業したときに再就職の支援を受けるための制度です。その保険料は2022年度10月1日から一般事業者で0.3%から0.5%に変更となります。家族の扶養から外れると払うようになるのが「健康保険」。その保険料は、厚生年金同様、標準報酬月額を元に算出されます。そして所得に応じて天引きされる「源泉所得税」。累進課税制度を採用しているので、給与が増えると税率は高くなります。たいてい少し多めに天引きされているので、「年末調整」で一部が還付されます。社会人2年目の6月から天引きされるようになるのが「住民税」。税率は区市町村民税6%、道府県民税・都民税4%で、合計10%です。40歳になると天引きされるようになるのが「介護保険」。40~64歳には特定疾病が原因で要介護・要支援になった場合、65歳以上は要介護・要支援状態になった場合、介護サービスを1割負担で受けることができます。その保険料は2021年平均で月額6,014円です。いくら天引きされるか、環境などによって変わりますが、いまどきの大卒初任給の平均値である22万円なら、4万~5万円ほど天引きされます。天引きされた分、何に使われるか知っておけば納得感も変わってきますが、なかなか飲み込めないのが「厚生年金」かもしれません。よく現役世代は払い損、といった声を聞く機会は多いでしょう。自身が年金をもらう年齢になったとき、そんなに年金はもらえないのだから……というのが、その理由です。もちろん年金は積立方式ではなく、賦課方式。現役世代から年金受取世代へ仕送りしているイメージです。だから「払い損」というのは「年金の捉え方を間違えている」という指摘も。ただ高齢化率がどんどん上がり、負担増しかみえてこないなか、「払い損」という不満が大きくなるのは、仕方がないことかもしれません。

〇大学卒業から定年まで払う「厚生年金保険料の総額」と「年金受給額」

天引きされる厚生年金の保険料。その計算は、「毎月の給与(標準報酬月額)×保険料率」「賞与(標準賞与額)×保険料率」。保険料は年金制度改正に基づき、平成16年から段階的に引き上げられ、平成29年9月にその上限に達し、現行、18.3%で固定されています。


厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、日本のサラリーマンの平均月収(きまって支給する現金給与額)は、37万0,500円。標準報酬額は38万0,000円となり、保険料は6万9,540円。保険料は会社折半となりますので、実質3万4,770円が厚生年金分として天引きされている計算です。さらに年間賞与等が101万8,200円ですから、そこにも保険料がかかります。単純計算、1年の保険料は48万円ほど。これでいまの高齢者を支えているわけです。さらに各年代の平均月収と年間賞与等から、大学卒業から60歳の定年までの保険料の総額をざっと計算すると、1,600万円ほどになります。

【男性会社員の月収と賞与の推移】

「20~24歳」243,200円/411,300円

「25~29歳」290,900円/694,500円

「30~34歳」331,900円/877,000円

「35~39歳」369,000円/1,028,800円

「40~44歳」396,500円/1,153,100円

「45~49歳」418,600円/1,250,200円

「50~54歳」443,900円/1,392,600円

「55~59歳」440,900円/1,369,900円

出所:令和3年賃金構造基本統計調査

※数値左:きまって支給する現金給与額、右:年間賞与その他特別給与額

一方で気になるのは、65歳になったときに、いくら年金が手にできるかということ。各年代、現在の平均給与を手にし60歳で定年を迎えたと仮定すると、月に16万9,000円ほど(国民年金+厚生年金)。95ヵ月以上、つまり65歳から8年弱、年金を手にしていればプラスに転嫁できることになります。「そう考えると、悪くない投資かも」と考える人も多いのではないでしょうか。あくまでも現行の数値による単純計算によるものなので、実際にそうなるとは限りませんし、そもそも年金は損得で考えることではないかもしれません。ただ多くの高齢者が「年金だけでは生活できず貯蓄を取り崩している」という現実があり、将来的には「年金受給額は減額される(または目減りする)」ことが確実視されています。現役世代はいまの高齢者以上に自助努力が求められることは確かです。


幻冬舎ゴールドオンライン / 2022年9月27日 11時30分



2022年9月23日金曜日

就職転職で重要視されるものは何?

 よく就職活動や転職活動をしていると「人柄重視」「人物本位」「やる気や熱意を重視します」という言葉を見かけます。その一方で「学歴や偏差値によるフィルターがある(特に新卒採用ではある)」「筆記試験がある(新卒採用では必ずといっていい位ある)」「資格取得項目について色々聞かれた(新卒や中途採用ではよくある)」という話はよく聞きます。では何を基準に採用を行っているのでしょうか。ここに書いてある内容はあくまでも個人的意見であり絶対的なものでないという前提で読んでもらいたい。

○「人柄」「人物本位」「やる気や熱意」は採用基準の一部である

全ての会社において採用基準というものがあります(当然公務員の世界でも採用基準があります)。「人柄重視」「人物本位」「やる気や熱意」は確かに重要な項目であるが採用基準の一部であり全てではなんですよ。「人柄」「人物本位」「やる気や熱意」以外に「適性」「コミュニケーション能力」「事務処理能力」「基礎学力」というものも採用基準なのです。採用活動する団体によって異なるのかもしれませんが採用基準のバランスを求めているのです。「人柄」「人物本位」「やる気や熱意」は確かに重要な要素であり重要な項目なのですが、「適性」「コミュニケーション能力」「事務処理能力」「基礎学力」が全くなくてもいいというものではありません。要はバランスなのです。中途採用では学校名学歴や筆記試験の結果は新卒の時ほど見ないのかもしれません(現実に新卒時には大卒以上としていた会社が中途採用では専門学校卒以上となっていることが少なからずある)が「過去の職歴」「資格取得欄(スキル含む)」は必ず見ます。

○なぜ筆記試験を行うのか

新卒の採用試験であれば筆記試験を行う会社は多い(稀に行わない会社もあるのだが)。公務員の採用試験でも筆記試験を通過しなければ面接を受けることは出来ない(どんなに人柄が優れていても筆記試験をクリアできなければ面接を受けることは出来ない)。ではなぜ筆記試験を行うのでしょうか。それは「基礎学力があるのかどうかを確認しておきたい」「筆記試験である程度人数を絞り込まないと面接のための労力がかかりすぎる」ということが本音としてあるのでしょうね。学歴フィルター(偏差値フィルター含む)や資格取得欄を見るというのも似たような考え方ですね。

○「人柄」「人物本位」「やる気や熱意」を重視する会社の本音の部分は何かを知る必要性がある

「人柄」「人物本位」「やる気や熱意」は採用基準の一部であることは既に書いたがそれでも「人柄」「人物本位」「やる気や熱意」を重視する会社があることが事実です。ではこれらを重視する会社の本音は何かをきっちり理解しておく必要があります。「人柄」「人物本位」「やる気や熱意」を重視する会社の中には「より多くの人に応募してもらいたいからそう書いているだけ(実際に裏ではどのように考えているかは知らないが)」「人柄・やる気・熱意以外の採用基準を満たしていた上での人柄・やる気・熱意であると考えている」「余程事情のある会社である可能性がある」ということが考えられます(当然これら以外にも理由はあるのかもしれませんが)。

・「より多くの人に応募してもらいたいからそう書いているだけ(実際に裏ではどのように考えているかは知らないが)」

新卒時の就職活動で受験した会社の中に筆記試験や学校名や偏差値を見ないといっていた会社の人事担当者が「一般入試(推薦入試でない)で大学に入学したのですよねと確認してきた」「○○高校って以前高校野球で有名な学校ですねということを堂々と聞いてきた」「○○高校って××で有名な学校ですねという発言があった」ということがありました(僕自身も経験あり)。学歴や偏差値でフィルターをかけていることが判明すると変に誤解されそうだから表向きしていない会社もあります(実際新卒時にエントリーしたが何の連絡も来なかった企業もあり、同レベルの他大学の学生にこっそり聞くとその人も応募したけど連絡がなかったそうです)。

・「人柄・やる気・熱意以外の採用基準を満たしていた上での人柄・やる気・熱意であると考えている」

いくらやる気や熱意があっても「業務(や業務上必要な知識)を覚える能力がなかったら困る(当然業務上必要な資格を取得できなければ困る)」「業務をこなす能力や適性的に無理な人に頑張らせても無理がある(やり方を間違えればパワハラになりかねない)」「そもそも必要最低限度のコミュニケーション能力がなければ業務に支障をきたすし面接で採用されないのではないか」という事は有名である。

・「余程事情のある会社である可能性がある」

これは結構ありますね。「人気のない業界・会社」「業務内容的に考えて人の嫌がる(なり手の少ない)職種や仕事である」「労働条件が悪い」「規模にそぐわない採用を行う会社である」「能力やレベルの高い人に相手にされない又は意図的に能力やレベルの低い人を求めている」事が考えられます(これら以外にもあるが)。

「人気のある業界・会社」では採用人数に比べて応募者が多く競争倍率が高いため、やる気・熱意・人柄以上に学校名学歴や学業面・成績や資格取得状況(中途採用では余学歴や偏差値は見ないのかもしれないが適性や実務経験や資格取得欄は見る)ことが多く(そうしないと効率的に採用活動が出来なくなる)、「やる気・熱意・人柄」の比率が低くなる傾向がある。「人気のない業界・会社」では競争倍率が低いため、「やる気・熱意・人柄」の比率が高くなる傾向にある。「業務内容的に考えて人の嫌がる(なり手の少ない)職種や仕事である」「労働条件が悪い」「規模にそぐわない採用を行う会社である」場合、「競争倍率や採用基準が低い」というのもあるが、余程「その仕事や業務内容に対するやる気・熱意がないと勤務を継続出来ない事情がある」ことがある。ここで言う「事情」とは「社会的に必要な仕事」なのかも知れないが「体力的にも精神的にもきつい仕事」「言われたことを言われた通にしていればいいという考え方の会社」「人の嫌がる仕事」「単純な仕事でたいしたスキルや能力がなくても出来る仕事」「人に自慢出来ない(余知られたくない)職業・職種・会社・業界」などが考えられる。こういう会社・業界の場合、能力や知識や適性等を問う以前に「やる気・熱意」を問う傾向があるそうです(というより余程「やる気・熱意」がないと勤められないそうです)。とにかく低い採用基準で採用しまくって「やる気がなかったら辞めていいよ」とあっさり社員を辞めさせることも多々あるそうです。「能力やレベルの高い人に相手にされない又は意図的に能力やレベルの低い人を求めている」という場合も稀にありますね。「レベルの高い人や向上心の強い人を雇うと会社としてコントロール出来ない(扱い難い)」「社長や役員等が余レベルの高い学校を出ていない等の理由からレベルの高い人を雇いたがらない」ということもあるようです。


○結論

結論として言うなら「人柄」「人物本位」「やる気や熱意」という言葉が出てきても、それは「人柄」「人物本位」「やる気や熱意」以外に「適性」「コミュニケーション能力」「事務処理能力」「基礎学力」なども見ており、これらの採用基準の総合的判断で物事を判断するということなのですよ。ですので「人柄」「人物本位」「やる気や熱意」が悪いとは言わないがこれにより就職活動や転職活動が楽になるということはありません(逆に「人柄」「人物本位」「やる気や熱意」を重視する会社に入社すると入社してから大変な思いをする可能性もあります)。非正規雇用(正社員以外)であっても「職場のレベルが低い」「たいしたスキルのいらない職場」「社員のレベルの低い職場」「労働条件の悪い職場」であれば「レベルの低い人」「異常にやる気や熱意や人柄の高い人」を求めることが現実に多いです。又、西日本にあるとある会社(大手企業のグループでもなく純粋な中小の非上場企業)のホームページではそこの会社が正社員の人材を求めているのだが、「パソコンが使えない」「挨拶しか出来ない」「職歴等に自信がない」という人でも積極的に採用したいといっているのですよ(2022年9月現在実際に企業として余活動していないようですが)。この会社は社長1人で従業員0の会社ですが「人柄」「人物本位」「やる気や熱意」の3つと「能動的に行動できること」を重視しているそうです。私自身の知り合いにこの会社の社長と名乗る人物が取引がらみの件で数年前来たそうですが名刺を受け取って話を聞いておいたがそれ以上に深く係わり合いを持つことはしなかった(取引していない)そうです。当然この社長は一応そこそこの大学を卒業しているが余仕事が出来ない人だということは結構知られています(有名です)ね。


それと面接官(企業においても公務員においても)がその応募者の人柄やる気や熱意を十分に見抜くことが出来るとは限りません。面接の時間等にも寄るので一概には言えないことですが「極端にひどい(コミュニケーション能力・行動・態度・適性等)とかスキル的にマッチしない」という場合であればある程度分かりますが(当然不採用にするということ)完璧にその人の「人柄」「やる気や熱意」は見抜くことは出来ないということも事実です。実際世間一般に言う大手企業(実名伏せる)でも「この人は大丈夫だろう」と思って採用した人が「思っていた以上に仕事が出来なかった」「問題を起こした」「業務上必要な資格試験を受験させたが合格出来なかった人が少なからずいた(当然その人については労働基準法の兼ね合いで解雇にはしていないが自主的に退職した)」ということはよくあります(新聞等で報道されないがこういうケースは多い)。又逆のパターンもありますね。それに人柄重視の採用を行っていても応募者が多ければ面接の労力を考えて書類選考で不採用になることもあるため、「人柄重視」の試験で不採用だからといって人格を否定されたと思わないことも重要です。



2022年9月11日日曜日

女性に人気の「副業」でトラブル・詐欺が多発!家事代行にベビーシッター、厳しい現実と泣き寝入り事案

 始めるのは簡単。でも辞める人が後を絶たないコロナ禍による休業が相次ぎ、この数年は収入減となった家庭も多い。少しでも家計の足しにできればと、隙間時間で手軽に稼げる副業が注目されている。2020年の内閣官房の調査結果によると、「副業をしている」と回答した人は、全労働人口6860万人のうち248万人もいる。エイチ・アイ・エスやソフトバンクといった企業も副業を解禁。在宅ワークが定着し、時間の融通が利くようになった背景ともあわせて、副業に手を出す層が増えたと考えられる。そんな中、女性に人気な副業は「家事代行」「覆面調査」「Webライター」など。特にWebライターは、自宅にいながら取り組むことができるため注目度が高い。

女性に人気の副業の一例

・Webライター

・家事代行

・ベビーシッター

・覆面調査

・アンケートモニター

・ハンドメイド商品の販売

・データ入力

・アフィリエイト

・投資

・ポイント活動

・講師/家庭教師

「副業 女性」などのキーワードで検索すると出てくる副業の一例。自身の得意分野を生かしてお金に換えることができる職種の人気が高い。また、実質割引価格で商品を手に入れることができる覆面調査や、ポイントを商品券や現物に換金することができるアンケートモニターは、直接お金にならなくても節約の目的で利用している人も。ただし「手軽に稼げる」からこそ思わぬ落とし穴も。丸の内ソレイユ法律事務所の早瀬弁護士は「副業は1回あたりの報酬額がそこまで高くないため、トラブルに見舞われても泣き寝入りしてしまい、表に出てきていないことが多い」と話す。

次に紹介するのは実際の事例だ。


ケース1.「家事代行」で依頼者との意思疎通が取れず思わぬクレームが

掃除の家事代行を請け負ったAさん。ぱっと見、きれいな家だったので、どの部屋も均等に掃除した。棚のほこりを落とし、掃除機をかけ、気になるところは拭き掃除。依頼者が不在での作業だったため、報告を出し帰宅。すると、連絡が入り「リビングを中心に掃除してほしかった」と言われて、悪い評価をつけられた。その後も何度か別の家の掃除の家事代行を請け負ったが「拭き取りが甘い」「髪の毛が落ちていた」など相性の悪い依頼者に当たり、すっかり自信をなくしてしまった。掃除とひと言でいっても、やり方は人によって違う。専門業者であればマニュアルがあるかもしれないが、必ずしもそれが依頼者の希望に沿っているとも限らない。ほかにも、依頼者が在宅だったため、掃除に立ち会うような形で「あそこも」「ここも」といった具合に細かな要望を聞いているうち、当初の依頼にあった部屋数をこなすことができなかったなどのトラブルもある。このような場合は特に、当初の要望から変化してしまっているため落としどころを見つけることが難しい。時間だからと帰ることもできるが、目標を達成していないので全額払うことはできないと言われることも。また、掃除中に家具や食器などの破損リスクもあり、家事代行を請け負う場合は個人ではなく、業績のある家事代行斡旋業者を通すのが安心だ。

ケース2.契約書を交わさずWebライターを請け負い納品後に報酬減額交渉、泣き寝入り

40代女性のBさんがWebライターをしたときのこと。事前に依頼内容と報酬額を取り決めていたにもかかわらず、納品後に報酬額を下げたいと言われた。要求をのまなければ次からの仕事はない、と思い泣く泣くあきらめた。時給換算でいくと、当初の半分程度。原稿を書くときの調べものの時間や推敲する時間などを考えると、労力やコストが稼ぎと到底見合わない。近所の飲食店のアルバイトに切り替えようかと考えている。これについて、先の早瀬弁護士は次のように教えてくれた。「継続的な仕事ではない場合、事前に契約書や覚書を結ぶことはなかなかありません。そうなると、お互いの事前確認に頼るしかなくなります。記録をきちんと残していれば交渉の余地はあると思いますが、業界によっても慣習が違い、実現はなかなか難しいでしょう」早瀬弁護士が「難しい」と言う背景には、発注・受注両者の圧倒的な「力の差」が影響する。「この金額では厳しい」「この納期では難しい」と受け手が事前に言ってしまうと「では、別の人にお願いしようと思います」とそこで交渉は終了。覚書などを作ってほしいと希望を出しても、先方が面倒だと感じてしまえば、あっさり別の人に仕事がいってしまう。信頼関係が築けるまではマッチングとほぼ同じ感覚で行うことになるので、どうしても受け手の立場が弱くなるのは避けられない。

ケース3.家事も育児も境界がない「なんでも屋」。神経すり減らすベビーシッター業務

50代のCさんが始めたのが、ベビーシッター業。シッターのみの契約でお宅に伺っているのに、皿洗いや床掃除、お風呂掃除やトイレ掃除などもやってと言われることが多々ある。その間、依頼人は家にいて、われ関せずでゴロゴロ。子どもの命を預かっているだけでも緊張感があるのに「なんでも屋」だと勘違いされ、ストレスで身体を壊した。ベビーシッターが行える業務内容とは、通常、子どもの保育園や習い事などへの送り迎え、ご飯を食べさせる、子どもが食べるものの買い出し、一緒に遊ぶ、入浴時の見守りなど。ただ、ベビーシッターを請け負っている業者の中には、規定の中で子どもが服を汚したら、シミになりにくいように水洗いしておいたり、食事のあとは食器が洗いやすいようにつけ置きしておくなどもシッターの仕事として定めているところもある。家事と区別する際に微妙なところではあるが、決してシッターが服を洗濯したり洗い物をしたりすべきとは書いていない。事前にこうした仕事範囲を明示していても、依頼者からその範疇を超えた要望を受けてしまうことも少なくない。自分ひとりで他人の家へ行っていることもあり、判断も難しく断りづらいのが現状だ。これを防止するべく、多くのベビーシッター業務を請ける企業では、「よくある質問」などに請けられる依頼内容を挙げているほど。そこまでしているということは、つまり、仕事の範疇を超えた依頼がたびたびあるということだ。また、利用者にドタキャンされて収入が減ったというケースも。「今日は母に見てもらえることになったのでキャンセルにします」……前述のCさんは当日に軽く告げられ、ため息しか出なかったという。予定の終了時間になっても保護者が帰宅せず、連絡すら取れないという場合もあるそう。シッターの延長が可能な業者は多いが、請けている側からすれば、予期せぬ延長は勘弁してほしい。消費者庁には副業に関するトラブルの事案が記録されている。悪質なものや似たような事案が多いものは、注意を促すために情報が開示されているため、自分が似た経験をしていないか確認するのもおすすめ。次に紹介するのは「高額な報酬」をうたい、「手軽そう」と手を出してしまった例。ズバリ、詐欺のケースだ。

ケース4.チャットで相談に乗るだけの簡単なアルバイトのはずが…

10代の女性、Dさん。インターネットで「チャットで相談に乗るだけ」のアルバイトを見つけて副業サイトに登録。身分証明書を見せてほしいと相談者の男性に言われたため、保険証と学生証の写真を送った。後日、相手の男性から相談の報酬以外に20万円送ると言われた。ただし個人情報交換のため有料の手続きが必要と説明され、合計数万円を何度かに分けて送ってしまった。ところが一向にこちらの取り分の振り込みがない。「手続きがうまくいかなかったのでもう7万円送ってくれ」と言われ、騙されたと気づいた。こんなわかりやすい詐欺に引っかかるなんて……と思いがちだが、当事者であればつい甘い蜜に誘われてしまうこともある。直接会うリスクなしで、割のいい報酬を手に入れることができる……10代の若者ならばついつい手を出してしまいそうな事例だ。消費者庁のホームページでは、怪しい副業やアルバイトにおける特徴として、登録料などの名目で「より多くの報酬を得るために必要だから」といった誘い文句で、利用者にお金を支払わせるケースが多いと紹介されている。インターネット広告を安易に信じてはいけない。

ケース5.人気が出るよ、とうっかり登録「レンタル彼氏」で詐欺の痛い経験

高収入アルバイトを探して「レンタル彼氏」に登録した20代男性のEさん。サイトに自分の写真を掲載し、サイトの会員からデートの申し込みがあれば対応して報酬を受けるというもの。登録業者から「君は人気が出るよ」と太鼓判を押され、初期費用と月額サイト利用料をクレジットカードで決済。一度、依頼を受けたものの報酬は支払われず、収入を得るどころか月額サイト利用料でマイナスに。いつでも辞められると聞いていたのに、2年契約なので途中解約は不可だと言われてしまった。こちらも、「利用料」という名目で定額を搾取されているケース。友人や知人に誘われてこうした仕事を始めてしまう事例もあり、詐欺を防ぐのが難しい場合もある。少しでも不審に思ったら、警戒をと早瀬弁護士。このような場合は、お金を取り返すのは困難だと早瀬弁護士は言う。「お金を払ってしまったあとは、これまで連絡を取っていた業者の電話番号、メールアドレスが通じることはまずありません。そうなると、裁判所を通して請求を行うことになりますが、裁判とまではいかなくても弁護士費用が発生します。いつ終わるかわからない請求完了までの労力などを考えると『数万円だから……』と泣き寝入りする人は多い」また、騙されたことを恥ずかしいと思い、専門家に相談をしていない人も多くいるという。副業のメリットは本業の片手間にできるところ。副業で失敗していては手を出す意味がない……リスク回避のために一体何ができるだろう。「利用する副業の会社を事前に検索することです。過去に利用した人の口コミなどから、その会社のチェックをしっかりと行ってください」(早瀬弁護士)

お話を伺ったのは…早瀬智洋弁護士

弁護士事務所丸の内ソレイユ法律事務所所属。労働トラブル、企業法務を中心に依頼を受けている。

<取材・文/オフィス三銃士>



週刊女性PRIME / 2022年9月11日 13時0分


東組

 二代目東組は大阪府大阪市西成区山王1-11-8に本部を置き、大阪府堺市西区草部7-5 601号に本家を置く指定暴力団。

○略歴

初代の東清は池田大次郎が率いた池田組傘下、信貴組系組織の幹部だった。

1960年頃、信貴組の解散に伴い西成を本拠地として東組を結成。

1973年頃には120名を数えるまでになっていた。

1993年8月、暴力団対策法に基づく指定暴力団に指定。

森田組組長・森田至郎が組長に就任したが、会津小鉄会との舎弟縁組問題で、東清により絶縁・除名(抹消)となった。 2010年、若頭・滝本博司が二代目を継承。東組本家から二代目東組に改称。

2014年、総長東清が死去。

2022年2月28日、人事に関係し、二代目東組内部分裂により及び、二代目滝本組系を優先昇格させた反発で、二代目東組は、副組長、二代目清勇会会長・川口和秀を絶縁、若頭である三代目森田組組長、田村順一、若頭補佐、司成会会長である土方基成を除籍、二代目東組若中を含め、「清勇会」組員も全員除籍し解散。家名は抹消。

○系譜

初代-東 清

組長-森田至郎-絶縁(抹消)

二代目-滝本博司

○二代目東組組織図(2022年4月)

組長:滝本博司

・執行部

舎弟頭-稲葉浩二(稲葉組組長)

若頭-中江常雄(二代目滝本組組長)

若頭代行-斌 尚人

本部長-木村純壹(二代目滝本組特別相談役・木村組組長)

若頭補佐-宮脇信行(三代目赤松組組長)

慶弔委員長-奥山康行(稲葉組副組長・奥山組組長)

秘書室長-福本祐二(二代目滝本組舎弟頭)

・組長相談役

桜井正友(桜井会会長)

・幹部

神田英樹(二代目滝本組若頭・二代目司道會會長)

小村博文(二代目久住組組長)

・直参

木村雄治(四代目関谷組組長)

林久三(林組組長二代目滝本組顧問)

森岡憲史(二代目田村組組長)

・本家付

土井圭希

西村智(二代目滝本組舎弟頭補佐)

初田孝治(二代目滝本組本部長・木村組若頭)

中嶋雄治(二代目滝本組行動隊長 二代目司道會若頭)

竹本勉(三代目赤松組若頭)

稲葉秀司(稲葉組若頭)

笠原貴士(四代目関谷組若頭)

市野保

和田寿治



2022年9月10日土曜日

滝本組<東組

 二代目滝本組は大阪府大阪市西成区山王1-7-17に本拠を置く暴力団で、指定暴力団・二代目東組の二次団体。

○略歴

元・解散した清勇会の傘下であった。

○滝本組系譜

初代-滝本博司

二代目-中江常雄

○二代目滝本組組織図(2022年4月)

組長-中江常雄(二代目東組若頭)

・最高幹部

舎弟頭-福本祐二(二代目東組秘書室長)

若頭-神田英樹(二代目東組幹部・二代目司道會會長)

行動隊長-中嶋雄治(二代目東組本家付・二代目司道會若頭)

本部長-初田孝治(二代目東組本家付・木村組若頭)

舎弟頭補佐-西村 智(二代目東組本家付)

若頭補佐兼事務局長-倉貫幹也

事務局次長-黒川宗英

顧 問-林久三(二代目東組直参)

特別相談役-木村純壹(二代目東組本部長・木村組組長)

・舎弟

舎弟-矢野 司

舎弟-青山隆博

・若中

組長付-北野朋広

若中-中井 鉄

若中-中井貴一

若中-早川 創

若中-田村真吾



2022年9月1日木曜日

先週のサイバー事件簿-国税庁からの税金未納を騙るフィッシング拡散中

 8月22日週にかけて発生したセキュリティに関する出来事や、サイバー事件をダイジェストでお届け。

○国税庁を騙るフィッシングメール

国税庁を騙るフィッシングメールが拡散している。メール件名の一例は以下の通り。

未払い税金のお知らせ

【未払い税金のお知らせ】

税務署からの【未払い税金のお知らせ】

【督促状】滞納した税金がございます

【国税庁】最終通知

【国税庁】差押最終通知

<未払い税金のお知らせ>

NV TRUSTカードお取引のご確認 番号:M****

メールでは、所得税の督促について期限までに納付しないと不動産などを差し押さえるなどと記載しており、支払いサイトへと誘導。誘導先は国税庁を模したフィッシングサイトだ。メールアドレスやクレジットカード情報などの入力欄があり、入力すると情報窃取の可能性がある。8月23日の時点でフィッシングサイトは稼働中なので注意したい。

○大阪市福祉局、「大阪市認知症高齢者等見守りネットワーク事業」の受託者が個人情報を漏洩

大阪市福祉局は、2022年8月5日に西淀川区で判明した「大阪市認知症高齢者等見守りネットワーク事業」での個人情報漏洩について、港区と旭区でも誤って登録したメールアドレスへメールを送信し、個人情報が漏えいしていたことを明らかにした。今回の情報漏洩は、西淀川区で判明した情報漏洩を受け、各区で同様の事案がないか確認したところ発覚。協力者として登録しているメールアドレスを全件チェックした際、港区で2022年6月21日に登録した協力者のメールアドレス1件と、旭区で2021年7月28日に登録した協力者のメールアドレス1件に誤りがあった。これにより、港区で1件、旭区で75件の氏名、性別、年齢、不明時の服装、本人写真などが漏洩した。港区の事案では対象者に謝罪し、メールは開封することなく削除したことを確認している。旭区の事案については現在も謝罪と状況説明を続行中。事案発生の原因として、協力者のメールアドレスを登録する際とメール送信時に、複数名で確認を行わなかったことを挙げている。

○SOMPOホールディングスの台湾グループ会社が不正アクセス被害

SOMPOホールディングスは、台湾にあるグループ会社「SOMPO Taiwan Brokers」がサイバー攻撃を受けたことを発表した。発覚後、被害の拡大を防止するためにネットワークを遮断。各種システムの利用も停止した。同社は被害内容の特定に努めており、現時点においては顧客情報、同社グループの機密情報などの流出はないとしている。情報流出の有無などについては、外部の専門機関と協力して調査を進めている。不正アクセスは「SOMPO Taiwan Brokers」のみで発生したもので、ほかのグループ会社などに影響はないという。

○H.I.S.ホテルホールディングス、ウイルス感染で個人情報流出

H.I.S.ホテルホールディングスがサイバー攻撃を受け、運用している端末がウイルスに感染した。2022年7月14日の深夜、石川県金沢市「変なホテル金沢 香林坊」の無人チェックインシステムの管理PCにおいて、データ消去の事案を確認。ただちにチェックインシステム(自動精算機)提供会社へ連絡し、7月15日に管理PCがウイルス攻撃を受けた痕跡を確認した。これを受けネットワークから機器を切断。7月25日には、個人情報流出の可能性があることも判明している。流出した可能性があるのは、2019年12月24日~2022年7月14日の期間に宿泊した顧客情報(最大34,425人分)。の詳細は、チェックイン時に入力した氏名、住所、電話番号、年齢、国籍、メールアドレス、職業、会社名、パスポート番号、同室者氏名、署名データ、パスポートスキャンデータなど。クレジットカード情報は含んでいない。同社は調査を進めるとともに、該当する顧客の個人情報を悪用する事象が発生した場合、適切な措置を講じるとしている。

○ブランド古着を取り扱う「ベクトルパーク」でクレジットカード情報流出

ベクトルが運営する「ベクトルパーク」が不正アクセスを受けた。これにより顧客のクレジットカード情報(18,136件)が流出した可能性がある。不正アクセスは、システムの一部の脆弱性をついたペイメントアプリケーションの改ざんによるもの。2021年12月7日に、所轄警察署の岡山県警サイバー対策課からの連絡を受けて発覚した。社内調査を実施したところ不正プログラムを発見。これを除去し、2021年12月29日にカード決済を停止した。その後、第三者機関に調査を依頼。2020年4月27日~2021年12月22日の期間に商品を購入した顧客のクレジットカード情報の流出が判明した。一部は不正利用の可能性もあるという。流出情報の詳細は、カード名義人名、クレジットカード番号、有効期限、セキュリティコード、ログオンID、パスワード。同社はクレジットカード会社と連携し、流出した可能性のあるクレジットカードのモニタリングを継続。顧客に対しては、クレジットカードの利用明細書に身に覚えのない請求項目がないかを確認するよう呼びかけている。再発防止策として、システムのセキュリティ対策と監視体制の強化を実施。「ベクトルパーク」のクレジットカード決済再開日は決定しjだい告知するとしている。

○プラネックス、トラベル無線LANルータ「ちびファイ3」に脆弱性

プラネックスコミュニケーションズのコンセント直挿型トラベル無線LANルータ「ちびファイ3」にて脆弱性が公開された。対象は「MZK-DP150N Version.1.44よりも前のバージョン」となる。脆弱性は、初期設定で設定画面へのログインアカウントがすべての機器で共通になっていること。これにより、本製品に存在する非公開の管理者向け画面へのアクセスが可能となる。設定画面にログインしたのち、管理者権限で任意のOSコマンド実行の可能性があるという。すでにこの脆弱性を解消するファームウェアが公開されている。

○Mozilla、 Firefoxのメジャーアップデート版「Firefox 104」

Mozilla Foundationは8月23日(米国時間)、Firefoxの最新バージョン「104.0」を公開した。延長サポート版である「Firefox ESR 91.13.0」、および「102.2.0」もリリースしている。今回のアップデートにおけるセキュリティ更新は6件。内容は、高4件、低2件。「高」では、アドレスバーのなりすまし、メモリ安全性のバグなどがあり、これを修正している。

機能面では、ピクチャーインピクチャーで「Disney+」のサブタイトルが利用可能に。また、Apple M1およびWindows 11で、FirefoxプロファイラーからWebサイトによる電力消費が解析できるようになった。


マイナビニュース/2022年8月30日7時0分


そういえば僕が使っているフリーメールにも何回か来ていましたね。削除したけど。

国税庁のホームぺ時に次の湯なことがかかれていたので報告しておきます。

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「国税局税務課」を名乗った不審なメールにご注意ください

最近、「国税局税務課」などと国税局をかたったメールが送信されております。

  国税局や税務署では、


・電子メールで納税に関する催告や還付のお知らせを行っておりません。


このようなメールを受信した場合は、税務職員をかたった偽メールであると考えられますので、送信されたメール本文のリンクアドレスを安易にクリックしないようご注意下さい。


ご不審な点があるときは、国税局又は所轄の税務署までお問い合わせください。


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https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/topics/info070323.htm


2022年8月21日日曜日

家族が死亡したとき、銀行口座はどうすればいい?

 ○家族が亡くなった後の、預貯金や有価証券などの相続手続きのポイント

相続が発生し被相続人に金融資産つまり、預貯金や株などの有価証券がある場合、その金融資産を相続人が引き継ぐための相続手続きが必要になります。思いのほか手間や費用がかかるため、全体の流れを把握しておくことが大切です。

○まずは相続手続きの全体の流れを知っておこう

被相続人名義の金融資産を相続人が引き継ぐ流れは以下のようになります。

・被相続人が取引をしていた金融機関を確認する

・戸籍謄本や印鑑証明書を取得する

・各金融機関に問い合わせ、残高を確認する

・残高が確認できたら引き継ぐ(名義変更や解約する)ための必要書類を準備する

・必要書類が整ったら各金融機関に相続手続きを依頼する

・相続手続きが完了したか確認する

1. 金融機関の確認

最初に行うのが金融機関の確認です。通帳、カード、証書、報告書、配当通知などから被相続人が取引していたと思われる銀行や証券会社などの金融機関をリストにしましょう。金融機関は相続が発生したことが分かると全ての取引を凍結してしまうため、まだ連絡はせずに先に通帳の記帳などをしておくとよいでしょう。

※民法改正により、凍結した預貯金の口座であっても当面の生活費が引き出せるようになりました。

2. 戸籍謄本、印鑑証明書の取得

金融機関への残高の確認や相続手続きには、戸籍謄本や印鑑証明書が必要になります。なお、ほとんどの金融機関で、戸籍謄本や印鑑証明書は提示後に返却を依頼すれば戻してもらえます。金融機関の数と同じ数の戸籍謄本や印鑑証明書を取得すると費用がかさみ、最終的には余ってしまいますので、1通ずつ用意すればよいと思います。

また法務局の法定相続情報証明制度を利用すれば、その後の手続きもスムーズですのでお勧めです。

3. 各金融機関への問合せ

取引先が分かったら、各金融機関に問い合わせ(この時点で口座が凍結されます)、残高の確認(相続発生日時点の残高証明書の発行)を依頼します。念のため「他の支店にも取引がないか」「全て(預貯金、出資金、有価証券など)の残高」の確認を依頼しましょう。

依頼後1~2週間程度で証明書が発行されます。原則として依頼時に必要なものは以下の通りです。

・被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本

・依頼者が相続人であることが分かる戸籍謄本

・依頼者の身分証明書、実印、印鑑証明書(発行から3カ月以内などの条件あり)

・残高証明書発行手数料(各金融機関によって異なります)

・各金融機関の所定の依頼書に自署・実印(経過利息や解約金額の証明も依頼するとよい)

4. 相続手続き書類の準備

全ての残高が確認できたら相続手続きを行うための準備をしましょう。預貯金は名義変更か解約のどちらも可能ですが、有価証券は原則は相続人の口座に移し替える(移管)のみとなりますので、相続人の口座がない場合は口座開設が必要です。

ゆうちょ銀行は他の銀行には振り込めないため、相続人の口座がない場合は口座開設をするか、払戻証書を受け取って窓口で現金化することになります。原則として、相続手続きに必要なものは以下の通りです。

・被相続人の出生から死亡までが確認できる戸籍謄本

・相続人全員の戸籍謄本

・相続人全員の印鑑証明書(発行から3カ月以内などの条件あり)

・各金融機関の所定の依頼書を入手し相続人全員の自署

・実印(遺産分割協議書があると取得者のみの自署・実印の場合あり)

・遺産分割協議書(ある場合)

・被相続人の通帳、カード、証書など

・マイナンバー(通知カード、個人番号カードなど)の写しを要求されることもあります

5. 相続手続きの依頼

相続手続きに必要な書類などが全て整ったら、各金融機関に相続手続きの依頼をします。依頼時は念のため依頼者の身分証明書と実印も持参しましょう。なお各金融機関の窓口での手続き時間は30分~1時間程度かかるため、複数の金融機関を回る場合は1日がかりになることもあります。時間に余裕がある平日に行うことをお勧めします。また事前に金融機関へ訪問の予約などの連絡をしておくとスムーズです。

6. 相続手続き完了の確認

概ね1~2週間程度で相続手続きが完了します。各金融機関での手続きが完了したか、相続人(受取人)の通帳を記帳するなどで確認しましょう。振り込まれていれば無事完了ということになります。金融機関の窓口での一般的な相続手続きの流れについて説明しました。郵送で行う場合や遺言がある場合などは、流れや必要な書類などが少し異なるので、各金融機関に確認してみましょう。金融機関の相続手続きは、数が多いととても大変です。生前に口座数を整理しておいたり、取引機関や支店名をリストにしておくことも、大事な相続対策の一つです。

文:小野 修(ファイナンシャルプランナー)

税理士法人レガシィ所属のAFP。年に100件超の相続相談・対策を担当。資産家やトラブル事案を得意とする。相続が発生した人だけでなく、将来の相続が心配な人の生前対策、相続後の節税プランニングなども行っている。

(文:小野 修(ファイナンシャルプランナー))

オールアバウト / 2022年8月20日 18時30分


2022年8月6日土曜日

知らないと怖い「税金と確定申告」の常識。その支出は経費にならないかも

 ミュージシャン、Youtuber、ライター……クリエイターとして、創作を楽しく、長く続けるためには、知っておくべきお金、ビジネスモデル、マナー、法律や契約のことが多々あります。クリエイターパートナー事業を展開する「しろしinc.」CEOの山田邦明さんは、弁護士としても、会社の代表としても、多くのクリエイターたちと仕事をしてきました。そんな山田さんが創作活動を続けていくために必須のスキルなどをまとめた著書『クリエイター1年目のビジネススキル図鑑』(KADOKAWA)が5月に発売になりました。今回は同書から、「税金の基本的な考え方」「確定申告( 青色、白色)」について一部抜粋します。

◆税金ってどんな種類があるの?

雇用契約による給与の場合、何らの手続きなく自動で税金を引かれて処理されます(天引きといいます)。そのため、会社に勤めている人は、税金を意識することが少ないと言えます。一方でクリエイターとして活動していく中で、給与以外の収入を得るようになると途端に税金が常に頭をちらつくようになります。そこで、まずはクリエイターとしておさえておくべき代表的な4つの税金の概観を見てみましょう。

【所得税】

1年間の所得に対して課される税金。所得によって税率が変化する。

【住民税】

自分の住む都道府県や市町村によって課される税金。

【個人事業税】

個人事業主の事業内容に応じて課される税金。

【消費税】

商品などを販売するときに課される税金。

◆税金はいつどうやって払えばいいの?

給与から税金の天引きがなされない場合、それぞれの税金によって支払いタイミングが異なります。支払い方法と合わせるとこちらの一覧になります。

【所得税】

2月16日~3月15日の間に確定申告を行い、納税する。

【住民税】

6月頃に届く納税通知書を受け取り、書類記載の期限までに納税する。

【個人事業税】

8月頃に届く納税通知書を受け取り、書類記載の期限までに納税する。

【消費税】

(対象者は)3月末日までに確定申告を行い、納税する。

「住民税」と「個人事業税」は、それぞれ届く納税通知書に記載されている金額を銀行等の金融機関で納税します。一方で、「所得税」と「消費税」は確定申告を自ら行い、その後納税することになります。「税金」は急に何か書類が届いて、お金が出ていく、と思っていると不安になるのですが、大きく4つの税金があって、それぞれ支払時期が決まっていると分かっていれば過度に怖がる必要はありません。また、給与の場合と比べて過度に損をしているということもありませんので、安心してください。

◆恐れることはない「確定申告」の常識

クリエイターが絶対に避けて通れないのが「確定申告」です。この確定申告の時期が近づくとSNSなどでは、クリエイターの悲鳴が多く聞こえますが、適切に理解しておけば、あまり恐れることはありません。ここでは確定申告についての理解を深めて、自分のやりやすい形を探していきましょう!確定申告とは、一般的に所得税の確定申告のこと。1年間の所得(売上から経費を差し引いた利益)をとりまとめ、所得にかかる税金を計算して確定させ、国(税務署)に納めるべき税額を報告(申告)する手続きのことをいいます。1年に1回、1月1日から12月31日の「所得」と「納める税額」を計算し、原則として、その翌年の2月16日から3月15日の間に税務署に報告・納税します。確定申告をしなかった場合、「納める税金に最高税率20%の無申告加算税がかかる」「納める税金に最高税率14.6%の延滞税がかかる」「青色申告特別控除の枠が、最大65万円から最大10万円に減額される」のようなリスクがあります。

◆私は確定申告すべき?しなくても大丈夫?

確定申告の対象者は、課税所得がプラスの方です。つまり、確定申告の対象かどうかは、

①売上の確定

②経費の確定

③各種控除の確定

を行い、課税所得を確定することで判断できます。売上については分かりやすいと思いますので、ここからは、「経費」と「各種控除」について見ていきましょう。

※ただし、課税所得がマイナスであったとしても、確定申告をすることは可能です。それによるメリットもあるので、気になる方はインターネットで「赤字 確定申告」などと調べてみてください。

◆経費なるかは「売り上げにつながるか」

経費とは、事業を行うために使用した費用のこと。つまり、その支出が経費になるかならないかの判断基準は、「売上につながるかどうか」です。そのため、同じ支出でも、事業内容によって経費になるかどうかが変わってくることがあり、それがクリエイターの混乱を招いているといえます。たとえば、「漫画」を購入した場合を例にしてみましょう。漫画家にとって他の人の漫画を研究することが自身の漫画の創作に活きるというのであれば、その漫画の購入代金は経費になります。一方で、完全に趣味で好きな漫画を買っている場合には、経費にすることはできません。このように、自身の事業の売上につながるか否かで分別し、経費を考えていきます。一般的には、このようにまとめることができます。

◆経費になるもの、ならないものとは?

【経費になるもの】

・事務所の家賃や光熱費等(自宅が事務所の場合は自宅の家賃や光熱費の一部を経費にすることができる)

・仕事に必要(常識の範囲内で「仕事に必要」と説明できればOK)な機材

・クライアントとの交際費

・仕事に必要な交通費

・仕事に必要な書籍や資料…など

【経費にならないもの】

・プライベートで使うもの

・住民税や所得税

・友人や家族との飲食費

・使っていない原材料

・在庫の商品…など

レシートや領収書。個人事業主になる前は、ただのゴミだと思っていたものが、金券に見え始めます。レシートや領収書をもらったら、しっかりと保存しておきましょう。飲み会や結婚式なども、あくまで売上につながる必要がありますが、経費にすることが可能です。あらゆる自分のお金を使う場面を、一度「経費になるか?」の観点で洗い直してみることをおすすめします。

◆寄付金、扶養…各種控除って何?

各種控除の中には所得控除というものがあります。代表的なものには、本人や家族などの1年間の医療費が一定金額を超えた場合に受けられる「医療費控除」、社会保険料を払っていると受けられる「社会保険料控除」、生命保険料や介護医療保険料、個人年金保険料などを払っていると受けられる「生命保険料控除」。ふるさと納税を行うと受けられる「寄付金控除」、扶養家族がいる場合に受けられる「扶養控除」、合計所得金額が2,500万円以下の場合に誰でも受けられる「基礎控除」などがあります。これに加えて、青色確定申告をする場合には、「青色申告特別控除」などもあります(より詳しくは国税庁Webサイトで確認してみてください)。改めてまとめると「売上」を確定し、「経費」「各種控除」を引いてプラスになる人は確定申告が必要、マイナスの人は確定申告が不要、となります。なお、青色申告で「売上」ー「経費」がマイナスの際にも、来年以降に繰り越せる場合があるので、申告したほうがよい場合もあります。

<TEXT/しろしinc.CEO 山田邦明>

【山田邦明】

クリエイターパートナー事業を展開する「しろしinc.」CEO。岡山県津山市出身。京都大学法科大学院を卒業後、スタートアップ向け法律事務所で弁護士として活動。知的財産や資金調達に関する契約業務などに従事。 その後エンターテインメント会社アカツキに初期からジョイン。管理部門の立ち上げ、IPO業務の主担当として、上場に貢献


bizSPA!フレッシュ / 2022年7月19日 8時46分


欧米景気後退で日本人がさらに「貧しく」なる根拠 ほかの国より世界情勢の影響を受けやすい理由

 金利上昇とウクライナ侵攻によってアメリカとヨーロッパが景気後退に陥った場合、日本はうまくやれるだろうか。歴史を手がかりとするのなら、「やれない」というのが筆者の答えだ。それはすべて欧米の景気後退(起きればの話だが)の深刻さ次第である。というのも、歴史上の記録から見れば、日本経済は、他国発の景気後退をはじめとする経済的ショックに対して、甚大な反応を起こしやすいということがわかる。

○日本人の生活水準は継続的に低下

もし歴史が繰り返されるのなら、このことは2つの好ましくない結果をもたらし、長期的に尾を引くだろう。第一には後述するように、大部分の日本人が生活水準の継続的な低下を経験することである。それは大多数の労働者の実質賃金の低下や高齢者1人当たりの社会保障支出の削減といった形をとる。第二は、アジアにおける日本の影響力が低下し続け、中国に対抗する力が弱まることである。2021年版「アジア・パワー・インデックス」が報告するところによれば、すべての分野において、日本のパワーは「初めて大国とみなされる閾値である40ポイントを下回り、高パフォーマンスの中堅国として考えられている」と報告している。アジア内の経済関係(貿易、投資、技術的リーダーシップといった「経済的相互依存関係を通じて影響力とレバレッジを行使する能力」)に関しては、日本のスコアは、インデックス算出を開始した2018年の56点から、2021年の40点に落ちた。これに対し、中国のスコアは96点から99点に上昇した。日本は自由貿易協定や安全保障問題での協力、軍事力の強化などを通じて影響力を高めようと努力しているが、日本の経済的重要性の相対的な低下を克服するには十分ではない。他国がより迅速に影響力と交流関係を拡大する中で、日本はつねに後れをとっている。例えば、2021年のアジア太平洋25カ国の輸出品に占める日本の割合はわずか9%であるのに対し、中国の割合は33%に増加している。この趨勢に加えて、他の観点でも同様の傾向がみられた結果、貿易に関する日本のスコアは2018年の37点から2021年の25点に急落した。地域投資については、2018年の日本のスコアは79対83と中国に近いものだったが、2021年には56対97と大きく引き離されている。要するに、日本の経済的弱点は、生活水準のみならず、国家安全保障に対する脅威でもあるのだ。

○世界的なショックでより大きな打撃を受ける日本

概観すれば、世界的、国内的なショックが発生した場合、日本経済は他の富裕国と比べてより大きな打撃を受け、その被害はより長期間持続することがわかる。2008?2009年の世界的な金融危機を考えてみよう。日本の金融システムは、この災いを引き起こした不正行為にほとんど関与していなかった。しかし、2007?2009年には、日本のGDPは5.6%低下した。これは、OECD(経済協力開発機構)に加盟している富裕国23カ国の中で21番目に大きな落ち込みを見せた。OECD全体のGDP低下率は、その半分未満の2.5%にすぎない。その次には、新型コロナウイルス感染症が流行した。日本は他の富裕国に比べて患者数も死亡者数もはるかに少なかったにもかかわらず、それに伴う封じ込め対策と、サプライチェーンにおけるボトルネックによって、経済的にはるかに大きな打撃を受けた。さらに悪いことに、新型コロナは2019年の消費税引き上げによる負担と重なった。その結果、2022年1?3月期の日本の1人当たり実質GDPは、3年前の2019年春と比べ、いまだに2.6%低い水準にある。一方、他のOECD諸国では、同期間のGDPは2%上昇した。スペインを除けば、日本のパフォーマンスはOECDの中で最悪だった。実際、2度の消費税増税(2014年と2019年)と新型コロナの流行の結果、2022年1?3月期の日本の実質GDPは、ほぼ9年前になる2013年と比較して2%しか増えていない。個人消費は2013年に比べて3.4%減少している。

○なぜ日本はこれほど脆弱なのか

他国では比較的軽度で一時的な影響しか及ぼさないショックが、なぜ日本ではこれほどの被害をもたらすのだろうか。その理由は、近代的な成長理論の大原則に日本が抵触していることにある。1960年代から、経済学者の間では、市場経済がマクロ経済の不安定化を回避するためには、その成長は「均衡」をとらなければならない、すなわち、GDP、個人の所得、消費、投資が長期的には、大まかには同一のペースで成長しなければならない、ということが知られていた。失われた数十年の間に、個人所得はGDPの成長に後れをとるようになり、その状況は時間とともに悪化している。このような不均衡は他の富裕国でも見られるが、日本ではより深刻である。言い換えれば、GDPの成長が鈍化しただけでなく、その成長の果実が賃金、年金、預金金利などを通じて国民に行き渡る量が少なくなっているのである。1995年から2018年まで、1人当たり実質GDPの成長率は総計17%であり、OECDの中で2番目に低い成長率だった。日本は小幅な成長を遂げたものの、今や人口の3分の1近くを占める高齢者の可処分所得の中央値は11%もの大幅な暴落を記録した。現役世代については可処分所得の中央値が2%落ち込んだが、これは主に実質賃金上昇の停滞によるものである。この結果、2種類の不安定性が生じた。第一は、日本が、消費を促進し、慢性的な不況を回避するために、数十年にわたる巨額の財政赤字と、ゼロに近い低金利に頼ってきたことである。第二は、こうした財政・金融政策を実施してもなお、経済は経済ショックに対する耐性を失ってきた。一言で言えば、家計所得の低迷がGDPにブーメランのように返ってきて、日本の成長率を下げているのである。その詳細を見てみよう。

○政府予算によって賄われる個人消費

「失われた20年」の間に民間部門の所得が伸び悩んだため、政府からの現金給付に対する家計支出の依存度はますます大きくなった。1980?1992年当時、家計所得の増加分の85%は、賃金、自営業収入、家賃、配当、利息、個人年金、保険年金など民間部門の所得の増加によるものだった。社会保障やその他の社会扶助など、政府による現金給付の増加によるものは、わずか15%であった。その後、大きな反転があった。1992年以降、民間部門における所得向上は蝸牛の歩みにまで減速した。30年近くもの間、達成された伸び率はわずか4%、実質(物価調整後)年率で言えば0.1%しかなかったのである。一方、大幅な財政赤字で賄われた政府の現金給付は、2倍以上に増加した。その結果、家計所得の伸びの4分の3近く(72%)が政府の現金収入によるものとなった。民間所得の増加が寄与したのは28%にすぎない。政府の赤字支出がなければ、個人消費ははるかに弱く、したがって、GDPもさらに悪化していただろう。したがって、2008?2009年の不況以来、社会扶助の伸びが著しく減速したことは、将来の重要な前兆である。1992?2008年に政府の現金給付は年間3.2%増加したが、2008年以降は1.7%と増加ペースが半減している。この減速が続くか、さらに悪化すれば、消費を適度なペースで伸ばし続けるには、民間所得の大幅な回復が必要となる。もう1つ、見落とされがちな要因がある。家計は消費を維持するために、貯蓄をほとんどしなくなり、日々の暮らしに追われるようになった。1980年代前半、家計の貯蓄率は可処分所得(税引後)の約16%であった。日本人は貯蓄する文化があるという神話が生まれるほどである。ところが、貯蓄率は1980年代後半にやや縮小し、その後、失われた数十年の間に急落。2013?2015年にはマイナスにまで落ち込み、2016?2019年には平均1.3%という低水準にとどまっている。

○潜在成長率を下回る経済

こうしたことが原因で、日本経済は経済的なショックを吸収する能力が低下している。通常の景気循環では、経済の実質GDPは潜在GDPと呼ばれる水準の上下を行き来する。潜在GDPとは、雇用が比較的完全に近く、物理的な生産能力が相対的にフルに近い水準で発揮された場合に達成されるGDPの水準である。したがって、潜在成長率とは、経済が持続的に成長しうるペースのことである(経済が潜在成長率を大きく上回ったペースで成長しようとすれば、たとえわずかな期間であっても、インフレやサプライチェーンの問題など、さまざまな金融的・物理的ストレスを引き起こすことになる)。景気後退が生じると、消費者と企業の双方に累積需要が蓄積される。一時的な財政・金融刺激策によって景気後退からの回復が促進されると、この累積需要が解放され、経済はフル稼働に戻り、その勢いによって以前の稼働力をわずかに上回る。ここで重要なのは、このようなサイクルを通じて経済が平均的に潜在成長率近くの水準を推移し続けることである。しかし、日本では、景気が打撃を受けると家計の手持ち資金が不足し、回復後も活発な消費を再開することができない。また、消費者の購買力が弱いため、企業は設備投資を控えてしまう。その結果、財政・金融面での景気刺激策による早期回復の効果は弱まっている。過去30年間、日本のGDP成長率は平均して潜在成長率を1.2%下回ってきた。その結果、1人当たりのGDPは年率0.6%増という蝸牛の歩みさながらのペースで推移してきた。要するに、日本には2つの問題がある。第一は、生産性の伸び悩みにより、潜在成長率が低下していること。第二は、その潜在成長率すら達成できないことである。

○マクロ経済の不安定性をさらに加速させる円安

急激な円安は日本におけるマクロ経済の不安定性をさらに悪化させている。円安は輸入品の円価を上昇させ、したがって、消費者の購買力のさらなる低下を招いている。消費者支出の40%近くは、エネルギー、食料、衣料、履物など、輸入品が占めている。消費税増税を差し引いても、これらの品目は2012年から16%値上がりしている。一方、個人消費の残りの60%を占める品目の物価は、同期間にわずか1.5%しか上昇していない。つまり、2012年以降の消費者物価指数(税引)の上昇分の93%は、輸入への依存度が高い品目によってもたらされているのである。そして、2021年初からの上昇の100%は、こういった輸入に大きく頼った品目によるものだ。連邦準備制度理事会(FRB)が用いるコアインフレの指標(食料とエネルギーを除いたすべての品目)を基準にすると、2021年1月以降のインフレ率はゼロである。日本は、円安によって日本の家計から石油、食料、衣料などの海外生産者に所得が移転する「悪いインフレ」に見舞われているのだ。これはOPECによる石油価格の上昇と同程度に有害である。同時にこれは、日本の家計から日本の多国籍大企業に所得が移転していくことにもなる。円安が続くかどうか、またいくらまで進むかは誰にもはっきりとはわからないが、年末には1ドル140?150円になると見るトレーダーは増えている(本稿執筆時点では139円台)。そうなれば、消費者の購買力の足をさらに引っ張ることになる。

○アベノミクスから脱却できなそうな日本

読者は、ここでの主張が、岸田文雄首相がロンドン演説で宣言した内容と似ていることにお気づきだろう。首相は「これまで賃金の伸びは限られてきた。それが消費を抑制し、ひいては経済全体の成長を妨げている。日本は生産性を高め、生産性とともに賃金が上昇するようにしなければならない」と述べた。さらに、岸田首相はアベノミクスの特徴である「トリクルダウン理論の失敗を覆す」ことを誓った(故・安倍晋三元首相を名指しで批判することはなかったが)。安倍元首相は、円安が企業収益を上げ、インフレ率を上げると主張した。その結果、企業は賃金を上げ、新規設備への投資を拡大し、消費とGDPを向上させることになる。しかし、現実には、企業収益は急増したものの、そこからトリクルダウンした(滴り落ちた)のは微々たるものだった。それどころか、所得が下位所得層から上位所得層に転移するトリクルアップが起きた。残念ながら、岸田首相は、正しい診断を下しながら必要な薬を出さない医者のようだ。代わりに彼が提供するのは、美辞麗句を並べたプラシーボ(偽薬)だけだ。


リチャード・カッツ:東洋経済 特約記者(在ニューヨーク)


東洋経済オンライン / 2022年7月20日 8時0分


富田裕樹元池田市長の言い訳

 【サウナ市長と呼ばれて/第1回】元池田市長「なぜ私は市長控室に家庭用サウナを持ち込んだのか」

空前のサウナブームの到来で、全国のサウナ施設はどこも満員御礼。「サウナー」と称されるサウナ愛好家たちが“ととのい”という名の悦楽を求めて行列をなす一方、サウナがきっかけで身を崩した男がいる。彼の名は冨田裕樹(45)。2019年4月に大阪府池田市長選挙に出馬し当選するも、市役所内の市長控室に家庭用サウナを持ち込んだことが問題視され、百条委員会を設置されるまでに発展。パワハラ疑惑なども噴出し、2021年7月で辞職に追い込まれた男である。あの騒動から1年。「サウナ市長」と呼ばれた冨田氏は妻と子を大阪に残し、単身で東京にいた。彼はいま何を思い、あの騒動と結末をどう飲み込んだのか。元サウナ市長の知られざる苦悩の日々を追った──【全3回の第1回】。

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そもそも、あの騒動が明るみに出たのは冨田氏が池田市長に就任して一年半後のこと。2020年10月に配信された『市役所に勝手に住み着いた大阪「池田市長」家庭用サウナも持ち込んだ証拠動画』というネット記事からだった。「私が市長に着任したときから、完全にアウェイの風が吹いていました。前の市長は市議を20年、市長を20年やっていて、役人も部下もみんなファミリー意識が強く、多くのコネや既得権益が存在するといった完全なるムラ社会でした。そのため、私を蹴落とすためにさまざまな嫌がらせを受けてきたので、そのたびにデイフェンスして跳ね除けながらなんとか公務を遂行してきました。家庭用サウナやパワハラ疑惑が報じられたときは、『マスコミに売ったか』、『いよいよここまで来たか』という感じでしたね。家庭用サウナを市長控室に持ち込んだ理由は2点。ひとつは、学生時代にアメフトをやっていたため首のヘルニアになり過去に4回も手術しているのですが、実は公務中にも頸椎に痺れが出始めまして。サウナの中で首をけん引したり、体を温めることで体調管理をする必要があったから、家庭用サウナを市長控室に設置して昼休みにだけ使わせてもらうことにしました。そしてもうひとつは、旧体制から執拗な嫌がらせを受け続けていたため、いずれ家族にも危害を加えられるのでは……と考えるようになりまして。私に危害が及ぶのはまだいいとして、それが家族に及んだら悔やんでも悔やみきれません。そのため妻と子供には別の家に引っ越してもらい、私だけ小さな部屋で暮らし始めたのです。これまで使っていた家庭用サウナを単身用の新居に持ち込むことはスペース的に難しかったため、秘書とも話し合いながら、『体調管理もあるし、一時的に置かせてもらってもいいかな』ということで、家庭用サウナを市役所に移送することにしたんです。落ち着いたら広い部屋に引っ越しをして、そこにサウナを移送するつもりでした」(冨田氏、以下同)

しかし、折しも空前のサウナブーム。「公務中にととのっているのか?」との市民からの鋭いツッコミが広まり、冨田氏は窮地に立たされることに。すぐさまサウナ利用時の電気代を返還したが、その額が合計690円という破格の安さだったことがさらなる注目を集めた。サウナーの間では「ちょっ! 家庭用サウナはこんなにも電気料金が安いの?」と話題になり、冨田氏が使用していた家庭用サウナ『ナチュラルスパ コンパクト』は実際に売り上げがアップしたという。「電気料金は市役所のものですので、返還するのは当然です。家庭用サウナを持ち込んで実際に使用したのが30日。使用時間も含めて関西電力の計算式と照らし合わせて、誠実に使用料金を出させていただきました。後遺障害の症状緩和という理由があったにせよ、やはり公人たるもの、公私混同と誤解を招くようなことはやってはいけないと深く反省しております」冨田氏への糾弾は家庭用サウナだけにとどまらず、「自転車型トレーニング器具やストレッチ器具を市長室に持ち込んだ」「市長室でキャンプ用の鍋でラーメンを調理し、芋を湯がいた」などといった行為が百条委員会やマスコミによって報じられ、「市長室をレジャー感覚でカスタマイズしている」疑惑が浮上。「箸、食品、ダンベル、なわとび、ネクタイ、キャンプ用鍋、ガスボンベ、バーナー、鍋セット、ジューサー……」と冨田氏が市役所内に持ち込んだとされる私物を百条委員会の担当者が淡々と列挙するシーンは連日のように報道され、「市長室を私物化するサウナ市長」というイメージが大きく拡散された。加えて、「職員にタオルや鍋を洗わせた」とも報じられ、職員に対する恫喝や叱責とも取れる録音データの存在が明らかになり、パワハラ疑惑までもが広く報じられたのだ。「パワハラなんて一度もしたことありませんし、すべて冤罪です。あの録音データは卑劣な政治家と電話で激しくやり合ったときの音声を録音されたもので、職員に対してのものではありません。トレーニング器具やストレッチ器具に関してはサウナと同様、体調管理のために私物を持ち込んだだけです。また、市長室内でラーメンを調理して食べたことは一度もありません。先日、知り合いに『あの当時、市長室に七輪を置いてたってほんま?』と聞かれてがく然としましたが、マスコミ報道の影響でそんなふうに誤解されている方がたくさんおられるかもしれませんね。私物で市長室をカスタマイズして遊んでいたわけでもないですし、バーベキューセットを常備して友達を呼んで宴会していたわけでもない。すべては万全な状態で公務をするために必要だった、それだけなんです。ただ、早朝から働きづめで昼ご飯を取る時間もないほどでしたので、鍋で卵をゆでて食べたことは何度かあります……あっ、すいません! 芋は一度だけ湯がいたことがあります。支援団体の方が市長室にこられて『これ食べたら元気になるんで食べてください』と芋をいただいたので、ゆで卵をつくるときに一緒に湯がいていただいたんです。『タオルを職員に洗わせた』という点に関しても、秘書課の職員が『庁舎にある洗濯機で一緒に洗うだけなんでやっときますよ』と善意で言ってくれたのでお願いしたのですが、噂が広まって最終的には『冨田が女性職員に無理やり汚いタオルを洗わせたことで、その女性職員が心療内科に通院するようになった』という話に脚色されて、百条委員会で詰問されることになりまして。その女性職員はぜんぶ否定してくれたんですが、メディアでは『冨田が女性職員に無理やりタオルを洗わせて心療内科に通うようになった』と僕に詰問しているシーンだけが繰り返し流されたため、そのようなイメージになってしまったんでしょうね」さまざまな疑惑をなんとか晴らそうとしていた冨田氏だったが、2021年4月、第11回の百条委員会が開催され、「不信任決議が相当」とする報告書案が全会一致で可決。同月、冨田氏は「けじめと責任を取る」として市長を辞職すると表明した。そして2021年7月30日、サウナ室のような暑い夏の日に、彼は一市民に戻ることになった──。(第2回につづく)

取材・文/田辺健二 撮影/渡辺利博 NEWSポストセブン / 2022年7月23日 7時15分


【サウナ市長と呼ばれて/第2回】送った履歴書400枚、家はゲストハウス、45才の元市長、苦難の「再就職戦線」

働く男たちがサウナで疲れを癒す一方、サウナで身を崩した男がいる。彼の名は冨田裕樹(45)。大阪府池田市長時代に市長控室に家庭用サウナを持ち込んだことが問題視され、百条委員会が設置されるまでに発展。パワハラ疑惑なども噴出し、2021年7月で辞職に追い込まれた男である。第1回では彼が「サウナ市長」と呼ばれるまでの顛末を追ったが、市長を辞してから彼がどのような生活を送っているのかはまったく報じられていない。彼はいま何を思い、前代未聞のサウナ騒動とどう向き合っているのか。女性セブンWEB取材班が、元サウナ市長の知られざる苦悩の日々を追った──。

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2021年7月30日、「けじめと責任を取る」として市長を辞職した冨田氏。8月29日には出直し市長選挙に再出馬し、炎天下の路上で「潔白」の意味を込めた白いシャツをまとい必死に選挙活動を繰り広げたが、候補者4人中最下位で落選。家庭用サウナを市長控室に持ち込んだことで前代未聞の騒動を生んでしまった男は、さまざまな疑惑を払拭できないまま、市長のイスを完全に失ったのだった。「頸椎の後遺障害の症状緩和のためとはいえ、家庭用サウナやトレーニング器具を持ち込んだことは事実ですし、公人として公私混同と誤解を招くようなことをしたのは今も反省しております。このような騒動を起こしたけじめと責任を取るという意味で辞職を決めたのですが、パワハラ疑惑をはじめとする“でっちあげ”の数々は最後まで否定し続けました。市民の皆さんにもさまざまな誤解を招いてしまったため、その誤解を解き疑惑を払拭するために再出馬したのですが、無所属で出直し選挙だったということもあり、個人の力とはこれほど小さいものなのかと痛感しましたね。私は“地方政治の闇”、“池田市にはびこる闇”と戦い続けてきたという自負はあります。古傷が悪化し頸椎に痺れが出たり、胃潰瘍にもなるほど満身創痍でしたが、それでも点滴を打ちながら早朝から深夜まで市民の皆さんのために働き続けました。志半ばで辞職することになったのは残念で仕方ありませんし、わきが甘くて反省する点も多々ありましたが、市民の皆さんのためにやるべきことはやったと胸を張っていたい」とはいえ、政治家の道をあきらめたわけではないという。「政治家という身分にこだわっているわけではなく、社会をよくするための最善の手段が政治家だと思っています。日本の法的な問題とか歪な社会構造を変えようとしたら、政治家になるしかない。ですから、いずれは国政の道へ進みたいという強い意志はあります。しかし、今はまだ、その時期ではない。私に対して誤解を抱いている方がたくさんおられますので、ひとつひとつクリアにしていきながら、とは思います。それに、妻と子を養っていかなければいけないので、このまま無職というわけにもいかない。というわけで職探しを始めたのですが、これがかなり苦戦しまして……」冨田氏は「市長月額給与30%カット、退職金ゼロ」を公約に掲げて当選していたため、辞職時に潤沢な貯金があるわけではなかった。そのため、すぐさま職を見つける必要があったのだが、ここでも「サウナ市長」という負のイメージが彼を苦しめることに。「身の潔白を証明するには活動の拠点を東京に移すしかない。そんな思いから東京で職探しをしていたのですが、私の履歴書を見た人事の方が、ネットで名前を検索すればすぐ『わっ、サウナ市長や!』ってなるみたいなんですよね。こんな面倒くさいヤツをわざわざ雇いたくはないじゃないですか。結局、履歴書だけでも400社近くに送ったと思いますが、すべて全滅でした。この歳からの再就職ですから年齢的な面でも不利なうえに、サウナ市長という悪いイメージがずっと付きまとってくる。正直、苦しかったですね。ただ、履歴書には池田市長だったことも明記しましたし、『今後、政治家を目指していきたい』という自分の意思もしっかり書きました。嘘だけはつかないでおこうと決めていましたので、一切自分の身元をごまかさず、すべてをさらけだして就職活動をしていたため、ここまで苦戦を強いられたのかもしれません」当時は東京のゲストハウスに身を寄せ、夢を追う若者たちと寝食を共にしながら就職活動をしていたという冨田氏。節約をしながら、一日でも早く仕事を見つけようと、東奔西走していたという。「お金が続かないので夜勤のバイトをしつつ、そのまま朝からネクタイをして面接に行くという日々でした。疲れ果ててゲストハウスで昼間から寝てしまうときもありましたね。同じ時期に寝泊まりしていた若者と仲良くなって一緒にキッチンでご飯を作ったりもしました。『何をしてる人なんですか?』と聞かれたときは答えに困って『いろいろやってたよ』としか言えませんでしたけど。『45歳でゲストハウスに泊まってて、この人、大丈夫かな?』と心配されていたと思いますね。彼らとは仲良くはなりましたけど、結局連絡先は交換しませんでした」そんな苦しい時期を乗り越え、無事に職を見つけたという冨田氏。現在は公共政策のコンサルタントや企業顧問などを中心に忙しい日々を送っている。「結局は就職というかフリーランスのようなかたちでコンサルタントや企業顧問をやらせていただくことになったのですが、私が市長時代にさまざまなでっちあげで辞職に追い込まれたことをすべて知っている人たちにお世話していただきまして。本当に感謝しかありません。今はゲストハウスを出て、ビジネスホテルで暮らし、月に何度か家族のもとに帰るという日々です。ちなみに、このビジネスホテルにサウナはついていません(苦笑)。サウナがきっかけでいろいろありましたが、サウナを嫌いになったわけはありません。今もたまには行きますよ。やはり体温をあげるってすごく大事ですし、副交感神経を刺激してリラックスもでき、ストレスの解放にもつながる。サウナとは今度も適度な距離感で付き合っていきたいと思っています」政治家として再起を図るため、ひとまずは安定した生活を手に入れた冨田氏。その晴れやかな表情は、サウナでととのった男たちが浮かべる笑顔のようでもあった。(第3回につづく)


取材・文/田辺健二と女性セブンWEB取材班 撮影/渡辺利博NEWSポストセブン / 2022年7/27(水) 16:15配信


【サウナ市長と呼ばれて/第3回】私が見た地方政治の闇「続けたいなら何もするな」正義がまかり通らない世界とは

働く男たちがサウナで疲れを癒す一方、サウナで身を崩した男がいる。彼の名は冨田裕樹(45)。大阪府池田市長時代に市長控室に家庭用サウナを持ち込んだことが問題視され、パワハラ疑惑なども相まって、2021年7月で辞職に追い込まれた男である。今回のインタビューで彼の口から何度も飛び出した「地方政治の闇」。これは何も池田市だけの話ではない。広島県安芸高田市議会の「居眠り騒動」、千葉県市川市の「市長室ガラス張りシャワー室騒動」、兵庫県尼崎市の「USB紛失騒動」、山口県阿武町の「持続化給付金4630万円誤送金騒動」など、地方政治に目を向けるとなんともお粗末な事件や騒動がたびたび報道されている。では、実体験として地方政治の闇を体感してきた冨田氏はこれらの騒動についてどのような思いを抱いているのか、女性セブンWEB取材班が追った。最終回となる今回は、数奇な騒動を体感した冨田氏だからこそ知る、さまざまな地方政治の闇に光を当てた──。

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冨田氏が池田市長を辞職するきっかけとなった「市長室に家庭用サウナをはじめとするいろんな私物を持ち込みすぎた問題」。公私混同と誤解を招いたことは本人も認めていたが、それでも「百条委員会まで設置するのはやりすぎでは?」という声があったのも事実だ。「そこまでして、とにかく私を市長の座から蹴落としかったということなんです。地方政治はさまざまな利権や既得権益やしがらみが存在しており、私のように『池田市をよくしたい』という思いで改革を起こそうとすると異分子と見なされ、徹底的に排除しようとする。私が市長に就任した直後、周りの職員から『とにかく一期目は何もしないでほしい。改革は二期目でやりましょう』と言われました。性急な改革は旧勢力を刺激することになり、必ず揉め事になる。それが地方政治の特徴です。自分がしたことを棚に上げるあげるわけではないですが、正直、私物持ち込み程度で百条委員会は私もやりすぎだと思いますよ」最近では、広島県安芸高田市議会の「居眠り騒動」が何度も報じられ、元エリート銀行マンの石丸伸二市長と議会との対立が何度もクローズアップされている。市議会との対立という意味では似たような経験をした冨田氏の目にはどう映るのだろうか。「この石丸市長という方も『安芸高田市をよくしたい』という強い意志を持っておられる方だとお見受けしますが、旧態依然とした市議会議員に対して『恥を知れ恥を!』とまで突き付け、対立関係が深まってしまったばかりに、副市長案や議員定数削減案を否決されるなど窮地に立たされている。すべての地方自治体がそうだとは言いませんが、昔ながらの義理人情が優先される世界だというところはたしかに多いんです。挨拶がないとか、『前もって聞いてない』とか、そういう低い次元で反発心を抱き、旧体制で徒党を組み、新興勢力を駆逐しようとする。市長を長くやりたいなら、何もせずずっとニコニコしていればできますから。居眠りなんて見過ごして、一緒に仲良く酒でも酌み交わしていたら駆逐されることはない。しかし、それでは何も変わらないんです。私は池田市長時代にさまざまな事業見直しや機構改革を推進しましたが、これらの変革の種をまいても芽が出て花を咲かすまで少なくとも3年はかかる。つまり、1年目からフルアクセルを踏まないと任期中に改革なんてできないんですよ。だから真面目に改革をしようとする市長ほど議会と衝突してしまうんです」では、2021年2月に報じられた、千葉県市川市の「市長室ガラス張りシャワー室騒動」についてはどうか。約360万円を費やして新設されたガラス張りのシャワー室だけでなく、「公用車をテスラに変更」「市長室に合計1058万円の家具を導入」も明らかとなり、当時の村越祐民市長の金満ぶりが問題視された。奇しくも冨田氏の「サウナ騒動」が紛糾していた頃と時期が重なっていたが……。「そうですね……。繰り返しになりますが、私が後遺障害の症状緩和のために持ち込んだ家庭用サウナやトレーニング器具はすべて私物ですし、もちろん水風呂があったわけでもなく庁舎のシャワーも壊れていたので、サウナやトレーニング後は濡れたタオルで体をふく程度でした。とはいえ、ガラス張りのシャワー室はやりすぎだと感じますし、市長室の家具に1000万円以上を費やしていたのも、あきらかにやりすぎです。ちなみに私の場合は市長室のイス、パソコン、パソコン机、冷蔵庫などもすべて私物を持ち込んで使用していました。理由は、徹底して公費の使用を控えたかったからです。また、公用車をテスラにするというのも当然ながらやりすぎです。私の場合は職員の負担削減とコスト軽減のため、公用車の使用自体を極力控えておりました。むしろタクシーを使用したほうがよっぽど割安で、職員に時間外手当を出す必要もないと判明したためそうしていました」繰り返し報道される地方行政発のお粗末事件簿。旧態依然とした地方自治体が伏魔殿化しやすいのなら、「もはや地方議員自体が不要なのでは?」という思いすら抱いてしまう。「地方政治では、誰かひとりをやり玉にあげて徹底的にいじめ抜いて排除するということが可能な世界。地縁血縁が強く、しがらみや既得権益の巣窟であり、正義がまかり通らないゆがんだ世界なんだと、私は身をもって感じました。ただ、だからといって地方議員が不要だとは思いません。まずは地方議員の在り方を抜本的に変えるべき。例えばデンマークのように地方議員という仕事をボランティアだけにすれば、カネや利権は生まれないはず。伏魔殿化して足の引っ張り合いをし続ける地方自治体って、今後の日本のためにも次の世代のためにもならないし、誰も得しないじゃないですか。私は今回のサウナ騒動を通じて、根本的な解決は地方政治からでは無理なんだと痛感しました。国のトップから落としていかないと地方は動かない。だからこそ、来るべきタイミングで国政の道に進み、最終的には地方政治の在り方を変えていきたいと、強く思っています」空前のサウナブームの折、“ととのい”という境地に達するにはサウナと水風呂の温冷交代浴を3セット繰り返すことが推奨されている。それで言うならば、彼の政治活動はまだ1セット目。来るべきタイミングで彼が2セット、3セットと繰り返し、国政から地方政治をととのわせることができるのか。元“サウナ市長”の灼熱の巻き返しに期待したい。

取材・文/田辺健二と女性セブンWEB取材班 撮影/渡辺利博NEWSポストセブン / 2022年7/27(水) 16:15配信

この人は自分のやったことに反省していませんね。「国政から地方政治をととのわせることができるのか。元“サウナ市長”の灼熱の巻き返しに期待したい。」と書いてあるが誰もこの人に期待していません。この人を企業顧問として雇用する企業ってどこの会社なのでしょうか。


2022年7月12日火曜日

売ろうにも売れない不動産の相続トラブル「更地にしたら税金4倍」で泣きっ面に蜂

 相続トラブルはお金持ちだけの話──そう安易に思っていたら大間違い。親が残すのは「プラスの財産」ばかりでなく、借金などの「マイナスの財産」も含まれる場合があるのだ。実際の相続の際に特にトラブルになりやすいのは不動産だ。埼玉県在住の青木史子さん(49才・仮名)は3年前に他界した母から、静岡県の海沿いにある実家近くの土地を相続した。土地を実際に見たことはなく、地元の不動産業者に電話で聞いたところ「立地がいいから買い手は見つかるだろう」と言われたので、いつか見に行こうと思いながらもつい放置していた。そんなある日、市役所から一通の通知が届いた。そこには、相続した土地に大量の廃棄物が不法投棄されて、近隣住民からの苦情が殺到していると記されていた。慌てて業者に連絡すると「撤去には1000万円かかる」と言われてしまった。そんな大金はとても払えない青木さんは、急いで地元の不動産業者に土地を引き取ってもらえないかと打診したが……。「“不法投棄で一部の土壌が汚染されて、浄化費用は500万円です”と言われました。こんなことになるなら、相続放棄しておけばよかった」(青木さん)『身内が亡くなってからでは遅い「相続放棄」が分かる本』(ポプラ社)の著者で司法書士の椎葉基史さんが指摘する。「相続人には、相続した不動産を管理する義務が生じます。“土地は持っておいて損はない。不要になったら売ればいい”と考える人が多いですが、どのような土地なのか確認することもなく、安易に相続するのは避けるべきです」

○建物の解体費200万円!でも土地は売れず…

都内在住の隅田洋一さん(54才・仮名)は両親を亡くした後、秋田県の実家を相続。帰郷の予定はなく相続放棄を考えたが、思い出の詰まった実家を手放せなかった。誰も住んでいない実家には年3万円ほどの固定資産税がかかり、無駄な出費を嫌った隅田さんは実家の売却を決意。不動産業者の助言もあり、まずは200万円かけて古びた建物を解体して更地にした。ところが期待通りに事は進まなかった。その後、いくら値を下げても土地はまったく売れなかったという。「住宅が建っていると評価を6分の1にする減税措置があるのですが、更地にするとそれが適用されないため、固定資産税は6倍になりました。維持費を減らすために更地にしたのに、解体費が200万円かかったうえにトータルの税金が3~4倍になって泣きっ面に蜂です」(隅田さん)

椎葉さんは「土地神話」に警鐘を鳴らす。「高齢の人ほど“土地は絶対売れる”との神話を信じていますが、人口が減る日本ではもはや不動産は確実に売却できる資産ではありません。実際に生前の親から、“あの土地は絶対に高く売れるから”と言われていたので軽く考えて相続したら、どこの不動産業者も取り扱わず、相続が重荷になる事例が増えています。特に田舎の持ち家や農地、山林などを相続すると、固定資産税や維持費がかかり“負動産”となるので、金融資産がほとんどない場合は相続放棄を選択肢とすべきです」相続した実家を「空き家」として維持することにも警戒が必要だ。「いまは『特定空き家』に指定されると、家屋があっても更地と同様の税負担を強いられます。空き家はほかにも衛生上、景観上、防犯上などさまざまな問題があり、私が知るなかでは、住宅密集地の古い空き家が倒壊して隣の家に被害が生じ、130万円を請求されたケースがありました」(椎葉さん)誰も住まないなら、相続のタイミングで家を放棄することを考えるべきだ。


※女性セブン2022年7月7・14日号


マネーポストWEB / 2022年7月5日 16時15分


2022年6月26日日曜日

NHK受信料「死後も請求」が話題に、遺族が悩む故人のサブスク解約の対処法

 亡くなった人の銀行口座からNHK受信料が引き落とされ続けていたことが判明。NHKは死後も支払いを止めてくれないのか……春先、そんなことが話題になった。しかし、こうした事態が起こるのはNHKだけではない。各種サブスクサービスが花盛りな昨今、遺族に請求が届くケースは今後ますます増えてくる。もし家族や親しい間柄の人が定額制サービスの契約を残して亡くなってしまったら、遺族はどう対応するのが正しいのだろうか?(ライター/ジャーナリスト 古田雄介)

●亡くなった人の口座から、 NHK受信料が引き落とされ続けていた

急死した一人暮らしの親戚の遺品を整理した際にNHK受信料が引き落とされ続けていることが判明。支払いを止めて、死後の支払い分を取り戻すために悪戦苦闘をした……春先、そんな苦労をした人のツイートがネットで話題になった。亡くなった人がテレビを見ているわけがないのに、支払いを止めてくれない。当人以外が手続きするとなると手間は本人のとき以上で、事態を収めて損失を取り戻すには膨大な書類と交渉が必要になる。遺族側からすると実に不条理な状況といえる。ただ、筆者はこの話題を知ったときに既視感を覚えた。似た事例をサブスクリプション界隈でもよく耳にしているからだ。

●定額制サービスからすると、契約者の生死は分からない

毎月、あるいは年単位で一定の支払いが発生する(お金が引き落とされる)という点では、最近増えているネットの各種サブスクリプションサービスも同じである。NHKにもサブスクリプションサービスにも、契約者の生死を自動で検知する仕組みは存在しない。継続支払いの設定になっているなら、遺族や代理人からの連絡がない限り、契約者の身に何が起きても変わらず支払いが続くのが一般的だ。だから、残された側は頑張って対応窓口を突き止めて、事態を説明したり必要な書類をそろえたりするしかない。NHKの場合は、解約手続きには全国共通の窓口として「NHKふれあいセンター(営業)」を設けているほか、払込用紙などに記載している各地域の放送局や営業センターでも対応している。いずれも電話対応が原則となっており、受付時間が限定されている上、つながりにくいという声もある。ただ、対応窓口としては比較的見つけやすいほうだ。苦労するのは、ヘルプページから解約の方法にすらたどり着けない場合だ。あるサブスクサービスは、奥まったところに置かれた解約メニューに2段階認証を設定しており、認証を経ても翻意を促すキャンペーンページをスクロールしないと手続きが進めない構造になっていた。ページ下段の「解約します」を押してもなお次のアンケートページで翻意できる作りになっていて、そこでもう一度「解約します」と意思表明することでようやく解放される。契約者本人でも相当面倒で、遺族の立場では到底達成できそうにない。こうした状況を踏まえてか、5月25日に可決・成立した改正消費者契約法では、定額制サービスを提供する事業者の努力義務として「解除権行使に必要な情報提供」が盛り込まれた。将来的には運営元に直接アプローチすればほぼ問題なく解約できるようになるかもしれない。業界全体での今後の改善を期待したい。ここまで読んで、個別に手続きするよりも、銀行やクレジットカードなどの自動引き落とし先を止めたほうが手っ取り早いと思った人もいるだろう。しかし、むしろそちらのほうが茨(いばら)の道かもしれない。そこが本記事で伝えたいところだ。

●サブスクの支払いがあるからと クレジットカードを退会できないケース

「自動引き落とし先をストップすれば、継続的な支払いが止まる」という認識は、残念ながら甘い。筆者は5年ほど前からデジタル遺品に関する相談をサイトで受け付けているが、過去にこんな話を本人から聞いたことがある。中部地方に暮らすAさん(60代)は、1年前に実家で一人暮らしをしていた兄を亡くした。遺品整理を進めるなかで、祖父の代からの不動産や生命保険の確認など難題がいくつも現れたが、なかでも手を焼いたのがクレジットカードの退会手続きだったという。クレジットカード会社の窓口は、事情を伝えても「債権が残っているので退会できない」と譲らない。毎月1200円ほどの引き落としがあり、その債権が止まないと退会手続きに進めないのだという。それでいて、プライバシー保護の観点から債権の詳細は教えられないとのこと。閉口するしかなかったが、粘り強く交渉しているうちに支払い元の情報が少しずつ見えてきた。手元の情報と照らし合わせたところ、どうやら動画配信サービスと英会話アプリの月額課金が残っていると判明。それぞれのサービスに掛け合って解約したところ、ようやくクレジットカードを退会することができたそうだ。また、長年相続関連の仕事をしているBさんからは、亡くなった家族の銀行口座を凍結したところ、その後も毎月500円の出金が続いた事例があり、対応に苦労したとの話も聞いた。こちらも定額サービスの自動引き落としによるものらしい。

●定額制サービスの料金のほとんどが 銀行かクレジットカード経由で支払われる

NHK受信契約の約8割が自動引き落としで支払われているように、定額制サービスの対価の多くは銀行やクレジットカード会社を経由している。それゆえに見落としがちだが、定額制サービスの提供元と自動引き落とし先は別物であり、情報も共有されない。ただでさえややこしい定額支払いの停止手続きが、自動引き落とし先という新たなステークホルダーが加わることで、さらにややこしくなってしまっているのだ。

●銀行の原則は 「口座を凍結したら振替も停止」

間に挟まった自動引き落とし先では、何が起こっているのか。主要な銀行とクレジットカード会社に実情を尋ねてみた。まず銀行はメガバンクとネット銀行を含めた全国規模の8行に情報提供をお願いし、5行から回答を得た。口座の持ち主の死亡が遺族等によって知らされると、銀行は口座を凍結する。口座振替のある口座はその後どうなるのか。回答を得た銀行ではいずれも「停止する」との回答だった。「預金者死亡の連絡を受けた場合、債権の有無に関わらず、ご預金等のお引き出し、ご入金についてはお取扱いができなくなり、口座振替も停止となります」(みずほ銀行)出金が続く可能性があるとすれば、相続人から口座振替の継続の希望を受けたシチュエーションだが、それも例外的な処理といえる。三菱UFJ銀行は「事前に特定の明細について、従来通り被相続人の口座からの引き落としを希望する依頼書を相続人全員の署名の上受入れしている場合、その明細のみ支払いを許容する手続きもございます」という。ただ、これは銀行側の都合だ。定額制サービスを提供する運営元は契約者の生死を確認できないし、銀行から伝える義務もない。実際、凍結後に請求が届くことも珍しくないという。それでも、「生前お支払いに当社のデビットカードを登録されており、相続開始後に請求が到着した場合、故人口座には請求できないため、当社では原則として当該請求を加盟店(請求元)に返却する対応を行います」(ソニー銀行)といったスタンスが一般的といえる。

●個別の事情に応じて 柔軟な対応をしてもらえることも

一方で、三菱UFJ銀行が特定の明細のみ支払いを継続するケースを認めているように、個別の事情に応じて柔軟に対応している様子もうかがえる。Bさんから聞いた事例は5行とも経験がないようだった。しかし、別の金融機関が何らかの事情から特殊な措置として、そうした措置を行っている可能性も否定できない。ただ一般論としては、凍結中は原則として口座振替を継続しないのは確かなようだ。そして、銀行側から定額制サービスの運営元へ、契約者の生死に関わる情報が自動で伝わるような流れも確立されていない。

●クレジットカードは 退会後も請求が継続しうる

クレジットカードも主要な8社にアプローチし、6社から回答を得た。こちらも契約者の生死を知りようがないため、遺族等から連絡がない限りは自動引き落としの処理が継続することになる。死亡の連絡を受けたら退会の手続きを進めることは可能だが、預金口座の凍結のように直ちに処理するわけではない。あくまで遺族等の希望に基づいて処理を進めるというスタンスだ。いずれもカードも定額制サービスとの契約は事前に解約した上での退会を促しているが、イオンカードが「支払い義務(債権)が残っている場合であっても退会は可能です」というように、回答を得た中では債権が残った状態でも退会手続きを止めるケースはなかった。Aさんのケースは特殊事例なのかもしれない。ただし、あるカード会社は匿名で「支払い義務が残ったまま退会されると後々面倒なことになることも。それを防ぐための対応としてはあり得る措置といえます」と見解を教えてくれた。

●サービスを停止せずにクレジットカードを 退会するとどうなるのか

注意したいのは退会後だ。債務ありの状態で退会すると、その債務の請求が後日届くことになる。クレジットカードは決済と請求までタイムラグがあるため、単発の決済であっても翌々月支払いということも普通にあるし、定額制サービスの契約が継続している場合は数カ月先まで請求が届くということも起きてしまう。「基本的にはカード解約後にカード支払いをご利用いただけませんが、サブスク等については、ご利用先に契約解除の連絡をしていただくまで利用が継続する場合がございます」(セゾンカード)クレジットカードを退会しても、退会前にした買い物や契約には影響を及ぼさない。「各種サービス料金の支払契約は、あくまでお客様とサービス提供業者間で取り交わされたものです。第三者である弊社はその契約関係には入り込むことはできかねます」という三井住友カードの回答が端的だ。この原則に従えば、遺品整理時に気付かれなかった定額制サービスの支払いはその後も延々と続くことになる。しかし、何年も請求が続いて困ったという声は聞かない。今回得た回答でも、数カ月先までの請求が続くというタイムスケールで言及する企業が大半だった。年額支払いの請求が絡んで、せいぜい2年弱だ。どうやら、現実としては半永久的に請求が続くというわけでもないらしい。あるカード会社は「退会後に定額制の請求が続く場合は、債権を回収管理する部門があり、そこから退会したお客様やご遺族に契約解除や支払い方法の変更を促しています。それと同時に、水面下では定額制の提供元にも停止をお願いすることもありますが、応じてくれるか否かはまちまちです」と明かす。つまるところ、支払いが滞った後のスタンスは定額制サービスがどう動くかにかかっているといえる。

●引き落としが止まった後に 郵送で請求書が届くケースも

定額制サービスを提供する立場からすると、契約者が亡くなった後にいつまで請求を続けるかは判断が難しい。何しろ生死を正確につかめる手段はない。そのため、遺族からの申請をきっかけに契約を終了するとしているケースが多いようだ。NHKも解約の届け出があった日を解約日とすることを原則としている。遺族等により要望があった場合は住民が亡くなった日までさかのぼっての解約とする措置も個別に応じているが、それは例外的な対応だ。例外ゆえに、契約者の死亡やその後の利用状況を含む多くの証明が必要になるなど手続きは煩雑になってしまう。しかし、口座振替やカード退会で支払いが滞った際は、請求書を郵送する形で支払いを促すケースも増えている。葬儀を終えた数カ月後に故人名義の請求書が届いたという話は、ここ数年でよく耳にするようになった。支払い滞納分を含めても数千円程度という比較的少額の請求も珍しくない。一方で、お金の流れが滞った時点で解約とみなすケースもある。典型例はマイクロソフトだ。同社はオフィススイートアプリやクラウドサービスなどを定額制で提供している。その契約者が亡くなった場合は、遺族等が代理でログインしてサービスの停止を申請することを認めているが、IDとパスワードが分からない場合は「お客様の銀行口座やクレジットカードの停止、承認の取り消し、または銀行への通知を行うことで停止することができます」と明言している。定額制サービスのすべてがマイクロソフト型の対応をしてくれれば、口座の凍結やカード退会で一網打尽が可能だが……。残念ながら、いまのところはサービスごとに対応がバラバラだ。

●もし、故人が契約していた定額制サービスを 解約することになったら

以上を踏まえて、遺族の立場から、故人が残した定額制サービスの契約はどうしたらいいのか対応を考えたい。理想を言えば、すべての定額制サービスを個別に調べて、それぞれに沿った形で解約や引き継ぎを進めていくのが安全だ。しかし、あまたのサブスクや定額制サービスを利用している人の全契約を正確につかむのは難しいだろう。Apple IDやGoogleアカウント、通信キャリアの月額支払いにまとめられたサブスクなどは、お金の流れからたどっても個別に探すのは至難の業だ。それぞれの契約に気付けたとしても、故人のアカウント名を突き止め、解約の窓口をそれぞれ調べて、それぞれに必要な書類をそろえるとなると相当骨が折れる。正直、定額制サービスの提供元が求める手続きのすべてを遺族が完遂するのは不可能だと思う。だとすれば、現実との折衷案を組み立てるしかないだろう。

(1)通常の遺品整理の過程で特定できた定額制サービスは、個別に解約や名義変更などの手続きをする。

(2)その上で、口座の凍結やカードの退会を済ませる。

(3)その後にさまざまな形で請求が届くことを想定し、1~2年程度はアクションがあるたびに個別に支払いや解約などを進める心構えだけしておく。

2022年6月時点では、この3段構えの対策が現実的ではないかと思う。


2022/6/22(水) 6:01配信diamondonline


ネットカフェの天下統一!快活CLUBが、倒産相次ぐ業界で“独り勝ち”したワケ

 インターネットが身近になった結果、ピンチに陥っている業界がある。インターネットカフェ業界だ。10年以上前は「通信料や家族の目を気にせず、自由にネットが使える」という環境が貴重だった。しかし、2012年にはスマートフォンの普及率が50%を上回った。このころからネットにアクセスできる環境が当たり前となり、ネットカフェの人気は低迷。さらにコロナ禍が追い打ちをかけ、約10年間で2000億円を超えていた市場規模が約1000億円に半減したという。帝国データバンクによると、20年度にはネットカフェ・マンガ喫茶などの「複合カフェ」を主力とした企業が10件倒産した。そんな中で、“独り勝ち”しているのがAOKIホールディングス傘下の快活フロンティアが展開する「快活CLUB」だ。売上高、店舗数はいずれも19年度まで右肩上がり。20年度は新型コロナウイルスの影響でマイナス成長となったが、21年度で売上高は19年度(583億8800万円)の97%である569億3300万円まで復調している。沈みゆく業界の中で、成長を続けられる秘訣はどこにあるのか。快活フロンティアの常務取締役、中川和幸さんに話を聞いた。

●他社と何が違うのか?

快活CLUBが他社と最も違う点は「全国505店舗(6月時点)の全てが直営店であること」だと中川さんは話す。ネットカフェ業界の中堅・大手ではフランチャイズ形式で出店数を伸ばしている企業がほとんどで、この業態はかなり珍しい。では、直営店とフランチャイズの一番の違いは何か。それは、出店スピードだという。中川さんは「出店を拡大しようと計画を立てたときに、一気に舵を切って進められます。例えば19年度には1年で85店舗出店しました。20年度は50店舗、21年度は29店舗とコロナ禍でも出店を進めています」と説明する。設備投資の面でも、直営店の強みがある。「大きく違いが出るのは、PCです。PCのスペックは年々高くなっていて、処理速度がかなり異なる。われわれは全てのPCを3年に1度入れ替えています。また、ソファやマットについても、定期的に交換しています」と中川さんは話す。フランチャイズ店では、オーナーの意向によって設備投資のレベルにばらつきが出ることが多い。特に、売り上げが低迷した場合には、十分なメンテナンスや入れ替えができないことがある。しかし、直営店のみの同社の店舗では、設備投資のレベルを統一できる。こうした店舗の品質の良さが、快活CLUBのブランドを作ってきた。中川さんは「実はインターネットカフェの利用料金は、店舗によってそれほど差がありません。『だったら、こっちの方が良いね』とお客さまの選択が(快活CLUBに)集約してきた。それが当社がシェアを伸ばせている要因になっているのではないかと思います」と笑顔を見せる。

●AOKIホールディングス、物件確保の秘訣は

快活フロンティアを語る上で欠かせないのが、同社がAOKIホールディングス傘下の企業だということだ。スーツ販売の「AOKI」と「ORIHICA」、カラオケ店の「コート・ダジュール」、フィットネスの「FiT24」などのブランドが同グループにある。中川さんは、グループでさまざまな店舗を運営しているため、物件の確保が有利になっていると説明する。「新規出店にあたり、物件交渉は大きなポイントです。物件を探す部署は、快活フロンティアの社内ではなく、AOKIホールディングスに所属して(グループ内の物件交渉を)一括で担当しています。なので物件を探し、条件に合わせて『この物件は快活CLUBに』『この物件はAOKIに』『この物件はコート・ダジュールに』と振り分けをしています。選択肢が多いので、物件のオーナーさまの要望に合わせやすいという特徴があります」また、需要や売り上げ状況に合わせてAOKI店舗を快活CLUB店舗にリニューアルする手段もある。さらに、広い面積が確保できる場合は、AOKIと快活CLUB、FiT24と快活CLUBなど複数店舗の抱き合わせで土地を活用している。「直営でブランドも多くあるため、オーナーさまに『長く続けてもらえそうだ』と安心感を持っていただきやすいという点もあるかもしれません」(中川さん)

●社員やアルバイトの人材交流も

こうしたグループ内でのシナジー創出は、出店時だけにとどまらない。社員とアルバイトの双方を対象に、複数店舗で働いてもらうことで、適正な人数で店舗を運営できるようにしているという。

「昨年から、グループ間の人材交流を進めています。AOKIなど紳士服の業界は基本的に夏場が暇で、新社会人の方などがスーツを購入する2~3月が繁忙期です。それに対して、インターネットカフェやカラオケが忙しいのはゴールデンウイークや夏休みの時期です。AOKIの閑散期に余ってしまう人材に、快活CLUBの店舗に入ってもらったり、反対に他形態の繁忙期にこちらから応援に行ったりという活動です」(中川さん)

特にスーツ販売のアルバイト人材では、夏場などの閑散期には思うようにシフトに入れないことがある。どの業態も店舗でお客さまに案内をするという点は共通している。別のアルバイト先を探すより楽だと、この制度を利用する人は多いそうだ。また、人によっては「昼が空いている日はAOKIで働き、夜が空いている日は快活CLUBで働く」といったように、人手が足りない時間の違いを生かしたダブルワークも可能としている。「これにより、グループ全体での人件費の効率化につながっています」と中川さんは説明する。

●快活CLUBが抱える危機感

このような取り組みで、シェアを伸ばし業界の圧倒的1位を独走する快活CLUB。しかし、危機感も併せ持っている。中川さんは「ネットカフェは『することないから』など、余暇の需要で使われるものです。しかし、利用用途を広げて、これまでネットカフェを使ったことのない人も取り込んでいかないと市場は広がらないと思います」と話す。ネットカフェを日常的に使う人は、中小企業基盤整備機構が実施した調査(17年)によると14%。快活フロンティアで実施した調査でも16%(21年)と、約15%程度であることが分かっている。つまり、残りの約85%の人は普段ネットカフェを活用していない。市場規模の減少に歯止めをかけるには、多くの人の選択肢に入り、活用の幅を広げることが重要だ。

●「ネットカフェに行きたい人」以外をどう取り込むか?

そのための施策の一つとして、10年ほど前からランチをはじめとする食事の提供にも力を入れてきた。当然だが、「ネットカフェに行きたい」と考える人よりも「ランチをどこかで食べたい」と考える人の方が人口が多い。そうした客層にも来店してもらうことで、ユーザーの幅を広げてきた。ランチに目を付けた理由は、「当時の社長が“愛知県出身だった”ことがきっかけです」と中川さんは説明する。「インターネットカフェの前身はマンガ喫茶です。そしてマンガ喫茶は愛知県で『喫茶店の空いたスペースに、お客さまが喜ぶだろうからマンガを置いてみようか』という形から始まったと聞いています。愛知県は、モーニングでも有名なように飲食店のサービスに尋常じゃなく力を入れているお店が多いんです」(中川さん)そんな文化を良く知る当時の社長の意向で、ドリンクだけではなく食事も十分に出すシステムを整備してきた。ただし、「飲食店は諸刃(もろは)の剣でもあります」と中川さんは話す。「なかなか人手がかかります。今は特に、人手の確保が大きな課題ですから、エリアによって分けて考えています」

取材をした赤坂見附店(東京都港区)では、食事の提供はしていない。周囲にコンビニや飲食店が多いエリアなので、周囲で買って持ち込んでもらう方針だ。一方、カフェ文化が根付く愛知県や静岡県、また冬場に移動を嫌う東北エリアなどでは食事の利用が特に好調なのだという。

また、利用客を広げるために、コロナ禍以降はテレワークで利用するビジネスパーソン向けの施策に力を入れてきた。

●ネットカフェの天下統一、次なる課題はどう解決するのか?

こうしたさまざまな戦略で、快活フロンティアはシェアを伸ばし、勝ち上がってきた。快活CLUBの複合カフェ業界内でのシェアは、店舗数で33.3%、売上高で39.6%(複合カフェ協会のデータから試算、2020年度)。以下に続く企業は店舗数・売上高ともに10%に満たず、一強他弱の状態だ。さらに5月には、AOKIホールディングスが業界2位の店舗数を誇る「スペースクリエイト自遊空間」を運営するランシステムと資本提携を結び、子会社化。これにより、グループ全体で複合カフェ市場の店舗数の42.6%を占める形になった。かつて多くの企業が参戦し、戦国時代状態だった複合カフェ業界を、AOKIグループが天下統一したと言って差し支えないだろう。


ITmedia ビジネスオンライン / 2022年6月19日 14時20分


2022年6月14日火曜日

2022年5月25日水曜日

柳川興業<秋良連合会<6代目山口組

 柳川興業は大阪府大阪市浪速区桜川4-8-2に本部を置く暴力団で、指定暴力団・六代目山口組の三次団体。上部団体は秋良連合会。植田組<秋良連合会<6代目山口組や生島組<吉川組<6代目山口組とどう住所である。同じビルの別の部屋にあるのか同じ部屋をシェアしているのかは不明である。


○組織図 

組長-柳川誠二(秋良連合会若頭補佐)

組織委員長-天野直人

事務局長-神山博人

理事長補佐-織田裕也

相談役-柳田龍二 

舎弟-曽我部亮治(誠榮興業組長)

舎弟-豊永正士

舎弟-極並秀佳

理事長補佐-織田裕也

行動隊長-野山大志

理事-西石雄基

理事-横山章太

幹事-福森公次

幹事-松原宏樹

幹事-日朝直樹

幹事-日朝俊二

幹事-岡部友太

幹事-真田誠



植田組<秋良連合会<6代目山口組

 植田組は大阪府大阪市浪速区桜川4-8-2に本部を置く暴力団で、指定暴力団・六代目山口組の三次団体。上部団体は秋良連合会。

○略歴 

2018年5月11日、神戸山口組・四代目山健組・生島組から六代目山口組・秋良連合会に移籍。

○組織図 

組長-植田輝雄(秋良連合会舎弟頭)

この住所には生島組(吉川組)、柳川興業(秋良連合会)の事務所がある。同じマンションの別の部屋なのか、同一の部屋を使用しているのかは不明である。



姫野組跡地<絆會

 二代目姫野組は大阪府東大阪市小阪2丁目6-19に本部を置く暴力団で、指定暴力団・絆會の二次団体。日高洋行の引退に伴い解散。



グーグルマップストリートビューを少し動かしてみると分かるのだが、暴力団事務所の場所に一部ぼかしが入るところグーグルマップのすごい部分です(全てにぼかしが入るわけでない)。

○略歴 

2020年8月、日高洋行が引退。姫野組は解散。昔は大阪市西区南堀江1-18-27四ツ橋セントラルハイツ705号に事務所があったようです。

○姫野組系譜 

初代-姫野竜志(四代目山健組若頭補佐)

二代目-日高洋行

○姫野組組織図 

組長-日高洋行(絆會若頭補佐)

若頭-梅田鉄也